2話 水の精霊
ショルダーバッグの使い方はわかったが、現実逃避したくなってきた。
地球上でないファンタジー的な場所にトリップした可能性が高くなってきたからだ。
それを [異世界]というのだろう!
まるで、ゲームか小説の世界のようだ。
とにかく、誰かとあえれば場所の謎は解ける可能性は高い。
滝壺から流れていく川を下っていけば人里をみつけられるかもしれない。
そうだ、この周りの滝壺風景を動画で撮っておこう。
ヒーリングスポットとして、
何かの時に癒されるかもしれないから~
タブレットのカメラを通して、風景動画を見る・・・・・・・
青い髪の妖精っぽいのがいる?!
タブレットを視線から外して、直接見る・・・・・・・・
何もいない?
タブレットのカメラを通して見る・・・・・・・・
青い髪の妖精と目が合う
直接見る・・・・
いない
タブレットのカメラを通して見る・・・・・・・
妖精が手を振っている‼
(えーーっ)
何か言っているが、言葉はわからない
妖精が水面上で、水をすくって飲む動作をする
そして私を指さす
・・・・・首をかしげる
また、妖精は水をすくって飲む動作をして指を私に向けてさす。
何かを言っているがわからない
妖精のジェスチャーを片手で真似してみる。
妖精はニコニコ笑って頷き、水面を指さす。
(ひょっとしたら、滝壺の水を飲め って言っている?)
岸まで行くと、妖精は何かを言ってまた水を飲む動作を繰り返す。
水を飲む動作をジェスチャーして水面を指してみる。
妖精は何度も頷く。
水際で片手で水をすくって、舐めてみる。
無色透明でミネラルウォーターのようだ。
妖精を見ると、もっと飲め!と言っているように聞こえた気がする・・・
思いきって飲んでみる
ゴクリと水が喉をうるわしていく・・・・・
食道を通して胃にたどり着いたのだろうか
まるでアルコールを飲んだときのように、カァーッと一瞬熱くなって軽く酩酊する。
そして、顔をあげて直接水面上を見ると、妖精がいた‼
「見えてるか? わかるか?」
妖精が聞く・・・・・言葉がわかる‼
コクコクと頷く
「我は、ウェンディーヌ、水の精霊。」
(妖精じゃなかった! 精霊らしい・・・どうちがうがわからんが、取り敢えず頷いておこう)
「我の水門をくぐり抜け、異界より渡りし人よ、本来ならば人の属する地の精霊の加護を受けるべきところだが、その方は地門でなく水門を通ったため、水の精霊の加護を与えよう」
水の精霊が手をかざすと、ミストシャワーがキラキラ反射して耀きながら頭上から降り注ぐ。
「・・・あの~、加護よりも、水門とやらを通ってここにきたならば、その水門からもとの場所に戻りたいというか、帰りたいんです。」
「この世界には、他の世界と繋ぐ門があるが、その門が開くのは、わからぬ。わかるのは、門の開閉と通したもののみじゃ。我が帰すことはできぬ」
「では、もとの世界、地球に帰れないのですか?」
「それもわからぬ。門はその方の世界と繋ぐのか、違う世界と繋ぐのか、常に未知じゃ」
「我ら精霊は、門を通った渡り人がこの世界に馴染めるよう加護を与え、従者を授けるのみよ」
「・・・ではここは、どこで、私はこれからどうしたらよいのです?」
「加護は既に与えた。それで生きていけるであろう。ここは人が住む場所ではない。人の集まりし所にいけば良かろう。その後の事は従者と話て決めるがよい。」
「・・・従者とは?」
「水の精霊のけん属にあるものを遣わす。ただ水中に住まうものでは、人であるその方とは合わぬ、水陸両方に住まうものになるであろう。・・・・・フム、その方の知り得るもの馴染みのあるもの・・・・・カエルはどうじゃ」
「えっ‼ カエル?・・・・・イヤイヤ無い!無いです。」
「フム、ではカメはどうじゃ? カメは地属性とも相性がよい」
「・・・従者という事は、これから一緒にいる仲間になるんですよね? 可愛いいこをお願いします。カメ可愛くないです。」
「・・・可愛いねぇ⁉ 我には水に属するものはみな愛しいであるがな。では、サンショウウオはどうじゃ? 丸い顔で目がつぶらであろう?」
「・・・ヌメってしてますよね! ヌメヌメでべっチャリじゃないですか! 私はもふもふが好きなんです! 犬とかウサギとかが大好きなんです!!」
「モフモフねぇ~ 水属性でそれを求めるのか? 何かいたであろうな?・・・う~ん? ん?ん? では、このものでよいであろう? [召喚カワウソ!]」
岸辺にカワウソが現れる。
「!!可愛いィ~ 」
「フム、ようやく決まって良かった。では、名を交換し契約を成す。自らを名乗りカワウソに名を与えよ」
「名前? ちょっと待って! 考えるから~ 名前名前う~ん?・・・・・・私は、水沢透子、カワウソの名前は クーリン、よろしくね!」
「水のけん属カワウソ、名はクーリン。水沢透子の従者と成りけり」
ミストシャワーがキラキラと降り注ぐ
「こんにちは、水沢透子、僕はクーリン、名をありがとう、これからよろしくね!」
「こんにちは、水沢は家名で名は透子よ、透子って呼んでね」
「透子よ、ではクーリンと共に去るが良い。クーリンには水の精霊の力を与えてある、透子が必要とする時に助けとなるであろう。この世界の基本的な事もクーリンと話すが良かろう。」
「水の精霊さま、ありがとうございます。クーリンと仲良くします」
「行こう、透子」
「うん!」