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ワールズダスト ~現世に現れし黒き森~  作者: Hekuto
適応と摘出

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第二百九十三話 東京湾ゲートコネクション

 修正等完了しましたので投稿させてもらいます。楽しんで頂けたら幸いです。



『東京湾ゲートコネクション』



 風が吹くと海の匂いが鼻をくすぐるここは東京湾の埋め立て地、異世界難民との交流施設がある人工島とはまた別の埋め立て地の一画には、真新しいコンクリートの壁が建設され、見るからに分厚いその壁の内でも外でも人が動き回り重機が唸り声を上げている。


「私がんばったと思うの」


「そうだね」

 そんな壁に囲まれた一画に向かう道もまた舗装されたばかりであるらしく、少し前まで雨が降っていたのかアスファルトの上には水を弾くようにいくつも水たまりが出来ていた。そんな新しい道の歩道を歩くユウヒは、荒れ地を切り取ったような道路を見渡しながら、左腕から聞こえてくる兎夏の声に対して返事を返している。


「休暇をもらっても悪くないと思うの」


「悪くないね」

 明らかに疲れを感じる平坦な声で話す兎夏に対して、ユウヒは短く同意する様に返事を返して何度も頷く。


「まぁ休暇貰っても引き籠ってるだけだけど……」

 何か言い訳するように休暇が必要だと話す兎夏は、ユウヒの返事に少し口籠ると自虐的な声色でぼそぼそと呟いた。どうやら何か目的がある休暇ではなく、単に働き過ぎたことによる燃え尽き症状が出ているだけの様だ。


「不活性魔力?」


「それもあるけど……単に外出るの苦手と言うかぁ」

 また、彼女が外に出れない理由として不活性魔力の存在もあるが、そちらは育兎の存在によりある程度解決しており、どちらかと言うとただの出不精と言ったところなのか、左腕の通信機の画面を覗き込み問いかけているユウヒに、兎夏はもごもごとした声で話しながら居心地悪そうに視線を逸らす。


「なるほど、俺も部屋の中でゲームやってるか何か作ってる方がいいな」


「不健康ね」

 ドーム対策の協力によって結ばれた二人の縁はその過程でより親密なものとなり、気の置けない友人と言った関係となっているが、それでも女性として男性に出不精と思われるのは嫌な様子の彼女は、特に気にした様子もないユウヒの表情に息を吐くと小さく笑みを漏らしながら不健康だと呟く。


「なに、会社で働いていた時より健康的だよ」


「……お互い大変ね」

 困った弟でも見るような目で笑みを浮かべる兎夏の言葉に、目を力なく細めたユウヒは光の無くなった目で空を見上げると自虐的に呟く。事実、会社勤めしていたころよりユウヒの体調は改善されており、魔法のおかげもあるとは言えそれだけブラック会社は人の心も体も蝕むもののようだ。


「ははは、それで? 休暇が貰えたというわけか」

 気遣わし気な兎夏の声に眉を上げ乾いた笑いを洩らすユウヒは、通信機を覗き込むと休暇が貰えたらしい兎夏に笑みを浮かべて見せる。


「監視は継続してるけど、政府の方がゲートの管理環境を整備するのに時間が足りなくなったみたい。こっちには急ぐとか言っておいてこれじゃね」


「とげとげしてるな、俺は機器の部品を納品しただけだから何ともないが、そっちは大変だったか」

 そんな休暇をもらえた兎夏は、何ともとげとげとした声色で愚痴を洩らす。元々ドームの縮小と移動に関して急ぐように言ってきたのは日本政府であり、そのために全力をもって対応した兎夏であるが、政府が予想した以上の早さでドーム対策が進んだことで受け入れ態勢の方が間に合わず、兎夏の休みは快く受け入れられることとなったのだった。


 一方で、ドーム移設作業にはユウヒも安定化装置の作成と言う形で手伝っているが、彼にとってはそれほど難しいと思える仕事じゃなかったらしく、今も政府の行動に対して特に気にした様子も無く苛立つ兎夏に労う様な視線を向けている。


「……安定化装置のことね、あれはおじいちゃんが夕陽君から部品を貰った次の日には全部終わらせてたわ。私はずっとゲートの移動に長時間拘束されてたけど……」

 本来ならドームと言う異常な存在を継続して安定化させる装置を作るとなれば途方もないコストがかかるものであるが、そこは互いにチートの称号を譲り合う二人が作った事によりほんの数日で日本のドームの数以上を確保しており、自分の仕事より圧倒的に大変な仕事を軽くこなすユウヒと祖父に釈然としないものを感じる兎夏は、しかし比べても意味の無い存在と言うものをよく知っているが故に、何か言う気にもなれず静かに考える事を止めたようだ。


「流石だな、情勢が落ち着いたらみんなで出かけよう」


「みんな……みんなね、わかったわ」


「どうした?」

 特に何も言わずともその言葉からはストレスの影響を感じ、困った様に眉を寄せて微笑むユウヒはいくぶん優しい声色で声を掛け、彼の言葉に顔を上げた兎夏は釈然としない表情を浮かべながらも小さく肩を竦めると了承する。


「いいえ、何か美味しものでも食べましょ!」


「そうだな」

 微妙なバランスをとりながら揺れる乙女心にまったく気が付かないユウヒは、心の中に溜まるおりを吐き出すような兎夏の空元気に目を丸く見開くと、不思議そうにしながらも通信機の向こうの笑みに合わせて微笑むのであった。





 愚痴を聞いてもらいすっきりした兎夏が寝ると言う事で通信を終えたユウヒは、少し足を速めてコンクリート壁の向こうに入るため、入り口の守衛室にそっと歩み寄る。


「あ! お疲れ様です!」


「どうも、入って大丈夫ですか?」

 守衛室から周囲を見渡していた警備の自衛隊員は、ユウヒの姿に気が付くと背筋を伸ばすと張りのある声を上げて敬礼で出迎えた。ユウヒの顔は周知されているらしく、それは同時に彼がどういう人物かという内容と噂も伴っており、対応は非常に丁寧であるがやられる側のユウヒは未だに慣れないのか少しおっかなびっくりと言った様子である。


「……何かありましたか?」

 だが、ユウヒ以上に恐れを感じているのは守衛の方であった。


「ちょっとうちの子の様子とか見に、すぐ戻るので特に異変があったわけじゃないですよ」


「そうですか、すみません。専門家の方が来られると少し身構えてしまいまして」

 数少ない異世界の専門家であり、単独で軍でも太刀打ちできない相手を屠る戦力を持つユウヒが突然現れれば構えてしまうのも仕方なく、ゲートの向こうとこちらをフリーパスで出入りする権利があるとは言え、その来訪に色々勘繰ってしまうのは当然と言える。


 そんなユウヒが来た理由を聞いた守衛は、あからさまにほっとした表情を浮かべると明るい笑みを浮かべた。


「向こうは何か変化はありましたか?」


「いたって平和ですね。向こうとの交流も段階的に進めています。まぁアーケードゲートの普人族とはあまり良い関係ではないですが」

 嘘をつくのが苦手そうな男性の笑みに苦笑を洩らすユウヒは、肩の力を抜くとゲートやその向こうについて問いかける。すでにいくつかのドームがゲートに姿を変えてこの施設に移送され、監視と異世界間外交の拠点作りなどが行われている。慎重に事を進めているおかげで大きな争いは起きていないが、問題が無いわけではなさそうだ。


「なるほど、ありがとうございます」


「お気をつけて!」

 今から向かう異世界の状況が、可もなく不可もなくと言ったところだと把握したユウヒは、お辞儀をしながら歩き出し、そんなユウヒを周囲の自衛隊員は敬礼で見送るのであった。


 顔を見られるたびに敬礼されるユウヒが居心地の悪さを感じながらやってきたのはアーケード街ドームと言う名前で呼ばれていた名もなき異世界のゲート前、周囲で監視任務に就いていた自衛隊員にやはり敬礼で出迎えられたユウヒは、青と金の瞳を輝かせゲートを見詰める。


「ふむ、異常なし」


「お疲れ様です!」

 様々な文字や図形が視界を埋めて行き、その中に異常が見受けられないことを確認したユウヒは、人差し指でゲートを指差しながら異常が無しと確認するように呟き、その言葉に立哨の自衛隊員は少し安心した表情を浮かべ労いの声を上げた。


「こっちも異常なし」

 突然かかった声に肩を僅かに跳ねさせるユウヒは、お辞儀しながらゲートを潜り、異世界側のゲートも両目で確認すると同じように指差し確認を行う。


「あ、どうも」

 社畜時代の癖であろう確認を終えたユウヒが後ろを振り返ると、異世界側で立哨していた自衛隊員に敬礼で出迎えられ、困ったような笑みを浮かべたお辞儀で返す。


「何度も敬礼されるのは慣れないなぁ……」

 どうにもなれない敬礼攻勢を抜けたユウヒは、ゲートを囲うように作られた石壁を抜けながら頭を掻き溜息を洩らすと、視界の端から現れた人影に目を向け思わず目を見開く。


「あ、マスター! おかえりなさい」


「お? うん、ただいま」

 視線が互いにぶつかった瞬間相手はカメラアイを瞬かせ、すぐに嬉しそうな声を上げると巨大な鉄骨を両手で抱えたまま軽い足取りで駆け寄って来る。その迫力に思わず後退りそうになるユウヒであったが、2メートル以上ある巨大な機械の鎧が誰であるか理解すると下がりそうになる足を押しとどめてただいまと声を掛けた。


「えーっと? ご飯にする? 風呂にする? それともわたし?」


「誰だよそんなこと教えたの…」

 巨大な鉄骨を片手で持ち杖を付く様に持ち直した巨大な機械の鎧は、勢いよく空気の抜けるような音を鳴らすと上半身が上に大きく開き、中から現れたまだ幼さの残る少女は鉄骨を持つ手と反対の手を頬に当て何かを思い出すと、ユウヒの思いもしない言い回しで出迎える。


「にんじゃ」


「……なるほどね?」

 彼女達に余計な知識を与えた下手人を把握しユウヒは、一瞬目を細めると小首を傾げる真っ白なパイロットスーツの少女に目を向け、彼女の緑色の瞳を見詰める様に見上げた。


「姉さんに教えてくる」


「ああ、いってらっしゃい」

 ゲームの頃の彼女を思い出すユウヒを見下ろしてニコニコと笑みを浮かべる少女は、はっとした表情を浮かべると、鎧を閉じて鉄骨を肩に担いで一言残すとその場から走り去る。その動きは機敏で、巨大な鉄骨を枝のように振り回して去っていく彼女を見送ったユウヒは突風を顔に受けながら優しく微笑む。


「成長か、しかしだいぶ発展したな」

 立ち去った緑色の瞳の少女に何か感じ入るものがあったのかしみじみと呟いたユウヒは、周囲に目を向けると、以前よりずっと発展している基地の光景に呆れともとれる声を洩らす。以前は高い石作りの塀と、ユウヒが作った土と草でカモフラージュしたアーチ形の半地下倉庫居住施設だけだった場所には、いくつもオリーブ色の建物が立ち並びその一画には自衛隊の物であろうテントも張られている。


「ぉ……」


「これくらい広さがあれば、ここからあっちに、それでいける……ん?」

 それでもまだまだ広いスペースは残っており、そのスペースを見渡しながら何か考え込むユウヒは、妙な音が聞こえたのか耳を澄ます様に周囲を見渡し始めた。


「おやかたーー!!」


「はや!?」

 音の発生源に気が付き後ろを振り向いたユウヒは、豆粒の様な白い影に気が付くもその姿はあっと言う間に大きくなり、人の出せるスピードを圧倒的に超える早さで走り込んで来た人影は、その勢いを殺すために足でブレーキかけユウヒの目の前でピタリと停止する。


「お帰り親方!」


「お、おう……床焦げてね?」

 走り込んで来たのは一号さん、いつもの巨大な人型機動重機に乗らず生身で現れた彼女は、白いパイロットスーツの上に布製のポンチョを羽織っており、体全体で喜びを表す様にユウヒを抱きしめはじめた。そんな彼女の足跡、もといブレーキ痕からは土煙ではなく明らかに過熱による煙が発生しており、引き攣った表情を浮かべるユウヒの言葉に一号さんは足元に目を向ける。


「あれぇ?」


「元気そうで何よりだけど、今日は機体じゃないんだな?」

 ユウヒから体を離す一号さんは焦げ臭い地面に目を向けたり靴の裏を確認して小首を傾げ始め、そんな様子にユウヒはほっと息を吐きながら変わらぬ彼女の姿に笑みを浮かべると、生身の彼女が羽織る草色のポンチョに既視感を感じながら機体について問いかけた。


「今日は点検してるからね! あ、でもお呼びがかかればいつでも行くから!」

 どうやら一号さんの機体は点検中であるらしく、立ったまま足首を抱えて靴裏を確認していた彼女は手を離すと何故か胸を張り点検中だと言い、すぐに慌てた様子で手を振ると力こぶを作りながらいつでも呼んでほしいと話す。


「あまり相手できなくてすまないな」

 スレンダーな身体つきに長い脚と、モデル顔負けのスタイルを惜し気もなく魅せる一号さんの言葉にユウヒは少し寂しさを覚え眉を寄せる。


 ゲーム内の話とは言え、クロモリオンラインがサービス終了するまで毎日のように彼女達インダストリアルシリーズと顔を合わせていたユウヒ、ゲームを知らない人が聞けば異常と思われるかもしれないが、彼は確かにゲームの向こうの彼女達に愛情をもって接していたのだ。彼の様な思いを抱く者はクロモリプレイヤーには多く、クロモリロスと言われる状態になり気持ちが落ち込む者も多く、ちょっとした社会問題にもなっている。


「ん? 前よりもいっぱいお話し出来て僕は嬉しいよ?」


「そうか(やっぱりゲームの頃の記憶があるんだよな? 仕様上こんな雑談や触れ合いなんて出来なかったわけだし、それにしてもやっぱり違和感があるんだよなぁ)」

 しかし、一号さんは今の方が以前よりもお話が出来てうれしいと話し、ゲームと違い柔軟な会話が出来ている事は確かであると頷き笑みを浮かべるユウヒは、クロモリと言う特殊なシステムの上に成り立っていたゲームが齎した結果を前に違和感を感じるのであった。


「親方今日のご予定は?」


「一号さん達が元気にやってるかと思ってね。あとはついでに良い素材が無いかと思って」

 自分を見上げてくるユウヒの瞳をじっと見つめ返す一号さんは、ニコッと笑みを浮かべると慣れた口調で予定を問いかけ、その言葉がゲームの中で彼女がよく使っていたセリフだと気が付いたユウヒは、お日様のような笑顔に背筋を伸ばすと、いつもと変わらぬ声色で返事を返すのであった。


「僕たちはいつも元気だよ? 親方は元気だった?」


「あーぼちぼちだな」


「無理しちゃだめだよ?」

 不思議そうに首を傾げる一号さんにとって自分たちが元気な事は当然の事であり、むしろユウヒの健康の方が問題であると言いたげに眉を寄せると、心配した通りの微妙な表情を見せられた事で、むむっ! と顔を顰めて見せる。


「ありがとさん」


「あとね、素材は新しく倉庫作って集めてるよ、案内してあげる」

 ジッと見詰められるユウヒは肩を竦めると、目の前に詰め寄って来た一号さんの頭を軽く撫で、満足した彼女は目を細めて笑みを浮かべるとユウヒのもう一つの目的について触れた。どうやらユウヒの求めるような素材は倉庫に纏めてあるらしく、彼女は遠くに見える真新しい建物を指さす。


「新しく?」


「色々な工事でいつの間にか集まって来たから、二号ちゃんが整理するためにみんなで作ったんだよ」


「なるほど」

 周囲に広がる森の中では目立たない、オリーブ色に塗装された倉庫に収められた素材は、居住地を整備する間に溜まったものがほとんどであるらしく、二号さんが中心になって整理されていると言う。


「マスター!」


「お、二号さん久しぶり」

 二号さんのステータスを思い出すユウヒが、そのステータスの中に整理整頓に適したスキルがいくつもある事を思い出し、適材適所だと納得した様に頷いていると、先ほども聴いたようなスリップ音が近づいてきている事に気が付き後ろを振り向く。彼が振り向いた先には、一号さんと同じ白くぴっちりと体に張り付く様なパイロットスーツを着た二号さんが立っており、その背後ずっと遠く離れた十メートルを超える石壁の上では、一号さんが着ていたようなポンチョがひらひらと地面に落ちていく光景が見えた。


「ご無事の御帰還嬉しく思います」


「ありがとさん」

 何が起きたのか察したユウヒは、満面の笑みを浮かべるニ号さん顔を見て笑みを浮かべると、そのまま彼女の輝く銀髪に目を向けると、ゆっくり視線を下ろしてつま先まで見詰める。ユウヒの視線に不思議そうな表情を浮かべる二号さんの体にはどこも異常は無く、その事が彼女の身体能力の高さを表しており、ユウヒはほっと息を吐く。


「ねぇ二号ちゃん」


「なんですか?」

 削れた石畳以外特に被害の見当たらない事に呆れすら感じるユウヒに見詰められる二号さんは、じっと見つめ返していた視線を呼びかけてくる一号さんにむけるとキョトンとした表情を浮かべる。


「親方が素材探してるらしいから倉庫行こう」


「まあ! ご案内お任せくださいマスター! 見本も種類別系統別に整理しておりますしデーターベースからもすべて閲覧可能です」


「え、すごいな」

 目を瞬かせる二号さんはスッとした顔立ちのクール系美人さんであるが、一号さんの言葉で自分の整理の結果がユウヒに求められていると理解した瞬間花開く笑みはどこか幼く、鼻息荒く説明する姿からは褒めてほしいと言う感情であふれだしていた。


「お任せください! ……まぁ城に比べたらまだまだですが、帰還が叶わぬ以上出来るだけの設備は用意しませんと」


「城かぁ……」

 ユウヒの純粋で含みの無い賛辞に体を震わせる二号さんは、きりっと表情を引き締めるもすぐに眉を寄せて肩を落とす。彼女が言う城と言うのは、クロモリオンラインの中でユウヒが所有していたもので、広い城内のメインエリアがほとんどが倉庫や格納庫と言う整理整頓のし甲斐がある拠点であり、それ以外は侵入者防止用のトラップエリアと言う凶悪さであった。


「こっちだよ親方!」

 今では懐かしくすら思える城の姿を思い出すユウヒは、ゲーム最初期の拠点をオリーブ色の建物群に重ね懐かしい気持ちが溢れ、手招きする一号さんに目を向けた彼の顔には自然と柔らかな笑みが浮かぶ。


「……お手をどうぞマスター」


「お、おう」

 何時かの何かを思い出すユウヒは、二号さんにそっと手を取られると、若干照れながらもそのまま抵抗することなくエスコートされるのであった。


 尚、一号さんと二号さんの妹たちが自らの機体から降りて駆け付け、ユウヒや姉に纏わりついて来たことで二号さんのエスコートはすぐ終わってしまうが、それはまた別の話である。



 いかがでしたでしょうか?


 精霊用ヒーターを作ってい筈のユウヒは、ふらりと一号さん達が基地建設を続ける名もなき世界を訪れる。この行動が何を意味するのか、次回も楽しんで貰えたら幸いです。


 読了ブクマ評価感想に感謝しつつ今日もこの辺で、また会いましょうさようならー

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