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27.魔法(物理)

「ふぇふぇふぇ、孫の伸びた鼻をへし折ってくれれば嬉しいんじゃけどねぇ」


ミネルヴァはキーラに期待していた、自分は特別だと勘違いをして、天狗になっている孫の目を覚まさせて欲しいと。


その頃キーラは控室に居た。



「あなたがキーラね?」


「はい、そうですけど?」


振り向くとそこには、プラチナブロンドのポニーテールが特徴的な女生徒が居た。


「私はイヴ、第四試合の選手よ、どれだけの実力があるのか楽しみにしてるわ」


「は、はい……」


「ふふ、つまらない戦いにならない様頑張りなさい」


そう言うとイヴは去っていく。



(何だったんだあれ?)


キーラはイヴの言動が唐突すぎて困惑していた。


そして第四試合が始まる。

キーラとイヴは向かい合い開始の合図を待つ。


「第四試合始め!」


初手、キーラは【氷球(アイスボール)】を放ちながら移動を開始した。


イヴは【火球(ファイアボール)】を放ち相殺、本来はフ【火球(ファイアボール)】等の防御魔法で防ぐのだが、同じ攻撃魔法で寸分違わず相殺するのは魔法のコントロール難度が高い、それだけでもイヴの実力は飛び抜けていた。


続け様にイヴはキーラに接近し、水が散弾の様に放たれる【水散球(アクアバレット)】を放つ、キーラは【氷槍(アイシクルランス)】で【水散球(ウォーターバレット)】を無力化した。



「やるわね!」


「それほどでも!イヴさんもすごいですね!」



すれ違い様に互いを讃えあう。


キーラは【氷槍(アイシクルランス)】を放つ、イヴは【土堅壁(アースウォール)】を発動し【氷槍(アイシクルランス)】を防ぐ、続け様に死角になっている土壁から【火球(ファイアボール)】を放ち、土壁ごと粉砕する。

土塊と【火球(ファイアボール)】がキーラを襲う、すぐさま【氷壁(アイスウォール)】を作り全てを相殺した、そしてお互いに距離を取る。


高いレベルの戦闘に、応援席からは観客の驚いた声が湧く。



「ふぅ、小手調べは終わりよ、本気で行くわ」


イヴは詠唱を始める、すると火、水、土の魔法が同時に現れた。

炎槍(フレアランス)】、【水打鞭(キャタラクト)】、【手岩縛(ロックハンド)】を放つ。



「3属性を同時詠唱だと!」


キーラは驚愕した、その高度な魔法技術に。


土の手がキーラを拘束しようと追いかける、回避先には水の鞭キャタラクトが待ち受けており、炎の槍フレイムランスが更に追い討ちをかけた。



「キーラ!!」


リノアは思わず立ち上がる。


観客席の女生徒の多くはこの後の悲惨な光景を思い描いて目を瞑る、誰が見ても逃げ場は無く確実に攻撃は当たると思ったからだ。



氷剣(アイシクルブレイド)



キーラを襲う筈だった、全ての魔法が消え去る。



「え?、一体何が起こったの!?」


勝利を確信していたイヴは声を上げた。

氷の剣を持ったキーラがイヴに向かって歩いてくる。



「なんて、人なの……」


イヴは驚愕した。


魔法とは体内で魔力を練り詠唱する事で、練り上げた魔力を切り離し初めて発動する。

魔力を武器の様に具現化し維持する事は、体内の魔力を練り続ける集中力、イメージした武器を具現化し続ける知力と魔力、体内の魔力の暴走を抑える精神力が多く必要とされるからだ。



「これができたのはここ最近だよ」


悔しさを堪えてイヴはあらゆる魔法を放ち続ける、だがことごとくキーラはそれを剣で切り裂き無効化した。


徐々に迫ってくるキーラにイヴは焦り出す。



「これで決めるわ!これが私の最大呪文よ!」


イヴは一際長い詠唱を始め、魔法を放った。



炎散雨(フレアレイン)!!」


人の頭程の火の玉が降り注ぐ高位火魔法だ、ベテランの魔道士でも使える人は少ない。



破滅する銀氷の世界(ダイアモンドダスト)!」



銀世界が広がる、地面からは氷柱が生え、降り注ぐ火の玉は一瞬にして凍りつき粉々に砕け、氷の結晶が舞う。


その場に居る誰もが目を奪われた、その美しき光景とそこに佇む貴公子の様なキーラに。



「ふぇふぇふぇ、とんだ色男だわい、爺さんを思い出すのぉ」


ミネルヴァは笑う。



「……キーラさん、カッコ良すぎます……」


「……えぇ、男性だったら好きになってたかもね」


ルルとアイリスほ頬を赤らめてキーラを見つめる。

いや、観客席にいる女生徒全員の目が蕩けていた。



「……すごい」


リノアは無意識に心の声を漏らす。


キーラは膝が崩れたイヴの前に立つと剣を首筋に当てる。



「これでチェックメイトだね」


キーラはイヴに向けてニカっと笑った。



「……氷の剣を出しながら高位魔法……私の負けだわ」


イヴは微笑んだ。



「そこまで!」


審判が試合終了を宣言する。



「立てるかい?」


「もう、体力の限界で……足が動かないわ」


「……じゃあ向こうまで送るよ」


「え?ちょっ……」



キーラはイヴをお姫様抱っこし選手先に向かって歩き出す、観客席からはキャーっと黄色声が響いた。

イヴは顔を赤くして俯いた、鼓動が激しく高鳴る。



(やっぱゲームクリアの最後はこれでしょ!)


この罪な男は亀のボスから姫を助ける配管工を思い浮かべていた。




























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