55.加速する破滅
ーーオギャア、オギャアーー
教皇フロイズンの寝室に赤ん坊の様な声がこだまする。
「おーよちよち、いっぱいちゅっちゅしまちょうねー」
おむつを履いたフロイズンは、全裸のアストリカに膝枕されながら乳房を吸う。
「ママのおっぱいおいちいでちゅう」
「いっぱいちゅうちゅうして、いっぱいピュッピュしまちょうねー」
(キメェんだよ、このクソオヤジが!!)
心の中で悪態を吐きながらも顔には出さない。
前世でソープで働いてた時は、もっと酷いプレイをやらされた、それに比べればこれくらいどうって事はないが、やはりキモいものはキモかった。
アストリカの死体に乗り移った里奈とセイヤが、ミスラウェル聖皇国に来てから月日は流れた。
里奈は先ず教皇を篭絡する計画を立てた、正妻、妾と夜の営みが長年無かったフロイズンは直ぐにアストリカの虜になった、誰にも見せられない性癖をアストリカは受け入れてくれる、そしてフロイズンの心の中はアストリカ第一優先になった。
ミスラウェル聖皇国の政治は腐っていた、先ず税が高い事だ、エスミルデウス教の為と言い張り民から税を搾る、だがその多くは王家、貴族の懐に入り大きな格差が生まれた。
そして無駄遣い、皇宮の横には巨大なエスミルデウスの像が建っている、教えを信奉させる象徴として、多額の税金を投資し作られたが流石にやりすぎだった。
そして税が払えないから多くの店が潰れ職を失った民が増え、自分達の生活で精一杯で若い男女は子供を作りたくても作れない、それを打開する為に聖皇国が取った行動は"民の生活向上の為、増税して民の生活補償に使う"と言う馬鹿みたいな政策だった、もちろんその税は癒着される。
そして里奈とセイヤが来た事により更に拍車が掛かる、里奈は篭絡したフロイズンにお願いし、セイヤは豪華絢爛の生活をしていた。
ドワーフ1番の名匠が制作した"ガザルフシリーズ"を気に入り収集する様になる、最低でも金貨数枚はする武器、防具をひっきりなしに欲しがった。
そして美食、ギャンブル、女、ありとあらゆる快楽を楽しむ、それは全て民の血税から賄っていた。
プレイが終わりフロイズンはアストリカに愚痴を零す。
「はぁ、最近民が国外に行ってしまう事が多くて困っている、税を上げすぎたかな?」
「あら、それじゃあ移住税を作ればいいわ、税を払わなければ重罪、そうしたら逃げたくても逃げられないわ」
税を下げたらセイヤの生活水準が下がる、そう思ったアストリカはアドバイスをした。
「それはいい考えだ、すぐ取り掛かろう」
フロイズンは笑みを浮かべる。
最早この国に未来は無かった、だが少なからず貴族の中にも国を憂いて立ち上がる者がいた。
◇ ◇ ◇ ◇
「はぁ、これでは民が干上がってしまう……」
アルグレーム伯爵は頭を抱えていた。
税がどんどん上がっていく、自領は何とか民の負担が掛からない様工夫を凝らしていたがそれにも限界があった。
「アストリカ様はいったいどうなされたのか……」
アストリカは増税政策の反対派で、民の声を聞き寄り添っていた。
だが人が変わってしまった様に、今はむしろ増税を後押ししていた。
解決策を考えているとコンコンと扉のノック音が聞こえてくる。
「入れ」
「アルグレーム様、皇宮からお手紙が届きました」
執事は手紙をアルグレームに渡すと一礼して退室する。
手紙を開くとそこには移住税を作るというお触れが書いてあった。
「ふざけるなっ!!」
アルグレームも流石に堪忍袋の尾が切れた、いくらなんでもやりすぎだと。
信頼できる者を集めて皇宮へ行き抗議する算段を立てる、そして何通かの手紙を書き執事に渡した。
「おとーさま、おしごとたいへんかなぁ?」
「たいへんかなぁ?」
扉の前で子供達の声が聞こえ、アルグレームのささくれた心が癒される。
「こら!お父様は今忙しいんだからあっちで遊ぶわよ」
「あぁ、私は大丈夫だよリベイア」
「お父様ごめんなさい、子供達がお父様に構って欲しいって言うもので」
「かまわないさ!さてケビン、ミリア何して遊ぼうか?」
「おままごと!」
「えー、僕は騎士ごっこがいい!!」
「ははは、なら両方やるか!」
「わーい!!」
妻を早くに亡くしてから長女のリベイアが母親代わりに子供達の相手をしてくれていた、この子達の為にもより良い未来を作らなければとアルグレームは決意を更に堅める。




