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六話・エレーナお姉様


「イヴっ!!」


バンッと勢いよく扉が開かれ、お父様と同じ蒼髪が靡く。

驚いて扉の方を見れば、悲しみと困惑に美貌を染めたエレーナお姉さまがいる。


「どうしたの?お姉さま」


いつもほんわかしているお姉さまが珍しく取り乱している姿に、私は疑問が口に着いた。


「どうしたの、はこっちのセリフだよッ!どうしたの、イヴ。私何かしちゃったかしら?」

「え…?」


エレーナお姉さまが私を傷つけるようなこと、するはずがない。

エレーナお姉さまが何に悲しんでいるのか皆目見当もつかないが、何か言わなくては誤解は解けないだろう。


「えっと…その。お姉さまは何にも悪くなくて…えっと…」

「ふふっ。イヴ。エレーナはイヴが今日一人で食堂に来たことについて話しているんじゃないかしら」

「え…?」


全く想定していなかったことを母から告げられた私は、弾けるようにエレーナ姉様を見た。

キョロキョロと涙目で視線を動かしていた姉様は、ちらりとお母さまを除き守るとコクンと頷く。


(ま、まさか、姉様にとって朝一緒に食堂へ行くことがそんなに大切な行為だったなんて!)


私は『ま、折角だし』程度に思っていたものだったのでひどく驚いた。


「ね、姉様……」


ごめんなさい、そう告げようとした私は顔を上げた時の姉様の殺し笑いを見て固まった。


「ふっ、ふふふ……っ!」

「ね、姉様…?」

「あはは!もうダメだわ!イヴ、私そんなことじゃ怒らないわよ」


「相変わらず反応がいいわね」と爆笑しながら告げるエレーナ姉様に私は硬直が解けない。


(え、え!?嘘だったの!?あの演技も?全部!?)


言われてみれば、虐げられた家族に見事にザマァを決めるような令嬢だ。ただでは転ばないだろう。

そうは思っても、やはり釈然としない。

この弁舌にしがたい感情は、果たしてなんと言うのだったか。


「あぁ、拗ねないで、イヴ。からかって悪かったわ」

「…姉様なんてもう知りません」


謝るにしても、せめてニヤニヤを治めてからにしてもらいたい。


私ばかりが振り回されているような気がしないでもないが、それでも今は感情のままに拗ねることにする。


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作者のやる気が上がりますので( ´∀` )

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