第百九十五話 逆さ瀑布
修正等完了しましたので投稿させてもらいます。楽しんで頂けたら嬉しいです。
『逆さ瀑布』
水上機が離陸するように、水面から緩やかに高度を上げるユウヒ、彼の背を追うドローンはカメラのレンズをドーム跡地へ向けている。
「起爆まで3・2・1来るよ!」
ユウヒが水面からどれほど飛び上がった頃であろうか、ユウヒの左手からカウントが聞こえ始め、そのカウントにユウヒもまたくるりと背後に目を向け背面方向に飛ぶ。
「よっと・・・おお?」
「うわ、何あれ」
後ろを振り返りながらも距離を水平に離す様に飛ぶユウヒの目には、目の前で飛ぶドローンとそのさらに遠くで吹き上がる水の柱、いや壁が見えていた。思わず言葉を失うユウヒと、ドローンの映し出す映像に同じく言葉を失う女性、その視線の先では言葉を失うには十分な光景が広がっていた。
「ふむ逆向きの滝だな、ナイアガラもびっくりなサイズではあるが・・・」
滝、まさに壁のような瀑布・・・ただしその進行方向は逆さまであり、膨大な水の塊は勢いよく空に吹き上がっている。
「さっきまでの勢いもすごかったけど、今の姿に比べたら子供公園の噴水だね」
「ああ、わかる。まるで重力が逆になったみたいな勢いだ。でもあれって落ちてくるんだよな」
噴き出した水の壁は、それまでの水柱とは比べ物にならない太さであり、高さは勢い良く伸びてユウヒの視界から月を水の壁で塗りつぶしてしまう。そしてその水の壁は限界まで達すると、当初の水柱同様重力に従い地面に落ちる。
「ええ・・・」
ただ、当初の水柱と違う所は、追加の水が供給されないことで飛び出した水は供給停止と共に崩れ一気に落ちるところであろう。
「急いで上昇するとしますか!」
無理やり広げた空間から一気に噴き出した水は、巨大な水の壁となりアメリカの大地に堕ちる。慌てて上空に飛び上がるユウヒの背後では、すでに足元から崩れ始めた水の壁が大きな津波を生み出し周囲を蹂躙し始めていた。水面から顔を出していた何かの残骸も、何かの影も、白い骨の欠片も全てのみ込まれていく。
「ごめんなさい・・・ここまでとは思わなくて」
「しょうがないだろうさ、これでも良い方、被害を抑えた方なんだろ?」
膨大な水が落ちる音と大地が削られ崩れる音をバックに大声で話すユウヒは、漠然とであるが彼女の選択が最善であると感じており、通信機の向こうで頷く女性を見て確信すると彼は苦笑を漏らすのであった。
「高高度を飛んでいた偵察機の映像がこれか・・・」
カメラの至近距離に見える水面と凍り始めた飛沫、それは高高度を飛ぶ無人偵察機から撮影された映像である。
「水しぶきが一部凍ってますね」
「これがドームによる本当の被害と言うものなのか、わけがわからん」
偵察機のカメラは高性能であり、当然ズーム機能を使えば地表の映像も鮮明に映すことが出来るのだが、今回に限っては限界まで引いており一切ズーム機能を使っていなかった。それにもかかわらず水面の波紋まで見える事実に、米軍ドーム対策本部の人々は一様に頭を抱えている。
「地上の被害を考えると恐ろしいですよ」
当初の状況だけでもありえない水害で頭を悩めていた彼等であるが、一斉に噴き出した膨大な水の勢いには一時驚きを超えて放心してしまうほどであった。目の前の状況のトリガーを引いたのは一人の女性と専門家であるが、彼等にそれを知る由は無く、同時に目の前の状況が結果的には最も軽い被害であることを知らない。
「専門家は死んだか? いや、問うまでもないか・・・」
「大問題だな・・・」
周囲の広大な地形を変えてしまうほどの被害に、調査に赴いていた専門家であるユウヒは死んだものとして扱われていた。そう思われるのも仕方なく、ドーム跡地近辺の山が一つ吹き飛ぶほどの被害を起こした瀑布は、今も濁流となり辺り一帯を飲み込んでいっている。そんな場所で調査していた人間が無事でいるとは、米軍関係者は誰も考えられないようだ。
「なんて説明したら・・・」
「時間が過ぎれば過ぎただけ状況が悪くなるだけだ」
彼等もユウヒと言う人間の重要性は十分説明され理解している。日米関係だけではなく、地球上における今後のドーム対策にとって最重要な人物であり、その存在がなければ、地球が滅亡する可能性すら政府内では提示されていた。
「あの・・・」
「なんだ?」
少なくとも現在彼らの頭の中には、日米関係の悪化による日本からの支援撤退と言う最悪の未来があり、その結果をどう回避するか意味もなく悩んでいる様だ。そんな彼らの耳に、何とも言い辛そうな雰囲気の声が届き、頭を悩めていた人々は一斉に顔を上げる。
「自衛隊の方が来てます」
「・・・」
「・・・・・・」
どうやら彼らに許された時間はすでに過ぎ去っていたようで、少し開いた扉の向こうに見える迷彩服に室内の米軍関係者は蒼褪めた。現在最新情報は彼らの手元で差し止められているが、当然自衛隊から開示を求められたら答えなければならない。そんな現実に嫌な汗を流す面々の前に、ロシアから引き続きユウヒのサポートを行っている小隊長が、日本人にしてはずいぶん大きな体で彼らを見下ろす。
「なるほど・・・」
敬礼と笑みを浮かべる自衛隊員が開示を求めるより早く、米軍関係者は現状を伝え始め、その焦り焦燥しきった土気色の顔に自衛隊員達は険しい表情を浮かべ、身内の間で視線を向け合う。
「なんと言ったらいいか・・・」
「・・・いえ、たぶん夕陽さんの事なので大丈夫だと思います」
悔やむに悔やみきれないと言った表情で声を絞り出す男性に、何事か確認していた小隊長は困ったような笑みを浮かべると、ユウヒは無事であろうと話す。それは自衛隊員達の保有する情報と、ユウヒとの付き合いで培われた勘による彼らの総意の様だ。
「は? しかしだな・・・山が一つ崩れて無くなる規模だぞ?」
どこかあっけらかんとも見える自衛隊員達の頷く姿に、米軍関係者の男性は椅子から立ち上がると、身振り手ぶりを交えながら言外にそんなことありえるのかと驚いたような表情で問う。
「ええ、洪水が心配ですが夕陽さんは飛べるので・・・・・・戦闘機に追従してたからな」
「そ、そうか? しかし確認することも出来ない今、楽観視するのは・・・」
しかしユウヒは飛べるのである。米軍関係者はまだユウヒが落下しながら減速する姿しか見ていない為、その飛行能力のほどを知らないが、戦闘機に追従しさらにレーザーを緊急回避するほどの高速機動が可能なユウヒなら、一瞬で地形を変えるような水塊から逃げるのも不可能ではない。
「それも含めてなんですが、通信機を貸してもらえないでしょうか? うちの携帯通信機が不調で、信号は確認できるんですが夕陽さんと連絡取れなくなってしまって」
「彼は通信機を持ってるのか!」
自衛隊がユウヒの無事を信じている要因の一つに、ユウヒが持っている荷物がある。ユウヒが休憩中枕にしていたバッグの中には、携帯型の通信機やGPSそのほか行方不明にならないように様々な機器が入れられており、現在もそこから発信される信号は移動を続けているらしく、ユウヒが無事であると言う確証の一つになっていた。
「ええ、渡してあるのですがこちらの機器がロシアで損傷を受けていまして、陸自の部隊が余分な通信機を持ってきてくれる手筈になっているんですが遅くて」
ただ、現在彼らが所有する通信設備は、ロシアでの戦闘以降どうにも調子が悪いらしく、その代わりとなる設備を米軍に借りたいのだと言う。本来なら自衛隊内で備品の融通を行う予定であったが、その輸送は様々な要因で遅々として進まず、米軍が最大限協力すると言う事で、彼等はこれ幸いと借りに来たのである。
「分かった、すぐに案内する!」
「ありがとうございます」
自衛隊の提案は米軍関係者にとっても渡りに船であり、ユウヒが無事であると言う可能性が高い事、その彼と連絡がとれて状況の確認ができる事、それらの事実が彼らの血流を一気に改善させ、土気色から赤く火照った顔に変った男性は、部下に任せることも忘れて自ら通信室へと自衛隊員達を案内するのであった。
膨大な水の塊が空から落ちてきたことで、地面は削り吹き飛び地形は変わり山は崩れ水は渦巻く、そんな光景を空から逆さまに見下ろすユウヒは、ずぶ濡れになった体を僅かに震えさせながら遠い目で地面を見詰めていた。
「逆さ瀑布からの水爆弾?」
「それじゃ熱核兵器になるでしょ・・・だめね、壊れちゃったか」
落下した水は反発力によって水柱を作って飛び散り、飛び散った水は雨の様に降り注ぎ今もユウヒの体を濡らしている。その圧倒的な破壊力は、ある意味ユウヒの呟いた水爆と言う兵器並みの破壊力を見せつけ、ユウヒ同様呆れた表情を浮かべながらツッコミを入れる女性に、ドローン一機の被害を与えていた。
「お、確かに水爆かってドローン逝った?」
「衝撃でどっか行っちゃったわ。まぁ爆弾って言いたくなるのもわかるけどね・・・」
なんの気なしの発言に対してツッコミを受けたユウヒは、自分の言葉のつながりに感心すると、ため息が聞こえて来た通信機に目を向ける。そこにはドローンの損失で若干不機嫌な女性の顔があり、彼女は水爆と言う言葉もある意味間違っていないかもしれないと言って肩を竦めた。
「山が無くなったな・・・」
「おかげでダムが出来て向こう側への流出は無くなったみたいね」
気分を入れ替える様に冗談を口にする女性であるが、だからと言って状況が変わるわけでもなく、現実に目を向けるとそこにあったはずの山が一つ崩れ大きなダムを作っている。崩落、亀裂、地盤沈下、山崩れ、複雑に破壊された地形に水が浸透し溢れ、その事が浸水領域の拡大速度を抑えているようだ。
「反対側には流れてるな、あっちもダム作るか?」
「出来るのって聞くだけ野暮ね」
巨大なダムへと変貌した山に目を向けていたユウヒは、眼下で流れ広がる水の先を見詰め軽い調子で呟く。ダムを造るかと、まるで砂場で砂山のダムでも作るかの様に気軽に呟くユウヒに、女性は出来るのか問いかけようとするも、今更ユウヒのつぶやきに疑問を挟んだところで意味は無いと、どこか呆れた表情で肩を落とす。
「流れてくる端から凍らせればいけると思う・・・多少支柱も立てて、土も魔法で寄せて・・・いけるんじゃないかな」
漠然とした想定で作るかと呟いたらしいユウヒは、女性に目を向け宙に視線を彷徨わせると、その頭の中で工程を思い描き強度を確保する為の魔法を選定していく。どうやら彼の頭の中では可能と言う結果が出た様で、ニッと笑みを浮かべ女性を見詰めるが、返ってきた表情はジト目であった。
「・・・わかった。周辺の地形から必要な場所を割り出すからお願い」
「了解、とりあえずあっちだな」
ジトっとした目で見られたユウヒは、小さくため息を洩らして指示を出す女性の言葉に頷くと、彼女がダムを設置する場所を割り出す間も惜しいと言った表情で、水が流れて行く方向へと飛び立つ。
小さなディスプレイの向こう側から聞こえる声に導かれながら、途中途中に氷の壁を建設している無免許氷壁建築士ユウヒです。ただいま水の勢いを押さえる8個目の厳つい氷壁を立てました。
「もしもし? そんなわけでとりあえずダムを作って水の流出を止めようかと」
「確かにそれは重要だが、流石にアメリカ側の許可を取らなければならんな」
右手の魔力を払い、魔法を使うのに避けていた軍用携帯通信機を左手で持ち直すと、少し前に入った通信の相手である自衛隊員に呼びかける。どうにも魔法と通信機の相性は良くない様で、魔力に反応してノイズが入っていた軍用通信機の向こうから、ずいぶん聞きなれてきた小隊長さんの声が聞こえて来た。どうやら勝手にダムを造るのは問題があるようだ。
「そうですか、とりあえず遅滞させつつ後退しておきますね」
しかし、ダムを造るのは時間勝負になると思うのでなるべく早く結論を出してほしい、じゃなければ遅滞用の氷壁が想定の倍以上になりかねない。まぁ材料の水はいっぱいあるので魔力消費はそう多くなく、倍になろうが十倍になろうが魔力に問題はないだろう。
「え、はいそれでお願いします。今すぐ緊急の対策会議を行うそうなので」
どうやら緊急会議が行われるようだが通信機の向こう側が妙に騒がしい、それでもまぁ最初に比べればだいぶ静かになった方である。なんせ最初通信に出た時なんか謎の歓声が溢れて、通信機に当てていた耳が痛いほどだったからな。
「確かに、完全に封鎖してもそれはそれで問題だものね」
「あぁまぁそうか、凍らせても何時か解けて決壊しちゃうか・・・」
遅滞の為に氷の壁を作った感触としては、特に問題なくダムは作れる。魔力を大量に使って厚く巨大な氷を作れば早々壊れはしないだろうが、だからと言って夏の空の下、解けるのは抑えられないであろうから色々考えないといけない。
「それなら計画的に流した方がいい・・・でもどのみち洪水が起きるわね」
「どんなに頑張っても?」
なるほど、ダムを作って水を止めた後は少しずつ放流すると・・・それでも洪水が起きるって駄目なんじゃ? さっき進行方向に何とか川があるとか言っていたけど、洪水起きたら近隣住民が大変なことになるのではなかろうか。
「洪水が嫌なら、数年単位で時間かければいいんだろうけど・・・うん。でもドームから流出したものが水だけとも限らないでしょ? 早めに調べないと何があるかわからないわ。それにコストがかかりすぎるから、政府が許可しないんじゃないかな?」
「そか、水没した吸収装置も回収しないと破損したら中身洩れちゃうもんなぁ」
被害の方が大きいのか、それともダム維持のコストが大きいか、女性の視線からは明らかに洪水被害の方がマシだと言った感情が伝わってくる。それにプラスして水没した装置の危険性も問題か、あれって耐衝撃とかの耐久性は重視したけど経年劣化に対する対策はしていないので、水没状態が長く続けば最悪は腐って内部の不活性魔力が洩れかねない。
「それなんですが、実は魔力洩れを起こした地域で異変が起きてまして、出来ればそちらにもアドバイスが欲しいのですが・・・」
不活性魔力はまだ調査中で本当に何が起きるか分からないからな、あのホラータイムも不活性魔力が原因であろうし、ほかにも妙な事が起きても可笑しくない。そんな不活性魔力の被害についても何かあった様で、その内容に何となく予想がついてしまい、軍用通信機に向かって苦笑いが洩れる。
「・・・もしかして骨っぽいホラーな事になってます?」
「・・・! はいそうなんです、何かわかりますか?」
どうやら予想は正しかったようで、俺の問いかけに対して僅かに息を呑んだ小隊長は、ずいぶん静かになった通信機の向こうから神妙な声で問いかけて来た。
「こっちでも骨が水浴びしてまして、大量に屠ったところなんですよ」
「・・・」
「・・・」
結構な問題になってそうで、耳を欹てるような気配を通信機の向こうから感じる。そんな空気が和らがないかなと思い、少しおどけたように話したのだが、どうも逆効果だったようだ解せぬ。あと腕の通信機の向こうからも妙な気配を感じ、そちらに目を向けると残念さと呆れを含んだジト目がこちらに注がれていた。
「少し調べた感じだと、元となっているのはこの辺の地域で死んだ人とか動物の残滓だと思うんですよ、それが不活性魔力でよくわからないことになってるみたいで、ただまぁ弱いんで今のところ倒していくしかないですね」
「そうですか・・・」
腕からの視線と、通信機の向こうから聞こえるさざめき声に妙な生暖かさを感じるが何故だろう。いや、気にしないことにしておくか、とりあえず今のところ骨の耐久性は低いので倒していくのが無難だろう。若干物量で押しつぶされるのが怖い所であるが、そこはアメリカさんも物量ありそうだし大丈夫だと思いたい。
「でも何が起きるかわからないので、あまり無理しないでください」
「了解しました・・・」
と言っても不活性魔力はまだまだ地球にとって謎のエネルギーであるため、無理はしないでほしい。そして小声でどの口がって呟かんでくださいお嬢さん、小隊長にも聞こえたみたいで乾いた笑いが漏れ聞こえてくる解せぬ。
「こちらの調査もなるはやで終わらせますので」
「無理はしないでくださいね、皆心配してますから・・・何かあったらすぐ連絡してください。いつでも出撃できるよう準備はしてますから」
「ええ、そちらもお気をつけて」
ほら、小隊長だけでなくどこかで聞いた覚えのある人達の笑い声まで聞こえて来たじゃないか、これ以上笑われるのも癪なので通信はこの辺にしておこうと思う。だからその生暖かい視線は止めろください。・・・うん、最近自重と言うか箍が少し緩んでいた気もするし、もう少し慎重に行動しようかな。
「さて先ずは氷壁で遅滞作戦だね」
通信の終了を確認した俺は、携帯通信機のスイッチをロックしてバッグに突っ込む。話しながら飛んでいたことでずいぶん先まで来てしまった。遠くに遅滞された事でゆっくりと進んでくる泥水が見えるが、しかしその勢いは弱まっても尚激しい。
「範囲を絞るわね、米軍が大分広い範囲を避難させてるみたいだから人がいない場所は捨てるわ」
「人がいる方面は?」
範囲が広すぎるのですべてをカバーすることは出来ない、その為避難が完了している場所は捨てるしかないだろう。申し訳ないが俺にも限界はある・・・いや、問答無用で凍らせて良いのであればワンチャン・・・いえ、何も考えてないのでその目は止めて? それより人がいる方面ってどっちですかね。
「・・・ラスベガスが一番大きいわね、まぁあっちには流れないと思うけど、変に壁を作ったら流れちゃうから気を付けてね? ちゃんと指示は出すから」
「ラスベガス・・・うん、急ごう」
え? この近くにかの有名なラスベガスあるんですか? ちょっと気になります。いや行きませんよ? さっきからジト目多すぎませんかね? とりあえず今は指示に従おう。どうせこの仕事が終わったらバカンスだし、バカンスと言う名のアンデット狩りにならなきゃいいけど・・・。
「ええ、今度はしっかり手伝うから」
「ん? なんか言った?」
正直、夏だからホラーって安直だと思うんですよってなんか言った? 小さな声だったので聞き取れなかったが、目を向けたディスプレイには小さく口を開いた女性が映っていたので何か話したと思われる。
「・・・頑張りましょ」
「おうよ」
少しの間の後、妙な表情で頑張ろうと言われた。よくわからないけどやる気があるのは良い事なので俺も元気よく返事を返す。
ところでやる気があるのは良いのですが、最近憑いて来た精霊たちのやる気には妙な仄暗さを感じるんですけど気のせいでしょうか? え? 気のせい? 頑張る? まぁ頑張るのは良いけど・・・火はいらないかって? 今はいらんね。
複数の怪しい笑みに見詰められながら、アメリカの大地に巨大な氷壁を乱立させていくユウヒ、彼は無事アメリカの人々を水没の危機から救う事が出来るのか、そして迫りくるものは大水だけで済むのであろうか。アメリカの危機に挑むユウヒは、しょんぼりした火の精霊に見詰められ苦笑いを浮かべると、楽しそうに魔力を振りまきアメリカの空を駆けるのであった。
いかがでしたでしょうか。
アメリカ大陸で崩壊した巨大ドームはその本領を発揮し、それまでとは比べ物にならない被害を発生させたようで、ユウヒはあっちこっちに氷の巨壁を建て被害を抑えている様です。彼の行動は次に何を引き起こすのか、そしてアメリカの巨大ドーム被害はすんなり収まるのか、また次回をお楽しみに。
それではこの辺で、またここでお会いしましょう。さようならー




