60.予選
「おや?ミランダは専属選手を代えたのかい?」
「あぁ、ツォンか、ボルツの代わりだがね」
ミランダとアキラは裏コロシアムの予選会場に来ていた。
ツテがあれば一般参加もできる為、多くの腕に自信のある者が参加していた。
スカウトの目に留まり、ファミリーの専属になれれば多額の契約金が貰える、いわばスポンサーの様なものだ。
「……あまり強そうには見えないけど大丈夫かい?」
ツォンの後ろには、某伝承者の兄ラ○ウの様な見た目の男がアキラを睨みつける、ツォンの専属選手カルパトスだ。
「あぁ、アキラは強いから心配ない」
「死なない内に棄権するのをおすすめするよ」
ツォンとカルパトスは笑いを堪えながら去って行く。
確かにカルパトスとアキラを見比べれば100人中全員が、カルパトスの方が強いと思うだろう。
「んで、俺はこれからどうすれば良いんですか?」
「今回は予選のバトルロワイアルだ、A〜Dブロックまであり最後まで立っていられた2名が本戦出場だ、アキラはBブロックに出場する」
「わかりました」
「普通に殺しに来るから気をつけろよ」
普通のコロシアムと裏コロシアムの違いは殺してもOKな所だ、より緊迫した闘いを楽しめる為、多くの貴族や豪商などの金持ちがお忍びで観戦している。
「それじゃあ、行ってきます」
アキラは会場へと向かう、ミランダはアキラにポケットマネーの全額を賭ける。
控室は選手でごった返していた、ピリピリした空気が漂い今にも殺し合いが起こりそうだ。
この場で皆する事は同じで、誰を先に潰すか見極める事だ。
そして多くの選手がアキラに狙いをつける、だが中にはアキラの強さを感じ取り警戒する者もいた。
そしてBブロックの試合が始まる。
「これよりBブロックのバトルロワイアル戦を始めまーす!皆さん入場してください!」
ウサギ獣人の可愛いらしい女性が実況をする様だ、猫人しか見た事なかったアキラは、獣人は皆動物が2足歩行してる様なイメージだったが、人の姿でウサギ耳と尻尾が生えた獣人を見て少し驚く。
闘技場には物騒な武器を持った選手が殺気を撒き散らす、アキラの武器は金属でできた只の棒だ、他の選手達には完全に舐めてやがるコイツと思われていた。
「実況はこの私、アテナちゃんが務めまーす!よろしくぴょん!」
ーーカワイイー!!
ーー結婚してくれアテナー!!
「死んでも責任はとりませーん!それでは開始ぃ!」
ーーウワァァァァァ!!ーー
アテナの開始と同時に観客席から多くの歓声が湧き上がる。
そして大半の選手がアキラ目掛けて突っ込んでくる。
ーーおぉっと!多くの選手がアキラ選手に向かって行きます!アキラ選手は絶対絶命です!ーー
「もらったぜぇ!!」
剣を持った男がアキラを斬り殺そうと襲い掛かるが……
「遅せぇよ」
アキラは男が剣を振る前に棒を顔に叩き込んだ。
欠けた前歯が宙を舞う、男は倒れ泡を吹く。
その後も続々と選手達はアキラに襲い掛かるが、アキラは片手間で葬って行った。
ーーなんと言う強さでしょう!アキラ選手にはまだまだ余裕が感じられます!ーー
「雑魚どもを倒したくらいで調子に乗るな」
アキラの前に現れたのはツォンの専属、カルパトスだった。
「あ、さっきの人」
「我が名はカルパトスお前を殺す者だ」
「俺はアキラ、よろしくカルパッチョさん」
カルパトスのこめかみに血管が浮く。
「どうやら早く死にたい様だな?」
「え?死にたくないけど?魚のカルパッチョさん」
耳をほじりながら適当な受け答えするアキラを見て、カルパトスの怒りが最高点に至る。
「もういい死ね」
カルパトスは棍棒をアキラに振るう、ブォンと遅れて来る音から考えてものすごい威力だ、常人なら骨が砕けて即死する。
「……な、なんだと」
アキラは棍棒を素手で受け止め掴む。
カルパトスは掴まれた棍棒を引き抜こうとするがびくともしない、まるで根が張った大木を引き抜く感覚だった。
アキラはカルパトスを睨みつける。
カルパトスは言い知れぬ恐怖を感じていた。
「……や、やめ」
アキラの棒がカルパトスの顎にヒットし、カルパトスは膝から崩れ落ちる。
ーー本戦出場の常連、カルパトス選手がまさかの予選敗退!とんだ大番狂わせです!ーー
「兄ちゃん、すげぇ強さだな」
槍を持った、ワンパクそうな青年がアキラに話しかけてきた。
「ん?闘うの?」
「冗談じゃない、兄ちゃんとはまだ闘いたくねぇよ、それより強力して残りの雑魚を倒そうや」
「んー、別にいいけど?」
「よっしゃ、それじゃあよろしくな」
青年は華麗な槍捌きで他の選手達をどんどん潰して行く、どうやら口だけではなく本当の実力者の様だ。
アキラも一撃で残りの選手達を倒し、Bブロックの本戦出場者が決まった。
ーーBブロック本戦出場はアキラとヴェッジに決定しましたぁ!!ーー
あの槍使いの名前はヴェッジらしい、アキラに向かってニッコリとピースしている。
予選は終わりアキラは本戦出場のチケットを手に入れ、ミランダの元へ戻った。




