表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールズダスト ~現世に現れし黒き森~  作者: Hekuto
適応と摘出

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

321/356

第三百二十話 人工天体

 修正等完了しましたので投稿させてもらいます。楽しんで頂けたら幸いです。



『人工天体』



 人工的に作られたとしか考えられない衛星、その姿にワクワクを抑えきれない二人は、細心の注意を払いながらその地に着陸していた。


「凄いな……ここまで進んだ技術は僕の世界でもないんじゃないかな?」

 巨大な縦穴の最下部に着陸した二人は外の状態が問題ないことを確認して外に出ると、呼吸するのに何ら問題の無い大気が維持された衛星に感嘆の声を洩らし、育兎は自分の世界にも無い様な技術をその大気に感じて難しい表情を浮かべる。


「なんで空気があるんだ? いやまぁ異世界だからで済みそうだけど」


「何らかの方法でこの人工天体全体を保護してるんだろうね、一応僕の世界にも安全な空間を区切るフィールド発生装置はあるけど……あれは基本、エアロックとかの小規模な部屋の扉に使ったりするものであって、星一つまるまる区切る物じゃないね」

 何故なら人工天体とは言えサイズは月と同程度かそれを多少下回る程度、通常その規模であれば人間が必要とするような空気を維持できるとは考えられず、何の遮蔽物も無く相応の大気圧を用意する技術はとても高度なものであり、またこの施設を利用していた存在が人間と似通った生物であることを示していた。


「へぇSFの世界だなぁ」


「SFは何れ到達できる場所だから、でもこのレベルとなるとエネルギー問題の根本的解決が必須だよね」

 巨大な縦穴の小さな空を見上げるユウヒは、星の輝く空に向かって呆れたように呟き、タブレットを操作して戦闘機をしっかり地面に固定した育兎は、肩を竦めながらSFを何れ到達できる場所だと話す。ユウヒに返す言葉は比較的冷静であるものの、どこか悔し気な感情も感じられる。


「エネルギー……日本は火力発電の破損でとんでもないことになってるし、まだまだ先かな」

 育兎は、人工天体のそこかしこから遥か先に進んだ技術を感じ、またそこに挑戦するだけの実力がある事を自覚しているが、その為にはエネルギー問題が重要となって来るようだ。一方でユウヒは、遥か大きなものを前にしたような圧倒される気持ちと好奇心で右目を輝かせ、エネルギー問題と言う言葉を耳に入れると精霊による被害を受けた昨今の日本を思い出し諦める様に肩を落とす。


「いやいや、ブラザーが助けてあげたらブレイクスルー連発でしょ」


「えー? 俺やだよそんな手伝い、自分で何とかしてよ」

 ただでさえ足の引っ張り合いによって発電方法の進歩が鈍い状況で更に火力発電所の大きな損失である。現状何とかなっているのも日本だけの力ではない辺り、手助けできる人間が助力するべきなのかもしれないが、ユウヒはその手を差し伸べる気は無さそうだ。


「ありゃ辛辣」


「手伝っても恨まれるだけだろ?」

 ユウヒの持つ魔法の力や青と金の瞳の力、またその人脈を使う事で日本のもつ技術力に様々なブレイクスルーを起こす事は可能であろう。それは日本の未来を輝かしいものへ進歩させるであろうが、しかし通路の奥へと歩きだしたユウヒの視線の先には、彼が手伝った結果によって悪化する彼の周辺環境が見えている様だ。


「ふぅん? 良くわかってるじゃん! 地球に住む人って集団は基本的に一方的に助けてもらっても感謝なんてしないからね」

 その予想される未来は育兎にとっても十分想定される未来のようで、ユウヒの言葉に少し目を見開きすぐに嬉しそうに口元を緩めると、以前と違いかなり軽装なユウヒの背中を小さな手で叩く。


「……しんらつー」

 育兎が歩んできた長い時間の中で学んだことなのであろう確信を持った言葉に、チラリと後ろに目を向けたユウヒは、そこにあるニコニコ顔にジト目を向けると苦笑交じりに呟き、その呟きに対して親指を立ててみせる育兎は歯を見せる様に笑う。


「さて、あまり悠長にしてられないだろうし最短ルートで行きたいところだけど……」

 ユウヒとの見解の一致によって妙に機嫌をよくする育兎は、地球より軽い重力の中をスキップしながら前に出ると、少し進んだ場所でくるりと後ろを振り向き、一号さんも余裕で走り回れそうな大きなホールに点在する多数の分かれ道を前に小首を傾げて見せる。


「そんなこともあろうかと、目的地までの安全かつ最短のルートを指し示せ【指針】」


「……」

 要はどうやって目的の場所へ向かうかの相談の様だが、タブレットを取り出し小型のドローンを動かし始める育兎の前で、ユウヒは腰のバッグから短い金属製の棒を取り出すと、一振りして伸ばし【指針】魔法を施すと宙に放り投げた。


「あっちだな」


「えぇ……」

 よく小さな子供が帰り道を棒の倒れた方向に決める様に、運に任せた方法で道を選びだすユウヒ。彼の【指針】と言う魔法はこれまでに何度も求める道を正しく指示してきたが、その事を知らない者から見れば気でも可笑しくなったようにしか見えず、魔法を使っていると理解している育兎でも、その光景には思わず驚きと不安が多分に込められた声を漏らさずにはいられないようだ。





 ユウヒが棒を片手に迷うことなく突き進み、不安に駆られる育兎が多方面にドローンを飛ばして周囲を調べ進んでいる頃、どこか暗い一室でゆっくりと目を覚ます者が居た。


「……封印の解除を確認」

 円筒のガラスの中で目を覚ましたそれは、小さな声で呟くと自らを包む円筒のガラスを手で触れる。


「座標確認、転移経路計算開始」

 触れたままさらに呟くと円筒のガラス表面に様々な映像や文字が浮かび上がり流れていく。暗い部屋に浮かび上がる光の映像が幻想的な空気を満たす事数分、何かが見詰める先に地球の姿が浮かび上がるといくつもの数字が流れ始める。


「実行可能領域と確認、処理実行準備」

 流れ続ける数字がすべて止まった瞬間、小さな呟きと共にガラスの中は光に溢れ、照らし出された室内にはいくつものガラス管が並べられており、その中の人々を照らし出すとすぐに光は消えてなくなりその場は静寂を取り戻すのであった。





 世界のどこかで不穏な動きが始まっている一方で、こちらは巨大な天体内部を探索するユウヒと育兎の二人。すでに何度も日を跨いだ感覚のある二人は、狭い通路の突き当りに向かって歩いている。


「棒切れでなぜ……」


「魔法だから」

 狭いと言っても二人が並んで歩いても十分余裕があるサイズで、縮めた伸縮棒をバッグに突っ込むユウヒの隣では、育兎が理不尽を顔面で受けた様な表情で項垂れていた。


「しかも安全な経路で回り道まで的確……」


「魔法だから」

 その理由は簡単な話で、ここまでの道中【指針】の魔法が示すとおりに進んできた二人は、ただの一度も危険な目に合い立ち止まることが無かった。そんな魔法の理不尽を前に育兎の心の中はやるせない気持ちで満たされている。


「しかもどう考えても完璧に隠蔽された隠し通路になっている場所まで……」


「魔法だから」


「機械文明舐めんなファンタジー!!!」

 普通ならまっすぐ進みそうな場所を回り道、普通なら気が付かない様な隠し通路、普通なら入ることを躊躇する様な狭くて暗い場所、そんな場所を一本の棒が指し示すままに進んだにもかかわらず、何の障害も無く現在に至っては思わず叫びたくなる気持ちもわからなくはない。


「はいはい、大きな声出さない」


「だって! あっちこっちにドローン飛ばした僕の身にもなってほしいな!」

 さらに言うならば、育兎はここに至るまでの間に何度もドローンで周辺の調査を行っており、ユウヒが選ばなかった道も必ずドローンを飛ばして調べていた。


「そんな頬をハムスターみたいに膨らまさんでもろて」


「プンプンだよ! 君の選んだ以外の道にはみんなトラップやら触手やらでドローン壊されるし! 何なんだいこの人工天体は!」

 【指針】が示す場所には一切何の警戒もなされておらず、これは最初からこの施設が無警戒なのではと思った育兎であったが、その答えは真逆であり、ドローンを飛ばした先では致死率の高い罠が待ち受け、少しでもその警戒網に引っかかると必ずドローンは破壊されてしまっている。


 理不尽な罠の数々と、ユウヒを信じていれば無駄な出費を払う必要が無かったと言う事実がより彼の心を苛み、それはわかりやすい表情で発露されるのだった。


「明らかに奥へと入って欲しく無さそうだけど、それだけじゃなさそうなんだよな」


「そうかな?」

 理不尽と理不尽に挟まれ、自らの感情も理不尽と知りつつ憤慨している少女にしか見えない高齢者の隣で、ユウヒはこれまでの道のりで感じて来た違和感について呟く。育兎が遭遇した殺意高めのトラップ郡と今も進む静かな通路の差とそこから感じる気配に違いを感じているユウヒに、育兎は良くわからないと言った表情で小首を傾げる。


「だって明らかにこれって抜け道じゃん? まぁ俺も白兵戦が無いのは、ちょっとあれなんだけど」


「アレって?」

 ユウヒ達が通って来た道はどれも本来の道順から外れた脇道ばかり、トラップを避けると言う意味ではある意味正道のようにも感じるがそこには妙な違和感が残り、またユウヒ自身白兵戦なり近接戦闘なりを経験しておきたかったと言う気持ちもあって、今回の探索に満足を感じて無いようだ。


「不意打ち用の装備をうちの娘達に用意してもらったんだけど、役に立たないからさ」


「それってその肌着だよね? 明らかに君の作るものとは違うと思ってたけど、そう言う事か」

 その理由は、ユウヒの上着の隙間から見える真っ黒なインナー、首上まで覆う長袖のインナーには薄っすらと光る様なラインが走っており、普段ユウヒが作る様なファンタジー感溢れる創作物よりもどちらかと言うと育兎が好んで使うようなSFチックな気配を感じる。どうやらそれらは二号さん達が用意したユウヒの身を守るための装備で、その機能テストも道中行いたかったようだが今のところその機会には恵まれなかったようだ。


「外の服は焦げたけど、インナーは全く損傷無しないんだぜ? 本来の性能を発揮しなくてもこれなんだからすごいよな」

 機会に恵まれると言う事はそれだけ危険な状態と言う事であり、遭遇しないならしない方が良いのだが、そこは頭のネジがおかしい二人、焼け焦げた服の裾を持ち上げてその中のインナーを見せるユウヒに、育兎は理解を示す様な残念そうな表情で頷く。


「エネルギー源は?」


「ん? えーっと、これだな」

 どうやら光のラインが走るインナーは唯丈夫なだけの服ではないらしく、バイザー越しにそのインナーを見詰める育兎は、本来の性能を発揮するために用意されているはずのエネルギー源について問いかける。


「……君の家族が協力したら日本のエネルギー問題解決じゃん」


「やだよ、可愛いうちの子をそんな場所に連れてくの」


「過保護だねぇ」

 問いかけに対して袖を大きく捲ったユウヒが見せるインナーの表面には、板状の透き通った青い板が張り付けられており、それはインナーの各所に取り付けられ、バイザーで結晶質の板を調べた育兎は呆れた声を漏らす。どうやらその青い結晶質の板は、育兎曰く、日本のエネルギー問題を解決できるような代物であるらしく、しかしその技術を提供する為には一号さん達の協力が必要となる為、ユウヒは全く乗り気になれない。


「ブラザーもだろ?」


「まぁねぇ」

 狭い通路をひたすらまっすぐ歩き続けるユウヒは、言われた言葉をそのまま返すと立ち止まり、同じく隣で立ち止まった育兎は肩をすくめて同意すると行き止まりとなっている壁に目を向ける。


「と、言うわけでここが目的地だな」

 どうやらこの行き止まりが目的地のようで、壁に設置された大きなモニターを見詰めるユウヒは目を細めながら床に目を向けた。


「途中のショートカットは肝が冷えたけど、問題なく中枢か……しかもこれ正規ルートじゃないよね」


「さぁ? その辺はわからん」


「どう考えても入り口が床ってないでしょ」

 ユウヒの視線を追いかけて床を見詰める育兎の視線の先には、足で蹴破るタイプの赤いスイッチが点滅しており、よく見れば床にはドアの合わせ目のような溝と可動部を現す様に大きく機械的なヒンジがその姿を主張している。


「確かに、でも……」


「でも?」

 今まで道中で見て来た扉の作りから考えても、今目の前にある床のドアは普通のドアとは違い、非常時に使うような侵入経路であった。そんな場所を指し示す【指針】の魔法に僅かな悪意を感じる育兎であるが、ユウヒは別の意思を感じているようだ。


「やっぱりこれで確信したかな、俺達に目的を達成してほしい何かが居る……いや居たんだろうな」


「ここの人かな? 居たって事はもう触手の塊に?」

 所詮【指針】と言う魔法は、すでに用意してある経路から求められた道に最も適合する道を示すものであり、経路上に安全に道が無ければ比較的安全だが危険な道も選択する。しかし今回ここまでたどり着くのに危険な道は存在せず、それは意図して安全な道が用意されていたことを意味した。


「その辺はわからんが、『ころして』なんて文字を残すのは触手の味方じゃないだろうな」


「そう書いてあるの?」

 それがこの施設に元から用意されていた安全対策であるならばユウヒも気にしないが、彼が見詰める先にある壁のモニターには『ころして』と言う異世界の文字が表示されており、その言葉から予想される未来にあまり明るいものは無さそうだ。


「……ほかにも興味深い文字が書かれているが、急いで突入と行こう。嫌な予感がする」


「OK!! それじゃ派手に行こうか! 開けろ! 警察だ!」

 モニターには他にも多くの文字が表示されているが、それらを流し見るに詳しい意味を解読しているような暇は無いようで、腰のバッグから紐の通された水晶の棒を二本取り出し両手首に通したユウヒに頷いて見せた育兎は、自らを奮い立たせる様に声を上げると勢いよく床の赤いスイッチを蹴破り、浮遊感を感じるがままに開いた床の下へと落ちていく。


「警察じゃないのに警察って言ったら罪になるんじゃなかったっけ?」


「ハッハー! ここは異世界無法の地だぜ! 喰らえいきなり粒子ブラスター!!」

 爆発物を使った開閉機構によって瞬間的に大きく開いた床から落ちるユウヒは、両目を輝かせながらどこかズレたツッコミを入れると両手に魔力を集中させ、ツッコミを入れられた育兎はどこからか肉付きの良い小銃を取り出すと、自由落下しながら幾条もの閃光を放つ。


「よっと、それって安全なの?」


「ゼロ距離じゃなけりゃ大丈夫!」

 床に到達するまでほんの一瞬の間に撃ち放たれた光は、宙で揺れていた触手を焼き切り床の扉が開いた拍子に飛び散った金属の破片を蒸発させる。


「GYAAAAAAAAA!!!?」


「怒ってるな! 【フリーズランス】」

 若干人体への影響を気にするユウヒの耳には、育兎の返事を邪魔するように触手の塊からであろう叫び声が突き刺さり、【探知】が視界に示す警戒と勘のまま氷の槍を生み出すと、一本をつかみ取り大きく振って背後の触手を切り飛ばす、と同時に目の前から迫って来ていた触手に太い氷の槍を飛ばして串刺しにしていく。


「うわ気持ち悪!」

 ユウヒの足元で屈んで小銃を構える育兎の前に広がる床からは、損壊した触手を補う様に新しい触手が沸き出し、剥ぎ取られるように飛んでいく床板の下から現れるぬらぬらと光る肉の壁に育兎は顔を蒼くする。


「触手だらけだな【大楯】【小盾】【クラッシュ】」


「えぐいなぁ」


「そっちだって消し飛ばしてるじゃん」

 蒼い顔をしながらもブラスターの閃光を止める事に無い育兎からのツッコミをそのまま返すユウヒの魔法は、触手を串刺しにしていた大きな氷の槍を粉々に爆散させ、その礫は肉の塊をひき肉に変えていく。


「こっちの方が、綺麗でしょ! なんせ熱だから消毒も出来るよ!」


「一応ここがコントロールルームらしいから、変なところ壊すなよ?」

 育兎がブラスターの光で素早く迫ってくる触手を焼き切り、ユウヒが質量に物を言わせて振るわれる太い触手を串刺しで固定し、対人地雷の様な礫の壁でひき肉に変える連携は見事なもので、圧倒的物量を前に彼らを目的の場所へと前進させていく。


「まかせてよ! コアはあそこだ! ……流石に守るか」

 バイザーを被った育兎を先頭に駆け足気味で前に進む二人の前に、目的のコアとなっている装置が見えてくるが、育兎の声に反応するかのように攻めていた触手が身を守る様に一点に集まる。しかしそれは攻撃の手が緩むことでユウヒに攻勢の機会を与えた。


「あそこだな? まかせろ、しばれ【コールドソーン】」


「おお、すごい! しかもあれは不可視の防護膜、いいね!」

 触手の動きで目標の攻撃カ所を理解したユウヒは、【飛翔】の魔法特有の慣性を無視した様な動きで飛び出すと、触手が掴み投げてくる瓦礫の中を突き進みながら氷の茨を生み出し、瓦礫と触手を突き刺し縛り上げて道を押し広げる。それでも完全に攻撃を防げているわけではなく、ユウヒに直撃しそうになる瓦礫は不可視の壁に遮られ、瓦礫が壁に衝突するたびに彼のインナーの光のラインが強まり、衝突部分で青い燐光が輝く。


「凍てつき滅べ【フリージングデストラクション】」


「Gya―――!!!」

 茨と言うよりも、人の体に大穴を開けるような太さをした針の群れが作るトンネルを抜けるユウヒは、手の中の水晶柱を砕くと触手が絡みつき合った肉の塊に向けて破壊すると言う意思だけが込められた魔法を解き放ち、叫び声と破壊音で耳がおかしくなるような音の中を突き進みながら手の中に氷の槍を生み出すと、砕けて消滅する触手の中央へと槍を振りかざす。


「その黒いのが装置だ!」


「意外と小さい、な! 【フリーズ】」

 バイザー越しにやっと見える凍った触手の破片の隙間、ユウヒが目指す先に黒い立方体を確認した育兎は大きな声を上げ、その声を通信機越しに聞き取ったユウヒは槍の切っ先を捻じる様に装置を飲み込んだ肉の塊に突き立てると、しっかり食い込んだのを確認して氷の槍から凍結の魔法を解き放つ。


 装置も肉の塊もまとめて凍結させたことで触手に埋もれる部屋は真っ白に染まる。瞬間、一部が砕けた上着の下から現れたユウヒのインナーは強く輝き、その青い光と育兎のブラスターの光が辺りを幻想的な光に染め上げるのであった。



 いかがでしたでしょうか?


 不穏な気配を残しながらも本来の目的に到達した二人、触手の塊を凍結させた彼らはその先で何を見るのか、次回も楽しんで貰えたら幸いです。


 読了ブクマ評価感想に感謝しつつ今日もこの辺で、また会いましょうさようならー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ