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ワールズダスト ~現世に現れし黒き森~  作者: Hekuto
第一章 救出と救済

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第十八話 三毛との遭遇

 どうもHekutoです。


 修正等完了しましたので、投稿させて頂きます。皆様のお好きなタイミングで読んで頂き、一笑でもして頂ければ幸いです。



『三毛との遭遇』


 ドームの中に広がっていた、名も分からぬ異世界に足を踏み入れたユウヒ、彼は情報通りの出来事に興奮し、妙な違和感を覚える魔法に首を傾げたりしながらも、流華を探すために森を探索していた。


 しかしあのユウヒが何事も無く目的を達成できるわけも無く、魔法の力も借りて森の中を軽快かつフラフラと歩きまわりながら二時間が過ぎようとしていた頃、事件は起きる。


「ここで襲ってくる定番と言えば、やっぱゴブリンとかスライムとかだと思うんだけどなぁ」

 一度でも異世界に行き様々な経験をしていると、自然とその心にも余裕が生まれるものなのか、異変を前にしてもユウヒは特に心を乱すことなく自然体で居ることが出来ていた。しかし表面的にそう見えても、何が起きても大丈夫なようにと体には力と魔力を巡らせている。


「まさか、ネコミミ少女に囲まれるとは思わなんだ・・・」

 だが、目の前の異常事態を再確認したユウヒは、思わずそんな言葉を洩らしながら巡らせていた魔力を乱し肩を落としてしまうのだった。


「あー・・・こちらの言葉解りますかー聞こえてますかー? 害意は無いので攻撃しないでくださーい」

 そう、現在ユウヒは猫耳少女の集団に取り囲まれている。


 彼を囲む猫耳を頭から生やした種族は、単色や三色に分かれた髪の毛と、体の要所要所が薄い体毛で覆われているのが特徴で、何かの毛皮で作られたと思われる簡素な服を身に着け、首や手首には赤や青の揃えられた装飾品を身に着けている事から、ある程度文化的な種族の様である。


 文化的であれば話し合いも可能ではないかと考えたユウヒは、言葉が通じればいいなと言う淡い希望を抱き、警戒している相手に余計な警戒心を与えないように注意しながら声をかける。


「・・・オマエ何しに来た!」

 そして返ってきた言葉は、日本語ではないが何故か意味の伝わる言葉であった。


「何というご都合主義・・・あ、ちょっと人探しをしてまして」

 無事会話が成立したこととそのあまりにもご都合主義な展開に、ユウヒは若干呆れながらも原因に心当たりがあるのか、ジャージの胸に描かれた黒い三本杉を撫でると、視線を感じて顔を上げると本題について声を上げた、少女と言っても差し支えの無さそうな女性に話しかける。


『!!』


 しかし返ってきた反応は驚いた様な、いや警戒する空気であった。


「お前、我らの仲間攫う気か!」

 どうやらユウヒの人探しと言う言葉が、彼女達には人攫い、もしくは攫う相手を探していると言う意味で取られたようで、代表なのだろう頭の猫耳をピンと立てた少しだけ年長に見える三毛猫少女が、簡素な槍を構えながらユウヒに声を荒げ問質す。


「へ? 攫う? ・・・・・・いやぁ、ちょっと攫うとか無いわぁ」

 そんな問いかけに思わず引き攣る様な苦笑を浮かべたユウヒの頭の中では、『25歳無職男性、少女にネコミミを着けさせ誘拐』と言う見出しでロリコン扱いされる自分の姿を妄想されており、地球に居るであろう忍者達なら嬉々として煽ってきそうだと、思わず笑いが込み上げてくる。


「怪しいヤツ!」


「あやしくないよー? 迷子のおバカさん達探してるだけですよー?」

 どうでもいいことを考えたいたのが悪かったのか、ユウヒが込み上げてくる笑いを我慢していると、三毛猫槍少女の後ろで弓を構えていた小麦色の猫耳少女が歯を剥いてユウヒを怪しいと叫ぶ。そんな声にちょっぴり傷つきながらも、ユウヒはなるべく警戒されない様な声を心掛けて弁明する。


「うるさい! 基人族嘘つく! 騙される前に黙らせる!」


「うへ、サーチ&デストロイですか? 世紀末な世界だな・・・と言うかもう完璧に異世界決定かぁ」

 しかし返って来るのは壁しか感じない、むしろ殺伐とした言葉であり、あまりに一方的な警戒の視線にどうしたものかと愚痴を洩らすユウヒ。また、どう考えても地球上じゃありえない一部の大きなお友達が喜びそうな状況に、ユウヒはこの場所が異世界で有る事を再認識するのだった。


「さ、さーちあん? と、でとろいと?」

 ユウヒが精神的疲労のせいでぼろぼろと洩らす心の声に、年長の槍猫少女は聞きなれない言葉にきょとんとした表情で首を傾げる。


「そんな表情だと普通に可愛いんだけど、凄い間違い方だなっ!?」

 まるで首を傾げる子猫の様な少女の姿に、ユウヒは少し心が満たされるのを感じると、少女の妙な間違い方に思わずツッコミを入れそうになるが、何かに気が付き目を鋭く細めると素早い動きで後ろに飛び退く。


「ふぅ危ない危ない・・・。この程度の距離ならまだ探知さんのテリトリーだな」


『!?』


 大きく飛び退き、大きな倒木の上に飛び乗り片膝を付いたユウヒの手には、木と動物の骨で作られた短めの矢が握られており、その姿に周囲の猫耳少女達は驚いた様に目を見開いていた。


 実際、後ろから射られた矢を飛び退きざまに掴む、などと言う芸当を目の前で見せられれば仕方ないと言え、さらにそれを可能にしている存在を彼女達は見ることが出来ないのだ。


 なぜユウヒに一連の流れる様な動作が可能だったのかと言うと、攻撃を逸早く察知した【探知】の魔法が視界に文字として伝えてくる情報と、対象の位置を知らせるレーダー表示、さらには視界に示された攻撃予測線と言う魔法の補助があったためである。さらにそこへ【身体強化】された体ならではの無理の効く動きが出来たため、今のように矢をつかみ取ることが出来ていた。


【頑張ります!】【次、右後方に攻撃態勢の敵発見】【ムーブムーブ!】


「見える! そこだ【ロックボルト】」

 ため息を吐くユウヒに、次の攻撃が来る事を予測して文字で伝える【探知】の魔法。そんな探知の魔法が見せる人間味ある文字列に、テンションの上がって来たユウヒは楽しそうな声と表情を浮かべると、気合の入った声で攻撃の為に使い慣れた妄想魔法を発動させる。


【ロックオン完了!】【誘導します!】【イエス! ウェポンブレイク!】


 ユウヒが神から与えられた少し特殊な魔法は、ユウヒの魔力に妄想と言う概念で補強がなされ、ユウヒの思うがままに発現する。さらには【探知】魔法とのシナジー効果により、ユウヒの手の上から射出されたボルト状の石は、曲線を描きながらユウヒの狙い通りに猫耳少女が引き絞っていた弓を撃ち抜き破壊してみせた。


「魔法!? 何故基人族が魔法を!?」

 戦闘の高揚感と【探知】達が見せる楽しげな文字列、さらに周囲の猫耳少女達の驚く姿と、久しぶりにのびのびと魔法を使える事にテンションの上がって来たユウヒ。


「ふはははは! 我魔法は百八式まであるぞ! 【飛翔】」

 そのテンションは、過去封印したはずの黒歴史をユウヒの心の中から漏れださせ、その感情のままに笑い声を上げたユウヒは、新たに【飛翔】の魔法を使てふわりと飛び上がり、猫耳少女達の包囲の外にある樹の太い枝に飛び乗る。


『飛んだ!?』


 枝の上に跳び上がったユウヒは、様々な感情のまま見詰めてくる複数の視線の中から、ずっと気になっていたとある視線の相手を除外するように妄想を始め、意を決すると大きく息を吸った。


「・・・攻撃してきたからにはある程度の反撃はさせてもらうからな子猫ちゃん! あとさっきからチラチラ隠れて見てる樹の精霊共! 危ないから離れていろよ!」


≪!?!?!?≫


 離れた場所に居る者にもよく聞こえる様に大きな声を上げたユウヒに、何が起こるのかと身構える猫耳少女達と、ユウヒ曰く『樹の精霊』と呼ばれた木陰に隠れる複数の存在。特に精霊と呼ばれた者達は、急激にユウヒから漏れ出しはじめた魔力の多さに驚き、ユウヒからの声も相まって慌ててその場から逃げ始める。


「頭冷やして反省すると良い! おバカな猫を凍てつき縛れ! 【アイシクルコフィン】」


『ギャニャーーー!?』

 そして、ユウヒが高らかに魔法を発動させる為のキーワードを口にした瞬間、絹を切り裂くような、それでいて女性が上げるには少々品の無い叫び声が森中に響き渡り、その叫び声を聞いた森の住人達を等しく恐怖させるのであった。





 一方その頃、三毛猫少女の叫び声が聞こえないほどユウヒから離れているルカ達はと言うと、


「ここが廃村か・・・まるで映画のセットのようだな!」

 食事も済ませて早々に、球磨が見つけたと言う廃村までやってきていた。


 クマと違い、慣れない森の中を歩き続けた彼女達の表情には、多少の差はあれ隠しようのない疲労が見受けられる。それは廃村の姿に好奇心を隠そうともしないパフェも同様であるが、彼女の場合はその疲労も好奇心で上書きできていそうだ。


「・・・ああ、何事も無く来れてよかったぜ」

 好奇心を露わにする元気なパフェの姿を感心したように見詰めるルカ、また草臥れた表情を隠そうともしないリンゴに、微笑みを浮かべるもやはり疲れが見えるメロン。そんな彼女たちに目を配ったクマは、どこかホッとした様な苦笑を浮かべ、どこか意味ありげな言葉を洩らす。


「ん? それは何事か起きそうだったってことか?」


「ああ、ここ見つけた時に怪しい影をいくつかな・・・動物ならまだいんだがよ」

 クマの言葉に違和感を感じたパフェは、廃村に向けていた視線を戻して目を細めてクマを見詰め問いかける。どうやら廃村まで向かう間、クマはある可能性に警戒していた様だ。


「人って事かしら?」


「え? 人がいたの? ユウヒなんじゃないそれ?」

 怪しい影と、動物ならまだいいと言う言葉に首を傾げるメロンと顔を上げたリンゴ、二人はその影が人なのかと思い、さらにはその影がユウヒなのではと考え、その言葉にルカも声は出さないものの期待の籠った表情で反応を示す。


「いやぁもっとファンタジー的なものじゃないかな、子供位の大きさだったし」


「ファンタジー的な・・・ですか?」

 しかし返って来たクマの返答は、彼女たちが望んだものでは無く、どうやらもっとファンタジーにふさわしい存在の様で、その辺の知識に疎いルカは、兄の影ではないことに若干落胆の表情を浮かべながら小首を傾げて見せる。


「「「ゴブリン!」」」

 しかしほかの女性陣は違ったようで、クマがほのめかした情報から全く同じ存在に辿り着いたらしく、三者三様の表情で全く同じ名前を叫ぶ。


「かなぁって感じ、遠目で良く分からなかったけど・・・よくあるオタ知識と同じ様なら、なるべく遭遇を控えたいとこだな」


「必ず敵対と言うものでもないが、まぁ・・・異種族なうえに異世界人だしな」

 ゴブリンとは、民間伝承からくる邪悪な精霊や妖精の一種とされ、昔からファンタジー物の中であまり良いイメージは与えられていない。また彼らが知る多種多様な知識の中でも、あまり友好的な種族とした印象が無く、むしろ逆の印象が強い為、あまり会いたいと思える種族ではなかった。


「まぁそんなわけで、少しでも防御に向いた隠れやすい場所を探したわけさ」

 況してやここは異世界、本当に異世界なのか懐疑的な部分が心のどこかに残っていたとしても、ここがどこか解らないと言う時点で、異世界と対して変わらない場所である。そんなこともあり、クマは隠れるにも休憩するにも、万が一襲われた場合も対処がしやすい場所として、この廃村を目指したのであった。


「確かに水場もあるし食料も確保出来ている。作戦を立て直すにも良い場所ではあるな」


「それじゃ中に入ってみようかね、俺が先頭、後ろはリンゴと姉さん、中央にルカちゃん」

 そんな思惑に満足気な表情で頷いたパフェの姿に、クマはほっとした表情を浮かべ安心すると、気を取り直して女性陣に指示を出して隊列を組み直す。


「よしクマ、背中はまかせろ! メロンはルカを守ってやれ」


「はぁい」

 クマの指示に肩を竦めたリンゴは、ルカとメロンをクマの後ろにつかせるパフェの後ろにさりげなく回り、気合いの入るパフェと、彼女の姿に苦笑いを浮かべるクマを可笑しそうに目を細め眺めるのであった。



 いかがでしたでしょうか?


 未知の世界で三毛と遭遇したユウヒでした。話し合いと思いきや、最後はO・HA・NA・SHI(魔力)と言う事になった様です。ついでに今回の妄想魔法で最初に犠牲となったのは3馬鹿忍者でしたが、そんなもの普通の人? に使って大丈夫なのでしょうか?


 それでは今回もこの辺で、またここでお会いしましょう。さようならー

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