99.未技
アキラ一向はメルサ村に到着し、リベイアの家へと向かう。
「皆さんこちらです」
角を曲がるとボロボロの家が見えてきた、隙間風が凄そうだ。
皆リベイアの苦労に目頭が熱くなっていた、特に彼氏のカインはリベイアを幸せにしようと心に誓っていた。
立て付けの悪い扉を開け中に入る、リベイアの弟と妹が出迎えた。
「お姉ちゃん、お帰りなさい」
「お帰りなさい」
「ただいま、ケビン、ミリア、元気だった?」
リベイアはケビンとミリアの頭を撫でた。
「今日はお客さんが来てるから、部屋に戻ってて」
はーいと言いながらケビンとミリアは自室に戻って行った。
アキラ達はリベイアに促され家へと入る。
「お父様、戻りました」
「ゴホゴホッ、リベイアか無事で何よりだ」
「お父様、体調の方は大丈夫ですか?」
「あぁ、心配かけてすまない、ゴホゴホッ」
アルグレームの顔色は土気色だった、とても大丈夫とは思えない。
「お父様、病気が治るかもしれません」
「あぁ、いつか治るといいな」
「いえ、今から治します」
アキラはそう言いながら部屋に入る。
それに続いて皆中へと入った。
「リベイアこの方は?」
「アキラさんです、隣の女性はフェルシエさん、そして私の仲間のロベルト、バレル、マルス、カイン、ギルドマスターのヒューリーさん、マタタビ商会のイルームさんとオルームさんです」
皆会釈する。
「今から治すとはどう言う事ですか?」
「俺の従者が治します、ライム」
魔法陣からライムが現れる。
「あるじ、よんだー?」
スライムが喋っている事に、アルグレームは驚愕する。
ヴェルサスの姿を見た他の皆はこれくらいでは、驚かなくなってしまった様だ。
「ライム、この方を治してあげてくれ」
「はーい!」
ライムは【回復魔法/パーフェクトヒール】を発動した。
みるみるアルグレームの顔色は血の気が戻り、病気が治っていく。
「こ、これは!?」
「これで大丈夫です、気分はどうですか?」
「あぁ、何ともない、あんなに気怠かったのに嘘の様だ……」
フェルシエ、ヒューリー、鉄の翼竜、マタタビ商会の面々は皆驚愕していた。
まさしく神の未技とでも言うのだろうか、その力だけで国が動く。
「アルグレームさん、頼みがあります」
「頼みとは?」
アキラはこれまでの経緯と国を作る事、そこの領地運営の補佐を頼みたい事を話した。
「……わかりました、できる限りの事はやりましょう」
「ありがとうございます!」
「私も人に頼られるのは久しぶりで、胸が踊りますよ」
アキラとアルグレームは握手をした。
「病み上がりですからひとまず休んでください、準備もおありでしょうし1週間後にまたお伺いします」
「わかりました、それまでに準備を終わらせておきます」
鉄の翼竜はリベイアの手伝いをする為メルサ村に残る、その際ミニライムを渡した、これでロベルト達とも連絡が取れる。
アキラ、フェルシエ、ヒューリー、オルーム、イルームは再びヴェルサスに乗り見捨てられた地へと戻った。
「ほんまかいな……」
「すごい……本当に広大な森ができてる」
「これはダンジョンも期待できそうだな」
地面に降り立つと、ヴィクセンが出迎えた。
「お帰りなさいませ、アキラ様」
「ただいま、何かわかった?」
「はい、先ず森には湖、川、沼地、草原がありました、北の山には鉱山があり西の山には何もありませんでした、東の山は火山帯があります、北の海は特に何もありませんでした、次に地下ダンジョン、森のダンジョンがありました、中に入ってみたのですが地下のダンジョンは一階層からBランクの魔物が出てきました、おそらくはS級のダンジョンかと思われます」
「わかった、ご苦労さん」
「して、この方達は?」
「あぁ、マタタビ商会のオルームさんとイルームさん、アルベルムの冒険者ギルドマスターのヒューリーさんだ」
紹介されて皆会釈した。
「それで、今後はまたどうなさいますか?」
「それについて、少しいいかしら?」
イルームが話しに入る。
「どうしたんですか、イルームさん?」
「人材の確保に良い案があるわ」
「良い案?」
「奴隷を買いましょう」
「……それは何故?」
「アキラさんの力でどんな怪我や病気も治せます、奴隷には怪我や病気で仕方なく身売りした者が多い、その者達は買い手が無く時間が経つに連れ処分されます」
「……処分って」
アキラは非常な世界を垣間見て胸糞悪くなる。
「その者達を買い集めます、アキラさんの力で治して、その者達をここで働かさせるのです、きっと恩を感じてアキラさんから離れないでしょう」
「……悪い案ではないで」
「確かに……それは利に適っています」
オルームとヴィクセンは、イルームの案に賛成な様だ。
障害がある奴隷は極端に安い、コストダウンにもなる。
「わかったそれで行こう、それともう一つマタタビ商会はここに移住したい希望者を募ってくれないか?」
「了解や、行商がてら宣伝するで」
「アキラ、私もいいか?」
「どうしたんですかヒューリーさん?」
「私も暫くの間ここのダンジョンに潜りたい」
「え?でもギルドの方は?」
「副ギルドマスターに任せる」
有無を言わせない凄みを感じた。
「わ、わかりました」
「Sランクのダンジョンに潜る」
「それなら、俺の従者と一緒に行ってもらえませんか?」
「ん?他にもいるのか?」
「えぇ、ムゲン、ロイズ」
魔法陣からムゲンとロイズが現れる。
「御館様、お呼びでしょうか?」
「我が君、何用か?」
2人のアンデットにオルーム、イルーム、ヒューリーはギョッとする。
「ヒューリーさんと一緒にS級ダンジョンに行ってくれ」
「御意」
「承知した」
「ははは、これは頼もしいな」
ヒューリーは苦笑いだ。
「ダンジョンで手に入れた素材は、全てそちらに寄付しよう」
「え?いいんですか?」
「そこまで私はがめつくないよ、ただ錆びついた腕を研ぎたいだけさ」
「ありがとうございます」
「それじゃあ皆準備もあるだろうし、一旦アルベルムまで送ります」
ーわかったー
ヴェルサスに乗りアルベルムに戻る、ミニライムを渡し解散した。
「さて、俺も帰るか」
その時奴と偶然の再会を果たす。
「あ」
「あ……」
それは娯楽都市ゴールデンサーラーでアキラを嵌めた少年だった。




