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101.相葉家の災難 Part2

御者の男から譲り受けた食料と水を飲みながら、相葉家一同は今後の事を話し合っていた。



「今は親切な人がいるからいいけど、いつまでもこのままでは路頭に迷うな、だが家族皆で支え合えばきっと大丈夫だ!」


「私もそう思うわ、まず現実を受け入れなきゃね!」


修二と静子は子供達を不安にさせない様明るく振る舞う。


道中緑色の姿をした小人の魔物ゴブリンに遭遇した、御者の男は何ら抵抗も無くゴブリンを剣で斬り殺す、その光景をモロに見てしまい嫌でもここは日本でも外国でもなく、何処か別の世界だと思い知らされた。



「異世界かぁ……、凄腕の冒険者になって美女に囲まれる生活、くぅ〜、テンション上がってきた!!」


「白馬に乗った王子様とかリアルにいるのかしら!?」


修二と静子の心配を他所に、京介と美里は異世界ライフに夢馳せていた。

大人になったら就職して高い税金を納める退屈な人生、年老いても年金も貰えるかわからないお先真っ暗な日本より、余程こちらの世界の方が夢があると思っていた。



「全く……お前らときたら」


修二は逞しい子供達を見て呆れる。



「ほんと、誰に似たのか」


それは静子譲りだろうと皆思っていた。

和気藹々と話しているうちに、ウトウトと睡魔に襲われるきっと気を張りつめすぎて疲れていたんだろうと思い皆眠ってしった……



ーええ、丁度荒野の辺りで拾いました、全くとんだ間抜けも居たものですなー


ーご苦労、引き続き仕事に励んでくれー


「んん……何だ?」


御者の男の声で京介は眠りから覚めた。


「!?」


起きあがろうとした矢先、手足が縛られている事に気づく。



「父さん!母さん!美里!」


声を上げ同じく手足を縛れている家族を起こす。



「……どうした京介?」


「ん……何これ?」


「ちょ!?どういう事!?」


皆起きると状況が飲み込めずパニックを起こす。

馬車荷台の扉が開き見知らぬ男達が中に入ってきた、男達は無言で4人を担ぎ運び出す。

悲鳴を上げながら抵抗するが、刃物をチラつかされて皆恐怖で黙り込んでしまう。


(何だよこれ……どうなっちまうんだよ俺たち)


京介は顔を青ざめさせる。

さっきまで異世界ライフに夢を馳せていた自分を殴ってやりたい。


途中で目隠しをされた4人は何処かに運ばれていく。階段を降りる足音が聞こえ、ひんやりした空間に着いたと思ったら、キキィと高い音をしながら何かの扉が開く音が聞こえた。



ー今は牢屋がいっぱいだから、ここに入れておけー


ーわかったー



投げられる様に牢屋に入れられた4人は恐怖で震えていた。

この先自分達の身に起きる事が予想できないからだ。



「……皆、怪我はないか?」


男の声が聞こえ、ビクッと4人の体が反応する。

這いずる様な音が聞こえる、近寄って来る男に静子と美里は悲鳴をあげてしまう。



「落ち着いてくれ、私は味方だ」


男は手探りで京介の手の縄を尖った石で擦り切った。

手が自由になった京介は目隠しを外し足の縄を解いた。




「父さん、母さん、美里、今解くから!!」


京介は順番に縄を解いていく、自由になり修二は慌てて鉄格子の扉ををガタガタとゆするが扉はびくともしない。



「私の話を聞いてくれないか……?」


京介を助けた男が唐突に喋り出す、男に注目が集まる。

修二は牢屋にある照明代わりのランプを持ち男を照らした。



「うわぁぁっ!!」


修二は男の顔を見ると尻もちをついてしまう、男は両目が無かった。

そして男の後ろには焼け爛れた皮膚が膿み、うじ虫に集られているぐったりした女性の姿があった。



「驚かせて、すまない……」


「だ、大丈夫ですか!?」


驚き固まるが我に返り4人は男の元に慌てて駆け寄る。



「ひどい……」


あまりにも惨すぎる光景に静子は涙を流す。

京介は吐き気を催し、牢屋の端で吐瀉物を吐いた。

美里はショックすぎる光景に言葉を失っていた。

修二はシャツを破り手当てをしようとする。



「私の名前はゼムロ、あなた達に頼みたい事がある」


「頼み事ですか……?」


「私と妻はそう長くは持たない、この時空石を使えば1人だけ何処へ飛ばされるかわからないが外へ出れる、どうか私達の組織、ハリマオの構成員を見つけこの事を報告して欲しい……」


「1人だけって……何で自分でやらなかったのですか!?」


「私と妻は捕らえられた後すぐに足の腱を切られ逃げらず、誰かがここに入れられるまでこの時を待っていた、どうか頼む」


「……美里行きなさい」


静子は美里の目を見る。

修二と京介もそれに続いた。



「父さんが皆を守るから行きなさい」


「頼んだぞ美里」


「……何で、何で私なのよ!!」


美里の目から涙が溢れる、家族を置いて自分だけ逃げる事などしたくなかった。



「美里ならできるからだ」


本音を言えば美里は若く男達に嬲られる可能性も高い、惨い事をされ精神が崩壊していく美里を修二達は見たくなかった。



「これを……」


男は時空石を美里に渡す。



「嫌よ!!」


「行け!!美里!!」


普段温厚な修二が声を荒げた。

美里は黙って俯いてしまう、涙が止まらない。

そして時空石は光出す……



「……絶対、絶対助けるから!!」


美里は心に強く誓う。

そんな美里に修二、京介、静子は微笑みを返した、自分達に何かあってもどうか幸せに生きてほしいと願いながら……























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