18話 もふもふ天国!
えー 今はモフモフ天国です。
クマ子ちゃんMサイズとクマ子ちゃんSサイズとクマ太君SSサイズに囲まれて ナデナデ・スリスリしながら 超しばらくぶりとなったお茶タイムしています。
はちみつハーブティーが五臓六腑にしみて涙がでそうです。
ここは、アリク集落 獣人の里 だそうです。
集落に近づいてきたら、木々から樹液を採る作業をしていた一家に出会いました。
トールさん一家です。
トールさんは2mくらいあるヒグマの獣人で、見た目は日本のプロレスラーにクマの耳としっぽが生えた感じで、樹液=樹糖蜜を採集してギルドに売る仕事をしているそうです。
奥さんのエナさんも180cmくらいある丸顔のかわいい系で、ヒューマンに耳としっぽがある獣人です。
それなのに、子供たちはクマそのもので二足歩行してます。
クマ子ちゃんMサイズは、レナちゃん8歳で130cmくらい、ちょうどジャンボなぬいぐるみサイズで、抱きしめたくて、手がワキワキ・ウズウズしています。
エナさんのお手伝いをしているのでまわりをうろうろしています。
赤いジャンバースカートで歩くクマ子ちゃん♪かわいくて眼福です!
クマ子ちゃんSサイズは、ミナちゃん6歳で110cmくらい、カメとカワウソに興味深々で、這い蹲って、じーと見つめています。
はじめて見たそうです・・・一休はそしらぬ風で採れたての蜜をなめていて、クーリンはにじり寄るミナちゃんにジリジリと後退しながら、ティータイムどころではないようで 攻防戦が始まりそうな気配です。
ちなみにヒューマンは隣村に一杯いるので、興味ないそうです。
相手にしてくれません。(くすん)
クマ太君SSサイズは、モール君3歳で、なんと今!私の膝の上です!! もう幸せです! 短パン姿なのでモフモフし放題です!! エナさんがお茶を入れてくれたり片づけをしてくれたりいている間預けてくれたのです!
やさしくやさしくナデナデしていたら、うとうとしているようです。
大満足です。
トールさんは今、里長さんのところに行ってくれています。
里には宿屋がないので、客人は里の集会所の休憩室か誰かの家にお世話になるので、里長に報告・相談がいるのだそうです。
アルク里は集落と言っても、ヒューマンの里のよう囲われていて家々が集まっているわけではなく、森の木々がかなり間引きされた林の中に荷車が通れるくらいの林道があり、林道からの枝道奥に開けた土地に家がある感じで点在していて、日本でいうなら山高地にある別荘地域のような趣である。
隣の家は何とか木々の隙間から見えるところにありますくらいの距離間なのだ。
しばらく待つとトールさんが戻ってきました。
「トーコさん、イッキーさん、クーリンさん、お待たせしました。今夜は
里長の家に泊めるそうです。 食事も里長のところで用意します。案内しますね。」
イッキュウの発音は難しいようで、イッキー呼びになっていた。
ちなみにトウコもトーコになっていた。
クーリンがトロ子というので、トールさん一家が聞き返した時にしぶしぶ由来を話したら、なんだかかわいそうな目で見られてしまったが、さすがにトロ子呼ばわりはしない。
・・・大人だ。
一休もイッキー発言には微妙な顔をしていたが、あきらめたようだ。
ちなみに空気を読む一休は、トロ子ではなくトーコと呼ぶ・・・いい傾向だ。
「ありがとうございます。おせわになりました。」
透子はお礼を言って立ち上がった。
「えー、いっちゃうのー、ヤダー、くーちゃん、泊まってってなのー」
と、ミナちゃんがぐずりながら、おねだりした。
「あー、ミナ、里長の言うことは守らないといけないんだよ」
トールさんはミナを抱きあげて諭しながらあやした。
「うーん、じゃ、くーちゃん送っていくぅ」
ミナちゃんはトールさんからおりて、クーリンに手を差し伸べた。
「はぁ・・・」
クーリンはため息をついて、あきらめたように手を繋いだ。
そして、いつもは四足歩行なのに、二足で歩き始めた。
今のクーリンは、短パンにベスト姿だ。
集落が近くなった頃、一休に言われて、服を着たのだ。
手ぶらなクーリンがどこに隠し持っていたのか?と聞けば、渡来者の従者は精霊によって召喚されたときに精霊印が体の見えないところにあって、それに触れて願いを請えば小さな願いは精霊が叶えてくれるのだそうだ。・・・つまり服は精霊魔法によって発現したもので魔力がなければ消えるらしい。
魔力を流して維持するのは疲れるので、本物の服が欲しいそうだ。
村や町では服を着ていないと精霊の祝福ナシとみられて追い出されことが多い。
精霊魔法で証明をしないと宿や家に泊めてくれないそうだ。
一休は小さくなってバックに忍び込めばよいが、さすがに犬サイズのクーリンはムリだ。
一休が昔、町で暮していた頃は服はどうしたのか?と聞けば、さすがに甲羅に服はナイので、マントか帽子だったらしい・・・
(なるほどね~、そういえば、帽子をかぶった亀キーホルダー見たことあるわ。)
前を歩くクーリンとミナちゃんは、なんか真っ直ぐスタスタ歩く感じでなく、よちよち寄りはテクテクっぽい・・・よちテク・よちテクな歩きで肩が左右に揺れている。
なんだかほのぼのとして、和む。
クーリンも二足で立ち上がると1m以上になるので、ミナちゃんといい感じだ。
トールさんと並んで歩きながら、アルク里の話を聞いた。
「この里の半分はヒグマ獣人で、残りはヤギ獣人と狸獣人とウサギ獣人だ。
あと近くに夜行性の獣人が住むアルク夜里があって、そこは半分がワグマ獣人でキツネ獣とウサギ獣人とフクロウ族がいる。
魚や獣の肉を狩るのはヒグマ族とワグマ族で、他族は果実・木の実・茸・葉野菜の採集をしているが、里として対価を得るために、樹蜜や花蜜や蜂蜜を集めてギルドで売っている。
砂糖は南国からの輸入で高級品だから手に入りにくいので、代わりの甘味として樹糖や花蜜が用いられている。特に蜂蜜は薬の材料になり甘味も強いので人気があり、良い値で売れているよ。
里長から話があると思うが 里では基本的に物々交換か精霊魔法で対価を払うことになる。
硬貨は好まれないよ。その辺は大丈夫かい?」
「うーん、わからないけど内容次第だね。泊めてもらうからには、ただってわけにいかないだろうから対価が必要なのはわかるけど、何と交換できるか?だね。」
透子は戸惑いながら答えた。
「里長はムリなことを言うような人でないから、大丈夫だ。場合によっては、情報でもよいくらいだ。
そういえばトーコさんたちは何の精霊の祝福を得ているのかな?」
トールが探るように聞いた。
「一休とクーリンは、基はは水の精霊で水魔法の他に風の精霊魔法も使えるね。 私は水の精霊で、水魔法と上位の氷雪魔法もつかえるよ。ちょっとコントロールがへっぽこなんだけどね。」
透子は正直に答えた。
「へー君たちは水属性なんだね。トーコさんの黒目や黒髪の色だと闇の精霊の祝福があるのかと思ったよ。これはちょっと当てが外れたかもしれないなぁ」
トールは残念そうに言った。
「ん?・・・あてがはずれたって?」
透子は聞き返した。
「アルク夜里で闇の精霊魔法を使えるヒューマンを探しているんだ。
このあたりの村々にはだれもいないし、町や街に行くときは夜行性の奴らの代わりに聞いて歩いたりしたが全然見つからないんだよね。
夜行性獣人なら闇魔法使いがいるけど、ダメらしい・・・ヒューマンじゃないと。
でもヒューマンは夜は出歩かないし寝るだろ。
だから夜行性の獣人に頼まれて探してるんだけどね。
精霊は属性の色を好むっていうだろう? トーコさんの黒目黒髪を見た時、ヤッター見つけた!と思ってなんとしてもアルク里に来てもらおうと思ったのさ。 」
困ったようにトールは言った。
「あー、精霊が色を好む話は聞いたことがあるけどね。闇の精霊様にお会いしたことはないね~ なんだか申し訳ないけどねぇ?」
(・・・だからあんなに里へ行くことを進めたのね?・・・まぁ進められなくても来たけどね。クマ子ちゃんたち可愛いしね。)
透子は申し訳なさそうに言った。
「・・・そうか、残念だな。・・・しょうがない、また探しに行くことになるのか、 しかし氷雪魔法か!話には聞いたことあるけど 見たことないな。 ぜひ見てみたい。 里長なら氷雪魔法で何か頼むかもしれないな?」
トールは残念そうに言った後、目を輝かせた。
そんな話をしているうちに、里長の家が見えてきた。




