44.別れ
[ムゲンを従者にしますか?]
どうやら終わった様だ、とりあえずYESと答えて意識が飛ぶ前に慌ててアイテムボックスから残しておいたエリクサーを出す。
全て飲み干すと傷がみるみる回復していく、失明していた右目は光を取り戻し、右腕の切断面からは発光しながらニョキニョキと新しい手が再生される。
流れた血も全て体内で生成され、戦闘前と変わらない状態になった。
そして脳内にレベルアップのファンファーレが響いた。
【下剋上】のおかげでレベル27から一気にレベル40になる。
[アナザースキル【シンクロ】は【超シンクロ】へと進化、続けて【瘴気耐性】【覇気】を獲得しました]
[従者ライムは【ヒュージスライム】から【ヒールスライム】へと進化しました」
[従者ライムは【回復魔法:ヒール】を獲得しました]
[従者ルージュは【ゴブリンアサシン】から【ゴブリンアサシンエリート】へと進化しました]
[従者ルージュのスキル【トップスピード】は【アクセルタイム】へと進化、続けてスキル【エリアサーチ】を獲得しました]
[従者デストは【ホーンコング】から【デストロイコング】へと進化しました]
[従者デストのスキル【剛力】は【金剛力】へと進化、続けてスキル【アーマーブレイク】を獲得しました]
[従者シルヴィアは【メタルナー】から【レアメタルナー】へと進化しました]
[従者シルヴィアのスキル【フルメタル】は【フルスティール】へと進化、続けてスキル【形状記憶】を獲得しました]
(……皆かなり成長した様だムゲンを倒した甲斐がある、ステータスは落ち着いたらチェックしよう)
切断された腕からアズールの宝剣を回収し、アキラは皆の元へ歩き出す。
戦いを見ていた人々は固まって動かない。
そして全てが終わった事を理解すると……
ーーうわぁぁぁぁ!!
ーーやった!!やったぞぉぉ!!
ーー助かったんだ……ありがとう。
ーーうぇぇぇん、帰れるよぉ。
大歓声が響く、泣く者、肩を抱き合う者、まだ放心している者、様々な反応だ、だが皆1つだけ共通している事はアキラに唯ならぬ感謝をしている事だった。
ーーアキラ(さん)!!
リノア、ルル、アイリス、イヴがアキラの元へ駆け寄って来る。
「心配させないでよ!!もう!!」
リノアはアキラの胸に顔を押し付ける。
「アキラさん、ありがとうございます……」
ルルはアキラの左手を握り目を潤ませる。
「アキラさん……生きてて良かった……」
アイリスは背中からアキラを抱きしめる。
「アキラ……流石だな」
涙が止まらないイヴの頭を、アキラは右手で慰める様にポンポンと軽く叩く。
結界が消えフェルメール伯爵の私軍が学園内に雪崩れ込む。
状況確認と負傷者の救出だ、救護隊が体育館内へ入る、中には300人以上の人が居た、そして救護隊は驚愕する皆適切な処置をされなんと死者は驚異の0人だった事に。
「ふぇふぇふぇ、そちらも終わった様じゃのぉ」
ミネルヴァがアキラの元へやって来る。
「はい、なんとか終わりました」
「ちと話すことがある、ワシと一緒に来てくれ」
「行って来るよ、皆は家族が心配してるだろうから顔を見せて安心させてあげろ」
リノア、ルル、アイリス、イヴは頷き家族の元へ向かって行く、アキラはミネルヴァと一緒に学園長室へと歩き出す。
学園長室へ着き、お互いイスに座る。
「先ずはありがとうアキラ、お主が居なければ恐らく学園内の教師、生徒は全員死んでたじゃろ」
「無事で良かったです」
「調査や建物の修理で暫くアルフィリオ学園は休校になるじゃろ、低く見積もっても半年くらいかのぉ」
「そうですか、ミネルヴァ学園長もこれから忙しくなりそうですね、そういえば黒幕はどうなりましたか?」
「それがのぉ……」
ミネルヴァは少年の事を詳細に話した。
話の中で僕と同じという事がアキラの中で引っかかった。
(……俺と同じ転生者なのか?)
「かなりの強さじゃった、正直あのまま戦ってもワシらに勝ち目は無かったのぉ」
「それ程の強さですか……」
アキラは恐らく自分も逆立ちしても勝てないだろうと思った。
「それ程の強さじゃ、それよりやはりお主はここを出てくのかえ?」
「はい……そのつもりです、また気ままな旅を楽しみますよ」
「そうかえ、お主が旅立つのを非常に悲しむ者が4人浮かび上がるのじゃがそれでも行くのか?」
「リノア、ルル、アイリス、イヴと別れるのは俺も辛いです、ただ今生の別れでは無いのでまた会えますよ」
「……わかった、ワシに引き留める権利もないしのぉ、速やかに手続きを済ませる、お主も準備もあるじゃろういつ頃出るつもりじゃ?」
「2日後にはここを出ます」
「わかった、お主に会いたいと言う輩も出て来るじゃろ、ワシが受け流しておくわい、ただあの4人にはしっかり話してあげてはくれぬか?このまま行かせたらワシの良心が痛むからのぉ」
「わかりました、今までありがとうございました」
「またいつでも顔を出すがよい、ワシらは歓迎するぞ」
アキラは学園長室を退室した。
そしてあっという間に2日後になる。
リノア、ルル、アイリス、イヴにラクーリアを出て行く事を説明したが、4人は放心した後怒りそしていたたまれなくなり、アキラの元から逃げる様に去ってしまった。
それから1度も顔を見ていない。
(……やっぱり怒られちゃったな)
アキラは苦笑いを浮かべながら学園都市ラクーリアから外へ出る門に近づく。
すると門の前にはリノア、ルル、アイリス、イヴが居た。
「……見送りに来てくれるとは思わなかったよ」
「本当は殴ってでも引き留めたいけど絶対後悔するから」
「リノアは最後までリノアだな」
「アキラさん!また会えますよね?」
「あぁ、絶対会えるよ、ルル」
「アキラさん……」
「アイリス、泣くな、また会えるさ」
「アキラ!私はもっと強くなる!」
「イヴならもっと強くなれるさ、何せ神童だからな」
感情が溢れ涙が止まらなくなる。
皆好きだと告白しなかった、告白した所でアキラの心の足枷にしかならないそれに自分達はまだ学生の身だ、未熟なままでついて行く事もできるはずがない。
そして4人はアキラが来なくても一人前になったら、こっちから会いに行ってやると決意する。
「じゃあ、皆元気でな!!」
そう言うとアキラは振り返らず、学園都市ラクーリアを出て新たな新地へと歩み出した。




