第二百九十話 治療と寒冷化
修正等完了しましたので投稿させてもらいます。楽しんで頂けたら幸いです。
『治療と寒冷化』
緊急事態に浮足立った深き者が、モニターに映し出されたユウヒの交渉する姿を見て手に汗握った小一時間後、急遽帰宅することになった彼を見送った後の居住艦では、旗艦との間で会議が開かれていた。
「なるほど、その高次生命体の治療で帰ったのですね」
会議で話し合われていたのは、少し前に襲来した高次生命体についてである。ユウヒのとりなしで何事もなく過ぎ去った嵐であるが、きっと自分たちだけであれば今頃全滅していただろう、と言うのが深き者達の総意であった。
そんな危機を呼び込み防いだユウヒは、精霊からのお願いを聞き入れ、連れてこられた火の精霊をバッグに突っ込み、弱った彼女の治療の為に居住艦を後にしたようだ。
「はい、先日観測された光子消失反応もこの高次生命体『精霊』による現象の様です」
「単独であれほど大規模な現象範囲、かなり高位の生命体ですが……ユウヒ殿は問題ないと?」
精霊を連れて帰ったと言うユウヒであるが、慌てて帰ったわけではなく、作業途中の資材の片付けをしつつ、同時に深き者達の質問にも答えていた。
それにより精霊からの聞き取りも行うことが出来た様で、光子消失事件の真相を明らかになったようだ。何より驚かされたのは、光子消失が光の精霊単独による結果だと分かった事で、深き者が想定した高次生命体よりさらに高位の生命体であるとわかった事である。
「はぁ、それが自然災害みたいなものだから気にしてもしょうがないと、ただ悪意には敏感なのでそこは注意した方が良いと」
高次生命体との戦闘経験がある深き者にとって、精霊がいかに危険か想像するだけでも恐ろしいと顔を蒼くする者も多いが、ユウヒにとってはそこまで警戒する相手ではないという。なにせ普通の人には見えない存在であり、その本質は自然に近いため、ユウヒの認識では台風や地震などの自然災害と変わらないのだ。
「注意しないと危険ですか」
「悪戯の対象になるかもと、ただ基本的に無邪気なだけなので対応を間違わなければ大丈夫と言う事ですが、正直……」
日本人らしい感性で話すユウヒと違って、進んだ科学故に高次生命体に対して脅威しか感じない深き者は、いくらアドバイスをされても同じような感性を持つことは難しい様だ。
「そんなこと出来れば苦労しないと……」
「はい」
対応策の足掛かりにでもなればとユウヒに様々な質問を行った深き者達は一様に肩を落としており、メーフェイルは苦笑を浮かべると何とも言えない声で呟き、彼女の言葉に説明していた男性は小さく頷く。
「ほかの異世界出身者の中には精霊について知っているものが多いようですが」
「はい、精霊の呼びかけにてこの世界に来た者が大半のようで、精霊と言う認識はなくとも神の声と言う認識の様です」
また、高次生命体の存在を認識しているのがユウヒだけではないと知った深き者は、独自に異世界の人々に聞き込みを行い、その結果どの異世界移民も精霊の声を聞き日本までやって来ており、大半が神と同列に精霊と言う存在を位置付けていた。
「神か、亜神戦争の様にならなければいいのですが」
深き者も過去に彼らと同じような文化を持ったことがあるようで、しかし科学の発展によってそれは対立の歴史となり、深き者に大きな傷跡を残す事となったようだ。神との戦争と言う歴史の再来を恐れる彼女達であるが、ユウヒが聞けば苦笑いを浮かべ肩を竦めるであろう。
「戦力的に今の戦力差では戦うことも出来ないと思います」
「そうだな、アーデルに何か知らないか聞いてみるとしよう」
「あの龍ですか……」
軍人だからか、それとも深き者としての感性がそうさせるのか、先ず戦う事を想定してしまう彼らは、現在の戦力ではそれも難しいと肩を落とし、メーフェイルは最近知り合ったばかりの龍の顔を思い出すと彼女に相談してみると話す。彼女の言葉を聞いた会議出席者は、様々な表情を浮かべるも誰一人としてその案を否定することは無かった。
一方その頃、深き者の艦隊で噂されている星龍ことアーデルは、何かを感じ取り顔を大きく上げ、
「ぶえっくしょん!!」
盛大にクシャミを噴き出していた。
「星龍が噴火した!」
「汚い!」
豊満な胸を上下に揺らして放たれたくしゃみは非常に勢いが強く、目の前を飛んでいた妖精が二人巻き込まれて地面に墜落する。ギリギリで避けた妖精は大きな声で叫び、地面に墜落した妖精の一人は怒った様に両手を振り上げ不満の声を上げていた。
「手ぐらい当ててください」
「おおすまんな」
抗議の声を受け困った様に眉を下ろすアーデルは、鼻を啜りながら手を謝罪するように振ると、静かに側に歩み寄ってきた女性から手拭いを受け取ると鼻をかむ。
「風邪?」
「うむ大丈夫だと思うが、ちと寒くなって来たからな? まったく生体ユニットは軟でいかん」
着物の様な服を着た女性から受け取った手拭いで鼻を擦るアーデルは、首を傾げる妖精の少しだけ心配そうな表情を見詰めると、大丈夫だと言いつつ開いていた胸元を閉じる様に襟を整え、寒くなった愚痴をもらす。
「お風邪をひくことは無いでしょうけど、暖かくしましょう」
龍の姿では感じない寒さも人の姿では酷く寒く感じると愚痴を漏らすアーデルであるが、どうやら風邪を引くことは無いらしく、手拭いを受け取って仕舞い込んだ女性は、どこからか厚手のショールを取り出す。
「そういえばお外寒くなって来たね」
「冬かな?」
ショールを受け取り歩き出したアーデルを追いかけるようにふわりと飛び上がった妖精は、彼女を追いこすと開けられた大きな窓のふちに飛び乗り、薄く曇り寒々しく感じる空を見上げ冬が来たのかと首を傾げ、後ろから歩いてきたアーデルの顔を見上げる。
「日本は四季があって今は秋だそうだが、ふむ……火の属性がちと弱すぎじゃな」
「力のバランスが崩れているのでしょうか」
無造作にショールを肩にかけたアーデルは、本来なら秋だというのに妙な寒さを感じる空を見上げ、両目を怪しく輝かせると険しい表情を浮かべ呟く。彼女の隣に寄り添う着物の女性は、甲斐甲斐しくショールを整えながらアーデルの呟きに同じく険しい表情を浮かべる。
どうやら彼女達には普通だと見えない何かが見えているらしく、その目で見た何かから火の精霊の衰退を感じ取ったようだ。
「この世界は色々と負荷が多かったからな、ダメージも蓄積している可能性はあるが」
「天変地異でも起きますか?」
何かと騒動の絶えない世界のダメージを気にするアーデルの表情は、過去に似たような経験でもあるのか険しく、しかし天変地異が起きるかと言う質問に対しては少し大仰に眉を上げて見せて苦笑を浮かべる。
「その前に台風が来てるみたいだがな? 皆にしっかり備えるよう伝えてくれ」
「わかりました」
その表情が何を意味しているのか良くわからなかった着物姿の女性であるが、今からやらなければいけない事はすぐ理解し頷く。
「わかった」
「伝えてくる!」
着物姿の女性の返事に小さく頷くアーデルは、その視線を妖精達にも向け、視線に気が付いた妖精達は素早く立ち上がると好き好きに返事を返して飛び上がり、窓から飛び出すと潮の匂いを含んだ上昇気流に乗り巨山のあちこちに飛んでいくのだった。
巨山の各地に散って巨山に住む様々な種族に台風の接近を伝える妖精が、時折吹く強い風に翻弄されている頃、都内の自宅に帰ったユウヒは帰って来るなり明華を軽くあしらい部屋にこもっていた。
「とりあえずこれで良いか」
小一時間と短い時間で、構想、設計、部品の製造、仮組を終わらせた彼は、とりあえずとは言え及第点を与える事ができる物を作り出した様で、それは火の精霊を治療するための道具である。当初は魔力にものを言わせて急激に治療を施そうとしたユウヒであるが、珍しく慌てる精霊に止められ断念すると、理由を聞いて道具に頼ることとしたようだ。
「全然力が足りない」
「効率が悪い」
「文句言うな、いきなりそんな火力用意できるわけないだろ?」
ユウヒの魔力量のおかしさを理解している精霊は、それと対比する様にユウヒの作り出した道具を見詰めダメ出しをし始める。風の精霊は腕を組むと悩まし気に唸り呟き、土の精霊はよくある卓上コンロくらいの大きさの装置を掌で叩きながら効率が悪いと呟く。
いくら神から貰った力が万能だからとは言え、一から手本の無い物を作るのは大変であり、文句ばかり言う風と土の精霊のおでこを軽く指で突くユウヒは、そう簡単な物じゃないんだと眉間に眉を寄せて話す。
「すみません」
「ごめんね」
「怒っちゃいないさ、とりあえず今ある素材で何とかしよう……ところで他の火の精霊は?」
その姿は怒っている様にも見えて土と風の精霊は素直に謝るも、ユウヒは特に怒っていたわけではなく、自分自身でも残念な結果だからこそ眉を歪めていただけであった。しょんぼりとした表情を浮かべる風と土の精霊の頭を交互に指先で撫でるユウヒは、気になっていたことについて誰ともなしに問いかける。
「今はこの子だけ」
「精霊は一で全、全で一」
ユウヒに頭を撫でられご満悦な表情を浮かべる風の精霊はベッドの上で眠る火の精霊を指差し今は一人だけだと言い、土の精霊はどこかにドヤ顔を浮かべて見せたまま不思議な言葉を呟く。
「大ダメージでみんな眠ってます」
「よくわからんが、この子が元気になればいいわけだな?」
土の精霊の視線に目のハイライトを消し去っていた水の精霊は、ユウヒが振り向く一瞬で、人一人軽く殺せそうな殺気を洩らす無表情を綺麗な笑みに変えると、火の精霊は一人を残し全て寝ていると言う。どうやら精霊には群体の様な性質がある様だ。
「大体あってる」
それはベッドの上で寝ている火の精霊が元気になれば、その他多くの火の精霊も目を覚ますという事の様である。
「ならさっさと高熱源作らないとなぁ……光とかで温められないのか?」
周囲で頷く精霊達を見回し、自分の勘が正しい事を確認すると、素材が山のように詰め込まれて蓋の閉まらなくなった段ボールに目を向け表情を引き締める。高い熱であればあるほど回復にも良いだろうと言う発想は基本的には間違っていないが、光を集めて温められないかと呟いた瞬間、周囲の精霊達は息を飲む様にざわつく。
「無理、トラウマ」
「いやがる」
「……すみません」
急な空気の変化に顔を上げたユウヒが、不思議そうな表情で精霊達に目を向けると、彼女達は何とも言い辛い表情で呟き、光の精霊は心底申し訳なさそうに声を絞り出して頭を下げる。どうやら火の精霊は光の精霊による一撃により光に対するトラウマ発症しているようだ。
「なるほど、他に温める方法は……はい!」
その証拠に光の魔法を使ったわけでもないと言うのに、光と言う言葉が耳に入ったのか、ベッドの上に横たわる火の精霊は苦悶の表情を浮かべ魘されだす。その姿を見たユウヒは苦笑いを浮かべると、新たな着想を求めて風の精霊を指名する。
「え! えっと雷なら? いっぱい落とせます」
「電気治療? だめだな……次、はい!」
いきなり指名された風の精霊は目を白黒させて慌てるも、必死に温める何かを思い浮かべて一つの答えに至った。それは地上に落ちて盛大な火花と炎を生み出す雷、しかしそのアイデアに周囲の精霊達は首を傾げ、ユウヒもまた首を傾げると電気治療を受ける火の精霊を思い浮かべ首を横に振ると、今度は闇の精霊に水を向ける。
「闇にそんな無理を言われても」
「確かに……はい!」
しかし闇の精霊と温めるという現象は全く関係が無いらしく、ユウヒに指さされて思わず後退る彼女は、黒く長い髪で恥ずかしそうに顔を隠すともじもじと呟く。ユウヒは彼女の言葉に闇と言うものを思い浮かべ、納得した様に頷き今度は火の精霊と何だかんだ中のよさそうな水の精霊を指名する。
「わたくしも、どちらかと言えば冷やす方ですし」
納得してくれたユウヒの姿を見上げてほっと息を吐いた闇の精霊の隣で、指名された水の精霊は少し困った様に頬を押えて小首を傾げると、彼女もまた火の精霊を温めるには力不足だという。
「温泉とかは?」
「私も出せますが土の方が得意では?」
「まかせろ」
水の精霊を指名したユウヒの頭の中には、暖かな温泉の光景が浮かんでおり、温かい水を生み出せないのかと想像したようだ。そう言った温泉を生み出す力は、水の精霊も多少なり持っている様であるが本職は土の精霊であるらしく、名を呼ばれた精霊は無い胸を張って自信ありげにその胸を自らの手で軽く叩く。
確かに土の精霊は大地と密接な関係をもっており、その事に気が付いたユウヒは明るい表情を浮かべた。
「お! 何が出来そうだ?」
「噴火」
「え?」
期待に目を輝かせるユウヒを見上げる土の精霊は、自信満々に力強く短く答える。噴火と……。
「手始めにあっちの大きな山噴火させてみる?」
「あっち……富士山駄目! 噴火ダメ!」
ドヤ顔を浮かべて噴火と言い放った土の精霊は、ふわりと浮かび上がると手始めに一つ噴火させてみようと言って南、若干西寄りの方角を指し示し、その方角にある代表的な火山を思い浮かべたユウヒは大きな声でノーを言い渡す。どうやらこの土の精霊、富士山を噴火させるというデモンストレーションを行うつもりのようだ。
「だめです?」
「はぁ……なるほどな? 確かに温泉はマグマと関係があるか、大人しく魔法で加熱するしかないな」
ユウヒに却下されたことでしょんぼりとした表情を浮かべた土の精霊は、昂っていたテンションを下げると床に着地してそのまま寝転ぶ。特に悲しんでいるわけでは無い様だがやる気をなくした様に脱力して見せる土の精霊に溜息を洩らすユウヒは、温泉どころかマグマが噴出するところだったと、疲れた様に肩を落として大人しく魔法で加熱することを決めたようだ。
『むずかしい』
ユウヒの役に立てるかと頭をいっぱい使った精霊達は、しかし自分たちの力が及ばぬことを知ると肩を落とし、火の精霊の治療の難しさと人の世界の繊細さに悩まし気な声を洩らすのであった。
「視る限り周囲の熱を吸収してるのか、凍り付きはしないが随分冷たいな」
「暴走して熱を全部出しちゃったから」
「寒いねぇ」
そんな精霊達を後目に、ベッドに寝かせている火の精霊の傍に歩み寄ったユウヒは、彼女の頭を撫でながら金と青の瞳に灯りを灯す。ユウヒの視界には周囲の広い範囲から熱を吸収し続けている火の精霊が映り、彼女の発する熱や彼女を寝かしたベッドの温度が華氏で表示されていく。どうやら暴走時に火の精霊の生命力とも言える膨大な熱をほぼすべて吐き出してしまったようだ。
「確かに……寒い?」
熱を魔力として放出し、火の力に偏った魔力の余波は彼女の力が多く集まる場所で誘爆を起こす。それが今回の同時多発的発電所爆発事故の原因であった。ただ、この暴走が無くとも彼女が気持ちよく眠り続ければそれほど時を待たずに同じ状況が起きていた。その為には光の精霊は焦っていたのだ。
「寝てるみんなも影響は少ないけど同じ状態」
「世界中で少しずつ熱が奪われてる」
「大丈夫なのか?」
そんな経緯で気を失う事となった火の精霊は、まるでどこかの元気を分けてもらう超戦士の技の様に世界から熱を奪い続けており、それは奪いやすい場所から優先して流れ込み、その行き着く先はあまり良い状況になるとは言えない。
『……』
その不味さはユウヒの問いかけに対して一斉に目を逸らした精霊達の様子を見れば一目瞭然である。
「急ごう、先ず魔法の壁でしっかり囲って……火の魔法を付与する道具に魔力タンクを接続、魔力補充用に不活性魔力活性化装置を起動させてと」
精霊達が視線を逸らした瞬間室内の温度がぐっと下がった気がしたユウヒは、表情を引き締めるとそれまでのどこか緩い空気を捨てて機敏に動き始めた。部屋の中央にあるテーブルの上を魔法の障壁で包み、万が一の事故に備えると魔法を付与する補助に作った作業台を載せ活性魔力タンクに繋ぐと、部屋の隅に置いてあった円筒状の装置を組み立て始め、どこからともなく流れて来ている不活性魔力を収集活性し始める。
「地上に少し多めに光を集めてみます」
「私暖かい空気を運んでくる!」
普段のやる気なさげな姿とは全く違うユウヒの姿に居てもたってもいられなくなった光の精霊は宙に浮かぶと仲間の精霊達と窓から外に飛び立つ。外が心なしか明るくなったように感じたユウヒの脇を抜ける様に跳び上がった風の精霊は短く言い残すと、仲間と共に勢いよく空高く舞い上がる。
「ふんか「だめ」……」
「一緒にいましょう」
光と風の精霊の背中を見送り笑みを浮かべるユウヒは、不穏な気配を感じると足元に目を向けた。そこでは両精霊のやる気に感化された土の精霊が力こぶを作っており、今にも火山の一斉噴火でも始めようとしていたが、その行動は水の精霊によって即座に止められる。
尚、ユウヒから見えない位置で笑みを浮かべる水の精霊の顔を直視した土の精霊は震えだし、そのまま一言も発することが出来ぬまま気を失い、その光景を見ていた闇の精霊はそっと姿を闇に沈めると密かにユウヒの影と同化するのであった。
「火を出すより熱の方が効率よさそうだな、確かアミールのところから持って来た素材に良いのがあった様な」
急に静かになった部屋の中でユウヒは色々な素材を取り出してテーブルの回りに並べ始め、あっという間に足の踏み場に困る様な有様へとなっていく。
「早めに何とかしないと寒いな」
仮組まで一度終えた装置を分解し、装置の強化に必要な構造や部品の再設計を始めるユウヒは、背後のベッドから冷気を感じると一言呟き気合を入れ直すとバインダーに挟んだ紙に鉛筆で次々と思い浮かぶままに文字や図を書き込み始めるのであった。
ユウヒが部屋で火の精霊治療装置を再設計している頃、天野家のリビングでは明華がテレビを見ている。
「現在接近中の台風は、日本の南の海上を北西に速い速度で進んでおり、当初は上陸時に猛烈な台風に発達すると予測がされていましたが、早い段階で熱帯低気圧に変わると思われます」
「……」
日本に接近する台風についての最新ニュースを見ている様だが、明華表情はあまり優れず眉間に皺を寄せたままソファーに沈み込む彼女はドライフルーツを口に放り込むと静かに咀嚼していく。
「当初と予測がだいぶ違いますが、何が原因なのでしょうか?―――」
どうやら気象庁の当初の予測と違い、また彼女の勘とも微妙なずれを起こし始めたらしい台風の動きに違和感を感じている様だ。しかもその違和感に自分の息子が関わっている予感までしてくれば彼女の機嫌が悪くなるのは当然とも言えるのであった。
いかがでしたでしょうか?
精霊の治療のために新たな道具を作るユウヒと、肌で感じる確かな異変。火の精霊は無事快復することが出来るのであろうか。
読了ブクマ評価感想に感謝しつつ今日もこの辺で、また会いましょうさようならー




