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4話 コツメカワウソを初めてモフってみました

洞窟に向かうと、周りにアメリカンチェリーのような実が群生していた。


「トロ子、ベリーだ。これも採って行こう」


1個食べてみると、アメリカンチェリーのようなブルーべりーのような味がした。

「美味しいね」


ショルダーバッグを開けて「ビニ袋S」を呼び出す。

「クーリン、この袋に一杯集めよう」

「おう」


洞窟は見た感じ洞穴のような感じで、奥は浅かった。

二人?(一人と1匹かもしれない??)で、座ってべりーを食べる。


「ねぇ、クーリン、今夜はその水の洞窟で寝るんだよね?」


「うん」


「人里までどれくらいあるのかな?」


「俺の足で4~5日くらいか?」


「えっ! そんなに!」


「うん、でもウンディーネ様の加護の力を使えるようになれば、もっと早く着くかも?」


「ウンディーネ様の加護の力って?」


「う~ん、その話は長くなりそうだから、目的地の洞窟で夕食の時にしよう。」


「え~気になる」


「ざっくり言うと、加護を得ると、いろいろな力が使えるようになるって話」


「ざっくり過ぎるよ」


「もう、行こう。陽が沈む前に魚を狩って、洞窟に着かないと、トロ子が餌になりそうだ!」


「・・・・・怖いよ!怖いよ!餌とか言わないで!!」


「じゃあ、さっさっと行こうぜ!・・・トロ子だからってトロトロすんな!」


「・・・・・わかったわよ・・・それからトロ子じゃないから!透子だからね!」

(くそっ!聞いてないな、コイツ!、カワウソってもっと可愛い生き物だったはず?TVで見たのや、動画サイトのは、人に懐いてウルウルもんだったのにぃ~、そうだ!!今夜は絶対モフモフしてもふりだおしてやろう♪  尻尾はもちろん!お腹とか!顎とか!耳とか!ちょー楽しみ♪♪ )


クーリン(ゾクッ!!  なんだろう?? 嫌な感じがする?・・・・・殺気は感じられないし、危険が差し迫っているわけじゃないのに、ゾクゾクした胸さわぎがする?)

振り返って、透子を見る。


透子は、ニヤっと微笑む。


クーリン(・・・なんだろう??不気味感じの笑顔だ!)


「どうかしたの?クーリン」

今度はニコッとする。


「・・・イヤ、何でも・・・」

(気のせいかな?・・・・・・・・・・)


透子とクーリンは、進んでいく。







空が少し茜色に染まり始めた頃


「・・・見えた。あそこの岩肌の先に、洞窟がある」


「・・・ようやく着くのね」


「この川原で魚とかエビとかドジョウを狩ってくるから袋用意して待ってて、岸にあげたらどんどん入れてよ」


「・・・・・・」


「・・・まさか魚も触れないなんて言うとか?」

クーリン、じろ目する。


「いやいや魚は大丈夫。触って料理するし。エビとドジョウは・・・たぶん・・・たぶん大丈夫??・・・触ったことないけど。」


「・・・・・」


「がっがんばります!」


クーリンはあきれたような仕草をしてきびすをかえすと、川に飛び込みもぐっていく。

透子は、ショルダーバッグから「ビニ袋L」を取り出した。


少しすると、川から岸へ魚が放り投げられてくる。

(アユとかヤマメとかだろうか?20~30cmくらいの魚だ。川魚は詳しくないがアユの塩焼きなら食べたことがある。美味しかったな。)


感傷に浸っていると、あっという間に魚が積み上げられていく・・・

(やばっ!思ったより魚が大きい、足りない、袋に入りきれない。)


「ちょちょっと!!クーリン!クーリン!、まだ狩るの?もう袋一杯なんだけど!!」


クーリン川から顔出す。

「トロ子も10匹くらい食うだろう?」


「はっ??何その大食漢! ないないない!そんなに食べないから!一匹で十分だから!」


「えっ?一匹? ウソだろ?全然足りないだろ?」


「いやいや足りるから!・・・(そうだ!お弁当!)おっお弁当があるのよ!食べないと悪くなっちゃうから」


「・・・・・バッグに入っているなら、大丈夫だろ!」


(・・・・・そうだった!マジックバックになってたんだっけ?)

「それじゃ二匹でいいから、人はそんなに食べないから!」


「・・・・・・魚嫌いか?」

クーリン悲しそうシュンとして言う


(やばっ!)

「違う!魚は好きだけど、他のものも一緒に食べるから、二匹以上食べることはあまりしないの! それにそのクーリンが狩った魚は大きいから、お腹一杯になっちゃう」


「そっそうか!」


「そうなの!だからクーリンが食べないとあまっちゃうよ」


「わかった」


(ほっ・・・助かった・・・でもこんなに沢山20匹以上あるよね? クーリン食べきれるのかな?)


クーリンが川から上がって、来た。


「なんか沢山あるけど、大丈夫?」


「何が?」


「・・・だから、量が」


「そのマジックバッグにいれとけば、いれたときのままいつでも食えるだろ?」


「・・・そうでした」


「じゃあ洞窟にいこうぜ!メシにしよう」


透子魚のはいったビニ袋を持ちあげる。

(くっ重い! ビニ袋もヤバイ!二重にしないと破けそう?)


クーリン4、5m先を行って、振り返ってあきれたように言う。

「あのさ、なんでマジックバッグにいれないのさ? 重そうに手に持ってヨタヨタ歩いてたら、またコケるだろ?何も持ってなくてもコケまくるのにさ?」


「うっ、反論できない」

あわてて、ショルダーバッグを開けて魚袋をしまう。

クーリンの後を追いかけて行く。






「ここは、洞窟というか、鍾乳洞だね」


「鍾乳洞? ここは壁に地表水が流れていて、奥に行くと地底湖があり地下水も流れている。このような水洞窟は寒いところが多いが、地底湖の水が熱いから、熱で洞窟内も暖かいんだ。」


「えっ? もしかしてその地底湖って、温泉?」


「温泉?」


「あー温泉知らないか、もしかして近くに火山ある?えーと火の山?」


「そう、ここは火の山の近くだよ」


「やっぱり温泉だね。」


「だから、鍾乳洞とか、温泉って何?」


「鍾乳洞は、クーリンの言う水洞窟かな。温泉は火の山の近くで湧き出ている熱い水のことで、40℃くらいの温度にして、体ごと浸かると疲れが取れたり、体の悪いところが良くなったりする。」


「あーそういえば、山でクマとかサルとかが、煙の出ている熱い水に入ってるの見たことあるわ。」


「クーリンは、入らないの?」


「ないね」


「ふぅーん」


「少し奥に入って、メシにしよう」






「この辺でいいか」


「そうだね、あの石のあたりなら乾いているね」


ショルダーバッグから、魚入り袋を出す。お昼のお弁当と水筒を出す。

クーリンがガサゴソしながら、魚を取り出して食べ始める。その可愛げな姿に似合わず、あまりにも豪快に次から次から食べるので、透子はポカンとしてじっと見たまま固まった。


「あっトロ子どれにする? さっさっと選ばないと、食べ終わるよ! トロ子はトロイからな、これでよいか?」

クーリンが魚を差し出す。


「・・・あっありがとう、いやいいんだけどね、なっなんかすごいね」


「ん?なにが」


「いいや・・・その食べ具合というか、食べっぷりというか、量というか、どこに収まっているの?」


「・・しるか」


「・・・・・」


「それがお弁当か?人族のメシまともに見るのは初めてだ」


「そう、二段箱になっていて、上におかず、下にご飯が入っているのよ」


弁当箱を開けて、見せる。

(今日のお弁当は、ウィンナーと笹カマと卵焼きとほうれん草のおひたしとひじきの煮とプチトマト、栄養学的なことは詳しくないが、赤と黄と緑の信号色プラス白と黒が入るようにするとバランスが良くなるらしいので気を付けている。ご飯は、俵握りで4つ、白飯に混ぜ込みネタで、ゆかりと梅の組合せと、青菜と白ゴマの組合せで2個ずつだ。)


「なんか、色とりどりでカラフルだ、元が何かよくわからないが、いい匂いがする。」


「ちょっと味見してみる?・・・ウィンナーはどう?」


「それは肉か?」


「そうだよ、肉を微塵にして味つけて腸詰にしたのを、焼いたの」

クーリンに爪楊枝でさして渡す。


くんくん匂いを嗅ぐ。

「その木の棒ごと食えるのか?」


「イヤ、それは返して」


クーリン、首をかしげてから、パクリとウィンナーをかじり、爪楊枝を返す。

「・・・・・ほい」

「うまっ!」

「もう1個いい?」

上目づかいで、藤子を見つめる。


(うわっ!可愛い!あざといくらい可愛い、抱きしめたい!)

「いっいいよ」

ウィンナーにケチャップをつけてわたす。

「この赤いソースは、トマトからできでいるから、ウィンナーにつけて食べると美味しくなる」


「へー、そういえば人族は、焼いたり煮たりして何かつけて食べたりしていたね。」

クーリン匂いを嗅いでから食べてみる。


「うまっ!・・・・・あーやばいわ、人族のメシヤバいわ」


(ケチャップは万能ソースだからねぇ)

(あーあ、でもこれが日本の最後の晩餐か、明日からはサバイバルメシだよね、どうしようかな?魚もあるし、半分にするか)


「クーリン、魚焼くか煮るしたいけど」


「焼くのは洞窟の中は煙でひどくなるからやめたほうがいいけど、煮るなら何か入れ物がいるか?」


「そうだった。なべがないわ」


「そうだ、あそこの石の上に置いておいたらどうだ?」


「石の上?」


「あそこは、熱い風が吹き込んでいるため、石の上がすごく熱いんだ。」


「へー」

石の側に行くと、水蒸気が吹き付けてくる。

(そうか、天然の蒸し釜みたいになっているのか、いいね。)

魚を置く


しばらくすると、魚の匂いが生臭い感じから香ばしくかわる。

箸でつついてみると、身が白くなって、熱がとおったようで、食べごろ?になった。


箸でつついてほぐして、食べてみる。

(淡白でライトな味だが、塩味が足りない。塩か醤油がほしい。ほうれん草のおひたしようにプチ醤油はあるけど、この先もう手にはいるかわからないから使いたくない。そうだ胡椒がある!胡椒ならかなりあるはずだし、少しかければいいからそうしよう。)

ショルダーバッグを開けて、「胡椒」を呼ぶ。

魚にかけて食べてみる。

「うん、この方がいい」


「クーリンご馳走様、魚美味しかったよ」


「ごちそうさま?」


「私がいたところ、日本っていうんだけど、食べ終わったら、[ごちそうさま]ってあいさつするんだよ。用意をしてくれた人や、命の恵みに対して感謝の気持ちをこめてね」


「ふーん」


「クーリン、ここで寝るの?」


「そうだね、ここは光が反射してるから明るいから、少しだけ奥に行って寝ようか。あまり真っ暗でもトロ子がコケまくりそうだし」


「・・・酷い」




移動する。

「ここでいいんじゃね?」


「う~ん・・・クーリンちょっと暗くて怖いからここに来て」


クーリンがそばに寄り添う。

(来た!捕まえた!・・・やったぁ♪・・・ナデナデ・・・ナデナデ・・・ナデナデ・・・スリスリ・・・スリスリ・・・スリスリ・・・)


「やっ・・やぅ・・やめっ・・やめろぅ・・」


「クーリン、可愛い、一杯モフモフさせてね!!」

(ナデナデ・・・ナデナデ・・・ナデナデ・・・スリスリ・・・スリスリ・・・スリスリ・・・モフリモフリモフリ・・・モフリモフリ・・・)

そうして、背中もお腹も、尻尾も頭も、あらゆるところを触りまくって、触りまくって、ちょっと間違ってオチンチンも軽くなでで、顔もこすりつけて、十分に堪能したまま眠りに落ちた透子であった。





(夢の中も、ナデナデ・・・ナデナデ・・・モフリモフリ・・・モフリモフリ・・・)





































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