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38話 墜落?


「トーコ! トーコ! 起きんか! 里に着くぞ」

一休はマジックハンドな手で、トーコをペチペチした。


「んーまだムリー・・・寝かせて~」


「ワシはいいがな、里の広場にみんなが出迎えておるぞ! そんな寝ぼけたツラを晒してよいかの?」

一休はマジックハンドな手で、トーコをペチペチペチペチしていた。


「んー、里の広場ぁ~? 羽毛布団いいよねぇ~」


「・・・羽毛布団・・・」

寝ぼけたままダーのライフを削る透子


「里のみんなが、トーココールしておるぞ。良いのか起きんでも?」

一休はマジックハンドな手で、トーコをペチペチペチペチペチペチし続けていた。


「トーココールぅ? モーニングコールぅ?」


「・・・ダメじゃ、もう知らん! 勝手に恥さらせじゃ」

一休は面倒くさくなって、透子の脇腹をつねった。


「イギィー! 痛いじゃないの!」

トーコはカアァーと大きく目が開いた。


一休につねられた透子は反射的につかまっていたダーの首を絞めた。

「グッエエェー」

ダーは、失速し、空中でよろめいた。


「「「「「「あっ! 危ない!!」」」」」」

地上から見ていた者たちから声が上がった。


ダーが失速したため、相対的にマーとローが追い抜いて行く。


すれ違い際で、クーリンが呆れるように言った。

「何をやっているのさ? 空中でふざけると危ないよ! 墜落してもいいようにバルーン高反発張っておいたほうがよいんじゃね? あれなら落ちても地表で弾けるよ!」


「うっ! ・・・かもしれない。」

クーリンの警告という名の黒歴史を蒸し返すさり気ないチクリがグサッと刺さった。


透子は後方に流れてくる風圧にバランスを失い落ちないようにダーを強く掴むと、ダーは首を少し後屈して体勢を崩して落下し始めた。


「「「ああああああぁーーーーー 」」」

地上から見ている獣人から、悲鳴のような声が聞こえた。


「ヤバい!」

透子は慌てて詠唱を唱える。

『シールドバルーン高反発・・・回転なし』


透子のシールドは、ダーごと透子と一休を球状に包んで、そのままのスピードを保ったまま真っすぐに落下した。



『 ボーォーオォォーーーン 』


地表に着いたかと思ったら、そのまま真上にはじき返した。


透子のシールドバルーンは周りの木々の高さを超えて、さらにもっと上空に跳ね上がって行く。

やがて上昇力を失うと、一瞬停止して、急降下した。


「ひっひぇぇぇーーー」


そのまま急降下したシールドバルーンは2度目の着地をした。


『 ボーォーオォォーーーン 』


そして再び木々の高さを超えて上空に跳ね上がって行く。

やがて先程よりは低い高さで上昇力を失うと、一瞬停止して、急降下した。


「ひっひぇぇぇーーーとと止まっててーーーー」


そのまま急降下したシールドバルーンは3度目の着地をした。


『 ボーォーオォォーーーン 』


無常にもシールドバルーンはまた木々の高さを超えて上空に跳ね上がって行く。

やがて先程よりは低い高さで上昇力を失うと、一瞬停止して、急降下した。


「ひっええええぇぇーー 止まれーーえぇぇーーー」


もはや、某ハイランドパークにある垂直方向に上昇急降下運動するアトラクションになっていた。


ちなみに透子はこの手のアトラクションは得意ではないが苦手でもない。

しかし、シールドバルーンの上昇率はアトラクションの数倍の高さでになっていた、

透子がビビるのも無理はなかった。


『しっシールドバルーン反発低下、スピードダウン!』

透子が慌てて詠唱を重ねると、バルーンはわずかに光り、ゆっくりとスピードを落としていった。


『 ポーオォォーーン 』


シールドバルーンは4度目の着地をしたが先程よりはずっと軽く静かに弾んだ。

そしてまた木々の高さくらいに上空に跳ね上がって行く。


すると黒いクマさんたちの集団が目に入った。

黒クマさんたちもこちらを警戒しながらじっと見ている。


「止めてーー ボールの跳ね返りを止めてー お願いぃ!」

透子は叫んだ。

黒クマさんはお互いに顔を見合わせている。


「ボールが着地したら跳ね上がらないように抑えてー」

透子は叫ぶ。


やがて先程よりは低い高さで上昇力を失うと、一瞬停止してゆっくりと降下した。


『シールドバルーン反発低下、スピードダウン!』

透子はもう一度詠唱を重ね掛けした。


『 ポーオォーーン 』


シールドバルーンは5度目の着地をしたが先程より軽く静かに弾んだ。


黒クマさんたちが慌ててバルーンに縋ろうとしたが弾かれたスピードの方が早く、黒クマさんたちを払い落として上空に跳ね上がって行った。


「お願いー 頑張って! 止めてぇー」

透子は叫ぶ。

「ボールが着地したら跳ね上がらないように上から抑えてー」


先程よりは低い高さで上昇力を失うと、一瞬停止してゆっくりと降下した。


『シールドバルーン反発低下、スピードダウン!』

透子はさらにもう一度詠唱を重ね掛けした。


『 ポォーーン 』


シールドバルーンは6度目の着地をしたが先程よりもずっと軽く静かに弾んだ。


黒クマさんたちが再び一斉にバルーンにすがりついた。

そしてバルーンは黒クマさんたちの背丈を超えることなく、地表に押しつけられて停止した。


「はあぁ~、た助かった!」

透子は一息ついて、ダーを見ると気絶していた。


「黒クマのみなさんありがとうございます。助かりました。バルーンを解除しますので離れてください」

透子がそう言うと、黒クマたちはバルーンから少し離れた。


『シールドバルーン解除』

詠唱を唱えると、薄い水色のバルーンはキラリとシャボン玉のように弾けて消えた。



「「「「おおおぉおー」」」」

黒クマさんたちから歓声があがった。


「あれっ? フクロウのダー爺だ!」

「あっ! ほんとだ」

「ひっくり返ってるけど大丈夫か?」

「あービクともしないぜ!」

「生きているのか? 」

「くたばってしまったんじゃねーだろか?」


「大丈夫じゃ、気絶しただけじゃ」

一休が言った。


「「「んん????」」」

「「「どこ???」」」


「ここじゃ」

透子がマジックバックの脇ポケットを示した。


「「「「「ああー」」」」」


「あっ! おまえっ あの時のカメ!」

一番大きい黒クマさんが指を指して言った。


「ん? なんじゃ?」

一休が怪訝な顔で返した。







6人の黒クマさんはアリク夜村のワグマ獣人たちだった。

作業を終えて里に戻ろうとしていた時に、空から丸い訳の分からないものが落ちてきたので、避難したら声がしたので見たら、私たちだったということです。


ワグマさんたちに丁寧に着地のお礼を言って、何か精霊魔法でできるお手伝いがないかと聞いたら、ワグマさんたちは顔を見合わせてから、1人がバックから木のコップを出して「喉が渇いたから水が欲しい」と言った。

冷たい水が良いか暖かい湯が良いか聞いたら、ワグマさんは冷たい水と言ったので、1℃の水をコップにたっぷりと注いだ。

「すごく冷えていてうまい!」と言ってくれて、他のワグマさんも欲しそうな顔をしたので、皆さんに同じように注いだ。


ワグマ獣人さんたちは2人は人化していたが、4人はクマさんそのままだった。

夜は獣化した方が夜目が聞き、安全に作業ができるんだそうです。

でも細かい作業は人化した方が便利なので4対2に分かれている。

獣化しているワグマ獣人さんは、日本で見たワグマそのものでなんだか懐かしい気持ちがした。


ある日、一番大きい力のある黒クマのモーデさんが、荷物をもって一時保管場所の洞窟に行ったら、カメが入り口に陣取って結界の魔法をかけて寝ていた。

声をかけても反応がないから、結界を叩いたり蹴っ飛ばしたりしたがビクともせず、完全に沈黙していたのであきらめて他の場所に行ったそうだ。


その話を聞いて心当たりがありすぎてなんだか申し訳ない気持ちになったので、「カメだけでなく私とカワウソも一緒で、疲れていたのでぐっすり眠ってしまって誰か来たことに気づかずすまないことをした」と、お詫びした。

モーデさんは大きな体をかがめて、「問題ない、きれいに使ってくれたようだし、渡来者の君が安全に過ごせて良かった」と笑って言ってくれた。




ワグマ獣人さんたちとそうして情報を交換していると、マーとクーリンを乗せたローが引き返してやってきた。







某ピザ屋の割引券にFハイランドのアトラクションの写真載っているのを見て、『墜落?』のネタを思いついて急遽投入してしまいました。この話にもうしばらくお付き合いください。

いつも読みにきてくれている方、ブクマをしてくれた方、ありがとうございます。

アクセスが少しずつ増えてきて励みになります。

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