野獣とヨーヨー
「ネキー!!ネキー!!」
幼女特有の高い声と、インターホンを連打する音が耳に刺さる。
……またあいつか。アイスティーを冷蔵庫に戻して、私は玄関を開けた。
「帰って、どうぞ」
突然やってきた来客は、ぴょんぴょんと飛び跳ねて真夏の青空の様な髪を舞わせていた。大人用の弁護士スーツ……の上だけを身につけ、それにダンボールで出来たバッジをつけている。私より数倍は背丈が低い。
……小唐 洋々(おから ようよう)。新手の殺し屋らしい。
「イヤなり!!早くとーしょくとあそぶですを!!」
目をキラキラさせて鼻息荒く言う姿は本当に子供らしいが、
「うるせぇ!!帰れって言ってんダルルォ!?」
こいつが来るとただでさえキツい生活が更にキツくなる。今回ばかりはいけない、今の生活が崩れてしまっては何もかもなくなってしまう。心を鬼にしよう……
「ネキはとーしょくの事キライなりか……?」
表情がよく変わる奴だ。昔の龍哭寺に似ている。
「……いいよ、来いよ!!私は出掛けるゾ、お前はクルルァについて来い!!」
「やったなりー!」
……さて、どこに連れて行ってやろうかな。
(作者は恒心教徒じゃ)ないです。