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無生物テイマーは家電が好きなのです  作者: はむにゃん
第2章 仙台のビルでイベントするよ
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暇と11階

「ねー、めちゃくちゃ暇だからなんかすることなーいー?」


「そうだねえ、みんな新スキル覚えたか確認したら?」


 あ、そうだった、とゴロゴロしていた依里亜がガバッと起き上がる。


「私自分で見れないから教えて貰えないとわからないのよねえ。いいなあみんな」


 チラチラという感じで周りを見る依里亜。アピールは常に忘れない。


『依里亜さん新スキル覚えてますよ。どうします? みんなのから先に見ます? 』


 レビが提案する。


「あーそうしよう!みんなのスキル発表かーい! ワーワーピーピーぱちぱち! もっとみんなも盛り上がってよ! 」


 ハイハイという感じでみんなも反応する。


「じゃ、まず1番少ないしもう分かってるから朔太から」


 ―――――――――


 朔太Lv20

 スキル:【カード】

 新スキル:【ダブル】


 ―――――――――


「はいおわり。1秒で終わったわ。スキルの説明も既に聞いたしもういいわ。朔太のスキルはチートだからもういいや。暇なのも嫌だけど、めんどくさいのはもっと嫌」


「その性格の方がめんどく「さ、つぎねー。レビいこかー」


 依里亜は仕切りたがりだ。


 ―――――――――


 レビLv20

 スキル:【指令、移動、麻痺、弱点サーチ、声マネ、幻影、弾力化、スマイル】

 新スキル:【投影】


【投影】【周囲のオブジェクトを他の場所に投影する。予め準備をすれば周囲にないものも投影可能】


 ―――――――――


「んんん? あれ? どゆこと? 幻影と何が違うの? 」


『【幻影】はですね【パーティ全体の幻を別の場所に作りだす。実体はなく攻撃力もない。スキルレベルが上がると幻の数が増える】ってスキルです』


「何が違うの? 」


『すごく簡単にいうと【幻影】は人の幻、【投影】は景色の幻です』


「なるほどねー、2ついっぺんに発動すれば、丸々全コピーってことねえ。でもなんか名前が覚えにくいから『人の方! 』『景色の方! 』って言いそう。その方が間違えないし」


『どっちでも対応しますよ。それから、録画したデータも溜め込んであるので、おおよそどんな場面の景色を映せますよ』


「あ、じゃ、やってみて。そだなー『タージ・マハル』いける? 」


『渋い選択ですね。ありますよ。はい』


 というと、目の前には『タージ・マハル』の風景が広がった。


「あら、すごいわね。奥行きまでちゃんと感じる、見るだけなら本物ね」


『まあ、そういうスキルですからね』


「というか【指令】って懐かしいスキルね。普段掛けっぱなしだから忘れてたわ」


 移動できないブンジと以蔵は【指令】で動いている。


「んじゃ、つぎブンジね」


 ―――――――――


 ブンジLv20

 スキル:【必中、スチーム、カウントダウン、表示】

 新スキル:【サンダー】


 ―――――――――


「あら、めっちゃ攻撃向きなのが増えたわ。発動速度も早そうだし、上から落とせるのがいいわね。似たような技を朔太にも食らった記憶あるけど」


 チラチラという感じで朔太を見る依里亜。朔太はそう来るとわかっていて、予め目を逸らしていた。


「説明は聞くまでもないけど、1回試してみましょう。アイテムボックスからなんか金属っぽいの出して……と。投げるから狙ってー」


 ピシャ、ドーン!


「おお、わりとマジの雷だったわ。なかなかよさそうね。ん、というか、【カウントダウン】って水蒸気爆発だから金属っぽいのにはダメだったけど、【サンダー】なんて金属にバリバリ効くんじゃない? 1人で弱点克服だわ。すごー」


(ピー! )

『サンダーで ちかづくやつを くろこげに』


「うんうん。いい心がけだわ」


 ブンジも口が悪いが、さすがにみんな慣れてきてツッコミすらしない。


「さて、と以蔵くんはどうかな」


 ―――――――――


 以蔵Lv20

 スキル:【アイスシュート、アイテムボックス、弾力化、フリーズレーザー、巨大化】

 新スキル:【押し潰し】


【狙った敵の真上にワープしたあと、落下し押し潰す】


 ―――――――――


「あら、これもまたよさそうなスキルね。【巨大化】からの【押し潰し】コンボで雑魚キャラは一掃できるわね。ちょっとここだと……()()()()()()()ので、後で見せてね。じゃあ、いよいよ私の新スキルは」


『プップー』


 マイカが自己主張をする。


「あ、ごめん。今のは弄りじゃなくてマジで忘れてた」


「たぶん、マジの方が傷つくと思うよ……」


 朔太がちょっとだけマイカに気を遣った。


 ―――――――――


 マイカLv20

 スキル:【オートドライブ、ドリフト、悪路走行、クラクション、ウォッシャー毒液、積載無制限】

 新スキル:【カメレオン】


【風景に溶け込み周りから見えなくなる。発動時に触れているものにも同じ効果を与えることができる】


 ―――――――――


「お、これは野宿の時ものすごく便利だわー。気づかれないっていいわよね。気づかれない……これ、走りながら使ったら後ろや横からぶつけられるの間違えないわね。だって見えないんだから。はい、試しにやってみてー」


 ヌッとマイカの姿が見えなくなる。周囲の物を反射でどうたらこうたらとかって理屈で見えなくなっているようだ。ちらちらうごいてるような感じもよく見るとあるが、止まっていればまずわからないだろう。


「いいわよー戻ってー。あれ、マイカ、はやく戻りなよ。え? どこにいったの? 見えないわよ」


 見えているのに見えないふりはわざとだ。


「さ、いよいよ私のスキルね」



 ―――――――――


 依里亜Lv20

 スキル:【テイム、キュア、スロー、ヒール、バリア、ファイア、クイック】

 新スキル:【テイムII(ツー)


【自分より小さい無生物を一定時間テイムすることができる。個数は無制限。このスキルでテイムされたものはパーティには含まれない。

  ※テイムするためにはそのものに触ること

  ※テイムできる時間は最大で24時間。命令する内容、回数でテイムできる時間は減少する】


 ―――――――――


「テイム系がきたー! これやばいわね。チートよ! チート! ちっちゃければ、無制限とかやばすぎる。100個家電を連れ回したい。なんか条件とかあるけど、こんなんあってないようなもんよね。そんなのだいたい1回で使い捨てよね」


「あ、ちょっと冷たいこと言ってる」


「あー、このスキルがPvPの時に使えたら最初から鉄球にカーブ掛けて朔太の顔面直撃できたのになあ」


 チラチラという感じで朔太を見る依里亜。酷いことを言っているので、今度は朔太は依里亜を睨み返した。


「あー、暇つぶし終わっちゃった。あとどのくらいかかるのかなぁ」


「イベント自体が2週間だから、まあ長くても2日くらいでしょ」


「それにしてもこれはないわー」




 現在イベント11階。登ると『お魚ゾーン』の張り紙のドア。開けると大きめの船が港に泊まっている。ちょっとした観光船レベルの大きさの船がパーティごとに1つ使えた。前のパーティが出港すると、次の船が出てくる仕組みになっていた。船の種類は様々なようだった。


「さすが意味不明運営。縦軸を横軸に変換してきやがったわー。ビルの中でまさか航海するとは思わないわよねー。空間ねじり系アピールしたいのね」


 チラシをよく見てなくて気づかなかったがちゃんとマップと説明は載っていた。船で進んだ分で、階を登ったとカウントされ、半分のところで中ボス。終わりのところでさらに中ボスということだ。


 船は自動航行と手動を切り替えられる。現在は自動航行中。漕ぐ必要はないが、周りの風景が変わらないので暇な感じが倍増される。


 さすがに船の上で以蔵の新スキル【押し潰し】を使う訳にはいかない。船が壊れたら全員沈む。


 下は海なのか湖なのか。それとも川なのか。所謂(いわゆる)危険と呼ばれる水の生物がぞろぞろ泳いでいる。サメ、クラゲ、ウミヘビ、ミノカサゴ、ワニ、ウツボ、ピラニア。何でもありだ。しかし、泳いでいるだけで襲ってきたりはしない。


 戦わなくていいのかなあ、と思いつつ、たぶん途中で強制バトルだろうなあ、とも考えていた。


「勝手なイメージでは、海の生物ってでかいんだよねえ。HPも多いし」


 と依里亜が余計な事を言ったが、現れたのはモンスターではなく海賊船だった。張ってある帆にドクロマークをつけてめっちゃアピールしているので間違えない。中ボスだ。


 船の上で「ヒャッハー! 汚物は…」とか言ってるのが聞こえる。


 そこで「あーなるほど。戦いの最中に水に落ちると死ぬんだ」と気づいた。



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