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16話 ブートキャンプ継続中?


本日も絶賛ブートキャンプ継続中!


・・・主にクーリンが






昨日はクーリンが、がんばって採集したものを昼に食べて、午後はひたすら行軍。


日が暮れる前に見つけた木の(うろ)前で、一休が甲羅の中からピンポン玉くらいの青い石を4つ出して洞のまわりを囲んだ。


水の精霊魔法が込められている結界石で、シールドドームの役割をすると透子とクーリンに説明した。

中から出るには簡単だが結界を発動した時に中にいた者以外が入ろうとしても弾くそうだ。


3人?は魚と弁当で夜食をすませて身を寄せ合って洞の中にもぐりこんで寝た。

クーリンが透子に抱きかかえられるのを嫌がって、ドダバタして一休に一喝されたのはもはや愛嬌だ。


洞は高さ約120cm幅70cmと奥行1mくらいでかなり狭い。

ゴツゴツが当たらないように透子はウォータークッションを発現して下にしいたが、長距離バスのように完全に横になれなかったので、あまりよくねれなかった。






今朝は日の出前の朝焼けに起きてしばらく歩いていくと、小さな湧水と小川を見つけた。

朝日が昇り木漏れ日が水に反射している。

まわりを見渡すと葉が朝露でキラキラしている。

(ちょっとしたメルヘンチックな光景だ。・・・しらYき姫と7人のKびとたちが出てきそう?!)


クーリンと一休は小川で捕食狩りしながら朝食。

透子はウォータークッションに座って、リセットしたお弁当を半分と昨日採集した果実で朝食。


食後、透子は小川沿いにはベリー系の実が野イチゴのようになっているのを採集。

小川の中には青い茸や水草っぽいのもあり、深さは30cmくらいなので手を突っ込んでそれらも採集。


クーリンと一休は水中でザリガニっぽいのやドジョウっぽいのも、つまみ食いしながら採集。

(クーリンは水辺の採集はいつもつまみ食いが基本だね。・・・ほんとよく食うわ!)




その後は進みながら、昨日と同じくクーリンがムササビになって、がんばっています!!


透子はマジックバックの口を開けて待機しながら、歩いています。

・・・時々つまずいたり、こけそうになったり、一休がポケットから落ちそうになったりして、遅々ながらもがんばっています。


そして時々、ウォーターアローをトライして実を爆散したりしています。

(・・・けしてストレス解消のためではありません!)

ウォーターカッターはあいかわらずウォーターロープもどきで鞭鞭しています・・・・・・




日が真上になった頃、休憩しランチを食べて少し居眠り。


一休に起こされて、再び午後はひたすら行軍し距離をかせぐ。


日が沈む前に、なんとか小さな洞穴を見つけた。

高さ160cm幅1m奥行1.5mくらいで、透子の身長は156cmだからギリギリ頭がぶつからないで入れた。


一休が洞穴の入り口と奥に青い結界石を置いてシールドドームを唱えると、石を起点に噴水のように青く揺らりと水のカーテンが発現し夕陽に反射した光の屈折が幻想的に見える。やがて光は収束し透明になりシールドドームが安定した。


夕食を食べて夜の闇に包まれた頃、ウォーターマットミニを発現し土上において3人で寝た。

寝る前に透子はクーリンを抱きしめようと襲いかかって、ウォーターマットの上でドタゴロ・バタゴロして、一休に一喝されたのは、もはやお約束事になりつつあった。


ウォーターマット・クッションの敷物系水魔法は休憩のたびに出して座ったり寝そべったりして、超役に立っている。サイズも中の水温も自由自在だ。


一休は微妙な顔をして、水魔法の使い方がおかしい?とか本来はそうじゃない?とかナントカぶつぶつ呟いていたようだけど、そんなのは無視だ!無視!


足が伸ばせなくてくの字になったが、横になれただけ昨夜よりはずっとましだった。

ウォーターマットの心地よい温水加減と疲労感でぐっすり寝た。





翌朝も朝焼けの時に起きる。・・・すがすがしい朝だ。


5日目にもなるとサバイバル生活にも大分なれてきたが、そろそろ髪も洗いたいし風呂も入りたい。


なによりも人間生活に戻りたい!


クーリンや一休と話はするが、なんか違うんだよね。


一休は基本、説教が多いし、クーリンは情報交換って感じで、おしゃべりではない!


そうよ! おしゃべりがしたいのよ! 

どーでもいいような話をダラダラと!お菓子を食べたりコーヒーを飲みながら・・・


日本に帰れないのは仕方がない。

だけど、まだこの世界の人に出会ってない!!

(クーリンと一休は人とは言わない、 獣と、爬虫類?甲殻類? だし・・・)




「ねえ、あとどれくらいで着きそう? 今日もまだ里か村に着かないの?」

透子は聞いた。


「フム、まだ山の中腹より少し下ったくらいかのう? 今の速さでは今日明日に里は無理だな。」

一休は答えた。


「トロ子おせーもんな。シールドのおかげでコケなくなってきたけど・・・」

クーリンはからかうように言う。


透子はギロッとクーリンを見て、一休に言う。

「ねぇ なんか早く歩くようになる魔法とか?早く移動できる魔法とか?ないの?」


「んん? ないわけではないがのぅ」

歯切れ悪く一休は答える。


「えっ!あるの?・・・何々?はやく教えてよ!」

透子は一休の甲羅を両脇でつかんでゆすった。


「はぁ、はなさんかい! ・・・もう」

ゆすられた一休は身をよぎって、透子の手をはたいて脱出した。


「ちっ! ・・・で、どうすれば早くなるの?」

はたかれた透子は舌打ちして、さらに問い詰めた。


「精霊魔法はイメージじゃと言うたろう? 

風魔法は割と簡単じゃ・・・シールドを纏い強風に乗るように進めばよい。

今よりずーと早く行けるようになるであろう。

水魔法は海ならば海流に川ならば渓流に乗るようにすれば早く泳いで進むであろう」

一休はシラッと言った。


「・・・泳いで進むって? 山と森の中で? ありえないよね?・・・風魔法だってクーリンはいいけど、私は使えないし?」

透子は半目で一休を見た。


一休は目をそらした。


「ぶっぶぶーー トロ子はムリってことじゃん! およげねぇーし」

クーリンは笑う。


「泳げるわよ! 泳げるけど、ここでは無理!っていってるのよ! 泳ぐとこじゃないし!」

透子はイラッとして叫んだ。


「イヤイヤ、ヒューマンのメスが泳ぐなど聞いたことがない。オスの船乗りならば見たことあるがの。人族のメスで泳ぐのは鱗族かリザートマンくらいであろうよ?」

一休は透子が見栄をはっておるのだろうと思って言った。


「あのね!この世界はどうか知らないけど、日本では6歳になって学校に行くと夏になるとプールっていう小さい池みたいなところで泳ぐ練習をするの! 

15か16歳の夏まで毎年泳ぐのよ。だからほとんどの人は泳げるのよ。

川で泳ぐことはあまりないけど泳ぐ人は泳ぐし、海水浴っていって海で泳ぐことは結構あるし浜で水遊びもするのよ! 

そりゃカワウソや亀にくらべたら泳げないかもしれないけど、人としては私は泳げるほうなの!!毎年夏に泳いでいるんだから!!」

透子は思いっきり勢いよく力説した!!


一休とクーリンは圧倒されてボーッとフリーズした!!


透子は保育園の時からスイミングクラブに通っていたので水泳は得意なのに、泳げないと馬鹿にされたようで頭にきて怒ったのだ。




「・・・そうなんだ! 知らなかったよ。ヒューマンはほとんど泳げないと聞いていたからさ。トロ子はほとんどじゃないヒューマンなんだね! じゃあ今度、川で一緒に泳ごうぜ!」

フリーズから回復したクーリンが天真爛漫に言った。


「あっああ、そのうちね」

()()のところに、若干怖じ気が入った透子は返事を少し濁らせた。

なぜならプールと海なら大丈夫だが、川で泳いだことがないからだ。

都会の川は泳げる環境にないし、レジャーは山より海派なので、泳げる川があるような山に行ったことがないからだった。


ようやく我に戻ってきた一休は

「これは驚いたのう。泳ぐメスのヒューマンか。」

首をふりながら言った。


「あのね! 泳げる泳げないの話になっているけどさ!  そうじゃなくて、早く里に行くために何か使える魔法があるのか?という話をしているんだけどね!」

透子は本題に戻した。

  

「フム、難しいのう、水魔法は水を操るのじゃ・・・水中ではいろいろできる。だが地上は水を発動するだけでもかなりの魔力を使う。シールドを張り維持するだけで一杯ではないかの? 余力があるならばシールドに何か付加魔法を重ねれば早くなるかもしれぬが・・・」

一休は思案しながら言う。


「付加魔法?・・・シールドに重ねる?」

透子は聞く。


「そうじゃ、クーリンならば風のシールドに跳躍の付加をかけておる。それで枝から枝に飛び移ることができるようになった。カワウソにはもともとそのようなことはできぬからの。・・・もっともクーリンは無意識かもしれぬ。獣は理論的に付加魔法をかけるなどと考えぬからの。本能に従った結果じゃろう。」


「つまりシールドに何か早くなるような付加魔法を重ねればいいってことね?」


「そうじゃ、 下り坂を転がるような感じかのう? 茸狩りの下山でバルーンで転がったときはクーリンより早かったわい」


「あー、確かにあれは早かったな!・・・でも転がり落ちるには坂が足りなくね?」

クーリンが思い出し笑いをするように言った。


「転がらないわよ#」

透子は仁王立ちして2人を指さす。


「まっまあ、あの時はバルーンの中じゃったしの」

一休が取り繕うように言う。


「シールドバルーンでよくね? 転がったほうが絶対早いよ!」

クーリンがおどけて言う。


「クーリン#」

透子がクーリンをギロッと睨む。


「おーっ、怖!」

クーリンは肩をすくめた。


「バルーンと転がるから離れて!」

透子はイラッとして声高に叫んだ。



一休は思案しながら言った。

「・・・水は流れる、であるな。 だが山や森の土の上で流れるのはきびしいのう?・・・・・・あとは、氷か雪の精霊魔法で滑る・・・とか?」


「滑る?・・・氷か雪で?!」

透子は聞き返しながら思案した。


(スケートか! スキー?・・・アイススケートだね! 板とストック無いし。スピードスケートのほうが早いけど靴履いたことないからフィギュアで! スニーカーをスケート靴に見立てて刃をイメージする・・・足元は氷上アイスリンク・・・いや アイスロードだ!・・・うん、行けそう!!)


「クーリン行ける? イメージつかめた! 行くよ!・・・アイススケート・ロード!」

透子はさっと一休をつかむと、ショルダーバックの脇ポケットに押し込んだ。


そしてアイスリンクで滑るように、木々の間を滑走し始めた。


「えーえええええええええー???」

透子の素早い問いかけと、初めて見るアイススケートによるなめらかな滑走に呆気になって、クーリンはポカンと突っ立って見送っていた・・・


透子の後ろ姿が見えなくなりかけた頃、ようやく我にもどってきて

「うそだろー?! ちょちょっと待って!待っててーーー 見失うからぁぁあああ!」

出遅れたクーリンは慌てて追いかけて行った。



実は小学生時代の透子は、夏はプールで冬はアイススケートリンクに通っていたのである。

フィギュアを習いたいと親に掛け合ったこともあったが、レッスン代が高額のため反対されて習えなかったが小遣いで足げく通って滑っていたので、ジャンプこそできないが、クロスステップもバックもターンもできて、スピンも5回転くらいまで見よう見まねで覚えた人であった。

リンクの中でノロノロと滑る人に接触しないように左右にスライドしながら滑っていたので、木々をよけて滑走するのは朝飯前でスイースイーと調子よく颯爽と快走して行く。



「やべーよー見えねー! 爺さぁーーん! トロ子止めてぇーー!」

クーリンは追いつけずに見失って、走りながら風に乗せるように叫んだ。






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