プロローグ1
まぁ、始まりはこんなもんでしょう。
時は2018年、1月10日。
俺の名前は小鳥遊 遊生
俺は今、一生続いて欲しいとさえ思っていた冬休みが終わり、朝の通勤ラッシュの時間に
手を繋いで歩くカップルを見て、
白い息と死の呪いを吐きながら都内の高校に通う極普通の高校生である。
身長173cm、体重64キロ、
肌は黒くもなく白くもない典型的な
イエローモンキー。容姿は自己評価なら
73点?くらいかな
部活動は帰宅部で部長。
希望を胸に入学した春から約1年。
絶望と怨念を胸に溜めた高校1年生。
家は裕福でも貧乏でもない。良く言っても
悪く言っても普通。普通。普通。
まぁあれだ。一言で言うと、
楽しくない。
もっとこう、刺激というかさぁ
なんかないもんですかね?
学校に行く。
頭バーコードと老いた雌豚の糞つまらん
授業を受ける。
家に帰る。
スマホを弄る。
寝る。
起きる。
学校に行く。
世の中の高校生は凄いと思う。
こんな毎日を笑顔で要られるなんて。
友達??
何それ?美味しいの??
恋人??
べ、べつに、い、いい、いてもいんじゃない
いないけど。
でもまぁ、聞いてくれ給え。
こんな俺にも夢はある!!
そう。
「剣と魔法の世界で!俺つえぇぇぇ!
からの
地球リターンでも俺つえぇぇぇ!」
呆れて笑いも出らんとか思うなよ。
最近よく見るんだよ。
なんとかになろう!ってサイトにあるんだよ
こいゆうジャンルのやつ。
面白かった!!
唯一面白いと思えた。
自然と憧れた。
だから、夢になった。
色々な主人公がいた。
自分を重ねて重ねていた。
妄想の中の俺は自由だった。
なんでも出来た!!なんでもした!!
魔物を倒した事もあった。
魔物を仲間にした事もあった。
魔王を倒した事もあった。
魔王がいい奴だった事もあった。
かわいい女の子と幸せになった。
かわいい女の子が笑ってくれた。
姫様を救った事もあった。
姫様と幸せになった。
邪神と激戦の末に勝利した事もあった。
女神と旅をした事もあった。
星を丸ごと叩き割った事もあった。
星を作った事もあった。
叶わぬ夢だと。
そんな、事は分かっている。
それでも、またあの英雄に自分を重ねては
ベットの上で夢を見る。
朝、目を覚ますと知ってる天井だ。
死んで異世界転生。
何度考えただろうか。死んでもいい。
だって、今この世界で生きてる意味が
分からないから。
俺の夢を叶えるにはまず剣と魔法の世界に
行かなければ始まらない。行きたい。
けど、方法が…。
大体からして通り魔なんかいないし。
居眠り運転しているトラックに遭遇する
なんて無理だし。
なんでみんな先ずはそんな有りもしない奇跡から始めようとするの??
クラスの集団転移とかさ。
もっとあり得ないよ。それならまだ通り魔
探した方が堅実だよ。
こんな事を考える毎日。
勿論、恋人は愚か、友達もいない。
学校では先生とすら会話をした事がない。
なんの為に勉強しているのか分からない。
なんの為に学校に行っているのか分からない
なんの為に。生きているのか
はぁぁ。深いため息と共に今日も一日が
終わる。