57.暗黒期
アルグレーム伯爵を国外へ追い出してから、ミスラウェル皇国は更に悪政になる。
移住税は作られ、民は多額の税金を払わなければ逃げ出す事もできなくなった、日々の生活を送るだけで精一杯だ、そんな金出せるはずない。
徐々に自殺者が増え、人々の目から光は失われていた。
「この剣と盾かっけぇぇ!」
「セイヤが装備したらもっとカッコいいわ!」
「いい事言うじゃん!あ、そうだ、アストリカにプレゼント、大金貨5枚で手に入れた」
「まぁ!なんて綺麗なダイヤの指輪……嬉しいセイヤ」
セイヤとアストリカは美酒を楽しみながら談笑していた。
広い部屋には多額の税金で購入した、ガザルフシリーズが飾ってありセイヤはそれを眺めるのが一つの楽しみであった。
「あと、新しい女まだ?」
「……うん、もうちょっと待って」
複雑な感情になりながらも、アストリカはセイヤの為と思い言葉を飲み込む。
館のメイド達は全員抱いていた、飽きたから新しいメイドと入れ替える予定だ。
セイヤの本性を知らない街の若い女達は、高給な事もありこぞって応募した、そこからセイヤが気になった女を採用する。
仕方ないから今日はアストリカでいいやと思い、セイヤはアストリカと一緒にベッドへ入る、そして今日も寝室には女の喘ぎ声が響く。
そして朝になった。
「セイヤ様、訓練の時間です」
「……あ?めんどくさ」
セイヤは眠たい目を擦り起きる、横には裸のアストリカがまだ寝ていた。
「これも必要な事です」
「わーったよ、行けばいいんでしょ行けば」
月に数度ゼルヴィンはセイヤを連れ、近くのダンジョンへと行き魔物の討伐をしていた。
勇者に成り立てのセイヤはゼルヴィンから見てお世辞にも強いとは言えなかった、そこらの魔物なら余裕で倒せるがこの世界は広い、強者がゴロゴロいる。
教皇フロイズンとしてはハリボテの勇者では無く、国を守る真の勇者になって欲しいと考えていた。
「充分強いじゃねーか」
「お急ぎくださいセイヤ様、時間が押しています」
「……チッ、うるせーな」
愚痴を零しながらもセイヤは支度をする。
ゼルヴィンの指導もあり、セイヤのレベルは30にまで上がっていたが、まだまだ上を目指してもらわなければ国としても困る。
これでもセイヤは聖皇国で10本の指に入る強者だ。
もちろんゼルヴィン、アストリカもその内の1人であり、その上には聖皇国の最高戦力"神の使徒"がいた。
民が反乱を起こさないのは、それらが強すぎるからだ、すぐに制圧され処刑されるオチが目に見えている。
近い将来、アキラの作る国とミスラウェル聖皇国は戦争になる。
そしてそれまでの時期をアキラに解放された元ミスラウェル聖皇国民達は"奴隷時代"と語った。




