幕間.罪と罰
(やっと……やっと……娘に会える)
ヴォルマー博士は装置の前で涙を流し、過去を思い出す。
◇ ◇ ◇ ◇
ーーおとーさん、私死んじゃうの?
ーー大丈夫!お父さんが必ず治してみせるさ!
私は研究に明け暮れた。
私の宝物、私の全てだった娘は、不治の病に10歳の頃かかり15歳でこの世を去った。
徐々に弱っていく娘を尻目に気持ちばかりが焦る、妻や他の研究員に当たり散らす毎日、気づけば私の周りには誰も居なかった。
だが、娘は救えなかった。
そして私は壊れた、娘にもう一度会いたい一心で禁忌に手を出す。
ーーー268人。
これは今までの私の罪の数。
私財を全て使い、孤児を引き取り、違法な奴隷を買い、傭兵を雇いそして騙し、唯一の親友でさえも人体実験で殺した。
私はある仮説を立てた、上位個体のゴーレムのコアを素体に埋め込み、研究で生み出した特殊な培養液で満たしたカプセルに閉じ込め、娘の遺伝子を生きたまま組み込む。
何度も、何度も、何度も、実験を繰り返した、私は諦めなかった。
もしあの世があるとすれば、私は地獄に行くだろう……だがそれでも構わない、娘に会えるなら。
◇ ◇ ◇ ◇
ーー269人目。
ようやく完全な適合者が現れた。
それは歴戦を戦い抜いた傭兵だった、強力な睡眠薬を食事に混ぜ、液体で満たされたカプセルの中で眠っている。
「25年かかった……全てはこの日の為に……」
装置のボタンを押す。
ーーシンクロ率、10%、30%、66%、90%、100%ーー
「やったぞ!!成功だ!!」
ーー101%、144%、emergency、emergency、異常発生、直ちに装置を停止してください、繰り返します直ちに装置を停止してください。
カプセル内の培養液が沸騰し始め、素体が暴れ出す。
「何故だ!!なぜ、なぜ……」
慌てて装置の緊急停止を押すが既に遅かった。
それはカプセルをこじ開け生まれ落ちた、培養液は溢れ、壊れた装置の配線からは電気がほと走る。
そしてヴォルマー博士の元へ歩み寄る。
ーーブシュッ
ーーガハッ
ヴォルマー博士の胸を手刀で貫く。
「……これは神が私に与えた罰か、今私もそっちに行くよ……シルヴィア……」
ヴォルマー博士は静かに目を閉じた。




