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無生物テイマーは家電が好きなのです  作者: はむにゃん
第2章 仙台のビルでイベントするよ
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バンパイアと弱点

「【クイック】【バリア】【スロー】! ブンジ【必中】! マイカはタイミング見て【クラクション】! まずは攻撃パターン探りながら遠距離攻撃! レビ【弱点サーチ】を」


 このパーティーでスキルをガツガツ使う()()()な戦いは初めてだ。ただ、登りながらお互いのスキルの発動のタイミングやスピード、クセなどはわかってきている。連携は問題ないだろう。


 移動しやすいのでレビとブンジはマイカに乗って移動。


『弱点は……というよりたぶん胴体と顔以外ダメージ入らないかも知れません。そんな感じに見えてます』


「そんなことあるのか。じゃあ狙うならボディね。朔太は状況を見てカードで苦手なものを出してもらえると嬉しいかも」


「りょーかい」


 以蔵の【アイスシュート】5連発。【必中】で狙いはハズレないが、バンパイアがマントを翻すと、マントにすら当たらずに氷は逸れていく。


 続けて依里亜も【ファイア】で胴体狙い。マントでかわされる。物理も魔法もかわせるのか。


 それなら「マイカ【クラクション】!」タイミングを合わせて以蔵が【フリーズレーザー】を撃つ。朔太も後ろに回り込んでいる。


【クラクション】で麻痺したバンパイアはマントに手を伸ばせない。レーザーが当たる、と思った時にバンパイアはそこから消えていた。瞬間移動かワープか。朔太のさらに後ろに現れ、手から炎を撃ち出す。火炎放射器のように床にも炎が広がる。朔太が食らった。自力で何とか出来そうなので放置。


 瞬間移動かワープか確認したい。


 以蔵が【アイスシュート】を撃つ。マントでかわしおわったタイミングでマイカが距離を詰め【ウォッシャー毒液】を広範囲に噴射した。ワープすると読んで依里亜がバンパイアの周囲にファイアを連射。バンパイアやファイアを巻き込んで移動した。火属性持ちだからかHPの減りは少しだけ。しかし当たった。つまり時空を超えての移動ではなく、超高速での瞬間移動。スピード勝負か。


 依里亜が【クイック】で挑む。レイピアを振りながら突っ込んだが瞬間移動された。後ろ。気づいたが反応できなかった。振り返る前に肩を右手で掴まれた。HPが急速に減る。HP吸収。朔太が飛び込み双剣で腕ごと切り落とす。が、腕はコウモリとなって、胴体に戻る。レビの言ってたのはこれか。手足へのダメージはHPは減らしにくいが、動きを止めることはできそうだ。


 向かいあった位置取りに戻った。バンパイアが手を前に出すと大量のコウモリを飛ばしてきた。ランダムに飛びながら体当たりと噛みつき。しかし、コウモリだけならスピードは負けない。易々と切り伏せるとバンパイアも作戦ミスを認めコウモリを戻す。


 1番厄介なのは瞬間移動だったが、何度か切り合ううちにパターンやクセは見えてきた。瞬間移動する方向の偏りがある。炎を撃ち出す前には手を振り上げる予備動作。マントでかわしたあとには一瞬だが硬直時間もある。慣れてくると攻撃を入れるタイミングが見えてきた。ジリジリとではあるがHPを削る。


「朔太そろそろお願い!」


「OK!」


 朔太がカードを出した。『G』だ。


 誰もが同じものを期待した。



 依里亜「ガーリックね」


 レビ「ニンニクを出しますね」


 ブンジ(ピー!)『ニンニクを だしてたおそう バンパイア』


 マイカ『さすがここでGを引くとはさすがですね朔太さん。ガーリック一択ですね』


 以蔵『バタン! 』




 朔太「Ginger(ジンジャー)! 」



()()』が降ってきた。致命的なミス。


 しかし、カードスキルを初めて発動したせいかか、大量の生姜が降ってきたせいかはわからなかったが、バンパイアの動きが止まった。何が起こっているのかを確認してため周囲を見回す。


 その隙を依里亜は見逃さない。素早く後ろから近づき両足を横薙ぎに切断した。すぐにコウモリになり手応えはあまりない。が、足が戻るまでのわずかな時間に一斉にかなりの攻撃を叩き込むことができた。


 やっとの思いで起き上がったバンパイアは、悔しそうに生姜を握り潰している。やっぱり生姜は苦手ではないようだ。部屋の中は生姜の匂いでいっぱいだが。晩ご飯は生姜焼きにしようかしらと頭をよぎる。


 結果的には、朔太のカードが役に立った。驚かせただけではあるが。


「ナイス朔太! かな? 」


 バンパイアはHPゲージが残り3分の1になって行動パターンが変わった。まず、飛ぶようになった。口からノックバックさせる衝撃波を出し、分身し、目からレーザーも出すようになった。


 攻撃パターンが増えすぎだ。朔太が『sun』でも『sunshine』でも出してくれると強烈に効きそうではあったが、『S』はレースクイーンの姉ちゃんに『Stove』出しちゃってるんだよなあ、と依里亜が恨めしげな目で見る。


 依里亜はレビに近寄り耳打ちする。


「いくよ! 」バンパイアがこっちを向くのを確認してからダッシュ。【ファイア】を何発も撃ちながら接近。マントを敢えて使わせてから硬直時間にレイピアで切り掛る。瞬間移動の発動と共に、依里亜はバックダッシュ。攻撃パターンを()()()()()()


 もう1回。「こっちよ!」バンパイアが振り向く。しかし、その声はレビの『()()()』。全く違う方向から依里亜が超スピードで切り掛る。バンパイアの瞬間移動が遅れたため、ボディに一撃がはいる、が、ダメージを食らったまま瞬間移動。依里亜の後ろに回り込むと今減った分のHPを吸収するため、依里亜の腕を掴む。


 が、それもレビの『()()』。2重の罠。後ろからバンパイアを斬る。クリティカルの光が弾ける。


 そこへマイカがドリフトで追撃。バンパイアは空中へ逃れる。3段ジャンプをしながらブンジがマイカから飛び出す。体当たりで【カウントダウン】を仕掛けにいく。朔太のカードの効果を除けば、パーティ内で最も高い攻撃力は【カウントダウン】だ。


 当たると思ったがすり抜けた。バンパイアも最後の力を使う。「分身」だった。その落下地点に以蔵が【弾力化】を使いながら【巨大化】をする。跳ね返しバンパイア本体にブンジを直撃させた。【カウントダウン】は1分設定。


 あとは、残りのHP的にもこの1分を凌げば勝ち。





 バンパイアから全員で距離をとった。その瞬間、依里亜が背後から心臓を刺された。体が仰け反る。「えっ」と思った直後、これ以上ないスピードと威力と正確さでもう一度心臓を背中から刺された。



 ()()()()()()



 依里亜は、HPが尽きる前に姿を消した。



 総崩れしたパーティは1分も経たず全滅した。




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