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ワールズダスト ~現世に現れし黒き森~  作者: Hekuto
第一章 救出と救済

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第七十八話 自衛隊と忍者と新たな異世界

 どうもHekutoです。


 修正等完了しましたので投稿させていただきます。ほんの一時でも楽しんで頂ければ幸いです。



『自衛隊と忍者と新たな異世界』


 名も無き異世界で、ユウヒが徹夜作業を敢行しようとするも母樹に強制終了された後、仕方なく世界樹の葉のベッドで精霊達と眠りについた翌早朝。


「おお! 裸じゃないぞ!」

 ここはユウヒの居る異世界とはまた違うドームの向こうの世界、そこにはユウヒ達と同じようにジャージを身に纏った人間達が集まっていた。


「ジャージか、みんな同じ物だな」


「色は何種類かあるみたいですが、ロゴは同じですね」


「三本杉のロゴか・・・どっかで見た覚えが」

 ただ、ユウヒ達と違いその人間達は明らかに一般の人間とは違う空気を纏っており、総じて体が鍛えられている。


「あぁ・・・なんだかサービス当初のクロモリ思い出すな」

「そうでござるな、色はやっぱ黒がしっくりくるでござる」

「頭巾とも合うしな・・・よし、おk」


 そんな人間、いや自衛隊員の姿を遠目に見詰めながら妙な感慨にふけっている忍者達は、どうやら早朝から自衛隊の作戦行動に同行している様で、彼らに気が付かれる前に早速頭巾を装着しており、首から下はジャージで首から上は真っ黒な頭巾と言う珍妙な出で立ちになっていた。


「む、三人も・・・もう顔を隠しているのか」


「アイデンティティでござる」

「それで先ずなにするんだっけ?」

「予定表忘れた奴ー」


 三人は準備も整ったことで集団へと近づき、彼らに気が付いた小隊長である男性は振り返ってすぐに忍者三人の珍妙な姿を見て呆れた様に肩を落とす。そんな男性の表情など気にする事無く胸を張るゴエンモ達は、これからの予定を男性に問いかける。


「「はぁい」」


 何故なら、彼らの手元には持ち込み制限の関係で予定表などの書類が無いからである。頭巾を諦めれば持ってこれたかもしれないが、そんな思考は彼らの頭の中には無い様だ。


「・・・はぁ、とりあえず全隊員の服が問題無い事を確認した後は、物資を持ち込みながら持ち込み制限の調査だな」

 現在、日本各地に出現しているドームのほとんどには、安全確保の為に急遽編成された自衛隊の小隊が派遣されており、基本一つのドームに一小隊が付く中でも特に人員の多い彼らは、今後日本がドームに対する対策を取る上でも重要な調査任務についている。


「持ち込みは1キロ以内で片手に持つ、でござるな」

「ユウヒから聞いたけど、ちょっとでも多いと駄目らしいから余裕持った方がいいらしいぞ?」

「埃一つで持ち込めなくなるとかあったらしいお」


「そうなのか、そこまでは聞いてなかったが・・・」

 重要な任務を与えられている部隊は、それ相応の能力を有した人員で編成されていると同時に、ドームと言う何が起きるかわからない異常事態にも即時対応できる様な実力ある者で構成されていた。そのおかげなのかわからないが、おかしな三人組にも適応できている男性は、彼らの何気ない談笑に含まれた情報に目を細めると、腕を組んで何事か考えだす。


「まぁいい、持ち込み確認後は必要な機材の搬入や拠点設営を開始することになる」

 しかしすぐに腕を解き姿勢を戻した男性は肩を竦めると、三人に視線を戻し説明の続きを始める。彼らが今日行う作業は、情報通りに全裸にならずドーム内に入れるかの確認、その後資材の搬入とドーム内での仮拠点設営の三つが予定されているようだ。


「重機とかセメントとか用意すんのか?」


「そうしたいのは山々だが、情報通りならどう考えても現実的ではないからな、大半が人力と現地調達になる」

 前半の二つの説明についてはそのまま疑問も無く頷いた三人であるが、最後の仮拠点と言う言葉にヒゾウは首を傾げ、彼の言葉に男性は困った様な笑みを浮かべ原始的な手段で行うことになると笑う。


「森でよかったな」

「資材確保は楽そうだ」


 その言葉に気遣わし気な表情を浮かべたジライダは、周囲を囲む樹々に目を向けるとなるべく前向きに考え、その言葉に頷くヒゾウに男性は同意する様に頷いてみせる。


「壁の一部は土嚢を予定しているが」


「自衛隊の土嚢詰み! 楽しみでござる」

「石垣みたいに詰むんですね解ります!」


 そんな男性が周囲の木を使うほかには土嚢を使っていく予定だと話すと、ゴエンモとヒゾウは目を輝かせ、ネットで見た自衛隊の技術を生で観れることに鼻息を荒くし、ジライダは後でカメラを持ってくることを心の中で誓う。


「まぁそうだが、木が邪魔だからなぁ・・・拓くにしても時間がかかるから土嚢は後回しになるだろう」


「・・・ふむ、ならば我らに任せるがいい」

「あの程度の樹ならばっさばっさ切ってやるお!」


 だが思った以上に深い森を見渡した男性曰く、持ち込みやすい土嚢袋を使った作業はまだ先の予定になるらしく、その言葉を受けショックで固まる三人。しかしその程度の事であきらめるほど三人の欲は浅くないらしく、その為であれば力を振るう事もやぶさかではない様だ。


「ははは、まぁ手伝ってくれるならありがたいがあまり無理はしなくていいぞ? それではまた動きがあれば声をかけるので声の届く範囲に居てくれ」


 キラキラとした目で任せろと胸を張る忍者達に、男性は楽しそうな笑い声をあげると、彼らの肩を叩いて部下の下へと戻っていく。男性と忍者達は比較的年齢も近いとありあっさり打ち解けているがため、こういった気安い会話を交わすまでに時間はかからなかった。


「・・・あまり期待されてないでござるなぁ」

「まぁまだ信用されてないんだろな」

「ここはいいとこ見せて女の子にちやほやされるチャンス! (いいとこ見せて信頼されるように努力しよう)」


 しかし、それは彼らがどう言う存在なのかを知らない故の気安さとも言え、彼らの言葉を本気にしない男性の後ろ姿を見送った三人は、何とも言えない表情で目を細めると困った様に頭を掻く。まだ会って日も浅いとあってしょうがないと肩を竦めるジライダの隣では、おかしな方向に気合を入れているせいか心の声と口から出る声が入れ替わるヒゾウ。


「本音の方が漏れてるぞ」

「しかし道理でござる・・・切るより掘る方が早そうでござろうか?」

「いろいろ試してみるべ」


 本音を盛大に叫んだヒゾウに呆れるジライダであるが、実際信頼を勝ち取るためには行動で示すことが重要であり、それは三人共通の考えでもあった。彼らは無事信用や信頼を手にすることが出来るのか、それとも畏れられるのか、そこは彼らの行動次第であろう。





 それから小一時間後、迅速な行動で次々と作業を終えて行く自衛隊の面々は、日本とドームの間を忙しく行き来して様々な物資の搬入を急いでいた。


「よし、だいぶ持ち込みは出来ているな」


「はい! 細かく分けないといけませんが、これでまともな装備が調達できそうです」

 一度に持ち込める荷物の重量が1キログラムまでと言う事実を確認し終えた自衛隊員は、あらかじめ分解し準備しておいた機材を搬入して順次組み上げる作業をくりかえしている。


「体調の方はどうだ?」


「今のところ問題はありません。先行して搬入した分析器でも空気や土壌に異常はありませんでした・・・ただ」

 先行して持ち込まれた機材は空気や土壌の簡易検査用の機材であり、その結果が良好と言う事もあってか隊員たちの表情に今のところ不安は無い。


「ただ?」


「日本とこちらでは気温差があるのでそこは心配ですね」

 しかし、一度に持ち込む荷物が軽いとは言え汗を拭い息を吐く隊員の姿を見るに、軽い分回数の増える搬入作業と、日本とドーム内の温度差は地味であるが確実に彼等から体力を奪っている様だ。


「確かにな、こっちはだいぶ涼しいから風邪には気を付けてくれ、少しでも変調を感じたらすぐに知らせる様に」


「はい!」

 現在日本は夏、最近の異常気象のおかげか元からなのか、夏らしい天気に拍車のかかった外気は体温に近く、一方ドームの向こうに広がる原生林は冷房のかかった室内のように涼しい。冬と言うわけではないのか冷蔵庫のように寒いと言うわけではないが、それでも連続的な気温の変化が体によくないことは、現代日本人なら大抵は実体験として知っている事だろう。


「搬入はもう少しかかるとして・・・ん? 忍者の三人は、こっちに居るのは一人だけか?」


「忍者ですか? そう言えば少し前から一人しか見ないですね」

 働きアリの如く列をなして荷物を運ぶ隊員や組み立て作業の様子を見回した男性は、少し目を離していた間に見当たらなくなった忍者達を探して首を傾げる。そんな彼の言葉に組み立て作業組の女性が、荷物の引き取りに来たついでに男性と一緒に周囲を見回し、よく目立つ三人組のうち一人しか見てないと首を傾げた。


「誰か知らないか?」


「隊長、ゴエンモさんから伝言です」


「おお丁度良かった。一人しか見当たらないらしいんだが」

 搬入作業の小休止ついでに立ち止まる隊員や組み立て組と顔を見合わせていた男性の下へ、丁度良いタイミングでゴエンモから伝言を受けた女性隊員が駆け付ける。


「はい。ヒゾウさんはお留守番で、ゴエンモさんとジライダさんは周囲の調査に出かけるとの事です。と言うか言うだけ言ってあっという間に居なくなっちゃいました」

 その伝言によると、ヒゾウはまだ近くにいるらしいがゴエンモとジライダは周辺の調査のために森の中へと消えて行ったらしい。


「む、大丈夫なのか?」


「大丈夫だ問題ないと言ってましたが、何でも獣の気配がするとかで・・・」

 微妙に不安そうな表情を浮かべる男性に女性が説明した通り、彼らは周辺に何らかの気配を感じていたようで、以前のドーム内でも行ったように獣除けに向かったようである。ついでに言わなくても解ると思うが、ヒゾウが残ったのは別に深い意味があるわけではなく、単なる迷子防止のためだ。


「獣か・・・小銃の搬入状況はどうなっている?」


「今組立済みが4丁でうち2丁が調整中2丁は使えますが、弾薬はそんなに持ってこれてません」

 獣と聞いた男性は少し表情を引き締めると、組み立て組の女性に搬入された武器弾薬について問いかける。普段から銃の組み立てなどは慣れている自衛隊員であるので、組み立て自体は問題なく出来ている様だが、割と重量のある弾薬に関してはまだ搬入量が少ない様だ。


「そうか、とりあえずその2丁を歩哨に渡して追加警戒に回ってくれ」


「了解です」

 とりあえず銃器を準備できるだけ配備し追加で周辺の警戒の為に割く事を決定した男性は、敬礼してすぐに駆け出した女性を見送ると、近くに獣が居るらしい鬱蒼とした森へ目を向け、気を引き締め直す様に深呼吸をすると何かに気が付いたように視線を戻す。


「そう言えば留守番のヒゾ―――」


「なんだ!?」

 周囲の隊員たちに視線を戻した男性が口を開いた瞬間、まるで爆発でも起きたかの様な音があたりに響き、その場にいた全員が一斉に身構え周囲を警戒し始める。ある者は搬入中の資材を地面に置いて身構える様に周囲に目を凝らし、ある者は組み立てたばかりの小銃を片足立ちで構えて弾込め済みのマガジンを手繰り寄せていた。


「たーおれーるぞーー」


「は?」

 ただ驚いたり呆けたりする一般人と違い、一斉に警戒態勢に移行した自衛隊員たちが警戒する中、音の発生源と思われる場所からはどこまでも呑気な声が聞こえ、同時に何かが擦れ合う音が聞こえ始める。そのあまりに呑気な声と、声の聞こえた方向で起きている現象を目の当たりにした男性は、思わず間の抜けた声を洩らすのであった。





 それから少し時間の過ぎた森の中、人の往来を妨げる様に鬱蒼とした樹々の上を、我が物顔で疾走する二つの影。


「この世界の出現位置は割と親切だな」

「まぁ出入り口が完全野ざらしなのはいただけないでござるが、前回より開口部が大きい分良いと言えるでござるな」


 森の中から感じる獣の気配を辿るように森の中を駆けるゴエンモとジライダは、以前のドームと違っていろんな意味で行動しやすいこの異世界を伸び伸びと駆けまわっている。


「まなぁ・・・お、第二水場はっけそ!」

「これでとりあえず一周回ったでござるが・・・人いないでござるな」


 どうやら二人は既に簡易拠点予定地まわりをすでに一周してしまったらしく、ゴエンモは手に持った巻物型メモ帳に筆ペンで水場の位置をメモすると、一切人に出会わなかったことに少し残念そうな表情を浮かべた。


「ここは遭難者いないんだっけ?」

「ござ、いないと思われるから実験や調査の為に使っているそうでござる」


 自衛隊の実験や検証に使われているこのドームでは、一応遭難者は居ないとされている為、二人は遭難者の事を言っているのではなく、まだ見ぬ異世界人、出来れば美女を求めて残念そうな表情を浮かべているのである。


「ふむ、実験は必要だなっと第六獣の群れ発見! 一狩りやっちゃう?」

「追っ払うだけにするでござる・・・まぁ力加減間違えたら持って帰るしかないでござるよね?」


 未知の現象に対して検証と実験は必要だと頷くジライダであったが、急に眼を見開くと一点に集中するように前方を睨む。忍者と言う概念で生まれ変わった彼らにとっては獣の気配を感知する事など造作もなく、またすでに五つの群れを嫌がらせで追い散らした彼等には、すでに群れの危険度も気配だけで判断が付く。


「「・・・」」


 俊敏な動きで目的の群れへと近づき、野生の獣すら感知できないほどに気配を消した二人は、眼下の獣を見下ろし目を細める。全体的にやせ細りギラギラとした目をした獣の群れは、一回り大きな一頭を先頭に真っ直ぐと森を進んでおり、その進行方向を確認したゴエンモはジライダに目を向け両手の人差し指で×を作って頷く。


 次の瞬間、


「「ヒャッハー! お前らの血は何色だー!」」


 大きな声を上げた二人は、驚き固まる群れへと向かって樹の上から飛び降りる。正直やられやくにしか見えない二人であるが、仲間への明確な危機に対しては一切の慈悲は無いのであった。





 それから数十分後、彼らは簡易拠点予定地に帰って来ていた。


「と言うわけでサンプル1号と」

「2号でござるが・・・何をやっているでござるか」


 その手に、ワニの様な大きな口とグレイハウンドの様な細身の体をした獣の首根っこを掴んで。


「やぁ・・・切り倒しているうちについつい楽しくなっちゃってさ」


 そんな彼らが呆れた表情を向ける先には、大量の丸太を積み重ねた頂上で寂し気に項垂れるヒゾウの姿があった。


「役に立ってちやほやと言うかドン引きされてね?」

「でござるな」


 周囲を切り開き拠点設営の役に立つと、もれなくチヤホヤされるんじゃないかと言う思い付きに基づき、太い野生の樹の伐採作業を始めたらしいヒゾウであるが、切り倒していくうちに楽しくなっていき、周囲の視線を忘れて次々と木を切り倒した結果、乾いた笑みを向けられる今のような状態に陥っていった様だ。


「・・・こんなはずでは」


 顔を上げて周囲に目を向けてもやはり乾いた、いや引き攣った笑みを向けられるだけの現状に、ヒゾウは再度肩を落とし気のせいかその姿は煤けて見えた。


「まぁいいや報告行くべ行くべ」

「行くでござる」

「くそつめてぇ・・・空気がキンキンに冷えてやがる!」


 しかしそんなヒゾウの姿に、呆れこそすれ同情の欠片もしない二人は、獣の首根っこを掴み直して踵を返すとヒゾウを残してその場を立ち去る。そのあまりに冷たい態度に涙を流しながら丸太の上に横たわるヒゾウであるが、気が済んだのかすぐに起き上がると二人の後を追いかけ始めるのだった。


「と言うわけで、人はいなかったけど気配はあったので、遠くまで行けば村なりなんなりあるかもしれないな」


「そうか、了解した。こちらはもう少しかかりそうなので、忍術の実演まではゆっくりしていてくれ」

 それから十数分後、目的の隊長にゴエンモ作の簡易地図を渡して周辺の状況を報告し終えた二人は、呆れた表情を浮かべた男性から特に咎められることなく、しかし遠回しにあまり勝手に動くなと注意を受ける。


「りょうかいでござるが・・・あの切り株群はどうするでござる?」

「うぐ・・・」


 その意図に気が付いたゴエンモは困った様に頭を掻くと、話を逸らす様に視線をずらし、その視線の先に大量生産された切り株について問いかけた。その切り株は地面から割と高い人の腰ぐらいの高さの物が多数存在し、結構邪魔になっているそれらの切り株は全てヒゾウが切り倒した樹の成れの果てである。


「あぁ・・・なんだ、二人も素手で木を切り倒せるのか?」


「たぶん出来るでござるが、むしろ掘り起こした方が早いでござる」


 ゴエンモの見詰める先にある丸太の山を見渡した男性は、少し引き攣った表情でゴエンモに確認するように問いかけ、その問いかけに対してゴエンモは小首を傾げながら出来ると答え、同時に掘り起こした方が早いと答えて胸を押さえるヒゾウに目を向けた。


「掘り起こす?」


「土遁の術で掘り起こすんだよ、その方が綺麗に拓けるだろ? なんで使わなかったんだ?」

「いやぁ・・・メインディッシュはとっておいた方がいいかなぁと?」


 ゴエンモの掘り起こす方が楽だと言う言葉に眉を寄せた男性に、ジライダは懐から護符を取り出して簡単に説明して、ゴエンモと同じくヒゾウに目を向け首を傾げる。


「・・・(まるでファンタジーだな)」


 護符の消費と目立つ要素を出し渋ったと言うヒゾウにジト目を向け呆れる二人と、頭を掻きながら苦笑いを浮かべるヒゾウの三人の姿を見る男性の目は僅かに険しくなるも、ボケとツッコミを繰り返しながら笑い合う三人の姿に毒気を抜かれたのか肩を竦めると、彼らの存在に思わず笑みを浮かべるのであった。


「んじゃ実演は土遁で切り株撤去するか」

「そうでござるなぁ・・・もう少し拓いた方がよくないでござる?」

「森の中だし見晴らしは欲しいよな」


 ボケやツッコミを繰り返していた彼らの話し合いで、忍術実演は土木作業に決まったらしく、しかしどうせならばそのまま伐採範囲を広げてもいいよね、と言った会話に発展していく。


「あぁ、その辺は後で会議するのでゆっくり休んでいてくれるか? ・・・な?」


「「「アッハイ」」」


 しかし、彼らの脱線していく会話は、口元を引きつらせた目の笑っていない男性の言葉により中断される。男性の笑みに凄みを感じた三人は、持ち前の小市民的感性で怒られると察して背筋を伸ばすと、無駄にきれいな敬礼で返答するのであった。



 いかがでしたでしょうか?


 忍者達の現状でした。いつでも変わらず平常?運転の彼らは、この先自衛隊員たちとうまくやっていけるのか、楽しみで仕方ないですね。そしてあちこちでユウヒの名前を出して噂を広める彼らは、どこかの風の精霊並みにユウヒの名前を拡散していたりするが、だいじょうぶなのであろうか。


 それではこの辺で、またここでお会いしましょう。さようならー

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