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56.冤罪

「教皇様、どうか再考してください!」


アルグレーム伯爵は仲間を引き連れ謁見の間に居た。



「アルグレーム伯爵の考えはわかった、前向きに検討しよう」


教皇フロイズンは煙たそうにして言う、税を下げる気などさらさら無かったがアルグレーム伯爵は引かず、帰りそうにもなかったからだ。

増税するたびにしゃしゃり出てくる為うんざりしていた。



「……良い返事を期待しております」


アルグレーム伯爵達は謁見の間を後にする。



「……やれやれ、流石に鬱陶しいな」


「お困りの様ですね、フロイズン様」


謁見の間に誰かが入ってきた様だ。



「おお、アストリカか!アルグレーム伯爵が税を緩和しろとうるさくてな」


「私にいい考えがございます」


「ほう、いい考えとは?」


アストリカは不敵な笑みを浮かべて策を話す……



そして1週間が立つ。



教皇フロイズンに招集され、アルグレーム伯爵は再び皇都へと向かっていた、前向きに検討するとは言っていたが、いつもの様にはぐらかされるのだろうと期待はしていなかった。



謁見の間に入り、教皇フロイズンと顔を合わせる。

自分の他に貴族達、勇者セイヤ、聖女アストリカが中に居た、どうやら移住税を作るかどうかの最終決定が下されるよだ。


移住税を作るメリット、デメリットを司会が述べている途中に、慌てた様子の兵が入ってくる。



「今は会議中だぞ!!」


教皇フロイズンが無礼な兵に声を荒げる。



「申し訳ございません!!至急報告が!街に魔物が現れました!!」


「何!?」


真偽を確かめる為に皆外へ出る、街中には悲鳴があちこちから響き渡っていた。



「……俺が行きます」


「おお、勇者セイヤ殿行ってくれるか!」


「任せてください」



セイヤはエクスカリバーと英雄の白銀鎧を装備し、街へと駆け出した。



「キャァァァ!!」


棍棒を持ったトロールが少女に殴りかかる、周りの人々はもう手遅れだと思い顔を青くする、だがその時……



「うぉぉぉぉぉッ!!」


勇者セイヤが少女の前に立ち、棍棒をエクスカリバーで受け止めた。

そして棍棒を弾き返し、エクスカリバーで一閃する。

トロールは真っ二つになりその場に倒れた。



「……お嬢さん、大丈夫かい?」


「勇者様……ありがとうございます!」


セイヤは少女に手を貸し立たせる。



ーーすごい、たった一撃で!!ーー


ーーさすが勇者様だ!!ーー



街の人達は目を輝かせてセイヤを讃える、セイヤは手を上げそれに応えた。

その後もセイヤは街に現れた魔物達を鎮圧して行く、その都度セイヤコールに包まれる。

騒動は収まり、なぜ街に魔物が現れたのか調査が始まった。

少しすると、兵が怪しい者を見つけたと言いロープで手を縛られた男を連れてくる。



「な!どうしたんだ!?」


それはアルグレーム伯爵に仕える執事だった。

執事は教皇、貴族、勇者、聖女がいる前で全てを自供した。



「……アルグレーム様に魔物を放てと命じられました」


「おい、何を言ってるんだ……?」


「魔物を呼び寄せる魔集香で魔物を捕獲し、それを自分の意見が通らないという腹いせに街に放つ計画でした」


兵はアルグレーム伯爵の馬車から魔集香を見つけたと報告した。

皆のアルグレーム伯爵を見る視線が変わる。


アストリカが計画した策はこうだ、街に突如魔物が現れそれをセイヤが討伐する、セイヤの名声は高まりエクスカリバーの攻撃力も上がる、そして魔物を放った犯人をアルグレーム伯爵に仕立て上げる算段だった。

執事は買収され、もちろん魔集香もアストリカが用意した物だった。



(ふふ、計画通りね)



アストリカは心の中でほくそ笑む。



「違う!私は何も知らない!」


アルグレーム伯爵の弁明も虚しく、直ぐに裁判にかけられた。

証拠と証人がいる以上有罪は確定だった、傍聴席にいる貴族達からは死刑にしろ!っと声が上がり続ける。



「皆さん落ち着いてください!」


セイヤが声を上げた事に皆静まり返る。



「アルグレーム伯爵も気の迷いで魔が刺したのでしょう、これまで領地を守り続けて来た功績もあります、もう少し罰を軽くしても良いのではないでしょうか?」


セイヤの発言に貴族達は、なんて慈悲深い人なんだと感動していた。



「……うむ、勇者セイヤの言う通りだ、領地、私財没収の上国外追放とする」


「……そんな」


アルグレーム伯爵は膝をつく、トントン拍子で事が進んで行く事に。

そして兵に腕を掴まれ引きずる様に運ばれて行く。



そして3日後……



「おとーさま、どこにいくの?」


「おでかけするの?」


「あぁ、少し長いお出かけだ」


「……お父様」


アルグレームはリベイア、ケビン、ミリアを連れ歩いていた。

子供達の為にしっかりしなくてはと思いながらもその足取りは重かった。








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