表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/50

12話 一休の話②


透子は期待に満ちた目で、一休の話に注目した。


「初めに、精霊と魔法についてじゃな。精霊様には6元素精霊がいる。火と水、天と地、光と闇、それぞれ対の関係じゃ、精霊魔法はその精霊様の祝福か祝音か加護をもらうことによって、行使できるのじゃ。 なければ、精霊魔法は、つかえんということじゃな。 

クーリンはもともと水の眷属で、庇護は受けていたようなので、祝福はされやすかったのであろう。召喚と同時に祝福を受けて、他族と言葉を解し精霊魔法が使えるようになったのじゃな。 

そして、幸か不幸かトロ子のシールドにはじき飛ばされた際に、風の精霊シルフ様にあって、風の祝福を受けたと、いうわけじゃ。

天の精霊様とは、風の大精霊様でシルフィード様じゃ。ワシはシルフィード様から祝福を受けたのじゃ。

水の精霊様の大精霊様は氷雪の精霊様じゃ、寒冷凍土地に行くか、か冬に雪が降ればお会いすることもあるであろう。

火の精霊様と火炎の大精霊様、土の精霊様と大地の大精霊様、光の精霊様と雷光の大精霊様、闇の精霊様と深淵の大精霊様がおる。

さらに大精霊様の上に精霊王がおるの。誰から祝福を得るかによって魔力のパワーが違うようじゃ。」


「じゃあ、私は水と氷が使えるから、水の精霊様と氷雪の大精霊様の加護を受けたということかしら?」


「フム、トロ子は門を渡りし来た、渡来者じゃ、渡来者の加護は王であるようじゃの? ゆえにパワーも強い。だが、使いこなすのも難しいようじゃ、過去の渡来者は、うまく使えずに潰えた者も多いようじゃ。」


(なに?それ? チートみたいだけど、潰えた?って、力の暴走とかそういうこと?・・・なんか怖いんですけど・・・大丈夫?)

「潰えたって、死んだの?精霊魔法で?」

透子、恐る恐る聞く。


「精霊魔法の発現は、イメージが大事であろう。そのイメージがうまくできない者が多いのじゃ。それはそれは渡来者であるかどうか関係なくでの。 

普通は祝福を得て、その精霊様と親しくなり、魔法を使ううちに上達すると、祝音が得られる。

そうしてさらに研鑽し精霊様に認められると加護を得られるというように、段階を踏むのじゃが、渡来者はその特異な状況ゆえ、はじめから加護が得られている。

しかしそれは全く戦ったことのないものに、高度な武器を持たせて戦えといっているのと同じようなもので、使ったことのないものは、使えんのじゃ! 使い方を聞いても、素養があれば多少は使えるかもしれんが、全くダメな場合もあるのじゃよ。 

また、元素精霊も渡った門に応じるため、本来の元素精霊と違った加護を受けたりとかじゃな。 たとえば魚族が火の門を渡ったり、翼族が土門を渡ったりとかじゃな。そんように対の元素精霊の魔法は習得がかなり困難じゃて。 使えんうちに、事故や障害にあたり、乗り越えられずに終わる者がおるのじゃ。

ちなみにヒューマンの元素精霊は土の精霊じゃよ。ヒューマンの約半数が土の精霊の祝福じゃな。あとは火と水と光がそれなりにいるであろうか? 土の精霊様に会えれば祝福は得られやすいであろう。

祝福は精霊様の気分しだいでな、会えたから必ず得られるとはかぎらぬ。 特に2つ目以上の場合はの。

他の精霊の祝福を嫌う精霊様もおるようでの。

あと、精霊魔法は目に現れるのじゃ。行使中はその精霊魔法の色が目に現れる。 水ならば青、風ならば緑、というように、火は赤、土は茶、光は黄金、闇は黒じゃな。

その逆もしかり、本来の目の色を、精霊は自身の色と同じを好む傾向がある。 トロ子の目は黒なので、闇の精霊に好まれそうじゃな。黒の瞳はこのイーストニア大陸では少数で珍しいからの。」


(何それ?! 闇の精霊とか、怖いんですけど、・・・英国発信の超有名な映画 HリーPッターに登場する[闇の魔術]とかの仲間じゃないでしょうね?? オカルト苦手なんで、勘弁してほしい。ダークネスとか、大丈夫? [悪のなんとか]じゃ、ないよね?? 悪系、パスなんです! 私は善良な一般人です。

[闇の大魔王]とか、出てこないよね? ね? ね?)

思いっきり、マイナー思考のただもれな透子顔の表情としぐさであった。


何かを察した一休が困惑したように言う。

「・・・・・・闇の精霊になにか、嫌な先入観でもあるようじゃな? この世界の闇の精霊は善正なる者であるぞ! 眠りと安息、休みと回復、夜の平穏をもたらす精霊様じゃ。 

対の光の精霊様は日中に活動力を与え、エネルギーを上昇し、邪気や妖気を浄化する精霊様じゃ。」


(んん?・・・なんか似たような作用を聞いたことがある。・・・なんだっけ?・・・そうだ!自律神経<追記①>の副交感神経<追記②>にと交感神経<追記③>の働きに似ているんだ!・・・あれっ、副交感神経とか思うと全然怖くなくなってきたわ。むしろちょっといいかも?・・・特に眠りと回復! なんか役立ちそうな効果じゃん! )

「ねえ、質問なんだけど、闇の精霊様って、夜に会えるの?」

あわよくば、・・・と、調子に乗り始めた透子。


コロッと、態度を変えた透子に呆れたように言う。

「そうじゃのう・・・・・・夜に会えるであろうが、日中活動し夜眠る者には、あまり機会はないようじゃ。夜行性の獣や獣人に祝福が得られやすいであろう・・・光の精霊様も日中に会えるが、こちらもめったに機会はないが、黄金の瞳を好むので、黄金目の者はチャンスがあろう・・・であるからの、光と闇の魔法が使えるのは少数なのじゃよ。」 


「ん? さっき、火と水と光はそれなりにいるって言ってなかったけ?」


「おおそうじゃ、ヒューマンにかぎって言えば、光はそれなりにおる。 王の一族に金の瞳が現れやすいということと、光の祝福は黄金目に得られるというため、庶民の子に黄目や金目が産まれると赤子のうちに国や貴族家で保護し手厚く育てる仕組みがあるようじゃ。聖者・聖女とよばれ、妖魔の浄化や治療にあたるそうじゃの。」


(あっ!また、怪しい単語が出てきた! 妖魔って何? 浄化というからに悪っぽい?!)

透子は微妙な顔で聞く。

「妖魔って? 何? ちょっと前に出てきた魔人とは違うの?」


「そうじゃ、魔人や魔獣は、もともと自身の体の核に魔力を貯めることで、魔法を使える者じゃが、善正なる者である。 

妖魔とは邪悪なる者で、妖気にあふれ負の魔力を使い善正なる者を落とそうとしている悪害じゃ!

妖魔の落者になりはてた妖人、妖獣、妖虫、妖魚がおる。

特に妖虫・妖魚は見つけ次第、抹殺せんと、病魔が広がって死者があふれることになる。

核の魔力を使う弱いものと、精霊の祝福を得ていても力が弱く知性が低いものは妖力に抗いにくく、負の感情が強いものは妖気に魅せられやすい傾向があるの。

妖力に取り込まれたものが、妖魔の落者となるのじゃ。

妖魔どもを退治するには、浄化魔法が必要で、火や水でも可能だが、光が一番効果が高いため、常に求められているのじゃな。

妖魔がパワーアップすると、モンスターに変容する。こうなると、討伐隊を組んで対応することになるのじゃ! 

この世界は、縄張り争いのほかに、妖魔との戦いに、強い力を求められているのじゃな。」


(げっ!まじか! 戦いはあるのか・・・やっぱ異世界に平和はないんだね・・・大丈夫かな? 生きていけるかな? ・・・いきなり死亡フラグとか勘弁してほしい・・・)

「・・・え~・・・あの~ 平和な世界からきたので、戦いとか無理!っていうか、もう一杯一杯なので危険なことはできるだけよけて生きたいな~」

透子は逃避行した目で言う。


「んー、厳しいかな・・・完全によけるのは無理であろうが、ここのような精霊様の庇護地か、結界のある町か街に行けばある程度は可能であろう。」

(フム、透子はあの川を氷づけにした魔法で無双しそうな無頼者か?と思ったが、そうではないようじゃ・・・・・・・じゃが平和な能天気でもあかんな。)


「あー、だから、今までその妖魔がいなかったのね!」


「そうじゃ、だが明日には庇護地を抜けて行く。 しばらくはめったに出ないと思うが要注意して行かねばならぬ! 特に妖虫にな・・・ 」


「はあぁ・・・まいったな! 虫苦手なんだよね! 虫よけの魔法とか、あったら知りたいな・・・なんて・・・」

一休に媚びた目をして言った。

(虫よけスプレーとかでもいいけど!・・・ やっぱ無理か・・)

透子は基本的に虫嫌いなので、殺虫剤の散布方法を、異世界妖虫に対し日本的発想で考えてみる。


一休は微妙に困惑した顔で言う。

「妖虫は避けるのではなく、撲滅じゃ!と言うたであろう?! 防護としてはシールドを張ればよい。トロ子のあのシールドであれば身を守るには十分じゃ」


「妖虫と体当たりすれば、はるかかなたにブッ飛んでいくよ! 簡単!簡単!」

クーリンは揶揄してからかう。


「クーリン!!」

透子はぶーっと膨れた。


一休は少し遠い目をして言う。

「そうよのう・・・あのシールドならば簡単にはじきそうじゃのう。・・・じゃが没滅とはいかぬであろう。生き残りが繁殖したらやっかいじゃ! ここは確実に[アロー]か[カッター]じぁな 」


「カッターって、もしかして水で何かを切る [ウォターカッター]っていうやつ?」


「そうじゃな・・・火水風土それぞれにあるがの・・・クーリンは、どうじゃ? 」


「えっ?それ、俺に聞くの?

う~ん、もともと魔獣じゃないから魔力も少ないし [ウォターカッター]に限らず放出系は、水がないところは無理! じいさんだって知ってるんじゃないか?」

少し驚いたように聞き返すクーリン。


「一応聞いてみたのじゃ、ならば[ウィンドカッター]じぁな!」


「はっ??」

思ってもみなかったことを言われてちょとんするクーリン!


「なんじゃ、その顔は? 風の祝福を得たのであろう? 爪撃で[カッター]出せるようになろうぞ! 」


「えーっ! [ウィンドカッター]? カワウソの俺が?」

ビックリするクーリン!


「なんじゃなんじゃ、自覚なしかいな?! 風の放出系は攻守ともに覚えておいて非常に役にたつ。従者は主を守らねばならぬ。 どこでも使える風魔法を身に着けることができるようになったのじゃ 使えるようにならんでどうする? 明日は特訓じゃ!」

一休はあきれたように、クーリンにハッパをかけた。


いつも一休に説教をされている透子は、クーリンをニヤニヤと見ていた。


透子の様子を察知した一休が言う。

「そなたもじゃ! [ウォーターアロー]の命中率は今一つじゃろ。[ウォターカッター]も使えるほうがよかろう。一緒に特訓じゃ!」


透子とクーリンは顔を見合わせて返事をした。」

「はあぁーぃ」

「へーぃ」


やる気のなさげな二人の返事に、一休のこみかみにシワがよる。

「なんじゃ、そのふにゃけた返事は## ぴしっとせんかい!!」


「はい!」

「はい!」


・・・そうして、明日のブートキャンプは決定した。










◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


医療用語解説  

<追記>

①自律神経→神経とは、体の各部にある組織と脳を繋ぐネットワークのことで、さまざまな指令や情報が神経を通じて行き来することで体の正常な働きが保たれています。

神経には脳や脊髄にある中枢神経と全身を巡る抹消神経があり、末梢神経には、運動機能に関わる体性神経と内臓器官の機能に関わる自律神経があります。

自律神経は内臓(心臓・肺・胃腸・肝臓・膀胱・膵易腺・内分泌腺・汗腺・瞳孔・血管)に多く分布し重要な働きをしています。


②副交感神経→自律神経には、交換神経と副交感神経があり、体の内外や部位に応じてアクセルとブレーキの役目を交代して働きます。

副交感神経は休息時・睡眠中に活発に働きます。

リラックスしている時や食事やトイレの時など脳が落ち着いて安心しているときに優位になります。


③交換神経→主に日中の活動時(仕事中)や緊張しているときに活発に働きます。

優位になると、脳が興奮し心拍数も増加し瞳孔が開き汗がでて血管が収縮します。ストレスや感情で優位状態が長く続くと体調不調や睡眠障害などのトラブルにつながりやすくなります。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ