53.聖女
里奈は放心して佇む聖夜を心配する。
誰かが聖夜を支えてあげなければならない、里奈は少年に授かったスキルを思い出した。
『黄泉がえり、死んだ人の身体に乗り移れる……』
死んだ美女を見る、胸も大きくスタイル抜群で艶やかな金の髪そして絵画のモデルの様な整った顔立ち……里奈が欲しかった物を全て持っていた。
迷いなど無かった、里奈は美女に乗り移る。
【アストリカ】
レベル.62
種族 ヒューマン
職業 聖女
称号 天に愛された者
【神聖魔法】
【ステータス】
筋力.1212
魔力.6221
知力.6510
技力.3742
防御.1466
俊敏.2719
【ジョブスキル】
・聖女の祈り
・侵されぬ聖域
【アナザースキル】
・詠唱破棄 ・煌めきの讃歌 ・魔力重複
アストリカの今までの記憶が引き継がれる。
アストリカはミスラウェル聖皇国の秘宝と言われている。
孤児だったが類い稀なる才能と、人を惹きつけてやまない容姿そして慈愛の心、民に愛される聖女だった。
月に1度エスミルデウス神を最初に祀ったとされる"始まりの教会"へと祈りを捧げに来ている、そこに偶然にも聖夜がやって来た。
記憶を受け継いだ里奈は全てを理解する。
そして立ち上がり、聖夜の元へと駆け寄る。
「聖夜、私よ、井上里奈よ。」
聖夜の警戒は続く、里奈はRe.Cielの事や聖夜との出会い体の黒子の位置まで事細かく話した。
「ほ、本当に里奈なのか!?」
「本当よ聖夜!会えて良かった!」
聖夜は泣き出す、里奈は聖夜を抱きしめた。
聖夜が落ち着きを取り戻した後、今後どうするかを相談する。
「ミスラウェル聖皇国に聖夜を連れて行くわ」
「でも兵はどうするんだよ?」
「賊に侵入され皆死んでしまったけど、ギリギリの所で勇者の聖夜が助けてくれて生き延びた設定で行こうと思うけど、どう思う?」
「辻褄は合っているしそれで行けるかもな!」
「じゃあ早速出発よ」
アストリカと聖夜は教会を出る。
そして決意する……
(聖夜は私が幸せにする……)
2時間程歩いてミスラウェル皇国に着く。
修道服に血がついたアストリカを見て門番が慌て出す。
「アストリカ様!!どうなさいました!?」
「賊に侵入されまして、このお方セイヤ様のお力により私だけ助かりました……」
「本当ですか!?すぐに報告して参りますのでお待ちください!!」
門番は慌てて走り出す。
暫くすると騎士の格好をした男達が来た。
「あなたがアストリカ様を助けて頂いた方ですか?」
「……そうだけど」
騎士は怪しむそぶりを隠さない。
「セイヤ様に失礼ですよ、ゼルヴィン」
「失礼しました、念のため少し調べさせていただきます、この水晶に手を置いてください」
セイヤは言われるがままに手を置く。
すると水晶にスキルやステータスが浮かぶ。
「本当に勇者……大変申し訳ございませんでした、ご無礼をお許しください」
騎士は聖夜に向けて跪いた。
「あぁ、俺は大丈夫だから」
「ありがとうございます、今日はお疲れでしょう報告などもありますので、明日皇宮まで来てはいただけませんか?」
「わかった」
「では明日またお迎えにあがります、今日は私が手配しますので近くの宿へとお泊りください」
「んじゃ、よろしく」
アストリカとセイヤは一旦別れ、騎士の案内で宿へと向かう。
宿は高級ホテル並みに立派で、その中でもスウィートルームの部屋を予約してあった、もちろん金は聖皇国持ちだ。
「はぁー、どうなる事かと思ったけどこんな部屋に泊まれたし結果オーライだな」
聖夜は高級料理に舌鼓を打つ。
腹は膨れると次は世話係の若い女達に、マッサージを受けながら風呂へ入りくつろぐ。
まるで王様になった気分だった。
(……疲れたし寝よ)
風呂へ上がると、世話係の女を1人残し性処理させてからベッドに横たわる、そして眠りに着いた。
聖夜と里奈がやって来た事により、今日この日からミスラウェル皇国の破滅の道は加速していく……。




