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38.鳥籠

劇は成功と言えるのかは解らないが、評価は上々だ。

キーラは制服に着替えず劇の衣装を着たまま控室で待機していた、外にはキーラ目当ての出待ちの生徒達がたくさんいるからだ、これを無視するほど白状ではない。

そろそろ行くかと言いながら腰を上げる。



ーーキャァァァァァァ!!カッコいい!!



手を振りながら体育館の周りを練り歩く、女生徒の黄色い声が鳴り響く、女生徒の中にはイヴの姿も見えた。

夕暮れに差し掛かり1日目の文化祭は終わりに近づき、多くの人で賑わっていた学園も人が少なくなっていく。



◇ ◇ ◇ ◇




キーラがファンサービスをしている頃、とある騎士学園の男子生徒が和気藹々と喋りながら校門へ向かっていた。



「いやぁ!楽しかったな文化祭!」


「あぁ!1年生の可愛い子とお近づきになれたしなぁ」


「おまっ!いつの間にずるいぞ!」


「ばーか!こういうのはやったもん勝ちだよ!」


そう言いながら男子生徒の1人は、親友の頭を叩き走って校門の外へ出る。



「おま!ちょっと待ってよ!……痛ッ!」


頭を叩かれた男子生徒がやり返そうと追いかけて来る、だが急に尻もちをついて転んでしまう、急に転んだ親友に対し何やってんだよと思いながら、また学園に入ろうとするが……



ーーコツッ



「え?何これ?」


見えない壁の様な物に阻まれて学園内に入れなかった、そして顔を青ざめさせる。



「痛ぇ……なんなんだ」


強く打った鼻を抑えて立ち上がる、校門の外で慌てて何かを伝えてる様なジェスチャーをしていた。



「パントマイムかよ、まだ俺を揶揄ってんのか?」



ーー後ろ!!逃げろ!!ーー



そんな思いをしているとはつゆ知らず、校門の外へ出た男子生徒は声を張り上げる、だがどれだけ叫んでも声は届いていない、涙目で見えない壁を叩きながら危険を伝える……



ーーやめろぉォォォォーー



ーーズシャーー



親友は背後から近づく剣を持ったスケルトンに、撫で切りにされ血を撒き散らしながら倒れた。



◇ ◇ ◇ ◇



ーーキャァァァァァァ!!ーー


ーーうわぁぁぁぁ!!ーー



続々と学園内に悲鳴が響き渡る。

体育館周辺にも、それらは地面から湧き出る様に現れた。



「え?魔物?」


その場にいる全員が驚き固まる、少しの静寂の後その場にいる多くの生徒はパニックになった。

スケルトンソルジャー、ポイズングール、ヘルズウルフ、アーマーゾンビなど数多のアンデッドが続々と湧き出る。



どうしたの?と言いながらリノア、ルル、アイリスが体育館から外に出て来る、そしてその地獄絵図を目の当たりにした。

驚き固まる3人、自分達は白昼夢を見ているんじゃないかと錯覚する程に。



「皆!!体育館の中へ逃げろ!!」


すかさずキーラは皆に体育館へ非難する様促す、散り散りになったら守る物も守れない、体育館に籠城する作戦を取った。



「キーラ!!何よこれ!?」


「キーラさん大丈夫ですか!?」


「ほんと何がどうなってるのよ……」


体育館へ雪崩れ込む人混みに逆らって我に帰った、リノア、ルル、アイリスはキーラの元にたどり着いた、少し遅れてイヴもやって来る。



「キーラ!体育館に皆非難したぞ!」


キーラは4人の無事に安堵しながらも指示を出す。



「いいか皆よく聞いてくれ、まずリノアは分裂したライムを護衛につけるから放送室へ向かってくれ、先ずは安全の確保だ、ライムのスキル【増殖】で怪我人や魔物から隠れて動けない人達をライムに体育館内へ誘導させる、その際混乱が起きない様、学園内放送でスライムは味方だという事と全員体育館へ避難する様に伝えてくれ」


「わかった!!」


「ルルとアイリスは避難してきた人達の誘導だ、必ず我先にと人が中へ入ろうと押し寄せる、慌てず落ち着かせる様皆を纏めてくれ、そして先生達へ体育館に籠城する説明も頼む」


「わかりました!」


「任せて!」


「イヴは体育館へやって来る魔物達を倒してくれ、先生方や戦力になる生徒も続々とやってくるだろうから皆で協力してくれ」


「承知した!キーラはどうするんだ?」


「俺は少しでも皆が避難しやすい様に、片っ端から魔物を倒して来る」


キーラはアズールの宝剣を出す。



「ライム!来い!」


続けて魔法陣が出現しライムが召喚される。



「な!これは!?」


イヴは驚き目を丸くさせた。



「皆行くぞ!!」


ライムは分裂の後、本体は増殖してミニライムが続々と作られる、分裂した方はリノアと共に放送室へ向かった。

ルルとアイリスは体育館の入り口で待機する。


イヴはキーラが突然魔物を出現させた事を思わず問いただしてしまう。



「……キーラ、君は何者なんだ?」


「ごめん、時間を無駄にできない……全てが終わったら説明するよ」


イヴはキーラの真剣な表情を見てこれ以上何も言わず頷いた。

そしてキーラは走りこの場を去る。



(……今は自分のやるべき事に集中しよう)



そう思いながらイヴは魔法の詠唱を始めた。
















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