26.魔法合戦!
月日は流れる、キーラはリノア、ルル、アイリスと行動する事が多くなっていた。
アキラは趣味や仕事に没頭するタイプだ、魔法はそんなアキラを夢中にさせた。
スポンジの様な吸収力でみるみる上達していく。
「……これが、こうでー、これをこうすると、お!できた」
氷の槍を的に的中させる。
キーラは修練場で氷魔法の研究をしていた、毎日やる事で様々な魔法を扱える様にまでなっていた。
「あんたまだやってるの?」
リノアがやって来た。
「あぁ、もう少ししたら寮に戻るよ」
「ふーん、熱心ね、私も付き合うわ」
リノアは火魔法の【火鞭】を出す。
「もうすぐ対抗試合があるから、気合いが入るわね!」
他校の女生徒が来て、2年生の成績上位4名の女生徒達が魔法合戦をする。
そこには将来有望な学生を見に、宮廷魔術師や高等部の女生徒、学園長も観戦しに来る。
そして対抗試合まで残り1週間を切った所でメンバーが選ばれる。
「3組リノア、1組エルフィ、4組フリエ、3組キーラ、を対抗試合の選手とする」
教頭先生の発表に皆ざわめく。
「キーラ!足引っ張んじゃないわよ!」
「キーラさんすごいです!頑張ってください!」
「朝から晩まで誰よりも魔法を勉強していたわね、私とルルも応援に行くわね」
「あぁ、精一杯頑張るよ!」
選手発表が終わってもキーラの日常は変わらない、のめり込む様に魔法を勉強していた。
そして試合当日になる。
場所はアルフィリオ女学園の練習場だ、チラホラと観客が居る、値踏みする様な人達や、ローグルカの女生徒、各教師達、もちろんルルとアイリスの姿もあった。
選手達は向き合って整列する。
「これよりアルフィリオ女学園対ローグルカ女学園の対抗試合を開始する」
審判の宣言と共に第一試合の選手以外は選手席に戻った。
第一試合はエルフィvsカルラだった。
がんばれと応援席から声が響く、お互い配置につき審判の開始と共に試合が始まった。
杖を構えお互い魔法の詠唱を始める、詠唱が終わると魔法が放たれた。
「岩針!!」
「風切!!」
初手、カルラは地面を隆起させ針を出す魔法を唱えた、エルフィは風の刃で針を切る。
カルラは続けて石を飛ばす【岩散礫】を放つ、エルフィは突風を発生させる【風波】で【岩散礫】を相殺、それを読んでいたカルラは【岩縛】でエルフィを拘束する。
「そこまで!!」
審判が試合を止める、第一試合は黒星だった。
第二試合はリノアvsミルエだ。
試合が始まる。
「リノアさん!頑張ってくださーい!」
「怪我しないでね!」
応援席からルルとアイリスの声が聞こえ、リノアは手を振った。
初手、詠唱を開始し先に動き出したのはリノアだ。
杖から出る【火鞭】がミルエに迫る、ミルエも【火鞭】を発動させ炎のムチが絡み合い、場の温度を上昇させる。
「やるわね!これならどう!」
リノアは【火球】を放つ、ミルエは弾道を読み回避する。
「甘いわ!!」
外れた筈の【火球】は旋回してミルエに再度迫って来た。
高度な魔法に応援席が歓声に湧く。
思わぬ攻撃に、ミルエは炎の壁【炎壁】を出現させ【火球】を受け止めた。
だが、完全に気が逸れたミルエはリノアを見失う、炎の槍【炎槍】を詠唱し終えていたリノアは、ミルエに放ちミルエはダウンした。
審判が試合を止め、第二試合は白星に終わる。
「どんなもんよ!!」
選手先に戻ったリノアは皆とハイタッチをする。
三試合目はフリエvsロベルタだ。
「……あれフリエは?」
「そういえばトイレ行ったきり戻ってこないわね?」
そうこうしている内にフリエが涙を流しながら戻って来た。
どうしたか聞くとトイレから控室に戻る時、置いておいた愛用の杖が折られていた様だ。
ロベルタはニヤニヤしている。
「あいつ!許せないわ!」
リノアは立ち上がり怒りに任せて詠唱を始める。
「待て!リノア!」
キーラはリノアを止め審判に事情を話す、審判は本部に報告しどうするかの相談が始まる。
卑怯だの陰謀だの醜い争いが起こり始めようとしたその時
「ふぇふぇふぇ、キーラが2試合やるのはどうかね?」
ミネルヴァがやって来て提案する。
鶴の一声でミネルヴァの案が採用された。
「キーラ、負けるんじゃないわよ!」
「あぁ、わかってるよ」
リノアの闘志を託されキーラは舞台へ進む。
ロベルタはガムを噛みながらキーラを睨む。
「ちっ、めんどくさ、とっとと終わらしてやるわ」
お互い配置について審判が開始の宣言を開始した。
ロベルタは魔法を詠唱し始めた。
「氷球」
ーードサッ
ロベルタは泡を吹き倒れる。
会場が静寂に包まれた、試合開始5秒で終わったからだ。
キーラのスキル【思考加速】は知力を大幅に底上げする、それに加えて杖の代わりに、金貨1枚と銀貨6枚で購入したミスリル製のリングを媒介とし魔法を発動させることで、大幅に魔法詠唱の短縮に成功した。
小石ほどのアイスボールが顎にヒットしたロベルタは動かない。
「……そ、そこまで!」
戸惑いながらも審判は試合終了の宣言をした。
少しして会場がざわめき始める。
選手席に戻ると皆口を開けポカンとしていた。
「ま、まぁ、やるじゃない!でもまだまだね!」
強がりが混ざりつつも、リノアはキーラを労う。
「ふふ、ありがとう」
キーラはそんなリノアを見て和んだ。
「お婆さまの言った通りおもしろい人がいるわね」
第四試合を控えた選手は、さっきの試合を見て静かなる闘志を燃やす。
ミネルヴァの孫イヴは神童と呼ばれていた。
火、水、土の3つの属性を持ち、僅か14歳で高位の魔法も幾つか使える領域までいた。
同年代の生徒達ではレベルが低すぎて退屈していた、最早自分の足枷でしかないと思う様にまでなっている。
そんなイヴはキーラと言う好敵手を見つけ微笑んだ。
第四試合はまもなく始まる。




