表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/252

52.聖夜の力

「え?ドッキリは?」


『ここはどこかしら?』


聖夜と里奈は草原に居た、心地よい風と緑の香りが鼻腔をくすぐる、これがもし旅行先での出来事ならどれだけ感動できた事か。

光景を楽しむ余裕すらなく2人はただ呆然としていた。



「……とりあえず、歩くか」


『あ!聖夜待って!』


聖夜はドッキリの領域を超えた出来事に、これは現実なのだと思い知らせる、ボケっとしてても時間を浪費するだけだと思い周囲を散策する事に決めた。

声が届かない里奈は慌てて聖夜の後を追う。


歩き続けても景色は変わらなかった。

暫く歩くと軽トラサイズの牛の様な動物と遭遇する。



「何だあれ?」


日本では見た事も聞いた事もない生き物だった。

遠くで眺めていると、聖夜の存在に気づいた牛もどきは鼻息を荒くして猛スピードで迫って来る。



「……え?何だよ?こっち来んな!!」


『逃げて!聖夜!』


里奈に言われるまでもなく、聖夜は走り出した、里奈も後を追いかける。

だが牛もどきのスピードの方が速く、徐々に距離を詰められていった。

あんなのに体当たりされたら骨折程度では済まないだろうと思い、聖夜は打開策を考えるが良案は浮かばない、障害物一つすら無いのだ、隠れる事もできなかった。



(……ちくしょう、なんで俺がこんな目に……何がエクスカリバーだ!!)


心の中で理不尽を嘆く、すると光が集結し走る聖夜の手に神秘的な剣が握られた。

驚きも束の間、万能感が聖夜を包み込む。



「やってやらぁ!!」


逃げるのをやめ聖夜は牛もどきに立ち向かう。

突っ込んでくる牛もどきの頭に、エクスカリバーを叩き込んだ。



ーーブモォォ!!



まるでバターにナイフを入れる感触だ、牛もどきは真っ二つに裂かれ絶命した。



『すごい聖夜!!』


里奈は聖夜の周りを飛び回る、前世でもそうだが綺麗な顔立ちなのに、時折見せる男らしさが里奈の心を掴んで離さなかった。



「やったぞ!!……てことは、英雄の白銀鎧も出るのか?」


案の定、白く荘厳な鎧が装備される、かっけぇ!と言いながら聖夜は子供の様にはしゃいだ。

それからというもの、牛もどきや虎もどきなどの動物に出くわしては襲われ、その都度斬り伏せていく。


だが、一向に人の気配は無い、聖夜は焦燥感に駆られる。



(腹減った……)


水、食料が無かった、空腹で牛もどきを見て涎を垂らしそうになるが、生で食べられる訳ないし、そもそも食べられるのかもわからなかった。


不安はどんどん肥大化していく、暫く歩くと遠くに人工的な何かがあるのを見つけた。

聖夜はそれに向けて走り出す、近づくにつれ全貌が見えてくる、それは教会の様な建物だった。



「やった!!人がいるかもしれない!!」


教会にたどり着き、扉を開ける。

中には鎧を着た兵士が30人はいるだろうか、そして教壇の上には祈りを捧げる美女が居た。



「貴様!!何者だ!?」


賊の侵入を警戒して、剣を抜き兵士は聖夜に近づいてくる。



「え?何で?」


殺されるかもしれない……魔物との戦闘が続き精神が不安定になっていたのが仇になったのか、錯乱した聖夜は向かって来る兵士を斬り殺してしまった。

殺された仲間を見て、残りの兵士達は一斉に剣を抜いた。



「やはり賊か!かかれぇ!!」


『聖夜!!』


里奈は聖夜を庇う様に前へとでるが、兵士達にも光の球体と化した里奈が見えていなかった。

迫り来る兵達に恐怖し聖夜はひたすらエクスカリバーを振るった。


次々と倒れる兵士達、エクスカリバーの力はそこらの兵士じゃ太刀打ちできなかった様だ。

壇上に祈りを捧げていた美女も戦いに参戦する、神聖魔法ホーリーレイを放つが聖夜は倒れなかった。



「クソがぁぁ!!


何かが当たり一瞬驚くが体に異常は無い、だが他にも遠距離攻撃を持っているかもしれない。

殺される前に殺すと言うが如く、激昂した聖夜は美女に向かってエクスカリバーを振り上げ走り出す。


聖女はホーリーレイを放ち続けるがダメージは無かった、そもそもエクスカリバーと英雄の白銀鎧は神聖な武器と防具だ、そしてそれを装備した聖夜は神聖な人、つまり聖人になる。

神聖魔法ホーリーレイは悪しき者を滅殺する魔法、聖人と化した聖夜にはダメージなど入るはずがなかった。



ーーブシャーー



美女は聖夜が振るうエクスカリバーに袈裟斬りにされ血を流し倒れる。

全てが終わり屍に囲まれた聖夜は放心していた。



「……やっちまった」


正当防衛とはいえ多くの人を殺めてしまった事を理解し項垂れる。


少しすると死んだはずの美女が立ち上がる。

傷は何事もなかったかの様に消え、まだ血濡れている修道服など気にせず聖夜の元に駆け寄って来る。

聖夜は驚きエクスカリバーを構えた、美女は優しい目をしながら言う。



「聖夜、私よ、井上里奈よ。」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ