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6話 精霊魔法ってイメージが大事らしい

洞窟の外に出ると、朝日が眩しい。

やっぱり、異世界なんだな、と、しみじみ思う。


「クーリン、どの辺練習しようか?」

「川岸がいいよ、水の多いところの方が発動が良いから」


「川で手と顔を洗ってからね」

「それなら、水の玉、だしてみたら?」


「水の玉だしてどうするの?」

「手と顔を洗うんだろ? 顔の前に玉だして中に、手と顔突っ込めばいいだろ」


「あ~、なるほど!!」

「あ~、じゃねえわ、水に限らず、魔法は何でもイメージが大事だろ?」


「イメージね、イメージ!」

「そうだ、人は知能が高くいろいろなイメージで魔法を使う」


「やってみるね」

(水の玉って、バレーボールくらいかしら? ちょっと小さい? ビーチボールくらいかな?)

「水球 ビーチボールサイズ!」


ビーチボールサイズの水球が顔の前に現れる。

「おー出た!!」

「いいじゃね! そのまま維持しろよ」


「えー 維持って?」

「だから消えないようにするんだろ」


「イヤ、意味はわかる、わかってるよ!、そういう意味じゃなくてね・・・」

「いいから、早く顔突っ込め!」


「えっ? 顔?」

「洗わないのか?」


「・・・・・・」

透子は恐る恐る水球に顔を当ててみる。

すると、水球の壁が変形して顔のラインにそって、ピッタリと張り付く。

まるでクレラップを顔にはりつけたようだ。


「ひっ! はっはっ!はっはっはっ!はっはっはっはっ!・・・・もうダメ、おかしすぎる!・・・はっはっはっ!・・・こんな水の玉、初めて見た!」

クーリンは、お腹を抱えて大笑い!


透子は水球を掴んで、顔から離すと、手を突っ込んで見る。

突っ込めないまま押し潰していき、手のラインに沿って水球は形を変化する。

「あれ?~」

掴むとグニャリと潰れる。柔らかいグミのようだ!

振ってみると、先端部が重力に負けて、反動でブルンブルンする。

叩くと、ピシャリピシャリと水面上を叩いた感触がする。

どうやっても、膜のようなものに阻まれて、水球の中には侵入できなかった。


「ひっ! はぁぁ~!!、はっはっはっ!・・・何その水の玉?・・・変!・・・変、変だよ!」

クーリンはそれを見て、ますます大笑い!!


イラっとした透子は、それを消した。



「クーリン、ひどいよ! 笑いすぎでしょ!」

「はっはっはっ・・・あぁ~・・・ひっ!苦しい!・・・笑い過ぎて・・・こっこんなに苦しい思いをしたのは・・・はっ初めてだよ!・・・はっはっはっ!・・・くっ苦しい!・・・」


「・・・・・・」

仕方がないので、クーリンの笑いが止まるまで、ふてくされて待った。







「あ~苦しかった!」

「########」


「あのさ、あの水の玉、何をイメージしたのさ?」

「えっ、だからビーチボール・・・」


「ボールは玉だろ? ビーチって何?」

「浜辺?」


「ホントか? 浜辺って海と陸の間にあるよね?」

「あー・・・ビニール?」


「ビニールって、何」

「・・・だから、透明っぽい膜みたいな・・・液体を通さない・・・袋?」


「それだ! 水を通さないんだろ?」

「あーー! そうか!! だから半分空気が抜けたビーチボールみたいな感じになったのか?」


もう一度、やり直す。

「水球の中に侵入できて、水洗いができるボール」


先ほどと、同じような水球が現れる。

透子は恐る恐る手を伸ばす。

すると今度は玉の中に手が侵入する、水の中に確かに手がある。

透子は顔を近づけて行くと、水球の中に顔が入る。

まるで洗面器の中の水に顔をつけたような感触だった。


用がすむと、そのまま上下左右にうごかしてみる。

ぐるぐる回してみる。

回転したまま、対岸の岩に当ててみる。


・・・粉砕した!!


「さっきのウォーターも壁削ってたけど、何イメージしたら、あんな威力でるのさ」

「え~、私の方が聞きたい!」


「・・・なんかさ、魔法の発動は大丈夫そうだけど、コントロールがダメだな❗」

「あー、やっぱり!」


「もう少し何とかしろよ」

「わかった」


「あと、さっきの水、何処からだした?」

「さあ?」


「あのな、せっかく川辺にいるんだから、川の水を使えよ!」

「川? どうやって?」


「・・・だから、イメージだろ、何度も言わせんな!」

「ハイハイ!イメージねぇ」


「あるところから持ってくるのと、ないところから作り出すのは、どっちが力使うと思っているんだ# ああ#」

「・・・わかった!わかったから~」


「じゃあ、俺は狩りに行くから、トロ子は練習してろよ」

「ハイハイ」


「・・・水辺から離れるなよ、マジなヤツだぞ」

[わっわかった、わかったから!?」





[ふーっ」

全くクーリンってば、なんか私の扱い、ひどくない?

・・・もっと練習して、クーリンびっくりさせよう!


何しよう?

川の水を使うのね・・・そうだ!噴水ショーにしてみよう!


・・・・・・・・・

なんだろう⁉

著しく想像していたのと違うような・・・

噴水ショーって、もっと優雅な水のラインを描いていたはず?


・・・・・・・・・

なんだろう⁉

丸くないから?

川の流れのせい?


・・・・・・・・・・

おかしい?

どうして、そうなるんだろう?

どうみても、消防車の消火放水にしか見えない‼


・・・・・・・・・・

そう、むしろ、防災イベントの消防車数台による放水ショーと言った方が正しいかもしれない!

何だか、ワイルド過ぎて、水飛沫が凄いワ!?

水の勢いで魚もピチピチ跳ね上がるワ!

優雅の欠片も無い!

噴水のイメージどこへ行った?


・・・・・・・・・・

なんだでろう?

イメージしたはずのものと結果が、あさっての方向に思い切りズレているだろう⁉


「あー! ヤバい! 魚が降ってきた!大漁だ!!」

「すっ ストップ!」

・・・・・・はぁ~、参った!

どうしよう?


辺りを見回すと、あっちでもこっちでもそっちでも魚とか魚とか魚とか魚じゃない生物とか打ち上げられて散乱中


あ~あ~、絶対クーリンになんか言われるワ!




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