第七十九話 世界を救う方法
どうもHekutoです。
修正等完了しましたので投稿させていただきます。少しでも楽しんで頂けたらば幸いです。
『世界を救う方法』
ここは名も無き異世界であるが少し時は遡り、忍者達が新たな異世界に足を踏み入れるより数時間前、さらに言えば、ユウヒが徹夜をしようと目論見、母樹に怒られてしまう1時間ほど前でもある。
「ふぅこれで一号機も合わせて三つ目か・・・さすがに腰が疲れてきたな」
「大丈夫ですか?」
夜遅くまで嬉々として続けられたユウヒの作業は、ハラリアの民が寝静まり始めた現在、新たに二つの魔力活性化装置を作るに至っていた。眉間にしわを寄せ腰に手を当て背中を逸らせるユウヒを見る限り、体力はそろそろ限界の様で、そんな状態でさらに徹夜作業を行おうとするのならば、誰だって止めると言うものである。
「おう、まだまだな・・・それに結果が出るとやりがいがあるってもんだ」
「そうですね。ほんと予想外の勢いで魔力が生まれてますね」
ユウヒを気遣う母樹は、体力は別として気力は溢れんばかりに感じる彼の姿に苦笑を浮かべると、その視線を新たに作られた二つの活性化装置に向けて嬉しそうに微笑む。
二人が目を向ける先には、新たに全く形の違う装置が二台置いてあり、一台は1号機の倍ほどの大きさをした四角い箱から二つの長さが違う煙突が空に向かって伸びている。またもう一台は1号機より二回り以上大きな円柱状をしており、側面の網目から空気を吸い込んで、空へと伸びた円柱の先から勢いよく空気と濃い活性魔力を放出し、風の勢いもさることながらそれらが作り出す活性魔力は1号機の比ではなかった。
「うむ、また少しやりすぎた様だ・・・ん?」
「少し・・・どうしました?」
どちらも1号機とは違い、地中深くまで掘ったUの字の穴に空気を送り込み、地中の不活性魔力を吸いあげる構造となっているのだが、その性能はユウヒが想像した物を圧倒的にしのいでおり、流石のユウヒも苦い表情を浮かべている。そんなユウヒの少しと言う発言に母樹が呆れていると、ユウヒは自らの手首を見詰め首を傾げていた。
「んーこれか、こうだっけ? もしもしー」
ユウヒが見詰める手首には、今回ドームに入る前に地球で渡された腕時計の様な装置が巻かれており、何かに気が付いたユウヒはその装置の文字盤のような場所をつつき始め、さらには話しかけ始める。
「あ、つながった! 聞こえてる夕陽君?」
「はいはい良好ですよ」
そんなユウヒの奇妙な行動を母樹が不安そうに見つめていると、自分の手首に向かって話しかけるユウヒを呼ぶ声が、腕時計の様な装置から聞こえはじめ、驚く母樹を他所にユウヒはいつもと変わらず軽い口調で受け答えていた。
「ちゃんと使えているみたいね。それで早速なんだけどそっちで何か起きてない?」
「何か?」
当然そんな謎の装置から聞こえてくる声と言えば、ユウヒと同じボッチの星の下に生まれて来たらしい謎の女性の声である。ユウヒの声を聞いてホッとした声になった女性は、すぐに気を取り直すとユウヒに向かって何か起きていないかと、少し強めの口調で問いかけた。
「そう、こっちでモニターしてる数値の変動が激しくて、その上なぜかリソースも急激に増えてるし、だからそっちで異変が起きてないかと思って」
「異変・・・」
何かと言う抽象的な質問に首を傾げるユウヒは、どこか焦りも感じる彼女の説明に訝しげな表情で隣の母樹を見詰める。しかし見詰められた母樹はきょとんとした表情を向けてくるだけであり、首を傾げたユウヒは辺りを見渡し伺うも、そこには自分が作った物以外には特にこれと言った異変は見当たらない。
「リソースの量は世界の安定性に比例するんだけど、ドームの世界はどれも不安定なのに夕陽君の居る世界だけ急に安定化を始めたのよ」
眉を寄せてもう一度文字盤を見詰めると、その文字盤は小型のディスプレイであるらしく、暗闇の中で困った表情を浮かべた女性がその気の強そうな目をユウヒに向けていた。そんな彼女はユウヒの表情とその視線で状況を察したのか、肩を落としながら続きの説明を始める。
「安定・・・ぁ」
そんな彼女の説明を最後まで聞き終えたユウヒは、目を瞑り引っかかったワードを呟き、次の瞬間小さく声を洩らすと思わず小型ディスプレイから、いやその向こうの女性から目を逸らす。
「やっぱり何かあったのね! 何があったの!」
「・・・多分、原因俺だわ」
「え?」
ユウヒが申し訳なさそうな表情で目を逸らしたことで椅子から勢いよく腰を上げた女性は、その気の強そうな顔を画面いっぱいに映すと、心配半分苛立ち半分と言った器用な表情でユウヒを問い質しはじめ、ユウヒの返事に今度は呆けた声を洩らすのであった。
キャリアウーマンの様な異世界人女性から調査機器と言われて装着した腕時計が、実は高性能すぎる異世界間通信機でした。あ、どうも最近歳のせいか重い荷物を運ぶ作業時に腰が痛くなる夕陽です。
「なるほど・・・でも魔力ってそういう物なのね」
「まぁ俺の知ってる魔力はそんな感じだけど」
無駄に高精細な映像を提供してくる小型ディスプレイの向こうから、キリキリ話せと言った表情で睨んでくる女性に、世界と魔力について知っている内容を話す事十数分くらいだろうか、彼女はようやく表情を緩めて納得したように頷いてくれている。
アミールの世界で知った事であるが、魔力と言うのは基本的に世界の安定化の為に存在しており、人間やエルフが魔法を使えるのは副次的効果であったり、循環に必要であるからだとか、聞きかじり程度の知識なので地球に何で無いのか等は、知らない。
「それにしてもびっくりしたわよ、夕陽君をモニタリングしてたら急に警報だもの」
「まぁ何もなかったし、むしろ良い事っぽいしそんな怒らないでください」
そんな事を考えていると、腕を組んで頷いていた女性がため息交じりに腕を解いてこちらを恨めしそうに睨んでくる。確かにこんな時間いきなり警報なんて聞いたら心臓に悪いだろう、俺も地震警報にはよく胸を躍らせた? いやそれは何か違う気がするが、とりあえずそんなに睨まないでほしい。何をどうスーツで偽っているのか分からないが、顔の整った女性の睨みはなかなかに怖いものがあるのだ。
「怒ってはいないけど・・・そうか、リソースが思う様に確保できなかったのはそういうことだったのね」
どうやら本格的に怒ってはいない様で、すぐに緩んだ少し恨めし気な目と窄められた口は、整った顔立ちだけあってなかなかどうして可愛いく見え、げふん! 俺は何を考えているのだろう。しかしリソースか、増えるとドームに出来る対策の幅が広がるとか、今は中国に出来た巨大ドームにリソースを大きく振っていて、あまり余裕がないとも言っていた気がする。
「リソース増えると、いろいろ出来ることが増えるんだったっけか」
「ええ、このまま増えればそのうちドームの縮小も可能ね」
「縮小・・・それって完全にドームを失くせるってこと?」
どんなことが出来るかまでは聞いていなかったので、良いタイミングだと思い聞いてみたが、思っていた以上にリソースさんは出来る子の様だ。それにしてドームの縮小までできるとは、つい最近誰かにその方法を問われた覚えがあるのだが・・・ちょっとそこのところ詳しく教えてください。
「あぁ、それはちょっとわからないかな。そっちにある光る壁と同じものには出来ると思うけど、そこから先は良くわからないの」
「よくわからないのか」
俺の質問に眉を寄せて困った様に首を傾げる、たぶん世界で一番ドームについて詳しい女性ですらわからないとか、もう手の施しようがないのでは? いやいや焦っても仕方ない、こちらの壁と同じサイズに出来るのであればすごい事である。なにせ土地の少ない日本にあんなに大きなドームがあっちこっちに点在しているのだ、それはもう邪魔以外の何物でもないし、小さく出来るなら管理もしやすくなるだろう。
「リソースによって出来ることは粗方判明してるけど、どうやら世界間に繋がりが出来たのは別口みたいなのよ」
彼女の話によると、現在ドームが発生してしまう切っ掛けとなった装置は、彼女の探し人が作り出したものであるらしい。ある程度その装置を解析し、表面上のシステムや機能を活用していたとの事であるが、とある人間達によって物理的な攻撃を受けた結果、停止させていた機能が一気に起動したのだと言う。
「なるほど、その辺の機能については現状わからないと言う事ですか」
活用していた一部の機能に関しては彼女も理解できているが、危険を考えて停止させていた機能に関しては現在も手探りであると言う事である。それにしても世界と世界を繋げる装置を作ってしまうとは、彼女の探し人はまたとんでもない人物の様だ。
「残念ながら、まだね。でもユウヒ君の教えてくれた魔力の特性でやれることが増えそうよ? 先ずは各世界の魔力を増やさないといけないけどね」
口惜しさに顔を少し俯かせた彼女は、しかしその目の奥でやる気を感じさせる灯を揺らすと、明るい笑みを浮かべ顔を上げ、俺の表情を見たのか苦笑交じりにそう語る。どうやら俺の不安そうな表情がおかしかったようだ。
「むー・・・」
「どうした?」
小さなディスプレイでも綺麗に映る彼女の笑みに、どこかほっこりとした感情を感じる俺だが、先ほどから右半身に感じる謎の圧力によって妙な寒気まで感じ始める。圧力を感じる方からあえて目を逸らしていたのだが、そろそろ気にしてあげないと爆発しそうな気もしてきた、いったい何をどうしたと言うのであろうか。
「浮気ですか?」
「・・・なんでだよ」
母樹さん、なぜその結論に至ったのでしょうか? 浮気って? 俺結婚もしていないし彼女もいないのですが? 言ってて悲しくなってきた。これはきっと、彼女からの遠回しな精神攻撃なのであろう。
「ん? 誰か一緒に居るの?」
「いるな、こっちで知り合った世界樹の精霊が・・・ジト目と膨れた頬付きで」
探る様なジト目で見つめてくる母樹と見詰め合っていると、ディスプレイの向こうで不思議そうに首を傾げる気配を感じ、俺はそちらに視線を戻して状況を説明する。俺自身は左目の影響で何の問題も無く見て触れるのだが、普通の人間にはこのぷっくり膨らんだ頬をした母樹の姿は見えないのだ。
あまりにも普通に見えすぎて時々忘れてしまうが、彼女達は俺たちとはある種別の世界に生きている存在なのである。時々と言うかほぼ忘れているかもしれない、注意しないと万が一日本にも精霊が居た場合、普通に話してたら不審者で通報されかねない。
「精霊? 世界樹? ・・・ファンタジーね。でも声とか聞こえないけど、姿も夕陽君以外見当たらないし」
「そらま、俺もこの左目のおかげで見えてるだけだしな」
「そう、魔眼が必要なのね。なんだか不機嫌そうな感じらしいけど大丈夫なの?」
俺が異世界との付き合い方に関して気を引き締めていると、ディスプレイの向こうでは興味深そうにこちらを伺う女性の姿。どうやら見えないものが見えると言う事が羨ましいらしく、俺の返答で理解したように頷くと、じっと俺の左目を見詰めながら母樹の様子について尋ねてくる。
「気にせんでいいさ、唯の考え過ぎだから」
「ほんとぅですかぁー?」
その視線と興味深そうな表情に思わず苦笑を洩らした俺は、大丈夫だと答えたのだが、その答えに対する疑問は母樹の口から漏れ出す。
「本当だって、あれだよ世界を救うための協力者的な感じだ」
「・・・そう言われるとなんだか恥ずかしくなってくるんだけど」
ジトっとした目で見上げてくる母樹に、ディスプレイの奥で俺の周囲に目を凝らす彼女と俺との関係について簡単に説明する。若干省き過ぎた気もするが、現状そんな感じではなかろうか、そう思ってディスプレイに視線を向けるとそこにはどこか恥かしそうに頬を掻く女性の姿が映っていた。
「しかしそうだろ? 地球の為にドーム縮小とかでリソースが欲しい、リソースの為には異世界を魔力で安定させる必要があって、それは異世界を救済する事にもつながる・・・のかな?」
「それはまぁ・・・他の世界は知りませんが、この世界で起きた天変地異の原因も世界の活性魔力が減ったことが原因ですし」
「なるらしいぞ?」
彼女がやろうとしているドーム対策だって地球にとっては極めて大きな救済であるし、その為には不安定な異世界までも救おうとしているのだ。母樹曰く、今居る世界で起きている飢餓などの天変地異も魔力の枯渇が原因だと言うし、俺の考えは間違っていないであろう。
「そうなの・・・う、うん! それでまだ魔力は増えそうなのかしら?」
母樹の意見を聞いて断言した俺に、彼女はわざとらしく咳き込むと口元を隠したまま魔力の現状について質問してくる。どうやら恥かしさはまだ残っている様で頬が赤いがそこは指摘しないでおこう、何でかって? 大体その手の地雷は、踏んだ後に被害が長引くからである。これについては姉さん達で学習しているので回避一択だ。
「うーん、いまは俺の作った魔力活性化装置で増やしてるところなんだが、元々は世界樹がその役割を担ってたらしいので、根本的には世界樹を増やした方がいいのかな?」
そんなわけで話を魔力についての方に戻し、この世界の魔力事情については母樹が一番理解して居るだろうと、未だに探る様な目を解除してくれない母樹に視線を向ける。
「・・・そうですね、しっかりと根を張った世界樹は、地下深くの汚染された水から魔力を吸いだして活性化しているので、その方が世界の安定化の為には良いと思います」
「ふむ、良くわからんがわからん部分はまた今度として、世界樹が枯れて残り少なくなったから活性魔力が減っているらしくてな」
突然の質問に少し驚いた表情を浮かべた母樹であるが、元々真面目な気質なのかすぐに表情を真剣なものに切り替えると、よくわからない異世界の世界樹事情も交えながら世界樹の重要性について語ってくれた。
正直世界樹が自分で増えてくれるなら俺としても楽なのだが、もう少し活性化装置の試作もしてみたい気もする、いやまて、もっと楽しいことがあるかもしれないのだから試作品で立ち止まってはいかん。何より精霊達の支援があるとはいえ素材をそろえるのにも時間が掛かるのだ、いま出来る事を先にやっておくべきだろう。流華の怪我が癒え、森が騒がしくなくなるまでの間に出来る事である。
「枯れた原因はなんなのかしら? あと今の状況でいくつくらい残っているの?」
「ん? ああ・・・原因はまぁ欲深き人々ってところだな、それで現存する世界樹・・・ってわかる?」
これからの予定について熟考していると、こちらもディスプレイの奥で考え事をしていたらしい女性がこちらに問いかけてくる。
世界樹が枯れた原因、これまで知り得た情報を纏めるに『人々の欲』の結果と言う事になるのだろう。俺の返答を聞いた彼女は、呆れつつもある程度予想していたのかため息を吐いている。そんな欲望により枯れて行った世界樹であるが、残りは何本あるのであろうか? このまま母樹達で子供を増やすのも限界があるだろうし、もしも枯れかけや救援の必要な樹があるなら俺でも支援できるかもしれない。
「・・・平原にはもう何も感じなくなりましたが、まだ山岳地帯の方からは微弱に魔力の波動を感じるので生きているとは思います」
「・・・それって、もしかして一本?」
「そうですね。なので現在この世界には三本の世界樹がある事になりますね」
「むぅ三本か・・・」
と、思い上がっていた俺ですが、流石にそこまで少ないとは思わなかった。今まで母樹と話してきた中で感じたニュアンス的に、彼女の姉妹は結構多いのだと思っていたのだ。それが開いてみれば絶滅寸前であったとか、そりゃ母樹も俺に無理を承知で魔力の提供を願いもすれば、リーヴェンや神官の女性エルフ達の対応が下にも置かないものであるのも頷ける。うん、いろいろ勘違いしないでよかった。
「三本、もとはいくつあったの?」
「・・・えっと無数ですね、成長していけばいくほど魔力の活性化能力は高くなりますが、そこまで大きくなれるか分からなかったらしく、当時の魔導師達は出来るだけ多くの苗を世界に蒔いたんです」
「無数にあった世界樹が今では三本・・・魔力循環を世界樹頼みにしていたのなら、そりゃ大地も干からびるわな」
ディスプレイの向こうで俺の呟きに目を細め、少し不安そうな声で質問を口にする女性に、彼女の質問を聞いていた母樹は俺に質問の答えを話す。通訳となりながらも自分の考えが正しく、また思っていた以上に多く存在した世界樹に、俺は人の欲望に何とも言えない寂しさと呆れを感じる。
「・・・」
「山岳の世界樹は最古の世界樹でしたので、最後に彼女が沈黙してからは早かったですね」
ディスプレイの向こうでは俺と同じような感情に囚われたのか、俺と似たような表情で頭を抱える女性。少し前まで親の仇でも見る様な目をしていた母樹も、彼女の感情が伝わったのか寂し気な笑みを浮かべながら、最後と思われる自分以外の世界樹との思い出を語る。
「・・・それじゃその山岳の世界樹が復活したら?」
すると? この話の流れであれば、どうやら今話した最古の世界樹とやらはまだ生きている可能性がありそうだ。樹齢がそのまま世界樹の能力と繋がるのであれば、彼女が復活すると言う事はかなり良い方向に向かうのではないだろうか。
「アナタの作った活性化装置もありますし、ずいぶんよくなると思います」
どうやら俺の勘はいつも通り正常に働いている様だ。どうもここのところ勘の冴えが今一だったが問題ない様である。
「なら山岳の世界樹を視たほうがいいな」
「本当ですか!」
「大丈夫なの?」
そしてここまでくればやる事は一つ、ちょっと元気のない世界樹を見に行って元気になる薬を刺してくればいいのだ。あ、言っておくけど危ない薬じゃないよ? たぶん、臨床的な事はしてないけど、右目の鑑定結果でも世界樹の体に悪そうな文言は出て無かったし・・・。
「最古の世界樹なら能力も申し分なさそうだし、あと大きな樹って嫌いじゃないんだよね。いきなり大きくなるとびっくりするけど、大きいのはいいよね。世界一大きいとかだと尚良いとしてさらに最古が付くなんて・・・」
嬉しそうな笑みを浮かべる母樹と心配そうに見つめてくる女性に頷きつつ、ちょっとした本音も語る。
正直世界最古の樹とか見てみたい。世界最大とか世界一とか男心をくすぐるには十分であろう? 母樹ですら若い方であると言うのだから期待が膨らむばかりだ。まぁ母樹が鯖を大幅に読んでいると言う事もなくもないが、そこを突っ込むのは危険なので考えないことにしておこう。
「・・・男の子ね」
「・・・やっぱり浮気ですか?」
この世界に鯖が居るか知らないけどなどと頭の隅で考えつつ、未だ見ぬ世界最古に心躍らせていると、ふと二対の視線を感じる。方や呆れに突入しそうな生暖かい視線、方や何時ぞやの時以上に俺を鋭く射貫きそうな視線。
「えぇ、なんでそんな反応なのさ」
どっちがどっちの視線かなど語らずともがなであるが、正直そんな視線を受ける様な言動をしただろうか? いやしてないよね。やっぱりどこまで行っても男心は女性に理解してもらえないのであろう。
いかがでしたでしょうか?
どうやらユウヒは、なんだかんだでまた一つ異世界で救済活動を行うつもりの様です。今度はどんな結果になるのか、一緒に楽しんで頂ければ幸いです。
それではこの辺で、またここでお会いしましょう。さようならー




