初期化しました
到底受け入れがたく拒絶するほどの出来事も、
時間という一年間に三百六十五日を要する遅効薬のおかげで、
知らない間に思いもしないままに、
風化なのか忘却なのか許容なのか、
気がついたときには自然と違和感なく日常に溶け込んでいる。
寂しさと嬉しさと悲しさと明るさが、
フードプロセッサーの中で粗みじんになりながら、
ぐるぐると鮮やかな色どりで、
良いも悪いも混ざり合う。
その攪拌は日夜問わず行われ、
最終的には無味無臭でモノクロームに、
もしくは完全密閉でセピア色に、
記憶の改竄とともによって完成され、
そこで初めて心から「ありがとう」と言える。