28.我が生涯に一片の悔いなし。
モテ期が来た。
ローグルカ女学園との対抗試合のせいか、下駄箱には手紙がどっさり、すれ違う女生徒は振り向き様にキャーっと黄色い声を上げる、キーラはげっそりしていた。
「いつ終わるんだこれ……」
「まぁ、あんな事すればこうなるわよ、自業自得ね」
リノアはキーラの肩を軽く叩いて哀れんだ。
「まるで王子様みたいでしたし」
「女の子はああいうのに弱いのよ、私もうっとりしちゃったわ」
ルルとアイリスは試合を思い出しては、頬が緩んでいた。
「……実は、イヴから手紙がめっちゃ来るんだよね」
「あんたに惚れたんじゃない?」
(いや、俺今女の子だし)
「女だよ?流石にそれは……」
「あら、同姓同士で好きになる事はよくある事よ、実際にこの学園でも女の子同士で付き合ってる人はいるわよ」
「禁断の愛ってやつですね!」
キーラ達は、ガールズトークに華を咲かせていた。
放課後に修練場へ行き、魔法の研究をするのがキーラの日課だ。
今日もいつもの様にトレーニングを終え寮へ戻る。
「ふぅ、疲れた、汗もかいたしシャワー浴びてゆっくりしよ」
シャワーの蛇口を捻る。
「あれ?おかしな」
いくら捻ってもお湯が出ない、どうやら故障した様だ。
シャワー室から出ると再び服を着直して、設備員の人に修理をお願いしに行った。
(今日はシャワー浴びずに、このままでいいか)
そんな事を考えながらキーラは寮へ向かう。
「あら、キーラじゃない?」
「どうしたんですか?」
「この時間にここにいるのは珍しいわね?」
寮へ戻る途中にリノア、ルル、アイリスに出くわした。
「あぁ、シャワー壊れちゃってその報告に」
「あんた今日どうすの?」
「……今日はこのまま寝ようかなと」
「結構汗臭いわよ!」
「最近暑くなってきましたしね!」
「女の子なんだから綺麗にしなきゃダメよ」
「えー、そんな事言われても」
「私達今からお風呂に行くから、あんたも一緒に来なさい!」
「え?まじで?」
半ば強引にキーラは大浴場へ連れてかれる。
(ヤバいヤバいヤバいヤバい)
キーラは今まで大浴場を使用した事がない、男だとバレてないとはいえ良心が許さなかった。
大浴場へ着き脱衣所の扉を開ける。
(ぐぉぉぉぉぉぉぉ!!)
下着姿のあられも無い女生徒、中には風呂から上がってきたばかりの火照った裸の女生徒もちらほら見えた。
(ヤバい!膨らむ!何処とは言わないけど膨らむ!あ、俺、今付いてなかったわ)
キーラは混乱していた、自分の裸は最初は戸惑ったものの流石に見るのも触るのも慣れたが、他人のはそうもいかなかった。
しばらくフリーズしているとリノアに声をかけられる。
「早く脱ぎなさいよ、行くわよ?」
「ぐぉぉぉぉぉ!!」
反射的に振り向いてしまったキーラの目に飛び込んできたのは、裸のリノア、ルル、アイリスだった。
3人共張りのある柔肌、リノア、ルルの発育途上の体、アイリスに至っては本当に14歳かよと思う程の豊満な胸。
「何男みたいな反応してるのよ!」
リノアのツッコミにキーラは一瞬目が泳ぐ。
「キーラさん先に行ってますね」
「先に体洗ってるわね」
リノア、ルル、アイリスは浴場へ去って行った。
(……親父、おふくろ、ほんと御免)
不可抗力だから仕方ないとキーラは開き直り、そして腹を括った。
服を脱いで浴場へ向かう。
そこは花園、いや、この世の楽園だった。
裸で戯れ合う女神(女生徒)達、キーラは目をひん剥き記憶を脳に焼き付ける。
「……男だとバレたら殺されるな俺」
「ん?男が何だって?」
「うひゃあぁぁぁぁッ!!」
女神(女生徒)達を凝視しすぎて、キーラは背後に居たリノアに気づかなかった。
「……いや、男側からしたらここは天国だなと……」
「こんな所に男がいたら、袋叩きにされて磔にして火炙りよ」
リノアはキーラの冗談に笑っている。
(ひぃぃぃぃいいぃ!!)
キーラは瞬時に股を守った。
「私とルルとアイリスは向こうにいるから、体洗って早く来なさいよね!」
そう言うと、リノアは去って行く。
おとなしくキーラは体を洗い、リノア達の元へ向かった。
湯船に浸かる。
「こっちよ!」
リノアは手を大きく振る。
「キーラさんやけに遅かったですね?」
「女の子の体に見惚れてたのかしら?」
アイリスの冗談にキーラはまた目を泳がせた、本当はバレてるのではないかと一瞬疑った。
だいぶ心も落ち着いてきた所で、周りがやけに騒がしい事に気がつく。
ーーあれ、キーラさんよね?
ーーああ!あの対抗試合の時の!
ーーすごいカッコよかったよね、私ファンになっちゃった!
ーー話しかけてこようかな……
1人が向かうと私もと大勢の女生徒達が集まって来る。
おしくらまんじゅうの様にキーラ達は潰される。
(ふぉぉぉおおお!!膨らむ!ナニがとは言わないけど膨らむ!!俺今付いてなかったわ!!)
左手はリノアの胸を触り、右手はルルのお尻を掴み、足はアイリスの股に挟まりながら顔は谷間に埋もれる。
「ちょっとキーラどこ触ってんのよ!!」
「きゃあっ!」
「あらあら、おませさんね」
しばらくしてリノアが周りの女生徒達を叱り、窮屈で幸福な時間は終わる。
「このお〜ぞらにーつばさ〜をひろげーとんで〜いきたーいーな〜」
悟りを開いた菩薩の顔をして、キーラは壊れていた。




