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無生物テイマーは家電が好きなのです  作者: はむにゃん
第2章 仙台のビルでイベントするよ
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ピンポーンと四天王

 カンニングの効果は流石で、次々とポイントを重ねた。


「ミートソースを食べる人とかけまして、剣道を始めたばかりの人とときます。その心はめんくらう(麺食らう、面くらう)でしょう」


『ピンポーン! 』


「幽霊とかけまして、子供の書道とときます。その心はすみつく(住み着く、墨着く)と困るでしょう」


『ピンポーン! 』


 メモを読んでるだけということもあり、朔太は感情も込めず、若干早口で、『さくっちです』もなしで次々と(まる)を貰い続けた。


 ラストになった。時間は5分しか経過してない。ここで朔太に欲が出た。まだまだカンニングのメモは大量にあったが、自分で考えたものでもポイントを取りたいと思ったのだ。なにせここまで朔太自身のポイントは0。残り10分もあり、あと1回でいいならこれは仕方がないことでもあった。


「依里亜とかけましてー」


 依里亜は急に名前を呼ばれビクッとした。その後、朔太が考えていることがわかり、狼狽(うろた)えた。


「ショパンとときますー」


「で? その心は? 」


 謎かけばばあは余裕のある顔をしている。


「どちらもぴあのにあう人でしょう」


「どゆこと? 」


 依里亜がまず疑問を口にした。


「いや、レイ、『ピアの似合う』、と『ピアノ似合う』なんだけど……」


「それ、私でもブーよ」


「ガーン! じゃも1つ。僕のカードスキルとかけましてー、受験直前の人の風邪とときますー。その心は、どちらもギリギリでひくと困るでし『ブー! 』


 ババアは言い終わる前に『ブー』をかさねてきた。


「え、割とちゃんとして「おまえさんのスキルとか知るかい」


 言葉も重ねて来た。まあ確かにもっともな意見だ。結局、朔太は最後までポイントは取れずということになりそうだ。かなり落ち込んでいる。


「しょうがないか。……では、終わらせるよ。しかたない。鍋に欠かせないお野菜とかけましてー、虫歯の人とときますー。その心はどちらもはくさい(白菜、歯臭い)でしょう」


『ブー! 』


「あれ? これもカンニングしてきたやつなんだけどな……んじゃあ、コレクターとかけましてー、スプレーとときますー、その心はどちらもしゅうしゅう(収集、シューシュー)します」


『ブー! 』


「なんでだよ! ちゃんとしてるだろ! 」


 謎かけばばあはニヤリと醜い笑いを浮かべると言った。


「最初に言ったじゃろ? 判定はワシの好みじゃと。今のは気に入らなかった。それだけじゃよ」


 謎かけばばあが、最初からそうするつもりなのは明らかだった。いくらうまい謎かけを考えようと、最後の最後で(まる)を出さなければプレイヤーはアウトだ。好みだと言われれば言い返せない。そして、最初にそのルールは告げている。文句を言うならそのタイミングしかないだろうが、言えないようにすぐスタートするという念の入れようだ。



 しかし、朔太も依里亜もそのことには気づいていた。やはり、頭脳戦で時間制限があろうと、リタイア可能ではいくらでも考えることができてしまう。


 もしかすると運営の立場としては、最初からそこまで気づくことを含めてクリアのハードル設定をしているのかもしれないが、謎かけばばあ自体は殺す気まんまんだ。現在ばばあは実体がないのでそれは何とかしなくてはいけない。



「依里亜いくよ」


「OK! 」


 というと依里亜はレイピアを抜いた。


「ワシに攻撃は通用せんわ。ほへほへほへ」


「それはどうかな。『Appear(アピア)(姿を現せ)』」


 謎かけばばあは、()()()して浮いていた空中から落ちてきた。朔太には目の前に見えているババアを実体化し本体を出現させるイメージなど簡単なことだった。


 その瞬間に依里亜はババアの左腕を手首の下の部分で切り飛ばし、首にレイピアを突きつけた。


「腕はほんとにやるよって脅しね? どうする?首を切られて死ぬ? それとも私たちと一緒に部屋に潰されて死ぬ? 」


 左腕からは血ではないなにかよくわからないものが出続けている。先程まで醜く笑っていたババアの顔は驚きと恐怖で歪んでいる。


 なるほど、『羅生門』で、下人に太刀を突きつけられた老婆はこんな顔をしていたのか、と思った。


「もちろん最後は、謎かけで終らせるわよ。そのピンポン鳴るやつしっかり持っておきなさい」


 依里亜は首にあてたレイピアに力を入れる。


「謎かけばばあとかけましてー、イカの王とときますー、さて、その心は? 」


「ううう……」


 謎かけばばあは何も言えない。


「どちらもいかさま(イカサマ、イカ様)よ! 」


『ピンポーン! 』


「いりっちです! 」


 依里亜もなぜか謎のフレーズを口にしていた。



 ―――――――――



 5階フロアを全クリアした依里亜たちは、現在7階を進んでいた。


「しかし、いろんな『かけババア』がいたね。」


「わたしねー、今回初めて「ひじかけ」と「ひざかけ」が名前もすごく似てるのに全然違うことに気づいたわ。意識しないと気づかない言葉ってたくさんあるわよね。『か()()()き』なんて『た』が3つも並んでる」


「あー、横浜にある駅で『上大岡駅』も『かみ()()()か』って、『お』が3つ並ぶよ。うん、で、『ひじかけババア』はふんぞり返って偉そうだったよね。『ひざかけババア』はリラックスしすぎ」


「『たてかけババア』と『かべかけババア』は違いが微妙すぎてわからなかったわ」


「『死にかけババア』は名前の通りで中ボスを名乗ってはいけない人だったね。同情しか感じなかったよ」


「『お出かけババア』も『食べかけババア』も部屋にいないってのは意味がよくわからなかったね。ドアを開けただけでクリアの中ボスもどうかと」


「『ふりかけババア』と『たまごかけババア』は逆に体力回復しちゃう勢いだし」


「あの中で『かけババア』四天王って、そりゃ『砂かけ』と『謎かけ』は入ると思うけど、あと2人って誰だったんだろう」


「うーん」


 真剣に2人が考えながら進んでいくと、廊下に泣いている女の子がいた。3つの棺桶に囲まれていた。


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