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39.決意

「いやぁぁ来ないでぇぇ!!」


蹲った女生徒が今まさにポイズングールの毒牙に罹ろうとしている。

目を瞑りこの後我が身に起こる悲惨な出来事に震えていた、だが一向に攻撃は来なかった。

薄らと目を開ける女生徒……


「え?何これ?」


目に飛び込んできた光景には、溶けて倒れたポイズングールと小さなスライム3匹が居た。



◇ ◇ ◇ ◇



その頃リノアは放送室に向かって走り続けていた。

分裂体のライムと協力しながら火魔法で、襲いかかって来る魔物達をねじ伏せて行く。



「もうすぐ放送室よ!」


廊下を曲がり階段へ昇る、そして放送室への扉の前に着く。

中へ入り急いで電源を入れ放送を始めた。



ーーピンポンパンポンーー



ーーみんな聞いて!!小さいスライムは仲間だから攻撃しないで!!そのスライムが誘導と護衛をするから、速やかに体育館へ避難して!!繰り返します!!スライムは攻撃しないで!!速やかに体育館へ避難して!!ーー



ーーピンポンパンポンーー



リノアは放送を終え急いで体育館へ戻る。



◇ ◇ ◇ ◇



続々と体育館へ人が雪崩れ込む、ミニライム達は協力して重症者を応急処置をしながら運んでいた。

中に入り傷や毒を負った生徒達は順に保健室からありったけの回復薬を持ってきた先生や、ミニスライム達が治療していく、そこに落ち着きを取り戻した戦えない生徒達も手伝いに加わって行った。




「みんな押さないでください!!ゆっくり中へ入ってください!!」


ルルは声を枯らしながらも懸命に仕事を果たしている。



「ルルちゃん、アイリスちゃん!!無事ね!?」


「サリー先生!体育館へ籠城しながら魔物達と戦っています!戦える人達は戦闘へ参加してください!」


アイリスは状況の説明を簡潔に話す。



「わかったわ!!任せてちょうだい!!う゛ォォォォ!!」


サリー先生は詠唱しながら魔物の元へと走り出していった。



「フレイムランス!!」


イヴは炎の槍をアーマーゾンビに突き刺さす。

学園の教師、剣を持ってきていた騎士学園の生徒、2、3年生の実戦経験のある他校と学園内の女生徒達、多くの人達が戦闘へ参加する。



「キリがない……」


どれだけの数がまだ居るのだろうか、避難して来る生徒達を追って続々とアンデット集団がやって来る。

魔力も無限では無いいつか底が着く、それまでにこの戦いが終わる事を祈る。

皆額に汗を垂れ流し険しい顔をしながら戦っていた。



「ここに来て、スケルトンナイト……」


サリー先生は思わず呟く。


スケルトンソルジャーの上位個体スケルトンナイトが、アンデットの群れに数多く混ざってやって来たからだ、Bランクの冒険者でも手こずる強さだ。

それがこのギリギリの戦いに加われば、拮抗していたバランスが崩れると容易に考えられる、皆の心を折るには充分な出来事だった。



「……皆!挫けるな!」


イヴは皆を鼓舞しながら魔法を放ち続ける。

キーラに防衛を任され期待に応えたかった、本当は自分も泣きたくて逃げ出したいのを押し殺して。



◇ ◇ ◇ ◇



その頃キーラはありとあらゆるアンデットを斬り捨てながら進んでいた。



「早く行け!!」


隠れていた女生徒が出てくる、ミニライムを連れ女生徒は慌てて体育館へと走り出す。


背後から迫るヘルズウルフが魔法で吹き飛ばされる、振り返るとそこには学園長のミネルヴァが居た。



「ふぇふぇふぇ、助太刀は必要なかったようじゃの」


「……学園長、何故ここに?」


「お主に頼みがある、キーラ……いや、アキラよ」


「な!?」


正体がバレていた事にキーラは驚愕した。



「入学当初からわかっておったわい、変化のペンダントじゃろ?ワシもそれを使っていた時期があったからのぉ」


「ははは」


バレていた事に乾いた笑い声しか出ない。



「エルームを問い詰めたら全て吐きおったよ、そしてアキラを調べた、とんでもない力を持っておる事も知っておる、その上で頼みたい事がある」


「……頼みたい事と言うのは?」


「この騒動を起こした黒幕がおる、学園を覆う結界魔法が証拠じゃよ、ワシはこの結界に穴を開ける、強固な結界じゃ数秒しか穴は持たん、ワシは黒幕を見つけ出し術を潰す、お主はそれまで生徒達を守ってくれぬか?」


キーラは沈黙した。



「わかっておる、この騒動が終われば活躍したお主の存在は調べられるじゃろう、そうなればお主は男じゃ、この学園に居られなくなる、それに自由気ままに生きたいとも言ってたのぉ、王都から国に仕えぬかと言う勧誘もひっきりなしに来るじゃろ、それを承知で頼むこの通りじゃ」


ミネルヴァは頭を下げた。



「……俺の気持ちは既に決まってましたよ、もちろんお引き受けします、皆の命には代えられない」


「ありがとう、お主は自主退学として扱う、正体が発覚する前に直ぐに退学の手続きが済む様にワシも尽力するわい」


「ご協力感謝します」


キーラは頭を下げた、ミネルヴァはそんなキーラを見て微笑む。



「では頼むぞ」


そう言うとミネルヴァは去って行った。



(リノア、ルル、アイリス、イヴ……俺が急に居なくなる事がわかったら怒るかな……)



キーラは変化のペンダントを取りアキラに戻る。


修羅場を超えてきた顔立ちに、アズールの宝剣を持ちプレートアーマーを装備したアキラの姿は、まるで語り継がれる救国の英雄ロイズその者だった。












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