六話 世紀末に爪楊枝ってあったっけ??
(^ ^)
「知らない天井だ」
くぅー!異世界テンプレNO.3。知らない天井だ。達成!
昨日は異世界初日でかなり頑張ったからなぁ。今日も頑張ろう!!明日も明後日も〜♪
ラランラッヘイッ!
取り敢えず日課であるモンスト、ケリ姫、ニャンコ大戦争のログインボーナスが。
受け取れませんでした。
まぁ、そうだよな。ネットに繋がってないから出来る訳がない。一応、ニャンコ大戦争はプレイできる。統率力。要はスタミナが回復しないから限界はあるけど。《神権》でも解決できない以上、これはもう無理だろう。
素直に諦めようかと思ったが、
時空魔法で地球帰れんじゃね??
と思い、やってみた所、これも無理でした。
転生してから!
行った事がある場所への転移って事だな。まぁ今後も地球帰ってチートで大暴れルートを消すつもりはないので、方法を模索して行こう。
制服を着て、部屋に料理を持って来てもらう。昨日のディナーはステーキだった。何の肉かは知らんが、美味しかったのでどうでもいい。
朝食は具沢山なスープと何の葉かは知らんが、サラダ的なもの、後フランスパンみたいなヤツだった。これも美味しかったので文句なし。
礼を言い、店主に銀貨を5枚追加で渡して宿を後にした。向かうは冒険者ギルド。ちょうど金も無くなって来ていたので丁度いい。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「んピャッ!!??」
「おいおい、45のおっさんが変な声あげんなよ。気持ち悪いぞ」
「お、お前が!いきなり目の前に現れるからだろうが!!」
「ァハハハッ」
「わ!笑うんじゃねぇよ!!ふざけてんのか!!」
「まぁまぁ、そうムキになんなって。ギルマスのオッサンは若くないだからさ、な」
何故こんな事になっているかと言うと、宿を出た後ギルドに正面から入ってもよかったんだが、何と無く味気ない気がして、昨日失敗したギルマスを驚かそう作戦を決行する事にしたのだ。
そう決めてからギルマスの部屋へ転移。上の状況という事である。
「それで、ちゃんと用意出来たんだろうな」
「あぁ、用意したさ。徹夜でな。ほらよ」
渡されたのは膨らんだ皮袋。
中身を確認した所きちんと白金貨9枚、金貨100枚が入っていた。
「おぉ、やるじゃんオッサン!見直したわ!」
「うるせぇよ、俺はまだお兄さんだ。それでな、ちょっと話があるんだが」
「ん?何?」少し睨む。
「そんな顔すんなよ、別に悪い話じゃない。タカナシ、お前のギルドランクをBまであげる」
「は?なんでだよ?俺まだ薬草の採取しかしてないんだが??」
「そもそもその薬草採取の依頼が原因だ。タカナシが取って来た薬草は全部で1680個あった。ギルドランクってのは依頼にギルド側で点数を付け、 ランク毎に設定してる点数を越えればランクが上がるようになってる。ここまではいいか?」
「そうゆうシステムなんだな。あぁ、大丈夫だ。」
「一応、採取依頼についてんのは1点。1番低く設定されてんだが、それでも今回の依頼で336点になる。あとは分かるな?」
「そうゆう事か、内訳はどうなってんの?」
「FとEに上がる為の点数はどっちも一律10点、Dに上がる為の点数が30点、Cが100点、Bが300点+戦闘試験になってる。だが、今回は特例でBランクへの残りの点数と試験は免除する事にした。」
「ランクアップに伴う義務の発生はあるのか?」
「無いな。冒険者ってのは自由が売りの職種だからな、得るもの、名誉と多少の権利くらいがあるが、損は無い。」
「権利ってのはなんだ?」
「街にもよるが宿の値段が下がったりとかがあるな、中にはAランク以上しか泊まれない宿なんかもある」
《神権》でも確認したが、嘘はついていない
「そうか、ではせっかくの好意だ、受け取るとしよう。だが、急にどうしたんだ?昨日の出会い頭とは偉い変わりようだな」
「昨日からな、俺の感がずっと警報鳴らしてんだよ。現役時代はワイバーンと殺り合った事もあるんだがな。タカナシを見た瞬間、あん時よりガンガン鳴ってやがる。それと、モンスの怪我もタカナシ、お前の仕業だろう?」
「モンス?」
「昨日の登録ん時に絡んで来たやつだ」
「あぁ肉ダルマね」
「そうだ」
肉ダルマで伝わんのかよ笑
「左腕は完全にイカれてたし、首と内臓にもダメージがあった。にも関わらず周りの輩はモンスが勝手に倒れたなんて言ってやがる。一体どんな手使ったんだよ」
「え?勝手に倒れたんだよ?僕は何も知らないよ?」
「ふん、こんな事も教えてくれねぇのか?まぁいい、俺がタカナシに敵う気がしない以上この街でタカナシに敵う奴はいないからな。敵になると困るなら媚び売ってでも味方でいて貰うしかねぇ。最悪、味方で無くても敵対だけは避けたいからな。態度を改めたのはその辺が理由だ」
「へぇ。今度からオッサンじゃなくてギルマスって呼ぶ事にするわ!
いや〜しかしギルドが消えなくて良かった!俺もまだこの街でやりたい事があったからな」
「消そうとしてたのはお前さんだろが・・」
「まぁ、細かい事はいいじゃないかギルマス!」
「こちとら一大事なんだよ。後、下に降りて受付でギルドカードを渡してくれ、ランクの更新と薬草依頼の報酬が貰えるように指示してある」
「おう、りょーかい!じゃ、またなんかあったらよろしくな!ギルマス!」
「頼むから、大人しくしていてくれよ」
「はいはーい」
バタン。
「くはぁ。俺の冒険者時代の貯金が・・。アイツがこれ以上問題を起こさない事を祈るのみだな。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「あ、タカナシさん!ちょっといいですか!!」
ギルマスから金を奪い、一階へ降りると昨日倒れた受付嬢が何故か凄い強面で声をかけてくる。
「どしたの?そんな面で」
「あの、その、、き、きのうはごめんなさい!!」ゴンッ。「ぁぃたっ」プルプル。
しどろもどろし始めたと思ったらいきなり謝り、その勢いでデコを強打して、小刻みに震えてる。この子大丈夫だろうか??登録時はしっかり出来てたんだが、その後でかなりのドジっ子属性を発揮し始めている。
「ふふっ。」
「わ!笑わないでくだしゃいよー!」
次は噛んだし。
「だってキミ面白いんだから、仕方ないよ、ァハハハ!」
「んにゅ〜。もういいですもん!どうせ私は面白い人ですもんっ!じゃなくて!違くて!」
「わかったわかった、それで、なんで謝ってんの??」
「ほんとに分かってくれてます??信じてますよ!
それはその、昨日は急に意識が無くなってよくは覚えてないんですけど、どうやら薬草を見て気絶してたらしくて、そのご迷惑をお掛けしたな。
と思いまして・・なのでごめんなさいです、、グスン。」
「いいよ別に。いい収穫もあったしね」
「ほんとですかっ!?許してくれてますか??」
「うん、許す許す」
「はぁ良かったぁ。昨日からずっと謝ろうと思ってて、怒ってたらどうしようと思ってて、、」
「そっか。で、用事はそれだけ?」
「ぁ、ごめんなさい。伝えなきゃな事ありました!!ギルド長が呼んでました!!」
「あーうん、その件はもう済んだからいいよ。ランク更新の話は通ってる?」
「ぇ、そうなんですか?分かりました!ギルドランクの件も伺ってます!5分程になりますが、大丈夫ですか??」
「あぁ、大丈夫だ」
「はい!ではギルドカードお預かりします」
5分後、
「タカナシさん!はい、ギルドカーって、えぇぇぇぇ!!?ちょっと待って下さい!どうやらランクの表示ミスしてる見たいなのでちょっと確認してきます!」
ん?そんなミスあんのか?まぁ時間はあるしいいけど。
暫くして未だに興奮収まらぬ顔で帰ってくる受付嬢。
「あの〜、タカナシさん、ランクがどれくらい上がるかとか聞いてますか??」
「なんかBランクまで上げるとか聞いたと思うな」
「ぇっ。じゃぁこれ間違いじゃないんだ・・・。お待たせしてごめんなさい!どれくらい上がるのかまでは聞いてなくって。ギルドカードお返しします!
後、薬草依頼の達成報酬で銀貨10枚と銅貨8枚です!金貨がないみたいで銀貨でのお渡しになるんですけど、大丈夫ですか??」
「うん、いいよ」多分それ、俺のせいだし。
「私、タカナシさん相手だとミスしてばっかりですね、、ほんとにごめんなさいっ!」
「まぁ、次から頑張れな」
「はい、ありがとうございます。頑張ります!!」
なんかこの子には怒る気がしないんだよな〜
なんつーか子供を見守る保護者的な。
バタンッ!!
用事も済んだし帰ろうかなと思った所で、後ろから大きな音が聞こえて来た。それと共に静まるギルド内。視線をギルド入り口に向けると世紀末な格好の輩共がぞろぞろと。
「おい。昨日登録した新人でウチのモンスを可愛がってくれた奴をしらねぇか?」
先頭のボヤッキー崩れみたいな切れ目の爪楊枝が周りを見渡しながら問う。
・・・。みな自然と目を逸らす。
「ほう、そうかそうか。ここにいる奴は全員知らないんだな??もし、後で知ってる事が分かったらどうなるか分かってんだろうな?」
「どうなるんですかー??」
ギルド内の顔が一斉に振り返る。アニメとかなら、バッ!て効果音が付くだろうな。
「あん?勿論、こうだ。」
親指を立てて、首を横になぞる爪楊枝。
ちょっと古いよね。
せっかくなのでもうちょい遊ぶ。
「そんなんですねー。ちょっと聞きたいんですけど、モンスさんって黒竜の翼の一員ですよね??皆さんもそうなんですか??」
「当たり前だろうが、新人がウチのモンスを可愛いがってくれたらしいからな。クランメンバーなら挨拶くらいは大人として必要だろう?へへへ」
「へぇ、モンスさんみたいな人がクランメンバーだなんて、程度が知れますね」
周りの冒険者の目が大きく開かれる。もうやめてくれとでも言わんばかりの視線。
「おい、テメェ、今なんて言った?」
「だーかーらー。モンスのような木偶の坊囲っていい気になってる矮小クランって言ったんですよ。まるでゴミ溜めですね。知ってますか?ゴミってどんだけ集まっても宝石になる事はないんですよ??黒竜の翼改め、トカゲのフンとかに改名したらどうですか??」
周り冒険者達の目と口が塞がらない。
プルプル顔を横に振っている者もいる。
「ンだと!ゴラァァァァ!ぶっ殺す!ぜってーぶっ殺す!おい!テメェら!殺れ!」
「へっへ!黒竜の翼を侮辱した罪、しっかりと償わせてやるぜ!」
「はっは!死ね死ね!」
て、爪楊枝君、お前は来んのかい。既に一番後ろに下がってる。向かって来てるのは23人と後ろに爪楊枝君だね。とりあえずステータス開示。
ステータス
名前:マルス 年齢:19
レベル7
生命力50/50
魔力60/60
身体能力:F
魔法力:F
スキル
《火魔法》
コイツが一番レベルが高かった。うん。弱すぎだろ・・・。
火魔法持ってんのに、剣振ってるし。剣振ってんのに、剣術持ってないし。大丈夫か?名前は無駄にかっこいいのに。なんか色々と勿体ないやつだな。
これならモンスの方がまだ強かったな。モンスのステータスは見てないから体感だが。因みに爪楊枝君のステータスはこんな。
ステータス
名前:トゥースピック 年齢:25
レベル5
生命力15/15
魔力10/10
身体能力:G
魔法力:G
スキル
《隠密》《交渉術》
名前がまさかの爪楊枝だったね。ゴブリンにも負けるんじゃ無いかな??それこそポキッと逝きそうなステータスだな。てか戦闘要員じゃないです感出し過ぎだろ。
まぁ雑魚はパパッと終わらせよう。
《王威》発動。
ゴンッゴンッゴッゴッゴゴゴゴ
あ、やべぇ。間違えた。ギルド内の人、冒険者達や受付嬢、含め全員が倒れた。範囲絞るの忘れてたわ。
《神権》で確認した所、この街の中で意識を保っているのは2人だけだった・・・。一人はギルマス。もう一人は誰だろうな??一応場所は領主邸だから領主かな?仕えてる騎士的な感じだろうか?行かない事には分からないので取り敢えずは無視。ギルマスの所へ向かう。
「おーい、ギルマスー、ミスった」
「やっ、やっ、やっぱりタカナシ、お前の仕業か・・」
ギルマスが椅子の上で体操座りの格好でプルプルしていた。何処に需要があるんだよ、その画。
「いやー、なんかトカゲのフンの連中がモンスの仇打ちに来たから威圧食らわせたんだが、範囲ミスってね、今この街で意識あるのギルマスと領主邸の誰かだけなんだか、後始末、宜しく頼むわ、じゃ!」
シュンッ。
「さっき大人しくしといてくれと言ったではないか・・・。先が思いやられるわ。」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
黒竜の翼、マルス。
自分の名前はマルスっす。今はスタートの街、黒竜の翼クランの一員として頑張ってる所っす!
黒竜の翼の面子は元々が孤児の集まりっす!自分も元々孤児で、そりゃもうお腹と背中がくっつきそうな時に自分を拾ってくれたのが、かの悪名名高き黒竜の翼リーダー、ロンナの姐御っす!
ロンナの姐御は凄い人っす!自分らみたいな逸れ者を拾って冒険者に育ててくれてるっす!クランの皆は育ちの関係上ケンカっ早い人も多いっす!
けど仲間思いのいい人達っす!それもこれもロンナの姐御が育ててくれてるおかげっす!
そんなロンナの姐御には凄い伝説があるっす!ロンナの姐御は黒竜を倒した事があるらしいっす!クラン名はそこから来てるらしいっす!自分もいつか黒竜を倒せるくらい強くなって、ロンナの姐御に楽させてあげたいっす!!
そんな自分も今は19歳になって少し成長してきたと自分でも思ってたっす。そんななんでもない日の事だったっす。
モンスの兄貴が重症で帰ってきたのは。
「な!?何があったんすか!?モンスの兄貴!」
「新人だ。ギルドの新人が、、」バタン。
それだけ残して倒れてしまったっす。
自分はそのあと副リーダーのトゥースピックさんに報告に行ったっす。
どうやら、その後意識を取り戻したモンスの兄貴から話を聞いて明日報復しに行くらしいっす。自分もそのメンバーに立候補したっす!モンスの兄貴をあんなにした奴は許せないっす!!絶対後悔させてやるっす!
この時自分達は冷静じゃなかったと思うっす。モンスの兄貴は黒竜の翼では3番目に強いっす。そのモンスの兄貴が負けたって事はロンナの姐御か狂犬ジャバの2人しか黒竜の翼で勝てる人はいない筈なんすから。それに気がついたのは既に手遅れになった時だったっす。
モンスの兄貴が重症で帰ってきた翌日。
今日は例の新人に挨拶に行くっす!それも24人も行くっす!新人相手に大人気ないとも思ったすけど、そんな事は関係ないっす!モンスの兄貴の仇、打つっす!
冒険者ギルドの扉をトゥースピックさんが蹴って開けたっす!トゥースピックさんは自分も何処か怖いっす。
「おい。昨日登録した新人でウチのモンスを可愛がってくれた奴をしらねぇか?」
トゥースピックさんがドスの入った声で聞いてるっす。自分も気を引き締めて眉間に力を入れて周りを睨むっす!これでいいんすかね??
「ほう、そうかそうか。ここにいる奴は全員知らないんだな??もし、後で知ってる事が分かったらどうなるか分かってんだろうな?」
「どうなるんですかー?」
ギルド受付前にいた珍しい黒髪で全身黒を纏っているが、雰囲気とは似ても似つかない幼い顔のガキが聞いてきたっす!怖い者知らずとはこの事っす。
「あん?勿論、こうだ」
トゥースピックさんが首を跳ねるジェスチャーでガキを脅すっす!思わず自分も唾を飲み込んだっす。
「そんなんですねー。ちょっと聞きたいんですけど、モンスさんって黒竜の翼の一員ですよね??皆さんもそうなんですか??」
「当たり前だろうが、新人がウチのモンスを可愛いがってくれたらしいからな。クランメンバーとして挨拶くらいは大人として必要だろう?へへへ」
「へぇ、モンスさんみたいな人がクランメンバーだなんて、程度が知れますね」
ん?あのガキ今なんて言ったっすか??よく聞き取れなかったっす。
「おい、テメェ、今なんて言った?」
トゥースピックさんが代弁してくれたっす!
「だーかーらー。モンスのような木偶の坊囲っていい気になってる矮小クランって言ったんですよ。まるでゴミ溜めですね。知ってますか?ゴミってどんだけ集まっても宝石になる事はないんですよ??黒竜の翼改め、トカゲのフンとかに改名したらどうですか??」
今のは流石に自分でも聞こえたっす!!あのガキなんて事言ってんすか!!モンスの兄貴を木偶の坊だなんて!
木偶の坊の意味はよく分かんないっすけど、良く無い事は伝わって来たっす!!それにトカゲのフン??もう完全に怒ったっす!!
「ンだと!ゴラァァァァ!ぶっ殺す!ぜってーぶっ殺す!おい!テメェら!殺れ!」
「へっへ!黒竜の翼を侮辱した罪、しっかりと償わせてやるぜ!」
「はっは!死ね死ね!」
自分も皆と一緒に斬りかかるっす!!
ハァハァハァ!
当たんないっす!!これだけの人数で襲いかかってるのに誰も一回も剣が当たらないっす!!毎回当たりそうで当たんないっす!!途中一瞬だけ笑ってる顔が見えたっす!このガキはこの状況を楽しんでやがるっす!!体力も限界に近くなって来た所で自分の意識は大量の寒気と共に途切れたっす。
・・・
「ン、ンッ。ケホッケホッ!あれ?ここは?って、えっ!?なんでみんな倒れてるっすか!?そういえば!自分はあのガキと戦って・・・それからどうなったんすか?」
目を覚ましたら仲間も受付嬢も冒険者の奴等もみんな頭を伏せていた。
「おっ。漸く1人、目を覚ましたか」
声をかけて来たのはなんとギルド長。この街最強と名高いギルド長っす。ロンナの姐御とどっちが上か、良く話題になってるっす。自分が話すのは初めてっす。
「ギルド長っすか!こ、これは一体!?」
「あ〜、そうだな。この街で500年に一度起こる集団記憶喪失だ」
「そ、そんな事があるっすか!?」
「まぁな、ある程度のレベルがないと抵抗出来ずに意識を失うらしい」
「そんな危険な事、なんで皆知らないんすか!?」
「ん。いや、まぁ身体に危険はないしな。不用意に不安がらせる事も無いって事で伝えてない。これを避けるために街民を皆避難させるにはコストとリスクが大き過ぎるらしくてな」
「なんでギルド長は知ってんすか?」
「この街のギルド長、領主の中だけで語り継がれて来たんだよ。混乱を避ける為にもな」
「そんな事、自分に教えて良かったんすか」
「まぁ、黒竜の翼はお前に任せよう。俺は領主との話があるんでな、」
そう言って出て行ってしまったっす。なんか最後は、はぐらかされた気がしないでも無いっすけど。
そういえば、あのガキはいないっすね。でも今のはそれどころじゃないっすね。
クランの仲間を起こしながらさっき聞いた内容について考えるマルスだった。
(o^^o)