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ワールズダスト ~現世に現れし黒き森~  作者: Hekuto
第一章 救出と救済

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第六十二話 魔力と魔法と漏れ出す狂気

 どうもHekutoです。


 修正等完了しましたので投稿させて頂きます。お好きな時間のお供にでも楽しんで頂ければ幸いです。




『魔力と魔法と漏れ出す狂気』


 笑うリーヴェンの前でゆっくり立ち上がっていたユウヒが、完全に立ち上がる前に首根っこを掴まれ集会所まで引きずられるように拉致され、ユウヒを引きずってきたウォボルがネムに頭を叩かれると言う珍事から小一時間後。


「さて、腹も膨れた、やることはやった、面倒事が増えたが今は動く気がしない」

 大量に作られた料理を避難して来たエルフ達と共に食べたユウヒは、集会所の縁側で満たされた表情を浮かべ足を延ばし、縁側に面した太い柱に背中を預けている。お腹をさすって動かない辺り、どうやらだいぶ食べ過ぎた様だ。


「昼寝でもするか?」

 縁側から外を眺めるユウヒのどうでもいい独白を隣で聞いていたクマは、同じようにだらりと足を延ばし穏やかな日差しに目を細めると、木々の隙間から見える異世界の太陽を見上げながら眠たそうに呟く。


「・・・何を言ってるんだ? 回復時間は生産時間だろ?」


「なるほど狂気の生産タイムですね解ります」

 眠たげに呟き欠伸をかみ殺すクマの言葉に振り返ったユウヒは、だらけていた表情を急に引き締めると、その動きに気が付き顔だけそちらに向けたクマに向かって持論を口にし、その持論を聞いたクマはげんなりとした表情で呆れた声を漏らす。


「凶器は作るつもりないけど、こいつは凶器になりえるな」


「・・・はぁ、で? それはなんぞ?」

 いつものユウヒらしい持論に呆れと安心を感じているクマに、ユウヒは首を傾げながらジャージのポケットから陶器製の小瓶を取り出し眉を寄せる。不思議そうに首を傾げたユウヒの無理解に溜息を漏らすクマは、だらけていた上体を起こすと興味無さそうにユウヒの手元に目を向けた。


「これは自作の魔力が回復するくそ不味いナニカだ」


「ポションかよ、リアルでも錬金術師になっちまって・・・」

 彼らから離れた場所ではパフェやメロンが二人を遠巻きに見ながら何か話し合っているが、そんなこと気にもしていないユウヒは、変わらず引き締められた表情で小瓶を振りつつ中身を説明する。その説明を聞いたクマは、目の前のユウヒの姿にゲーム内での彼がダブって見えたのか、何とも言えない表情で目を細めると小さく頭抱えるのだった。


 一方二人の様子を伺っていた女性陣はと言うと、ルカはいまいち二人の会話が理解できていないようでメロンに補足説明をしてもらっており、パフェの方はリアルファンタジーキタコレなどと声を上げ、キラキラした瞳で駆けだそうとするのをリンゴに羽交い絞めで抑えられている。


「金がつくれりゃいんだがな・・・げろまじゅ」

 そんな騒がしい女性達に首を傾げたユウヒは、目の前で頭を抱えるクマに向かって願望を口にしつつ小瓶の中身を一気に煽ると、心底不味そうに顔を顰めて重たい空気でも吐き出す様に呟く。


「そんなにか」


「戦死もとい戦士には分からない味さ」

 ユウヒのしかめっ面から不味さを想像したのか、クマが若干引き気味な表情を浮かべると、ユウヒは濁った目で悟ったようにそう呟く。


「悪かったな脳筋で、俺も魔法とか使えないもんかね?」


「なんだよ夢見る少年か?」

 この戦死と言う呼び名は、オンラインゲームやクロモリの中などで使われるネットスラングであり、ゲーム内において肉弾戦を主とするプレイヤーを煽る時などに使われる言葉である。そんなゲームの中でも魔法に興味の無さそうなクマであるが、実際に目の前でユウヒの魔法を目にしてしまうと使ってみたいと思う様で、不平不満に願望を混ぜるクマにユウヒはからかう様な表情で笑う。


「うっせ、リアル魔法使いに言われたくないわ」


「お、おれにはまだ5年あるから・・・」


「そっちじゃねぇ!」

 からかってくるユウヒに対して、クマはしかめっ面を隠すことなく僅かに声を荒げ反撃を試みる。そんなクマの反撃は、予想以上にユウヒの心へ突き刺さった様で、きょとんとしたルカ以外の女性陣がそれぞれに頬を緩める中、クマから突っ込みを受けるユウヒは胸を押さえるとしょんぼりと項垂れるのであった。


「まほうねぇ・・・あれ?」

 しばらく項垂れていたユウヒは、のろのろと顔を上げるとクマを見ながらやる気なさ気に呟くと、僅かに右目を金色に瞬かせて急に動きを止める。


「ん? なんだよ・・・金色の目とか青色の目とか、ほんとちゅうに「魔法使えんじゃね?」・・・は?」


「魔力がちょぴっとあるぞおまい」


「マ・ジ・カ・!?」

 ようやく正気を取り戻したと思えば急に動きを止めるユウヒに、クマは小首を傾げてじっと見つめて来るその視線を見返し、淡く光っているようにも見えるその右目を見てずっと思っていたことを口にするが、ユウヒの口から飛び出た言葉に驚き動きを止めると、確信的な言葉に腰を浮かせるのだった。


「んー・・・」


「ど、どんな感じなんだ? 使えそうか? と言うかリアルに魔力とかあったのかって、そういえばここもリアルか?」

 離れた場所で聞き耳を立てていたパフェが大きな音を上げて立ち上がる中、細められ先ほどより強く光るユウヒの目の前では、珍しく興奮した表情のクマがコロコロと表情を変えながら結果を待っている。


「おk、把握・・・いせかいにきたせいだわ」


「・・・体に何か悪い事とかないのでしょうか? あれだよな、感染的な感じなんだよなその目は」

 しかし、そんな興奮したクマの顔は、細めていた目を見開き表情を固くしたユウヒにより驚きに、さらにそっとクマから距離をとるユウヒの動きにより振るえを伴った不安なものへと変わっていく。ユウヒの様子に、サブカルチャーで汚染されたクマの頭の中は次々とマイナスな想像で埋まって行き、様子を伺っていた女性陣も似た様な表情を浮かべている。


「俺は専門家じゃねからなぁ?」

 不安そうにしているクマやパフェ達に目を向けながら困った様に首を傾げるユウヒ。


 彼の右目に宿った力は森羅万象全て知ることの出来る力ではあるのだが、そんなすごい力を一般人が使いこなせるわけもなく、何も考えずに対象を調べると大量の情報の波により視界を塞がれかねない。


「情報量が多すぎてよくわからんがたぶん大丈夫だろ・・・ただ」


「・・・ただ?」

 そのため良くわからない情報を調べるには、内容の限定と選択にそれなりの時間が必要で、しかし体に危険が無いとわかったユウヒは、パフェ達女性陣に向けていた視線をクマに戻すともう一つの懸念事項に何とも言えない表情を浮かべる。


「んーあれだ。少なすぎて使える系統が絞られると思うぞ? こう、近接物理前衛が間違ってボーナスポイントをINTインテリジェンスに振ったくらい?」


「つ、つかえねぇ・・・」

 体に危険が無いと分かりホッとしたクマは、ユウヒの表情に期待と不安の混ざった顔で静かに唾を飲み込み、きりっと引き締められた表情のユウヒにより告げられた言葉を聞くと、そのまま顔から床にへたり込むのであった。


 RPGやオンラインゲームなどでをプレイする人間にとっては良くある話であるが、使おうにも使えない能力を手に入れてしまった時のがっかり感と言ったらないであろう。


「んー・・・なあネム」


「何にゃ?」

 そんな絶望感を感じて床にへたり込むクマと、同じくユウヒの視線で自分たちも同じだと察したパフェが四つん這いでがっくりと肩を落とす中、何事か考えて視線を彷徨わせていたユウヒは、縁側で横になり気持ちよさそうに目を細めて尾を揺らしているネムに声をかける。


「ネムも魔法使ってたよな? 走る時」


「・・・さすが精霊様が見えるユウヒだにゃ」

 ユウヒの声に目を開いたネムは、ゆるゆるとした緩慢な動きで起き上がりながらユウヒを見上げるも、ユウヒの用件を聞いた瞬間半開きだった目を見開いて動きを止め、縦に割れた瞳孔で恐ろしげにユウヒを見詰めるのであった。


「え? もしかして隠してた感じ?」


「そういうわけじゃないけど、獣人なら大抵使える魔法なんだけどにゃ? 普通ほかの種族は気が付かないのにゃ」

 ユウヒの青い左目は、精霊などの目に捉え辛い存在を見通すことのできる目であると同時に、その主要な構成要素である魔力も見ることが出来る。高濃度で有ればクマ達も見える魔力であるが、ネム達が使う魔法により漏れ出る僅かな魔力などは、魔力に慣れ親しんだ異世界の人々でも見るのは難しいのであった。


「外に漏れる魔力が微量だから?」


「そこまで見えてるのかにゃ!?」

 てっきり魔法の発動を感じているとばかり思って驚いていたネムは、続くユウヒ不思議そうな声に飛び上がるほど驚くとなぜか正座で座り直し、首を傾げる覇気を感じさせないユウヒの顔をマジマジと見詰め始める。


「と言うわけで、このクマ公に瞬間強化魔法を教えてくれれば秘密は守ろう」

 それから数分後、ユウヒは事情を噛み砕きながら説明すると、秘密を人質(笑)にして魔法を教えてくれないかとネムに頼んでいた。


「それはいいけど・・・使えるか分からないよ?」

 ユウヒの脅す気の全くない人質込みな頼みに苦笑を浮かべたネムは、眉を寄せて小首をかしげるとユウヒの後ろで目をキラキラと光らせるクマ、さらにその後ろで目を輝かせるパフェに目を向けたあと使えるかは保証できないと口にする。


「ふむ・・・どする?」

 ユウヒに目を向け、教えること自体は問題ないと言外に語るネムの言葉を受け、視線を後ろに向け問いかけるユウヒ。


「かまわん! 俺、頑張る!」


「だそうだ」


「わかったにゃ、私は教えるの苦手だから得意そうなのに頼んでみるにゃ」

 その視線の先では、興奮で言語機能が低下した返事を返すクマと、キラキラからギラギラと言った言葉が似合う表情に変わっているパフェの姿があり、苦笑を浮かべてネムを見たユウヒに、ネムも同じような苦笑を浮かべると頷きユウヒの頼みを了承する。


『おお!』


「ありがとな」


「気にしなくていいにゃ」

 ネムの返事に喜びの声をそろえるクマとパフェに肩を竦めたユウヒ、彼の礼にネムは嬉しそうに微笑み首を振ると再度縁側に横になり始めるのだった。


「そか・・・それじゃ俺は魔力対策の作業を始めるか、ネムまた部屋貸してもらっていいか?」

 猫の様に伸びをしながら寝の態勢を整えるネムの姿を微笑ましく見下ろしていたユウヒは、完全に寝てしまう前にと言った表情で合成の為に部屋を貸してほしいと口にする。


「い、良いよ? でも今度はちゃんと・・・寝てね?」


「おう、ちゃんと寝てやるさ」

 その何気ない一言に何を考えたのか過剰に反応したネムは、身構える様に動きを止めると、そのままの姿勢でユウヒに次はちゃんと寝る様に注意を促す。一方ユウヒは上目使いで注意してくるネムに申し訳なさそうな笑みを浮かべ軽く頷き了解する。


 何気ない会話の様で深読みしてしまいそうな二人の会話は、魔法取得と言う一大イベントに興奮して騒ぐパフェ達には聞こえなかったようだが、全く関係ない第三者の鋭敏な三角耳にはしっかり聞こえた様で、


「それはどういう事だー!!」

 第三者はネムの背後の襖を力一杯開くと、怒りの籠った大きな声を上げた。


「うっさい沈め!」


「げぶら!? ほげ!!?」

 一方機嫌よく尾を揺らしユウヒを見上げていたネムは、背後に現れた闖入者が誰であるかその声で理解した瞬間、ハイライトの消えた瞳いっぱいに瞳孔を開くと、明らかな燐光を周囲に瞬かせ飛び上がり、今にもユウヒに跳びかかろうとしていた獣人男性の顎に痛烈な跳び膝蹴り打ち込む。


「・・・獣人過激、俺、心配」

 膝蹴りによって僅かに宙に浮く獣人男性、もとい実の父にすかさず空中で態勢を変えて回し蹴りを放ったネムは、板張りに倒れ伏す父の背中に何度も素足でスタンピングを繰り返し、その容赦ない連撃を目の当たりにしたクマは、畏れにより自然と低下した言語機能で恐怖を口にする。


「親子のスキンシップの延長戦だろ?」


「・・・お前故意に字変えてね?」


「何のことやら」

 しばらく終わりそうにはない親子のスキンシップに、いつもと変わらないやる気なさ気な表情で何でもないように話すユウヒは、クマのジト目に首を傾げ肩を竦めて見せるのであった。


 ちなみにネムの作り出す惨状に引いていたのはクマを筆頭にパフェとリンゴ、いつもと変わらなかったのはユウヒとルカ、それからニコニコとしたいつもと変わらない表情のメロンである。この差に何があるのかわからないものの、彼らの目の前で行われた親子のスキンシップはこの後十数分に渡り続いたのであった。





 ネムに引きずられ自宅に連れて帰られる大人の獣人男性を何とも言えない目で見送ったユウヒは、ハラリアの里を散歩しながら軽く迷子になりつつネムの家にたどり着いていた。


「さてさて、早速始めるとしようか」

 家に入るなり人の気配が無い事に首を傾げたユウヒであるが、彼がこの家を後にした時のままにされた家の一角に気が付くと、すぐにその場所に向かって目的遂行のための準備を始め今に至る。


<なにをはじめるの><てつだうよ>


「特に手伝ってもらうことはないが、まぁ何かあったらお願いするよ」

 ユウヒが戻ってきた事を知った精霊達が集まってくる中、彼女たちと挨拶を交わしながら合成魔法の準備を続けるユウヒは、手伝うと言って気合のポーズを見せる小さな精霊達に微笑む。


<わかった!><なにもないなら見てる!><きょうみあります>


「くく、世界は変われど好奇心旺盛な性格はよく似てるな・・・あぁでも声がテレパシーなところは違うか」


≪?≫


 ユウヒの言葉を聞いてそれぞれに返事をして姦しく飛び回る様々な精霊の姿に、ユウヒはアミールの管理する世界で出会った精霊達の事を思い出し、世界は違えど似たところが多い両者に思わず笑い声を漏らしてしまい、周囲の精霊達は揃って不思議そうな顔と感情を周囲に漏らす。


「さて、確認だ。行程は大まかに媒体の作成、疑似付与魔法による魔法の封入、起動力用の魔力封入の三つ」

 人と違い音の振動ではなく魔力振動で感情を伝える精霊達に見守られながら準備を進める事十数分後、ユウヒの周りには所狭しと採取してきた素材が並べられていた。その一つ一つを確認し終えたユウヒは、日本製のノートとボールペンを使ってこれからの工程を確認していく。


「媒体と付与魔法の関係は主に純度だ! とか書いてあったからいくつか試すだろ?」


<じゅんどだ!><なるほど!><わからん!>


 声に出しながら確認していくユウヒは、これから複数の魔法を使って何か作るらしく、異世界で知り得た『付与魔法』と言う魔法の特性を思い出しながらノートにいろいろ書き込んでいき、精霊達もよくわからないまま声を上げる。


「付与する魔法は複数必要だから・・・基盤を参考にしつつ頑丈に」

 付与魔法とは、物質に魔法の力を付与することで簡易的な魔道具を作る技術なのだが、今回はその簡易魔道具を連結させて使うらしく、今でも魔法の常識を理解していないユウヒは、この世界でもまた一つ非常識な物を作り出すようだ。


「魔力は明らかに減っているがまだある感触、一応回復してる感じかな?」


<かいふくしてる><だね><魔力がゆっくり吸われてる>


 用意した宝石のような色合いの石や金属質な石を手の中で転がしていたユウヒは、その意識を自分の中に向けると眉を寄せる。どうやらユウヒの心配している魔力は一応回復しているらしく、そのことを教えてくれる精霊達に目を向けたユウヒは、確認するように彼女たちと首を傾げ合う。


「ふむ、回復しているのなら純粋に使いすぎか、乙女様にいろいろされたせいだろうなぁとは解っているが、容量が多すぎて分からないよりは安心かな?」

 異世界『ワールズダスト』に居た頃は、ほぼ無限に近い魔力を体に宿していたユウヒであるが、そのことが彼の体をひっそりと蝕んでいたことの他に、とある理由もあって乙女おとめと言うとんでも女性に魔力の発生源とその大半を除去されていた。


 使っても使っても減らない魔力はありがたいと同時に恐ろしくもあったユウヒは、今感じる有限の魔力に良くも悪くもない何とも言えない気分を感じている様だ。


「なぁ?」


<なになに?>

 そんなユウヒは小さく溜息を漏らして気分を切り替えると、目の前で逆さまのまま宙に留まっている精霊に声をかける。


「この世界って活性魔力少ないだろ?」


<そだね><むかしはいっぱいあったんだよ?><最近はいちじゅるしく減ってるの>


 ユウヒからかけられた声に笑顔を浮かべた精霊は体勢を元に戻すと小首を傾げ、そんな彼女にユウヒは重要な情報について質問を始めた。


「ほう・・・活性魔力が増えた場合何か良くない事とかあるか?」


<ん? むしろよさげ?><へって今にも滅びそうなんだよ?><ふやしてくれるの?>


 以前にも母樹と話していた活性魔力とは直接魔法に関係する魔力である。この魔力は様々な効果を世界に及ぼし、魔力が存在する世界では活性魔力の消失は世界の滅びに繋がるのであった。


「あ、その辺は異世界でも似た様なものなんか、活性魔力は世界を安定させてるのか?」


<すごい! よくしってる!><さいきんの奴はしらないのにえらい!>


 本来であれば魔力は世界を循環し、活性と不活性を繰り返すことで世界の安定化に貢献するのだが、何らかの要因によりそのバランスを崩しているこの世界では、ユウヒが肌で感じ、舌足らずな声で話す精霊達の言う通り活性魔力の量が希薄になっている様だ。


「なら作っていいかな? ここが活性魔力で満たされた場合住んでるやつに影響は無いよな?」


<そんなに感応性のたかいのいない><私たちも無理に吸わなければ問題ない>


 そんな自然に存在する活性魔力の希薄さが、自信の魔力回復の遅さに繋がっていると考えたユウヒは、大量に存在する不活性魔力を活性化することで、自らの魔力の回復速度を上げようと考えたのである。


「おk把握、それでは作るとしよう」


≪わくわく≫


 精霊達に質問することで懸念事項を消化したユウヒは、ニヤリと口元を緩めると背筋を伸ばし、手に持った赤い石に魔力を込め美しく輝かせ始めるのだった。


 忍者達が裸足で逃げ出す様な不敵な笑みを浮かべたユウヒは、一時自重を脇に置いて自らの使える魔法を駆使し、自分の為に緩やかな滅びに向かう世界を救う手立てを作り始めるのだが、彼はいつもの如くその辺には全く気が付いていないのである。ちなみにその頃、一向に帰ってこないネムは実家で母親と共に父親をこってりと絞っていたのだが、当然そのこともユウヒは知らない。


 全世界の尻に敷かれた父親に幸よ荒れ。



 いかがでしたでしょうか?


 クマ達の魔法使いフラグを建てつつ即座に折りにかかるユウヒが、また非常識な事を仕出かし始めた様です。肉弾戦大好きでも、魔法が目の前に存在すれば使ってみたくなるものですよね。


 それではこの辺で、またここでお会いしましょう。さようならー

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