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無生物テイマーは家電が好きなのです  作者: はむにゃん
第2章 仙台のビルでイベントするよ
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宝箱と即死魔法

「では、みなさん。手分けをして宝箱を全部向かい合わせにしてください」


 おそらく200近くの宝箱がある。


「んーなんとなくミミック対策なのはわかるけど、ちょっと大変じゃない? 」


「だって、宝物全部取るでしょ? どーせ。作戦太(さくせんた)がカード使うのは並べてからねー」


「その呼び名やめーい」


「あのゴッドハンド使ってちゃっちゃとやってほしいわー」


 宝箱自体はそれほど大きくはなく、重くもなかった。向かい合わせにする時には、1つを動かして他の前にもっていくので動かすのは全部で100程度。レビの【指令】スキルはパーティ内のみ。役に立たないので荷物番。残りの5人で1人20個の宝箱を動かすのがノルマ。


 家電たちには手がないので苦労するかと思いきや、雑にドカドカと体当たりで動かしている。確かに箱の扱いは雑でいい。大事なのは中身だ。


 時々あちらこちらでスキルの試し撃ちもしている。以蔵が【押し潰し】をして、宝箱を砂にめり込ませて焦っている。結局【巨大化】しブルドーザーのように移動させてから、【アイスシュート】で微調整という方法に落ち着いた。


 マイカの【ドリフト】が1番効率がよさそうで、しかもわりと精度が高く宝箱を蹴散らしている。早く終わった分他の人のノルマ分もこなしている。よく働くやつだ。


 ブンジは宝箱と宝箱の真ん中にある砂に【カウントダウン】をして、爆風で飛ばしたあと自分で押していた。繊細な仕事をするやつだ。カウントは数秒設定でいいようだ。砂浜なのですぐ下には水分がたくさんある。



 宝箱の移動が全て終わったので朔太がカードスキルを唱える。『Self(セルフ) Copy(コピー)


「あれ、【ダブル】使ったんだ」


「うん。ちょっと細かく設定した。最初に『仮ケース』だけが大量にあってもダメじゃん? ケースが全部埋まった瞬間に『仮ケース』が自動でコピーを生むようにした。全部埋まったケースは以蔵の【アイテムボックス】にどんどん入れよう。あと、一応『宝島の鍵』にも同じスキルかけたから、使い放題だよ」


「あ、私の作戦を信用してないのね」


「あ、いや、そういう訳ではないんだけどー。一応ね」


 朔太は申し訳なさそうな顔をするが、この時の判断が正解だったと分かるのはまだもう少し先のことだ。



「んじゃ、いくよー。開けゴマ!」


「え、なにそれ。それだけ? 」



 と朔太が疑問を呈した瞬間に()()()()()()()()()()()


 言葉を失う一行。依里亜と一緒にいて今までで1番驚いた瞬間だった。


「みんなどうしたの? あ、尊敬しちゃったかー照れるなー」


 依里亜は平然としている。


「……テイムしたの? いつの間に? 」


「説明聞いてる時に全部テイム終わってた」


「え? だってしゃがんでただけ……まさか砂? え、でも依里亜の【テイムⅡ】って対象に触れないとダメよね?」


「そうそう。だから、最初にこう指示したの。『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』って」


「……」


「で、砂って私より小さいじゃん? 私テイムできるの無制限だから、地続きの砂全部テイムして、その上に乗ってる宝箱もテイム完了。宝箱も私より小さいし。砂と宝箱もお隣さんだった」


 依里亜が手をついた砂から『依里亜にテイムされろ』という指令が同心円状に広がっていた。その指令はオセロの終盤で白が黒に一気に変わるように連鎖していた。


「私のテイムって、命令がシンプルなほどガッツリ効くからさ。あ、でも今なら『砂かけばばあ』よりもうまく操れるかもよ? 」


 というとザザーっと砂の城が出来上がった。CGのようにも、逆再生のようにも見えた。


「さ、宝物全部とろう! あれ、マイカがいない。まいっか 」


 ミミックは生物設定なのでテイムはできない。今回テイムしたのはあくまで宝箱だけだ。そしてそれを開くだけ。出てきたミミックは同時に出てきた真正面にいるミミックと即死魔法をお互いに掛け合い全滅していた。


 しかし、これだけ宝箱があれば角度が合っていないのもあったし、ミミックが出ない箱もある。即死魔法を唱えても目の前に誰もいなければ、魔法はその場で消えてしまうが、ほんとにたまたまの角度と距離で一つだけマイカに当たっていた。当然即死。


 マイカが桟橋の方から走ってきた。


「すいません依里亜様。なぜか死んでしまいました」


 マイカだけイベント参加権利があと1回になった。しかし、みんなはそんなことは気にせず、宝物を夢中で取っていた。


(ピー!)

『マイカさん たまにはそういう こともある』


 ブンジだけが励ました。


 朔太のコピーした『仮ケース』は3つ宝物を入れると、むにょーんという流動的な動きをして、すぐ下に空のケースを生み出した。とろけるケースを見るのはなかなかに気持ちが悪い。埋まったケースはどんどんアイテムボックスに入れていく。


「あれ? 依里亜さ、全部開けた時点でゲーム終了じゃなかったけ? 」


「大丈夫。1個だけ開かないように私が移動した宝箱の1つだけ『あなたは私がいいって言うまで開いちゃダメよ』って直々にテイムしてある」


 と指さすと確かに一つだけ閉まっている宝箱があった。それを開ければゲーム終了だ。


 すべての宝物を回収し、最後の箱を開ける。テイムしてあるので、これも鍵は特に不要だが、せっかくなので鍵を使うことにした。どうせ鍵も無限だ。


「じゃあ、マイカ開けてみる? 」


『え、いや、まじ、勘弁してくださいよ依里亜さん。これミミックでたら僕1人だけイベント終わっちゃいますよ』


「えー、いいじゃん、一か八か開けてみなよー」


 依里亜の言うことは本気かそうじゃないかよく分からなかったが、今回は割と本気に見えた。


『ほんとに僕いなくなったら困りますよ? 知りませんよ? 』


 と言ってマイカが開けた。ゲームは終了。宝箱からはミミックも出なかったし中身も空だった。その代わり1枚の紙がひらひらと出てきた。そこには


『| | | | | 』


 というバーコードみたいなものが印刷してあり、その下に『最後に使ってください』と書いてあった。


 みんなで周りにバーコードリーダーでもあるのかと探したが見当たらなかったので、とりあえずアイテムボックスに突っ込んだ。



 依里亜はテイムしていたので、中にミミックがいないこともわかってて開けさせたのだが、そのことは言わなかった。いつも弄っている依里亜だが、マイカのことは大好きだし大事に思っていることはさらに言うわけがなかった。



 宝物は、アダマンタイトのような強化素材の他に、ステータスアップのアクセサリー系やエリクサーのような高価な回復剤などが多かったが、武器や防具も時々出てきた。


 レイピアの『アビリティストーン』を5つも嵌められる超レアなやつも出てきたので、依里亜は喜んで全部スピードアップのストーンを嵌めて装備した。


 また家電にも装備可能なアクセサリーも多かったので、「どこにつけるんだよ」と思いながらもつけ、各自ステータスアップすることができた。ゴテゴテな見た目にはならなかったが。


 そして、全て終わったあと依里亜が言った。


「あ、なんだ、テイムしてたんだから、宝箱の移動も自分たちでさせればよかった」


 全員がずっこけた。

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