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無生物テイマーは家電が好きなのです  作者: はむにゃん
第2章 仙台のビルでイベントするよ
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イベントとビル

(運営)『イベントは明後日の朝9時開始です。期間は2週間。場所は仙台駅前にあるSS31(エスエスサーティワン)


「あーあのなんかでっかいビルか。最上階から夜景が見えるはず。行ったことないけど」


 依里亜はたまには朔太と夜景を見るのもいいかと思った。ぜひ家電たちはなしで。


(運営)『1階から31階まで登ってください。最上階のボスを倒せばクリアですが5階ごとに中ボスも出ますし、各フロアにもモンスターは出現しますのでお気をつけください』


「倒して進むやつかあ。いわゆる普通のゲームのダンジョンをビルでやろうってことね」


(運営)『チャレンジは3回のみとなり、パーティが全滅した時点で全員地下3階にリスポーンしますが、途中で死んでしまった方はその時点で棺桶に入りますので、残りのパーティの方が引きずっていってください』


「あーあの、なんか見たことあるやつだわ! 『おお!勇者よ!死んでしまうとは、引きずって行く方が情けない気持ちになるよ』ってやつ。」


 依里亜は某有名ゲームを思い浮かべていた。


「なんか違う気がする」


(運営)『途中で何人死んでも、パーティの誰か1人でもその階をクリアすれば、パーティ全員に豪華なアイテムが付与されます』


「私たちみたいな転生組はワンチャンしかないよねー。つか、1回でも死んだらダメだけど」


(運営)『イベントですので、転生組の皆様も安心してお楽しみいただけるように、HPが10%を切るか、あと一撃で死ぬという直前に強制的に地下3階に転移させていただきます。その判断は運営にお任せ頂きますが、1人ずつの転送となります。チャンスは同じく3回ありますので、お楽しみくださいませ』


「話聞こえてたんか! つまり、普通のプレイヤーは死んだらやり直し。転生組は死ぬ前にやり直しね。で、さらに転生組に棺桶はなし」


 朔太がさらに詳しく分析する。


「たとえば、ラスボスまでノーダメでたどり着いたとする。そのボスの攻撃力が、食らう人のHPを上回っていた場合、たとえフルだろうがそれが当たる直前に強制転送ってことか。まあ、モンスターの設定とかも運営がしてるんだから監視とかしてなくても確かに自動で処理できるんだろうなあ」


「そうね。ちょっとだけ転生組のハードルが高い気もするけど、確かに異常なスキル持ちもたくさんいるから、ちょうどいいくらいのバランスかもしれないわね……通常組は最大で5つの棺桶を引きずることもありえるけど」


「というか、チャレンジ3回って、もちろんみんなが楽しめるようにってーのもあるだろうけど、たぶん『初見殺しトラップ』とかもあるよってことのような気もする」


 朔太がサラッと伏線を張った気がした。


(運営)『行き詰まったらリタイアはステータス画面から可能です。自分でリタイアされた場合は、2週間のイベント期間内なら、何度でもリタイアされたところから再挑戦できます』


「へえ、それじゃトラップ見て、対応策を考えるためにリタイアして次の日再挑戦もありってことか。トラップを食らって死ぬ前なら回数も減らないと。長期戦なのかもしれないね。あと、他の人との情報共有もできるね」


(運営)『なお、当日は大変混雑が予想されますので、公共交通機関をご利用ください』



「……マイカお留守番だって」


 マイカの口数は日毎に少なくなって行く気もしたが、さすがにビルの廊下を車で走る訳にはいくまい。なにより、階段もエレベーターも無理……階段はいけるのか。【悪路走行】のスキルでゴーレム登れるって言ってたし。


 ということで、全員で行くことにした。


「下の方の階のモンスターは、マイカが全部轢き殺せばいいんじゃない? 」


 と物騒な提案を朔太がしたが、全員が迷わず賛成した。



(運営)『では、参加希望の方は、ステータス画面からエントリーをしてください』


「え? 私それ見れないわよ」


「まじ? 」


 朔太は自分の画面を出したところだったが、依里亜からは画面の詳細はよく見えなかった。


「私たちのステータスは最初からレビが一括管理よ。最初に『ステータスオープン』って言ったらレビのスイッチ入ったし」


「へ、へえ、便利なのか不便なのかわかんないね」


「私もだけど、冷蔵庫とかレンジが自分の意思でステータス画面出せる訳ないでしょ! 」


 と見ると、依里亜以外の全員がステータス画面を出していた。


「ガーン! なにそれー! どうなってんのー! とりあえず参加が! 私の参加が! 」


(ピー! )

『ステがめん さいしょからだすの できたよ』


「ブルータス、いやブンジ……おまえもか」


(運営)『なお、パーティを組んでいる方は、メンバーのどなたか1人のエントリーで結構です』


「ですよねー」


 代表して名前が朔太だけにサクサクとエントリーを済ませると、すぐにエントリー終了のメッセージと共に、なにやら変なメッセージが送られてきた。



【ザゲコスの終わりに、ラッパが最初に鳴るだろう。ナイフの真ん中を利用しろ。無能でも頭を使わなければ死することとなるだろう】



「え、まず『リアル脱出ゲーム』やれってこと? 」


 その後何を試しても依里亜のステータス画面は出てこなかった。


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