10話 水の洞窟
ブックマークをしてくださった方、読みに来た方、ありがとうございます。
今年、正月明けに交通事故で病院に搬送されたため、更新が止まってしまいました。
リハビリを兼ねながら、亀更新となります。
暖かく見守っていただけたら、嬉しいです♪
透子と一休は山を降りて、昨晩の洞窟近くの川原に戻ってきた。
岸辺にクーリンの後ろ姿が見えてきた。
クーリンが無事だった事に透子はホッとした。
嬉しくなって手を振りながらクーリンに向かって駆け寄って行く!
「クーーリーン!」
透子は明るく呼ぶ
「・・・・・・」
「クーーリーン!」
透子は駆け寄りながら嬉しそうに呼ぶ
「・・・・・・」
「クーーリン!」
透子はクーリンの背後まできて呼び掛ける
「・・・・・・」
返事はない。
透子が近づくと、クーリンは背中を向けたまま、脇に小山ごとく積み上げた川魚を無言で食べていた。
透子はクーリンの前に回り込んで笑顔で呼んだ!
「クーリン!」
「・・・・・・」
クーリンは回り込んだ透子に背中を向けるようにその場で向きを変えた。
透子を無視するようにひたすら川魚を食べる。
透子はクーリンの前に回り込んで声をかける
「クーリン!」
「・・・・・・」
無視したまま、透子に背中を向けて、ひたすら川魚を食べる。
透子はまたクーリンの前に回り込んで呼ぶ
「クーリン!」
「・・・・・・」
脇の川魚を掴んで、透子に背中を向けて、川魚を食べながら無視する。
透子は少しイラッとしながら、背後から強く呼ぶ!
「クーリン!!」
ビクッとして、一瞬固まるが、また無視したままクーリンはひたすら食べ続ける。
「・・・・・・」
「クーリン!!」
「・・・・・・」
クーリンの態度に傷つきながらも、その原因が自分にある事を思いだした透子は、ガン無視をきめこむクーリンに優しく声掛する。
「クーリン」
「・・・・・・」
「クーリン」
「・・・・・・」
「クーリン」
「・・・・・・」
返事をしないクーリン
無視するクーリン
ひたすら食べているクーリン
クーリンが無事で嬉かった気持ちが萎れていく・・・透子であった。
一休はそんな二人のやりとりにため息をつく・・・
[洞窟内]
・・・透子、クーリンの前で突然、土下座した!
「クーリン、ごめんなさい」
「・・・・・・」
クーリンはびっくりして、固まった。
「クーリン、痛かったよね、あんなふうに飛んでいって、落ちたら怖い思いをしたよね。ごめんね!ごっめんなさい」
透子、頭を下げる。
「・・・・・・」
クーリンは固まったまま、対応に困惑していた。
「クーリンや、なんかいったらどうじゃ?」
「・・・・・・」
「そのようにいつまでもだんまりは、よくないのう・・・ わざとではないのは、わかっておるのじゃろう? シールドの反発力が予想以上の効果をあげたゆえじゃ・・・まあクーリンには災難ではあったがのう・・・こうして謝っておる、許して仲直りすることじゃ!!」
「うぅ うん・・・・・・」
クーリン、一休に説かれてようやく透子に向き合う
「もう いいよ! わかったから 」
「ほんと!! よかった!!」
がばっと、顔をあげて、クーリンを抱きしめた!
「ぐぇ~」
クーリン、透子の突撃ギュウギュウ絞めに、白目を剥く・・・
「クーーリーン♪」
透子は、夢中でうれしくなって、頬ずりしながら抱きしめていた。
一休は、ふぅ、とため息をついて、尾で透子をぺちぺちタップした。
「クーリンがつぶれておるわ! 絞殺されそうじゃ! いい加減にせんかい!」
「あぁ~ ごっごめんんねぇ~ うれしくってつい・・・」
クーリンは、ゲッホゲホしながら思う。
(あー 俺、コイツの従者、やめさしてくんないかなぁ~ 命が危機感 満載ダワ! あーぁモウ家に帰りたい! 片割れのアイツ、どうしてるかなぁ? あんなにうざかったのに、コイツにくらべリゃ、何倍もましだったワ、帰りたくなってきた ・・・なんで俺 召喚されちゃったんだろう??)
透子はクーリンをナデナデしながら、言った。
「あれ? クーリン、大きくなった??」
「はっ? まさか? ・・・・・・おい! さっき俺がドカ食いしていたから、横にでかくなった!とか いうんじゃないだろうな!!」
クーリン、透子の腕から逃げ出し、対面する。
透子はあわてて、首を横にふりながら
「えぇ? いやいやいや、デブったとかじゃなくてね ・・・縦というか あー横だけど・・・」
「おい! どっちだよ# 横とか言ってるじゃねえか# 」
クーリンが眉間を険しくする
「いやぁ、だからね! 全体的に一回り大きくなった気がするんだよね」
透子がジェスチャーしながら説明する。
「フム?」
一休は透子の言葉を聞いて、改めてクーリンをじっくり見た。
しばらく見つめながら考えて、そしてクーリンに聞いた。
「風のシルフ様に会ったかね?」
「会ったよ! よくわかったな!」
「そうか・・・・・・飛ばされた時にか?」
「そうだよ! あのまま落下して岩に激突したらオダブツだろ! ヤバイヤバイと思っていたら、目が合ったので、助けてくれ!って、言ったんだ」
「運のいい奴じゃのおう・・・で、どうした?」
「シルフ様が逆風を吹いて勢いを弱めて、そのまま川へ風で送ってくれたんだよ」
「フム! ならその時じゃな」
「??? ・・・・・・あとは、川を上りながら魚を狩ってきたのさ」
「そうか・・・で、わかっているのか?」
「だから、なにが?」
「大きくなったことじゃな!」
「???・・・繋がりが意味不明なんだけど? ・・・ってか、俺、大きくなったの?」
クーリンは首を傾げながら自分自身を見回してから、確認するように透子を見た。
「いやーぁ、私にふられましても?・・・でも、なんか触り心地がというか、面積が増えたような感触がしたんだよねぇ~」
透子は首を傾げながら、変態発言を話して手をワキワキさせながら、クーリンを見た。
クーリンは、全身がゾワワツーッとするのを感じて、透子から距離を取った。
「一休爺さん はっきり言ってくれよ! わかんねぇワ」
じれたクーリンが、イラツとして督促した。
「ほっほほほォ~ 雛とはいえ、のうわからないとは、シルフ様もカイがないじゃのうな」
「・・・・・・だから、何がだよ?」
クーリン、ややイラつく。
「・・・ってか、シルフ様って誰?」
透子が首をかしげる。
「ん? まだ知らぬのか? では後に話そうぞ」
「クーリンよ! 祝福じゃ! お主は水の眷属には珍しくシルフ様のエリアで会合した よって風の祝福を得たのじゃ! おめでとう!!よかったのう」
一休はニコニコ笑顔。
「えーっ! ほんっとに? まじで? 俺 空飛べないよ?!」
「んー、跳ね飛ばされたのも飛んだうちかものう? ・・・まあ空は羽がないから無理でも、跳躍ならガンバレば距離を行けるようになるのではないか? 走行はまちがいなく俊足で走るであろう、カワウソ種では一番になりそうじゃな! 」
「おーすげぇ! まじうれしい!」
「シルフ様にお礼を言ったかの? まだなら感謝を捧げるがよかろう、ヤマビコにのせようぞ!」
「シルフ様、風の祝福をありがとう! 天を行く精霊の恵みに心より感謝を捧げます!」
「シルフ様へ、ヤマビコ便、送信!・・・・・・これでよかろう」
「一休爺さんありがとう、爺さんも風の精霊魔法できるんだね?・・・珍しいんじゃね?」
「わしは海カメじゃ、川や池のような陸地では天の精霊様に会うのも難しいがの。 広大な海原ではシルフィード様が風を纏い遊んでおるのじゃよ、鯨の上でな甲羅干ししている時に知りおうたのじゃ 」
「へーそうなんだ! 海かぁ! 見たことないなぁ、行ってみたいなぁ~」
「まあ、透子と旅をすればいずれ機会もあるであろうよ」
クーリンと一休は海と風の精霊魔法の話を続けた・・・
風の精霊魔法で盛り上がっているクーリンと一休を横目に見ながら、
二人の会話に???の透子は、おいていかれて足もとに{のの字}を書いてイジケはじめた。
(???どうか、私に説明プリーズ!プリーズ!!)
「あの~ 話が全然ついていけてないんですけど~」
(シルフィード様って、誰? 天の聖霊様は?・・・風の精霊魔法、超、興味大アリなんですけどね!)
「もしもし~ そろそろ、説明お願いしたいんですけどねっ~」
シビレを切らした透子の叫びに 一休とクーリンは透子の存在を思い出してニガ笑いをした。