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無生物テイマーは家電が好きなのです  作者: はむにゃん
第2章 仙台のビルでイベントするよ
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新スキルとペット

 そもそも戦車は単独行動はとらない。小隊を作り、相互に支援を行う。それを考えると今目の前にある3両では少ないくらいだ。


 指揮をする車両とレーダー等のデータの共有も行い、効率よく狙いを定め、オーバーキルなども起こらないように砲撃ですらコントロールすることも多い。


 今、コントロールされているかはわからないが、目の前の3両からの砲撃はめちゃくちゃだった。


 同じ戦車から撃たれる砲弾だけでなく、違う角度からも飛んでくる砲弾を避け、しかも床に着弾した爆風までをかわすのは不可能だ。全員が砲弾の直撃ないものの、機銃などの弾は食らっているし、爆風にも巻き込まれHPが減っていく。


 圧倒的な攻撃力は最初の1両の時にわかっていたはずだが、わかっていたからと言って何か出来る訳ではない。


 マイクの剣が砲弾をはじいた時に折れた。以蔵のドアが1つ吹っ飛んだ。ブンジもマイカも機銃の穴だらけになっている。マイカのドアと左後ろのタイヤはまだ取れたままだ。


 京花とブンジの【カウントダウン】コンボをするが、投げつける前に爆風で水の塊が飛ばされた。短めに設定していたカウントが終わり、壁で爆発する。


【カウントダウン】は触ったものに発動するスキル。今回は水に触れ、爆発前に敵にぶつけるという2段構えの作戦。直接触れたのでなければ、爆発前に避けられてしまえばそこでおしまいだ。



「大地! さっき新スキル手に入れたんでしょ! ちょっと説明して!」


「え、これ。テイム系スキルだよ!俺の家電いないと無理だろ」


「いいから! 読み上げて!」


「名前は【テイムβ(ベータ)】!説明いくよ!【テイムされているもの同士で一定時間スキルを共有することができる】。条件は『1度の戦闘で3回まで』『1度に共有できるのは3つのスキルのみ』『1度の共有時間は3分間』だよ!」


「なんだ、最高のスキルじゃない」


「え、どういうこと? 」


「『テイム()()()()』とは言ってないわよ。あなたがテイムしようが、他の人がテイムしようが、『()()()()()()』いればいいんじゃないの? 」


「え、まじ? 」


「これ、あなたの為のスキルじゃないわ。『()()()()()()()()』キャラたちの為にあるスキルよ。ただし、回数制限はあるから試すなら、きちんとしたやつで。……みんな、共有するならどのスキル?」


 マイカ『カウントダウン』


 ブンジ(ピー)『きょだいかし せんしゃたちを おしつぶす』


 以蔵『バタン!』



「まあ、まずは全員で【カウントダウン】からの、【巨大化】【押し潰し】か。んじゃ、水をめっちゃ増やすから、大地【テイムβ(ベータ)】掛けてみて」


「お、おっけー」


 全員のスキル共有が出来たようで、家電達が頷いた、ように見えた。


 京花が砲弾を避けながら家電たちの間を駆け抜ける。手には水の塊を3つ持っている。全員がそれぞれ触れたのを確認。


「時間どのくらい? 」


「2分半で!」マイカが即答。共有制限時間ギリで。


「マイク! 私に向かってくる砲弾全部弾いて! 」


「よっしゃ」


 マイクは予備の剣を既に抜いている。


 戦車に近づいていくので集中放火を食らうが、所詮弾は『触ることのできる物質』だ。レーザーでも炎でもない。


 マイクは集中し、真後ろにいる京花に当たりそうな弾だけ選び、斬り、弾き、軌道を変える。


「うちのパーティにいるやつの刀の方がもっとはええぞ」


 ただひたすらにひとつの事に特化しレベル上げしてきた男には、戦車の弾など恐るるに足るものではなかった。


「よし、時間! 」


 京花が戦車3両に水の塊を投げつける。戦車は急いでバックするが遅い。【カウントダウン】発動と同時に、ブンジ、マイカ、以蔵が【巨大化】し、戦車が爆風で空中に持ち上げられたところに降ってくる。


 電子レンジ? 車? 冷蔵庫? いやいや、全員依里亜さんの元で鍛えられた全長10m以上の鉄の塊だよ。


 舐めんな。


 圧倒的な火力で押してきた戦車を、圧倒的な質量で押し潰す。


 特に色々やられ続けて怒っていたマイカは、ワープした瞬間にボンネットを下にした。押し潰すための落下ではなく、力を一点に集中し戦車を切断したのだ。その1両は、弾薬庫に誘爆し、大爆発を起こし消え去った。


 残った2両のうち1両にマイクが斬り掛かる。今度は手数ではなく強く深い一撃を真正面から。武士道なのか騎士道なのか。真っ二つになった戦車は爆裂し塵となる。


 残った1両がしつこく機銃掃射をする。


 どのスキルを共有をするか、と迷った一瞬に、以蔵が、冷凍庫からかつて捕まえていた『氷漬けフェニックス』を空中に投げた。


 マイカが声を出す。「マイクさん網を切って!」


 マイクはその言葉を聞き終わる前にジャンプし、フェニックスを縛っている網を切り裂いた。次の瞬間『ひよこフェニックス』はそのままの姿で、全身に炎をまとい、戦車に突進した。


 鉄の融点は1500℃ちょっと。そこにいた全員は戦車が爆発するまえにどろりと溶ける瞬間を目にすることになった。


 中ボスを倒し大量の経験値が入る。パーティ全員にホッとした安堵の空気が流れる。


 解き放ってくれたと思ったせいか、『ひよこフェニックス』が、以蔵に懐いた。


 テイムされている冷蔵庫に火の鳥のペットが出来た。


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