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9話 身を守るという事について

陽が傾き始めた頃、一休はクーリンと透子を起こす。

「起きろー、起きろー」

クーリンは声ですぐに目覚めるが、透子はは寝起きが悪い・・・


「クーリン、其の辺にある掘り起こした色の良い茸を狩って集めてくれ」

「ああ、・・・爺さん俺たちが寝ている間、掘ってくれたのか!」

クーリンは茸狩りを始める。


透子を、ぺちぺち叩いたり、ゆさゆさ揺すっているが、一向に目覚めない。

「う~んzんzzz・・・・」

「・・・・・・」


更に強く、ぺちべきぺちべき叩いたり、ゆっさゆっさ揺すってみるが、効果なし。

「う~んzんzzz・・・・」

「・・・・・・」


更にもっと強く、ぺっちべきぺっちべき叩いたり、ゆっさりゆっさり揺すってみるが、全く効果なし。

「う~んzんzzz・・・・」

「・・・・・・」



ジト目になった一休。

「これ!いい加減に起きんか!!」


メンドくさくなって、甲羅で透子にダイブした。

「ぐぐぇー、つっーぅ!!」

・・・透子悶絶・・・・・・




「ひっひどいじゃない! もっと優しく起こしてくれてもよいでしょうが!!」

「フッ お主がそれを言うかい!」

「・・・だな」

クーリンせっせと茸狩りして集める・・・


「はっ! か弱い乙女に甲羅アタックはないでしょう#」

「優しく起こしてもいつまでもぐうたら寝ているほうが悪いわい」

「・・・だな、じいさんじゃなけりゃ、死んでるぞ」

クーリンせっせと茸狩りして集める・・・


「えっ!」

「そうじゃな、何かきたらよけんとな」

「うっ!」

「・・・だね、危機感なさすぎる」

クーリンせっせと茸狩りして集める・・・


「あのね! 普通は寝ている時に何かあるとは思わないのよ!」

「はっ? こりゃ随分とおめでたい頭じゃのう・・・」

「・・・だろ、・・・野外で何もないってのがめずらしいんだけどな」

クーリンせっせと茸狩りして集める・・・


「えーっ、私がわるいっていうの?」

「フム、悪いと言うよか、このままじゃいかんの! ここは加護地じゃからの、邪なものは入り込めぬし、獣どもは、わしが見張りをしておったゆえ、寄り付かんかったがのぅ、そのように無防備のまま眠りこけているようじゃ、襲ってくれと言っているようなものじゃな。お主は捕食の対象じゃ。」

「・・・だな」

クーリンせっせと茸狩りして集める・・・


「ひぇーっ!?・・・なんか、昨日も捕食されるとか言う話をしたような・・・」

「なんじゃクーリンに言われたのかい・・・例え寝ていても、何か気配を察知したら、瞬間的に退避する。あるいは、反射的に攻撃をする、ウォーターボールやアローとかでな。又は防御する、ウォーターシールドやウォールとかじゃな。反応せねば身を守る事は出来ぬ。起こされても起きぬのは問題外じゃ!」

「・・・全くだね」

クーリンせっせと茸狩りして集める・・・


「うぅー、すみません。・・・でも、寝てなくても瞬間的に退避とか、む無理だから!」

「・・・かもしれぬ・・・」

「・・・トロ子だからね」

クーリンせっせと茸狩りして集める・・・


「・・・でも、水球ならだせるし、アロー?アローって、矢だっけ?横文字苦手なんだよね~ ウォーターアロゥー? 」

透子はSパイダーマンの手の形で水矢を出す。


ウォーターアローは・・・矢というより、矢尻のついた水ロープのように放物線を描いて、わずか1m先にストンと落ちた・・・


「「「・・・・・・・・・」」」




「・・・なんか違うよね??」

「・・・漁師が船から海に投げ入れるのに似ていたようじゃが??」

「・・・今のは絶対ウォーターアローとは認めない! ぶっぶっっ・・・くくっふっ・・・」

クーリンは唖然としたがすぐに立ち直って、茸狩りして集めるのを再開したが、背中を丸めて肩が小刻みに震えている、せっせとは・・・はかどっていないようだ。


「フン!クーリン笑いすぎよ# 今のはね、弓がなかったからちょっとイメージが違っただけよ! 水の破魔矢!」

透子は見よう見まねの弓道をイメージして、左手で水弓をつがえ、右手の中指は伸展、矢の方向を示し、他の四指は屈曲、水弦を保持し、水矢を思いっきり引いて離す・・・・・・・・・すると、矢は引いた方向にバックして後ろやや斜め方向の5m先の木に当たった・・・・・・


「「「・・・・・・・・・」」」




「なんで~え~??? なんでバックするのぅ??? 弓引いて離したら普通前に行くよね?当たらなくても前に飛ぶよね?ノーコンで上か下でも一応前方向に飛ぶよね? なんで後ろ? 後ろに飛ぶってありえない! 百歩譲っても後ろに引いてそのまま下に落下するならまだわかる、後ろに飛ぶって!何ぃ?~しかも木に当たってるし~」


「ほぅ、なかなか器用な事をするな!」

「ぶっほっ!!  はっはっはっ・・・ひっひぃ~・・・はっはっはっ・・・くっ苦しーぃ・・・ひっひぃ~・・・」

クーリン、とうとうこらえきれずに、お腹を抱えて大爆笑!! ・・・茸狩りどころではなくなっている!


「・・・おかしい、絶対におかしい?・・・まっまさかこれが異世界補正?」

「んなわけあるか!」

一休が短い尻尾を伸ばして、透子をペチペチ叩く。


「お主は矢を離す直前どこを見ていた? 始めは前を見ていたかもしれん、だが目標の木をしかと認識したのか?目標を定めず漠然と前を見ただけでは、最後に見た物が上書きされるのじゃ、矢を離す直前にその木を見たであろう?」

「あっ!!・・・見たかも?」


「・・・まあ、良い、発動はするのじゃ、目標をしかと定めれば当たるじゃろ!」

「もう一回やってみる!」

・・・クーリンは笑いが収まらずに全身を震わせている・・・



透子は弓道をイメージしながら前方10mくらい先の木に狙いを定める・・・しっかりイメージを固定し水矢を放す。

破魔矢の形をした水矢は回転しながら真っ直ぐに木に刺さり、ドリルのようにくい込んでいき、穴を開けて通り抜けていった。


「やったぁ!!」

「フム」

「うん・・・いいんじゃね」


「今の感じを忘れんようにする事じゃな!」

「はいっ!」

「・・・だね」

クーリンはまたせっせと茸狩りして集める・・・


「じゃあ、次はウォーターウォール、壁だね!」

「・・・いや、それはまた明日にしようぞ、もう陽が傾き始めて、茜色に差し掛かる、陽が落ちる前にあの洞窟に戻ったほうがよかろう、クーリンに任せておらんで、トロ子も茸をバックにしまって、下山する用意なのじゃ」

「え~、やっと乗ってきたのに~」

「え~じゃなかろう、山で野宿するかの?」

「いっやぁ~、そっそれもいやかなぁー、・・・下山します」

我が身を優先に、手のひらをかえす透子。


「初めから素直になることじゃな」

「・・・だな」

クーリン、透子に茸をポイする・・・次々とポイする。

透子は(私の扱い、ひどくね?)とかブツブツ言いながら、ポイされた茸をバッグにしまっていた。






透子とクーリンと一休は、茸の収穫を終えて、洞窟に向かって山道を下っていく。

クーリンが先頭で、透子が追いかける。

一休はバックの脇ポケットの中。


行きと同じように?透子は、足を木の根にけつまづいたり、落ち葉に足を滑らしたり、小石を踏んづけて転びそうになったりしながら、辛うじてギリギリセーフの攻防が繰り広げられていた。


夕暮れが深くなってくると、影が長く刺し込み足元が見えにくくなり、またなれない山の獣道ということもあり、疲労感も追い打ちをかけ、遂に、攻防がアウトを迎えた。


「ギィヤァーアーー」

透子が足を滑らして落ちていく・・・・・・


(ヤバイヤバイ! えっとそうだ!バルーンよ!)

「バルーンで防御!」

透子は2mくらいのバルーンの中に入ったまま、更に加速して転がり落ちて行く・・・


クーリンは、上から転がり落ちてくる巨大な水球もどきバルーンを華麗にシュッと避けながら、その中で更に転がっているトロ子を呆気に見送っていった。


(目がぁ・・・目が回るぅ~・・・回らないでぇ~)

「バルーン かっ回転なし!」

透子入りバルーンは回転は止まったまま、ずっずっずーと山肌をすべって行く・・・

時折、岩にあたったりしてボヨン・・・、木にはじかれたりしてボヨン・・・とバウンドして落ちていく・・・


一休はバッグのポケットの奥に潜り込んで振り落とされないように踏ん張っていた!


(痛ってーえ~・・・止まってぇ~)

「て 低反発クッション衝撃吸収、木に停止、止まれ!!」


ドッシーン!!

木にへばりつくように、透子入りバルーンは漸く停止した。

もちろんバッグ脇ポケットの一休も同様である。


「ひっえ~、やっやっと止まった!・・・死んだわ!」

「・・・全くじゃ、昨日から毎日死線をくぐり抜けてるようじゃ!」


「・・・」

「・・・」


「はぁ、つっ疲れた!!」

「同意じゃ、年寄りをいたわらんかい」


「無理! 余裕ないし」

「・・・だろうな、しかしこれはなんじゃ、ウォーターボールの中のようじゃが、空洞で水膜に当たる衝撃が反発して消えて体に来ないようになっている。面白い仕様じゃな、お主の世界の物か?」


「うん、そうだね、低反発の衝撃吸収材をイメージした。精密な機械・・・道具のカバーや梱包に使われているよ」

「・・・そのまま、ボールの形を変形して、自分自身の体形を覆うようにできるかの?」


「体形を覆う?」

(宇宙服みたいな感じ?・・・いやいやオーバー過ぎる、ないわ。 医療最前線の細菌ウィルス等の防護服?・・・いやぁそれもなんだかね? だよねぇ・・・全身を覆うスーツ?ファイヤーマン?とかレスキュー隊?・・・あっ海猿だ!! 潜水だよ!潜水! ダイビングのウエットスーツ!」

「ウエットスーツ全身」


「・・・バッグも入れんかい!」

「あっ!・・・バッグ含んで覆う」


「できた?」

(まるで水の膜で丸ごとラッピングされているみたいだわ)

「できているようじゃ、動けるかの? その木に体当たりしてみるのじゃ」


「・・・痛くない、大丈夫みたい」

「ほうか、ならば、ウエットスーツと言ったな?それをシールドとして認識するのじゃ、その際、低反発を攻撃に対して高反発して弾きかえすとイメージするのじゃ」

「・・・わかった!」


「フム、ではそれを一旦解除して、シールドとして張り直すのじゃ、バッグも忘れずにな」

「はい、(シールド=水の防御ウエットスーツ衝撃吸収・対攻撃高反発でイメージね、なんだかいけそう)シールド!」



「・・・できてる?大丈夫?」

「・・・できておるようじゃ」

「やったー!」

「あとは、クーリンじゃな」





クーリンがスタッーと駆け下りてきた。

「なかなか見つからないから、どこまで落ちたのかと思いましたよ!」


「フム、大変であったのう」

・・・一休遠い目をする


「クーリン、待ってたよ」

透子抱きつこうとする。


「げっ!」

クーリン身の危険を察知して、スッと避ける。


透子、広げた両手はからぶる。

「ちっ」

舌打ちをした。




「クーリン、トロ子がシールドを覚えたのじゃ、チイとばかり攻撃してくれんかの?防護力を見たいのじゃ、手加減はなしで良い。思いっきりカマしてくれ」

「イヤイヤ、待って待ってえ!」


クーリン、トロ子と一休の顔をみくらべて、困惑して視線が行ったり来たり・・・

「大丈夫じゃ、おそらく規格外のシールドじゃ」

「えー手加減ナウ・・・痛いのパスだから・・・」


「・・・OK!! 爺さん思いっきり蹴り上げるよ。トロ子覚悟!」

「ひぃえ~」

透子は身を竦めて顔を防御する。


クーリンは、左肩を狙って、突撃した!


(てっ鉄壁のシールド二重重ね!)・・・心で唱える。

透子のシールドは三重重ねとなった。


クーリンは自身の強化シールドを咄嗟に張って、アタックした!


シールド同士が触れた瞬間、青みがかった光がパシューツと反射して、クーリンを思いっきり弾き返した!


弾き返されたクーリンは、放物線を描いて上空に打ち上げられて、頂点に達した後、山の斜面にやや並行に沿って、溪谷に向かって落下していった・・・・・・






「・・・・・・」

「・・・・・・」


「・・・だっ大丈夫かな?クーリン」

「・・・何とかしておるじゃろ・・・たぶん?」


「・・・たぶん?? えーホントに大丈夫かなぁ~、生きてるよね?!」

「・・・フム・・・あ~川に落ちたようじゃ・・・派手な水音がしたわい・・・水の中なら加護持ちは癒されるから生きておるじゃろうて?!」

「・・・」


「ここで戻って来るのを待つよりも洞窟で待った方が良かろう。 もうじき日も暮れる。このままシールドを張ったまま下りて行くほうが安全じゃ、ひたすら川原まで降りると良い。さあ、行け!」

「・・・ハイハイ」


「ハイは1つじゃな」

「ワカリマシタ・・・ヨ!」































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