第二百九十七話 日本魔力資源開発機構 前編
修正等完了しましたので投稿させてもらいます。楽しんで頂けたら幸いです。
『日本魔力資源開発機構 前編』
とある自衛隊施設の地下室、巨大な倉庫であり緊急時のシェルターにもなるそこでは、現在眩しい光が無機質なコンクリートの壁を照らしている。
「ふふ、作ってしまったね」
「そうだな……これだけやれば起きるだろ」
光の発生源は一本の太い石柱の先端、四方を大きなリングに囲まれた石柱には青い幾何学模様が複雑に彫り込まれ大きな舞台のような台座にはその何倍も細かく複雑な紋様が走り、それは大きな青い魔方陣になっていた。
宙に浮かびくるくると回るリングも土台も石柱も全てが精霊を温めるためのヒーターの一部である。また完成したヒーターを見詰める育兎とユウヒの回りには、彼ら二人を合わせた大きさよりもさらに大きい魔力供給用の柱が何本も並んでおり、魔力による青い霧は発生するなり回転するリングに吸い込まれていく。
「おー……」
「あつすぎる」
「はらはらしますね」
感慨深げに光を見詰める二人の足元には精霊達が座り込んでおり、土の精霊は呆けた様に目の前で起きている現象を見詰め、闇の精霊はユウヒの足の影に隠れ額をローブのような闇色の服の袖で拭っている。またそんな闇の精霊に小さな影を提供している水の精霊は目を細め好奇と不安が混ざった表情で佇み、そっとユウヒのズボンを小さな手で握っていた。
「興味深いなぁ推定熱量は一億越えてるはずなのに精霊が入った途端外と同じくらいまで下がったよ」
後ろに隠れられズボンを握られ動くに動けないユウヒの隣では、タブレットを持った育兎が呆れた様にため息を洩らし、大量の測定器から送られるデータに目を輝かせている。どうやら目の前の装置は常に一億℃を超える熱を発生させている様だが、断熱の効果が発揮されユウヒ達に熱を伝える事がないどころか、魔法の壁の内側でもそれほど熱くはなってい無い様だ。
「火の精霊にどんどん吸い込まれてるな」
より効率的に火の精霊へ熱を送る工夫がされた装置内部では、火の精霊がどんどん熱を吸収しており、彼女が目を覚ますのもそう遅くはなさそうである。そんなユウヒの嬉しそうな声に反して精霊達の表情はあまり優れない。
「かわいそうに……」
「このことを知ったら……」
やはり今の光景は火の精霊にとって相当恥ずかしい状況であるらしく、光の精霊は心底申し訳なさそうに可哀そうだと呟き、その隣で水の精霊は火の精霊がこのことを知った時どんな反応を示すか考えて気の毒そうに溜息を洩らす。
「バッチリ教えるね!」
一方、風の精霊はふわふわとみんなの下に戻って来ると満足気な表情を浮かべ、眠った火の精霊が見聞き出来なかった間の事をバッチリ伝えるつもりだと、親指を立てながら輝く瞳で笑う。
『鬼だな』
「風ですぅ!」
その所業は精霊にとってまさに鬼の所業であるが、風の精霊はその発言に対して心底不服そうである。
「どうしたんだい? 変な顔して」
「いやなんでもない」
自分の足元で行われる姦しいやり取りに眉を寄せ疲れた様にため息を洩らすユウヒは、不思議そうに見上げてくる育兎に首を振って見せると、青と金の瞳をじっと前に向けたまま両の目の輝きをじわりと強めた。
「ふーん? まぁいいや、とりあえずこれなら問題なく核融合炉にも転用可能だね」
何かがあったようだが話す気のなさそうなユウヒに追及を諦めた育兎は、視線をタブレットに戻すと笑みを浮かべ今後の計画について触れる。どうやら本気で核融合炉を魔法と科学の融合で実現するつもりのようで、わくわくの隠せない表情を見る限り、彼にとっては新しい試みであるようだ。
「よくわからんが、とりあえず設計図に寄せて作り変えればいいんだよな? トカマクっぽい型魔力加熱器かぁ……ふむ?」
「そう言うとこがチートだよね、後で僕が確認するからとりあえずやってみてよ」
その魔法部分に関してはユウヒが担当するらしく、手に持っていた紙の設計図を広げすごく簡単そうに話す彼を見て育兎は心底呆れた様に呟き、しかしその力が本物であることが分かるからこそ彼もまた簡単に任せるような発言をする。
「ふむ、火の精霊が復活するまでの間に小型の模型でも作るか」
一般人には訳の分からない設計図であるが、その設計図の内容は目の前のヒーターとはだいぶ違う物であり、流石のユウヒもいきなり実物を作るのは難しいらしく、火の精霊が復活するまでの間に余った材料で小型の模型を作るようだ。
「ほんと!? 作ろ作ろ!」
コンクリートの床にゆっくり座りながら話す彼の言葉に、育兎は嬉しそうに声を上げると小さく跳び跳ね体全身で喜びを表し、精霊達もまた何か始まるのかと興味深そうにユウヒを囲み笑う。
「でもこれって核融合炉にする必要あるのか?」
廃材入れから木材を一つ取りだしたユウヒは、魔法の力で角材を粘土のように流動させて板を作るとそこに魔法の文字を刻み始め、しかしふと手を止めると小首を傾げて疑問を洩らす。
「確かにこのまま使っても問題ないけど、こんなもの国に渡せないよ」
ユウヒの疑問は尤もであり、核融合で熱を発生させなくてもすでに魔力を連続的に熱エネルギーへと変換できておりその効率も低くはない。それはそのまま熱交換を行いタービンを回す事も可能で、なぜわざわざ核融合を行わないといけないのか、その理由は育兎が少し呆れた様に話し始める。
「まぁいつ壊れるかわからないけど」
「違う違う、こんな超が付く高性能な技術なんか渡したら混乱しか招かないよ、これも終わったら解体した方が良いね」
こんなものと言われたユウヒは確かにと頷き、まだ長期運用のテストを行っていない装置に目を向けるも、問題はそこではない。それはユウヒの作り上げた精霊用ヒーターがあまりにも高性能すぎて、完全に現代の地球からするとオーパーツ以外の何物でもないからである。発掘品ならまだしも、現代人が作った物と言う事はいくらでも際限が可能と言う事であり、必ず混乱が起きると育兎は顔を顰めてヒーターに目を向け話す。
「奪い合いになるか」
「なるね、必ずなる。人間てのはどこまで行っても馬鹿な生き物だからね、目先の事だけでずっと先のことまで考えないし、自分が弱いと考えもしないんだ」
どうやら育兎には自分の作った物によって混乱を起こしたことがあるようで、奪い合いと言うユウヒの言葉に頷く育兎の表情も言葉使いも憎しみに満ちている。
「何かあったのか?」
「僕も昔は若くてね、色々作って国に管理を任せてたんだ。でも行き過ぎた技術は戦争の火種にしかならなかった。その所為で国がいくつか無くなったから」
「……」
体ごと育兎に向けて聞く態勢を整えたユウヒは、作りかけの模型を廃材入れになっているコンテナの縁に置くと何があったのかと問いかけた。育兎は少し顔を上げて自嘲気味に肩を竦めると、自分の作った物によって戦争が起きていくつかの国が滅んだと言う。
普通の人間には想像もできない様な経験を話す育兎はどこか寂しそうで、その寂しそうな表情の奥に後悔の感情を見たユウヒは、気遣わし気な目でじっと彼の瞳を見詰める。銃を作り出した一族が銃により起きた悲劇の被害者から恨まれるように、彼もまた恨みや呪いを受けて来たのかもしれない。
「ま、無くなった原因は宇宙人に喧嘩売って反撃で消えただけだけど、僕の所為じゃないから気にしてないよ」
しかし、そんな恨み言に負けるようならこの場に彼はいないであろう。ユウヒの視線を真っ向から受け止めた育兎は、にこっとした笑みを浮かべると大げさに手を上げて肩を竦めて見せると、実際に滅んだ国は完全に自業自得だと言って自分の所為じゃないと笑い飛ばす。
「ふむ、十分勘がいいじゃないか」
「君の顔が解りやすいんだよブラザー……ありがとね」
特に表情は変えずに見詰めていたユウヒの気遣いに、育兎は解り易い表情をしていたのだから解って当然だと笑い飛ばすと、顔を少し逸らして小さな声でお礼を口にする。
「なんのことやら」
そんな彼の姿に肩を竦めたユウヒは、優しく微笑むと作りかけの模型を手に取り魔力を練り上げ、目元を拭う育兎から視線を外すのであった。
ユウヒと育兎のやり取りに精霊がなぜか体をくねらせ喜悦の表情を浮かべ、丁度交代で入っていた立ち合いの女性自衛隊員が鼻を押さえ天を仰いでいる頃、石木は車の中で電話を受けていた。
「あーなんだ、それは本当なのか?」
どこに向かっているのか黒塗りの高級車に乗る石木は、怪訝な表情を浮かべて電話の向こうの相手に問いかける。その表情は真偽を問うと言うより正気を疑うようで、しかしその声からは疑問より不安の方が感じられ、バックミラー越しに目を向ける運転手はどこか緊張した様子を見せた。
「立ち聞きしただけですが、確かに核融合炉だと」
「まて、確認取ってないのか? 夕陽なら聞けば教えてくれるだろ」
どうやら電話の向こうの人物は、ユウヒが泊り込んでいた倉庫の関係者のようで、精霊用ヒーターを作る間の雑談に危機感を覚え、上司へと連絡したようだ。しかし内容が内容だけにトップへ直接の連絡となり緊張した様子の男性に対して、石木は不満気な表情を浮かべ直接確認をとらなかったのか問いかける。
「それが、一緒にいる育兎博士がですね……」
言われれば尤もな問いかけであるが、それはユウヒの為人を知っているから言えることであり、一般のうわさ以上の人柄について詳しくない男性は質問する勇気が持てず、さらには勇気をもって問いかけようとしてもその行動は育兎によって邪魔されてしまう様だ。
「あの人か、あれは相当修羅場潜った老人の目だったな……まぁそのうち向こうから話してくれるだろ、ダメなら俺から聞いてみる」
「そんな!」
見た目こそ線が細く華奢な美少女にしか見えない育兎であるが、実際は奥さんが複数居てさらに娘が居てさらにさらに成人した孫まで居る様な老人である。一般人でも歳を重ねれば重ねただけの知性と言うものを持つもので、それが不老を実現するような可笑しな人物ならなおさらであろう。石木も育兎の事は少し苦手としているのか、その感情が思わず消極的な態度となって出てしまい、電話の向こうの男性を焦らせる。
「まぁまて、あの二人は日本の敵ではない。そんな二人が話さないって事はまだその必要がないって事だ」
「そうは言ってもどこから情報が洩れるか」
妙に焦っている男性に訝しげな表情を浮かべながらも、実際に彼らを目の当たりにすればそう言った感情が動くのも仕方ないかと息を吐く石木は、彼ら二人に信頼に近い感覚を持っていた。一方、どちらかと言えば危険視に近い気持ちを二人に感じたらしい男性は、はばかることなく不安を洩らす。
「洩れても何も出来んさ、技術のレベルが違う。だが日本が作っているなどと言った誤報は困るな……」
普通に考えれば電話の向こうの男性の考えは間違っていない、スパイ天国などと揶揄される日本において、どこから情報が洩れるかわからないと言うのは正常な認識とも言える。しかし、その洩れた情報を使いこなせるかは別の話しで、問題は誤解を招かない方だと石木は眉を寄せた。
「各所と連携して全力を尽くします」
「頼む」
過去にも日本は、核燃料の再利用で核兵器の材料を確保しているやら、自立二足歩行ロボット兵器を開発しているや、非人道的な改造人間による強化兵士を作っているなど、様々なありもしない噂を流されその度に国際会議の場で説明を求められ、最近も異世界技術の兵器転用などで説明を求められたばかりである。
そんな事例を脳裏に思い出した男性は、立ち上がったのか椅子の軋む音を上げ張りのある声で返答すると、短い石木の言葉に一言告げて電話を切った。
「後でそれとなく聞いてみるか、あの話も一緒に進める方向で……うまく話を付けられればいいが」
微妙に噛み合わない話を終えた石木は、運転手に目を向けると鏡越しの視線に肩を竦めて見せ、苦笑いを浮かべる運転手から視線を外に逸らすとごちりながらスマホを操作し始める。大臣と言う役割の重圧を肩に担ぐ彼は、日々余計な重圧が増えていくのを感じて疲れた表情を浮かべるのであった。
ユウヒと育兎の会話が思わぬところへと波紋を広げ、一部界隈が慌ただしくなる中、精霊用ヒーターの完成品を起動させて半日、模型製作や後片付けを行っていた二人は、起動を停止したヒータの傍らで新たな作業を始めていた。
「うーむ、確かに高次エネルギーの乱れが生じているけど見えないな、これは異星人の技術でもエネルギー量しか測れないかも」
薄緑色のガラス板やレンズなどが取り付けられた装置の前で唸る育兎、彼が目を向ける場所では、現在ユウヒと精霊が集まり何事か行っている様で、しかしその詳しいやり取りがわからない育兎はどうにか精霊の姿が見れないかと様々な機器を使い観測していたようだが、その結果は芳しくない。
「あの、夕陽さんはいったい何をしてらっしゃるのでしょうか?」
「ん? 目を覚ました火の精霊を慰めてるらしいよ? で、僕はその精霊を観測してるの」
火の精霊を起こす事に成功したユウヒはすぐにヒーターを停止させると集まってきた精霊たちと共に、寝かされていた火の精霊を抱き起し無事を喜び、風の精霊の爆弾によって逃げ出そうとした火の精霊を捕まえると慰める作業へと移行していた。
「精霊が見えるのですか!?」
何やら悪戦苦闘しているユウヒを薄緑色のガラス板越しに見詰める育兎に、片づけを手伝っていた若い男性自衛隊員は何と無しに声をかけ、その返事に驚きの声を上げている。彼もまた見えざる精霊と言う存在に不安を感じる一人であり、見ることが出来れば多少はその感情も抑えられると思ったようだ。
「残念! エネルギーの乱れまでは観測できるけど姿は見れないね。しかもエネルギーの総量が半端ないから、何体いるのかどこに居るのかもわからないね」
「な、なるほど……」
だが彼の思いは両手を上げた楽し気な育兎の言葉によって無残に切り捨てられ、話の半分も理解できない彼は残念そうに肩を落として漠然とした返事を返す。
「まぁそのうち日本でもそう言う技術が開発されるんじゃないかな? 正直まだ早い気もするけど、世界は待ってくれないから努力した方が良いよ?」
「は、はぁ……?」
疑問顔を隠しもしない男性の返事にクスクス笑う育兎は、これから魔力や高次エネルギーに関する技術は加速的に開発されていくだろうと話し、その波に乗ることを勧めるも男性はその波がどんなものなのか想像できず切れの悪い返事を洩らすだけであった。
「ん? ブラザー! でんわー!」
裏表の無い若い男性自衛官に好感を抱く育兎は、作業テーブルの上でぶるぶると震えだしたスマホに目を向けると、精霊と話し合うユウヒに向かって大きな声をかける。二人の距離はそれなりに離れており、さらに精霊と話し込むユウヒの耳へ聞こえる様に呼びかけるとなると大きな声になってしまう。
「ん? 代わりに出ておいて! たぶん石木さん!」
「え?」
自衛隊の人間が動く片付けの音以外には魔力収集機が小さな唸り声を上げるだけの倉庫では、ユウヒの大きな声がよく通り、その発言に思わず足を止めてしまう自衛隊員達と変な声が出る若い男性自衛隊員。
「わお! ほんとだよ、もしもしー僕だーれだ!」
事前に連絡を取る旨を予定していたらまだしも、突然かかってきた電話の相手を言い当てたと言う事実に驚く面々を他所に、育兎は驚きの声を上げたかと思うと躊躇なく電話に出てお道化た様な声で石木に話しかける。
「……育兎さんですか? ユウヒの奴は」
「うーん、困難なネゴシエート中だから用件は僕が聞いておくけど? なんせ僕らはブラザーだからね!」
もし自衛隊員がそんな電話の取り方をしたらどんな罰を言い渡されるか、想像もしたくないそんな相手である石木は、育兎の声に思わず数秒息を吸い込んだかと思うと慎重に話し始め、明るく軽やかに話す育兎の言葉に疑問の声を小さく洩らす。
「あー、核融合炉を作っていると言う情報がですね」
「作ってるよ?」
気になるワードが出たことで詳しく聞くか悩む石木であったが、ユウヒと違ってまだ距離を測りきれていない異常人物である育兎に聞く事を躊躇した彼は、本来聞く予定であった核融合炉について問いかけると、軽く返ってきた返答に思わず声を失う。
「……それは魔法込みの技術と言う事でしょうか」
返答の軽さがそのまま彼の技術力に直結するものだと判断した石木は、その核融合炉がどんなものであるか質問を進める。完全に科学技術だけで作られるものなのか、それとも魔法の力も使われているのかそれで話は大きく変わって来る。
もし科学技術だけで実現できる装置であった場合、その情報が外に漏れることは大きな危険を伴うが、逆に国内の研究機関でも再現しやすいと言う事だ。一方、魔力などの異世界の技術を盛り込んだものであるならば、優位性はユウヒの属する日本が圧倒的に先んじており、情報が多少洩れてもその差は早々揺らぐことは無いだろう。
「そうだね! それよりその話し方止めない? フランクでいいよ?」
そう言った心配がぐるぐると頭の中を回り始めた石木は、自衛隊員の電話には待つと返しつつ自分が待てなくなり電話をかけたのであった。勿体ぶって相手からリターンを求めても良い様な話を気軽に話す育兎は、警戒を感じさせる石木の話し方に眉を寄せるともっと本心で率直に話そうと促す。
「あー……それでな、そう言う技術を政府でも開発するのに協力を」
「いいよー」
育兎に促され少し言葉を緩めた石木に対して育兎は実に簡単に答える。
「お、おぉ……」
政界で歯に衣着せぬ物言いで畏れられる石木は、食い気味の返答に対して思わず言葉を失い、自分が今感じている感覚に何処かの赤い狐の女性を思い出して色々と察してしまう。あぁこれもあれと同類なのだと……。
「でも、魔法も技術もそっちが研究して作るのが基本的な前提だからね? オーパーツ渡されてもしょうがないでしょ? 授業にアドバイスと添削だけ、ユウヒもそのくらいなら嫌がらないでしょ」
「まぁユウヒに頼りっきりは良くねぇからな」
解ってしまえば相手が危険な相手でも多少気が楽になるらしく、子供に言い聞かせるように話す育兎に対して幾分柔らかくなった声で判事を返すと、彼自身ユウヒに頼り切りにはなりたくないと話す。
「ふふふ、大臣も大変だねぇ? あっちこちから色々言われるんでしょ、あまり気遣いし過ぎは毒だからね?」
どうやらその言葉は育兎にとって好意的に感じられるものであった様で、身振り手振りを交え精霊と交渉するユウヒの背中を見詰めた彼は、大臣を労う様に小さく笑いながら話す。石木が電話をかけるに至った経緯の中には、情報を共有した一部からより詳細な情報を求められたことも事実であり、育兎の気遣いに思わず涙腺を縮めそうになった彼は、鼻を鳴らして話を続けるのであった。
尚、この後しばらく石木にロリコン疑惑が持ち上がるのだがそれは全く関係ない話である。
いかがでしたでしょうか?
ようやく目覚めた火の精霊相手にもう一苦労残っていそうなユウヒを他所に、彼らの計画が石木にバレるが何やら彼には考えがありそうだ。そんな次回もお楽しみに。
読了ブクマ評価感想に感謝しつつ今日もこの辺で、また会いましょうさようならー




