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無生物テイマーは家電が好きなのです  作者: はむにゃん
第2章 仙台のビルでイベントするよ
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空箱と困惑

『□ぬき □っこ』だけなら可能性は様々だ。


「居抜き、毛抜き、讃岐(さぬき)、たぬき」や「1個、カッコ、だっこ、やっこ、らっこ」といくらでも組み合わせがある。


 E男が持っていた紙が一番最初にでてきたならば、確かに混乱しただろう。


 しかし、『宝島の鍵』を持っていたおかけで、1番分かりやすく間違えようのないヒントが最初に手に入った。


『コンピュー□ あきはば□』


 と来れば入るのは「た」と「ら」だ。つまり、『□ぬき □っこ』も『たぬき らっこ』となるだろうと推測できる。


 こういった法則性を探すものは3つあればまず間違えない。


『か□□□き か□あげ』


 後半は「かき揚げ、嵩上げ、格上げ」などもあるが、「唐揚げ」とすると3つの紙は共通した文字が入る、


 前半にいたっては、依里亜と朔太が『謎かけばばあ』との戦いのあとで話題にでたものだ。『同じ文字が続くのは珍しいよね』と。つまり「肩たたき」確定。


「つまり、3つの紙に共通するのは『た』それから『ら』で、これがなに? 朔太」


「さあ?」


 推理小説において、名探偵の助手は読者よりは賢くないと相場が決まっている。


(ピー! )

 ブンジが声をかけた。


「ならべたら ぜんぶたからが でてきたね」


「ん?そうそう。全部『た』か『ら』が……っ」


 依里亜が思わずブンジを2度見したあと、凝視し始めた。


 ブンジが表示できる液晶パネルは『ひらがな』『カタカナ』のみで『20文字』という制限がある。5,7,5の17音で喋る時には余計な『 』などは省いて表示する。


 依里亜たちが「『た』と『ら』」や「『た』か『ら』」などと分けて考えていた文字が「『たから』」と並べることでひとつの言葉になった。


「ナイス!……ブンジ!『たから』ら『宝』よ! 」


「え、何が? 」


 何も分かってない朔太と全員に説明をする。


「ここは『宝島』だから『たから』がキーワードなんだわ」


「で、それでなにがわかるの? 」


「あ、いや、それはこれから……」


「ふーん、小学校の時のなぞなぞで、『たぬきの宝箱』とかあったよね。『た』を抜くから『空箱』みたいなね。キーワードで『たぬき』あるし」


「あ!朔太もナイス! 」


「え?たぬき? 」


「違う、空箱よ」


 助手は助けになることはあるが、賢くはない。


 アイテムボックスから紙を出した。砂浜の最後の宝箱から出てきたものだ。()()()()()()()()



『| | | | | (最後に使ってください)』



 依里亜「これ、なんに見える?」


 朔太「棒線」


 レビ『縦線』


 ブンジ(ピー! )『バーコード』


 以蔵『バタン!』


 A子「ドミノ」


 B子「ハゲ頭」


 E男「鉛筆」


 F男「ストライプ」


 依里亜「ストライプまで出てきて、なぜ答えがでない! 」


 朔太「縞模様! 」


 依里亜「朔太くん正解! 」


 朔太「で、それがなに? 」


 依里亜「『縞=しま』と読ませるのよ。つまり今回のヒントからは『宝島=たからしま』を導くのよ」


 朔太「まだよくわからん」


 依里亜「そうね。『たからしま』はあくまで、あの4枚の暗号を解くためのキーワード。並べてみるわね」


 というと、おそらく指紋は関係ないとは思いながらも依里亜は一応ビニール手袋をはめ、4枚のダイイングメッセージの紙を取り出し、空箱から出てきた紙と一緒に並べた。縞模様の紙には数字はないが、『最後に使え』との指示があるので一番下に置く。


 ははた1

 おんす2

 ににけ3

 だんて4

 | | | | |


「この中で、『た』はどこにある? 1番上の右よね。で、『しま』はどこにある? 一番下。『たからしま』はつまり『()()()()()』まで読めってことよ。つまりなんてこともない縦読みよ。」


 朔太が声を出して読み上げる。


「そんなさー縦読みとかの訳ないじゃん。た、す、け……『助けて犯人は鬼だ』ってなった!!ほんまや! 依里亜すご! ……でも、犯人は『鬼』かよ」


 B子「あ……でも、この島には雨が降ると鬼が出るって噂があるって……」


 依里亜「え、じゃあ、ほんとに鬼が出てD男を殺したってことなの? 推理小説の謎解きはオカルトに走ったらダメなはずだけど……」


 朔太「そういや、僕さ、この別荘に入る前に建物の裏手でおばあさんを見てるんだよね。だから、お手伝いさんはいるの? って聞いたんだけど」


 全員がえっと驚く。依里亜も初耳だったので、なぜ言わなかったんだ、と思った。


 朔太「雨が降る直前だったし、もしかして、あれ鬼だったのかな? 」


 大学生たちも顔を見合わせて困惑した表情を浮かべている。


 朔太「つまり、この別荘というか島には今ここにいる僕たちの他にもう1人、人を殺す鬼が……あああ!」



 B子が言った。


「たぶん、それC子ね」



 今度は依里亜と朔太がこれ以上ないくらい困惑した。



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