5話 精霊魔法を練習してみました
透子モフモフ継続中
「やめっ・・離せ・・うぅぅ・・そこっ・・あーぁあーぁ・・さわんじゃ~ねぇぇ・・やめろううぅ・・離せよぅ・・くそう・・いい加減にぃ・・あぁ~あぁぁ・・きも苦しぃ・・はぁはぁあ・・勘弁して・・頼むぅ・・離して~くれ~・・あぁ~あー・・」
以下同文
(止まった!!・・・寝た?・・・・・寝た?・・・寝たよな?・・・・・あ~ひどい目にあった!・・・なんだコイツ・・・おかしいだろ?・・・耳とか尾とか・・・番でもないのに触りまくりやがって!・・・股関まで触りやがって、変態か!・・・いい加減に離せよな・・・くそう抜け出せない?・・・)
透子は寝ぼけながら、手はナデナデ・・・モフモフ・・・し始める。
(ナデナデ・・・ナデナデ・・・ナデナデ・・・スリスリ・・・スリスリ・・・スリスリ・・・)
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・・・・・そうして、朝が来た。
洞窟の中もうっすらと陽が差し込む。
「あー体痛い!、・・・どこ、ここ? 暖かいけど鍾乳洞? ・・・やばっ体痛い!・・・コウタ触り心地ちがくね?・・・ん?・・・コウタじゃない?・・・ってか犬じゃないじゃん!・・・何コレ?・・・もしかしてカワウソ?・・・うっそー、何でカワウソ抱っこしてるの?・・・ん~なんか思い出してきた、クーリンだ!クーリン!・・・えー夢じゃないの!・・・なんかリアルな夢だなって思っていたけど、本物?・・・まいったな・・・異世界転移、現実か!!」
「#いい加減に離しやがれ!! 噛むぞ#」
「ほい!!」
「投げんな#」
「・・・・・」
「あーひどい目にあったわ!おかげでねれんかったわ!」
「・・・・・」
「寝たかと思えば、寝ながら触りまくりやがって!」
「カワウソがしゃべっているわ、やっぱり異世界か・・・」
透子ガックリ肩をおとす。
「フン!いい加減に目を覚ませよ、ただでさえトロけてるんだからさ!」
「・・・・・」
「果実をだせ!朝メシにしよう」
透子は二種の果実をだして、クーリンと分け合って食べる。
「クーリン、今日も人里に向かって一杯歩くんだよね?」
「いや、今日はこのまま洞窟のそばで、ウンディーネ様の加護の力が使えるように、透子は特訓するんだよ。俺は狩りをしてもっと食料を集める。」
「そうそれ!昨日聞きそびれた話! 加護の力って何?」
「精霊様は、祝福と加護の力を与えてくれるんだ。人族は精霊魔法と呼んでいる。属性の眷属には生まれつき祝福があるんだ。魚は水属性だね。例えばアリやモグラなど地下に潜るのは地属性、鳥など飛ぶのは風属性、竜とドワーフの一部は火属性ってね。」
「うんうん、竜やドワーフがいるんだね・・」
(本当にファンタジーな世界だ)
「祝福は、少し力が使えるようになる。ないものよりも強いくらいだ。知能が低いと本能で使うから、身体能力が上がるくらいだよ、アタックが強くなったり、素早くなったり、ケガをしにくくなったり、だね。・・・人族は体は弱い代わりに知能でいろいろな使い方をする。」
「例えば?」
「水なら、飲み水を出したり、火ならかまどに火を入れたり・・・・・これが加護になるともっと大きな力になる・・・・・人族は人族同士で戦いに使う。・・・・・いろいろなモノを巻き添えにして・・・」
「・・・・・なんかさ、ゴメン!」
「いや、トロ子は悪くない、ここに来たばかりなんだし・・・」
「・・・」
「それでさ、トロ子はまだ全く水の力使えないだろう? これから先に行くとタッキー様の領域から遠くなればなるほど、危険なことが増えてくる。自分で自分の身は守らないと、生き残れない。・・・俺も守るけど、もともと力の強いものにはかなわないからな。・・・人族も弱いけど聖霊様の力を聖霊魔法として昇華させることができるからものすごい強さを持つ人もいる。・・・だから、とりあえず加護あるんだから、水の精霊魔法ってやつを使えるようになってくれよ!」
「あっあっあのね!、言ってることはわかるんだけどね。私いた世界は精霊とか魔法とか、無いから!!・・・いきなり使えるようになれって言われましても?どうすんの??って・・・」
「・・・わかんないけど、人は指先から水だしている。だせる?」
透子トライしてみる
「・・・・・出ない」
「体の中に巡っている力を感じて、強く思うと早く泳げて魚を掴める・・・そんな感じだ!」
[えーっ!なんかさ、ザックリ過ぎる!」
「いいから、早くやってみろ!」
「・・・体の中に巡っている力ねぇ?・・・血液とかリンパとか?・・・それ言ったら[気血水か!]東洋医学の世界じゃんか?・・・そうだそうなんじゃね?・・・経絡の流れを辿ってイメージしてみよう」
(まず始まりは、手の太陰肺経[チュウフ]~手の陽明大腸経~足の陽明胃経~足の太陰脾経~手の少陰心経~手の太陽小腸経~足の太陽膀胱経~足の少陰腎経~手の厥陰心包経~手の少陽三焦経~足の少陽胆経~足の厥陰肝経[キモン]・・・胸部で終わったら出れない!ダメじゃんか!・・・もう一回廻って、人差し指で水を出す?・・・あれっ?人差し指って[ショウヨウ]だ。経絡は入口だわ。ムリムリ!・・・出口は陰経だから母指の[ショウショウ]か、中指の[チュウショウ]か、小指の[ショウショウ]か、小指はやりにくそうだし、母指はなんかイマイチ感だし、Sパイダーマンみたいに中指から糸出すみたいにやってみよう。・・・)
ピューーッと、勢いよく細い水が走り出す。
「・・・・・」
「・・・・・」
ピューーッと、勢いよく細い水が走したまま出続けている。
「・・・・・」
「・・・・・」
ピューーッと、勢いよく細い水が走り、出した水が鍾乳洞の壁を削り始めた。
「・・・・・そろそろ止めたら?」
「・・・できた!!・・できたよクーリン!」
「わかった!わかっているから、俺にその指向けないで!・・・ってか、早く止めろよ」
「はあぁ~」
水を止めた透子は中指を抱きしめて感動に浸る・・・
「・・・・・」
「・・・・・」
しばし時が過ぎる・・・
「トロ子!オーイ!オーイ!そろそろ戻ってきてもらえますかね?トロ子さん!!」
「あぁ~クーリン」
「大丈夫かよ?なんかトリップしてたぞ」
「うんうん、大丈夫!大丈夫!・・・・感動に浸ってただけだから」
「・・・なんかさ、洞窟の中じゃ壁壊すとヤバイから、外にでようぜ。外で使い方練習してみろよ。」
「わかった」