31.土下座
「すみませんでしたぁ!!!!」
着替えを終えると、アキラはその場で土下座する。
ルージュ、デスト、シルヴィアはやれやれと言った感じで、アキラを見守っている。
ライムはお馬さんごっこと勘違いしたのか、アキラの背中の上でキャッキャと跳ねていた。
腕組みをしたリノアはドスの効いた声で言う。
「とりあえず話は聞くわ」
「……はい、俺の本当の名前はアキラと言います……」
アキラはこれまでの経緯を話した、その光景は被告人への聴取の様だった。
「ふーん、そう言う事ね」
「………はい」
皆がどういう顔をしてるのか見るのが怖すぎて、アキラは顔を上げれなかった。
「……お風呂で私達の裸見たよね?」
余罪が増えたアキラの額から冷や汗が滴る。
「……み、見ました」
「しかも触ったよね?」
また余罪が増えた。
「…………さわりました」
ルルとアイリスはその光景を思い出したのか顔が赤い。
深く反省しているアキラは余罪が増える事に更に額を地面にめり込ませた、ライムは相変わらず背中の上でキャッキャしている。
「あの……」
ルルが会話に入りこむ。
「お風呂に連れてったのは私達ですし……」
「そうねぇ、それに私達結構強引に連れて行ったわ」
アイリスもルルに便乗する。
「ルルとアイリスはコイツの味方するの?」
「味方といいますか、アキラさんが居なかったら私達死んでましたし……」
「学園の誰にも正体が発覚したくなかったのにも関わらず、私達を見捨てなかった、自分だけ逃げ切れて命が助かったとでも報告すれば良いだけだったのにね」
「……むっ、それは確かにそうだわ」
アキラは顔を上げる、それは捨てられた子犬の様な目をしていた。
「それにアキラさんこれまで学園で悪さもしてないです」
「うーん」
リノアは考え込む。
アキラは判決を土下座しながら待つ。
「私達を騙していたのは許せないけど、助けてもらったのもあるし、しょうがないからビンタ1発ずつで許してあげるわ」
「……わかりました!」
アキラは甘んじて受け入れた。
お馬さんごっこが終わりライムは何処か物憂げだった。
ーーバチンッーーバチンッーーバチンッーー
アキラの頬は赤く腫れる。
「これでチャラよ」
スッキリしたのかリノアは満面の笑みを浮かべた。
「明日学園長に正直に話そうと思う」
残念だがそうするしかないと考え顔が俯く。
「それはしなくていいわ、私達も黙っといてあげる」
「え?」
驚きながら顔を上げる。
「そのかわり悪さしたら牢獄送りだからね!」
リノア、ルル、アイリスはアキラを見て微笑んでいた。
「……本当にありがとう」
アキラは皆の優しさに目頭が熱くなった。
「そういえば魔物よねそれ?」
「私も気になってました、襲って来ないですか……?」
「今更だけど少し怖いわ」
リノア達は少し後ずさる。
「あぁ大丈夫だよ、ジョブスキル【大帝】で俺の従者になった」
アキラはリノア達にはこれ以上嘘をつかないと決め正直に話した。
「あんたジョブスキル持ってるの!?」
「持ってる人初めて見ました!」
「正直1番これが驚きだわ」
リノア達は目を丸くさせる。
「名前はライム、ルージュ、デストにシルヴィア」
アキラは順に紹介して行く。
「皆すごい強かったですよね!」
「えぇ、正直学園の生徒が束になっても倒せないと思うわ」
アキラは仲間を褒められ嬉しさが込み上げた。
朝日が昇り始めた頃アイリスは提案する。
「そろそろ学園に戻って報告しないと」
「わかった、帰ろうか」
アキラは全員分の荷物とペンダントを回収しに旅館へ戻る。
アキラの姿が見えなくなると、皆唐突に話し出す。
「アキラさん、カッコよかったですね」
「そうね、なんて言うか男らしかった」
「……まぁ、それは否定しないわ」
3人の心にアキラという存在が刻まれる。
少しするとアキラはキーラになって戻って来る。
「お待たせ!」
リノア達の着替えが終わり眠たい目を擦りながらも、学園へと向かう為歩き出した。
後日、国の調査隊が入りマニピュレイト・パラサイトの存在が発覚、国家未曽有の危機を防いだキーラ達は表彰された。




