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ワールズダスト ~現世に現れし黒き森~  作者: Hekuto
第二章 異界浸食

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第百四十話 業により滅びに向かう世界

 修正等完了しましたので投稿させてもらいます。楽しんでもらえたら幸いです。



『業により滅びに向かう世界』


 日本のとある調査ドームの奥に広がる異世界の空の下、美しく白い肌を晒したオオバシラが、着崩れていたらしい布を巻きなおしてから十数分後、落ち着きを取り戻したユウヒに、彼女は世界の状況と石について話していた。


「お主の持って来た黒き石を生み出した国はもう随分と前に滅んだそうな。だが今も、その人々の業によって生み出された石は、この世界を滅ぼそうとしておるのだ。今のままではもう長くはもたぬであろうの・・・」

 元々エネルギー問題の解決や便利な生活の為に作られたらしい黒い石、しかしその特性を使った兵器の誕生により世界は急速に軍拡へと傾いて行ったと言う。物によってはこの世界での核兵器の様な立ち位置にあったと言う黒い石であるが、すでにその記憶が忘れ去られてしまったらしく、今はただそこにあるだけで世界を蝕み続ける凶悪な存在となっていると言う。


「なるほどねー・・・便利を求めすぎちゃいかんのかね」

 自衛隊が接触した村にこの黒い石が存在した理由も、ほかの地域で問題が発生したことにより、詐欺同然に押し付けられてしまったようで、危ないからと打ち捨てられ蓄積したことによって、より強力な害を及ぼし始めたのが事の顛末である。


「どうであろうか、求めることは悪ではないのでしょう。しかし真理の探究は一度始めたら止めてはならぬのでしょうな」


「中途半端に実験を止めて、危険に目を瞑り実利を選んだ故の失敗か・・・」

 元々より良い生活の為に生み出され、便利を追求するために試行錯誤された石も、一転危険な力を秘めているとわかれば知る事を忌避するのも理解できるユウヒ。しかし一度始めた研究を途中で止めてしまうということは、その危険を解っていながら放棄するだけでしかなく、研究を続けていればその先に安全な管理方法が見つかった可能性だってあるのだ。


 その安全性の確保を研究し続けるべきだったと言外に語るオオバシラに、ユウヒは納得した様に頷くと視線を石に落とす。その黒い石を見詰めるユウヒの目には、それまでになく強い意志が感じられる。


「何やら思うところがおありの様で」


「いや、どこも人のやることは変わらないなと思ってさ」

 石を見詰めるユウヒの姿に目を細めたオオバシラは、彼が何か深く考えていることに気が付いたようで、興味深そうな声で語り掛けた。そんなオオバシラの声にユウヒは顔を上げると、どこか恥ずかしそうな苦笑いを浮かべ、何かを思い出していたのかどこも人がやることは変わらないものだと話す。黒い石の経緯は、ユウヒに過去の出来事を呼び起こさせたようだ。


「なるほど、精霊はどこに行こうと精霊。人もまた人と言うことですかな」

 彼が呼び起こした過去がいつの出来事かは、ユウヒ以外でこの場にわかる者は居らず、しかし軽い気持ちで言ったわけではないと感じ取ったオオバシラは、満足げに頷くとそう語った。


「・・・とりあえずこいつは好き勝手持ち出していいんだな」


「どうぞどうぞ」

 どこか楽し気に頷くオオバシラに苦笑を洩らしたユウヒは、新たにオオバシラから受け取った大きめの黒い石を拾い集めると、確認するように問い掛ける。どうやら黒い石はオオバシラにとっても厄介な物であるらしく、その石を有効活用してくれるというならいくらでも持って行っていいようだ。


「魔力活性化も問題ないと」


「むしろそうして頂ければこの星も喜びましょう」

 その有効活用方法が魔力の活性化だというのだから、オオバシラとしてはどんどん持って行ってほしとすら思っている様である。なぜならそれはすなわち世界を、この星を救うことにもつながる事であり、手のひらで黒い石を弄ぶユウヒに明るい声で話すオオバシラ。


「うん、話が聞けて良かった。どうしても俺の右目は使い勝手が悪くてな、漠然と何か調べようとすると必要のない事まで膨大に教えてくれるんだよ」

 この世界の歴史や、黒い石が生まれこの近くの村に集まった経緯などを一通り聞いたユウヒは、満足そうな笑みを浮かべ立ち上がる。ユウヒの右目はすべてを見通すが、ユウヒはまだ制御しきれていない為、詳しく調べようとすると情報の波に呑まれてしまい調べるどころではなくなってしまうのだった。


 簡単に説明すると、ユウヒが何かを詳しく調べようと右目を使えば、一瞬のうちに視界が膨大かつ小さな文字情報で埋まってしまう。その為いつもはごくごく限定した内容を調べようと意識して極僅かな力しか込めていない。それでも結構な量の情報が視界を埋めたり、時には意思とは関係ない本能によって必要無い情報を読み取ったりしてしまうのである。


「金色の瞳、あまりご無理はなさらぬよう」

 人が持つには明らかに過ぎた力を手にして行使するユウヒに、オオバシラは何か知っているらしく神妙な声で呟くと、心配そうな表情を浮かべた


「ああ、怖くて全力で見た事は無いよ・・・ちょっと加減を間違うだけで視界が塞がるし、余計なことまで調べるし・・・」


「人の身には、いえ精霊でも持て余す力です。神々でも恐れるでしょうな」

 オオバシラ曰く、ユウヒの右目に宿った力は人の身どころか精霊であっても使いこなせず持て余すらしく、人よりずっと高位の存在である神々であっても、不必要に使いたいと思わない力であるらしい。


 一方、思わず過去の記憶を思い出し、本能で調べてしまったアミールの情報まで鮮明に思い出したユウヒの耳には、オオバシラの声は半分ほどしか届いていなようである。しかし、彼女の神と言う言葉に反応したユウヒは、赤くなった顔を上げるとオオバシラに目を向けた。


「そういえば、この辺は神様もいるのか?」


「ずいぶん少なくなりましたが、今も居ますぞ」


「居るんだ・・・挨拶しておいた方がいいかな?」

 異世界ワールズダストにはたくさんの神族が存在した半面、最近まで活動していた名もなき異世界ではついぞ神の姿を見る事は無かったユウヒ。その為今いる世界にはいるのかどうか気になった様で、居ると話すオオバシラを見詰めたユウヒは、少し不安げな声を洩らす。


「ふむ、特に気にはしないと思いますが、魔力活性が成功した時は接触してくるかもしれませんな」


「そかそか、じゃぁその時に挨拶したらいいかな?」

 神様にそこまで良いイメージを持ってないユウヒは、なるべくなら接触したくない様で、特に挨拶に行かないといけないわけではないと知ると、面倒事を後回しにしたようである。しかし、彼が目的を果たせば接触してくる可能性があるわけで、その時の事を考えたユウヒは、思わず微妙に嫌そうな表情を浮かべた。


「・・・楽しみですな」


「ん? まぁ魔力はあった方がいいもんな」

 既に魔力の活性化が成功する前提で話すユウヒの姿に、頼もしさを感じたオオバシラは目尻を細めると、心の底から楽しみにしていることが分かる声色で呟く。そんな彼女に、ユウヒは小首を傾げると、自己完結したのか納得した様に頷いて見せる。


「ふ、ふふふふ」

 微妙に噛み合わない会話であるが、オオバシラにとっては楽しい会話であるらしく、不思議そうな表情を浮かべるユウヒの前で、彼女はしばらく笑い声を零し続けるのであった。





 それから小一時間後、精霊達と協力の約束を取り付けたユウヒは、割と滅びの時が近いと言うこの世界の情報を引っ提げ自衛隊基地に戻って来ていた。


「・・・・・・」


「・・・」

 そこで隊長にも知らせないわけにはいかないので、時系列で簡単に何があったのか話した後、オオバシラから聞いたこの世界の滅びについて一通り話した様だ。そんなユウヒの話に、屈強な戦士であるはずの隊長は頭を抱えてユウヒを睨む様に見詰め、ユウヒは何とも言えない微妙な笑みを浮かべている。


「流石ユウヒだな」

「見事なフラグ回収だ」

「いや、まだ滅ぶと決まったわけじゃないでござろうに」


 この世界の滅びとは、魔力枯渇による不安定化によって引き起こされる天変地異であった。このまま何もしなければ、加速度的に消耗され続けている活性魔力は尽き、不活性魔力の大気濃度も薄れて世界から精霊が消えてしまい、最後には星が次々と消失していくのだとオオバシラはユウヒに教えており、そのままユウヒも隊長に伝えている。


「滅ばんがな、てか俺が滅ぼさせないよ」


「うほw さすが勇者ユウヒ言うことが違うなww」

「なんて厨二力だ!?」


 そんな話を急に聞かされたのだ、隊長の表情も頷けると言う物で、その視線を甘んじて受けていたユウヒは、まるで物語の勇者の様なセリフを口にする。声自体はいつもの覇気の籠らない声であるが、言葉はヒゾウとジライダの琴線に触れたらしく、驚きと感動で声を震わせる二人。だがその反応は確実にユウヒのヘイトを稼いでいる為、ゴエンモは何とも言えない表情で押し黙っていた。


「いや、この世界が滅ぶと地球もやばいし」


「マジでござるか?」

 そもそも何もしなければ滅ぶわけで、行動を起こせば滅ばないのである。その為の方法も手段も協力者も手にしているユウヒは、特に強がるわけでもなく当然と言った気持ちで先ほどの発言を口にしていた。そんなユウヒは、どこか呆れた表情でジライダとヒゾウを見詰めると新たな情報を口にし、その言葉にゴエンモは目を見開き、隊長は体を起こす。


「うん、聞いたら結構危険なレベルで影響出るってさ」

 物理的な接触まで起こしている世界の片方が滅びて消えた場合、何が起きるのか想像できなかったユウヒは、今も左腕に付けてある装置で協力者の女性と連絡を取った様で、その結果大きな影響が出ることが確定していた。例の如く明確な被害予想は出来ていないものの、最悪を考える必要があり、女性は今も暗い部屋で一人作業を続けている。


「さぁユウヒ研究タイムだ! 早く装置作って! ハリーハリー!」


「急かすなよ・・・今からでも十分間に合う」

 協力者の壊れた様な笑みを思い出し、いたたまれない気持ちが湧きだしているユウヒに、ヒゾウは慌てて近寄ると、ユウヒの背を押し急かす。行動こそ起こさないものの、その場の人間は皆同じ気持ちであるらしく、期待するような視線をユウヒに向け、彼の言葉に少しだけホッと息を吐く。


「と思うから・・・たぶん」


「そんなフラグはいらねーです」

「自信を持て! ユウヒなら出来るって!」

「二人とも、そろそろ静かにしないと隊長殿が視線で人を殺せそうでござる」


 しかし、ユウヒの上げて落とすような呟きに、ジライダとヒゾウはユウヒを囲んで激励なのか呷っているのか分からない応援を始め、一向に話が進まない状況に、隊長は眉間にしわと額に血管を浮き上がらせると、静かに二人を睨む。


「・・・はぁ、それで目的の物はそろっていそうなのか?」

 ゴエンモの言葉で背後を振り返った二人は、残像を残す勢いで逃げるとユウヒの後ろに隠れる。この場で最も安全? な場所に隠れる二人にため息を洩らした隊長は、皺が寄った眉間をもみほぐしながらユウヒに問いかけた。


「まだ何とも」

 疲れた雰囲気が漏れ出す隊長の問いに、ユウヒはちらりと部屋の一画に目を向けながら肩を竦める。ユウヒが目を向けた先には、大きめなミカン箱サイズの折り畳み式コンテナが数個詰まれており、中には忍者たちが拾ってきた様々な植物や色とりどりの石、それと粘土っぽい土などが入れられていた。


「あれじゃ足りんのけ?」


「調べるところからだからな」

 ぱっと見ただけでも結構な量であるにもかかわらず、足りるか解らないと話すユウヒに驚いたように問い掛けるヒゾウ。しかし別に量が足りないというわけではなく、使える物かそうでない物かを調べないといけない為、一概に量だけで判断できないだけであった。


「まだ持ってくるでござるか?」


「いや、協力者が出来たのでそっちの方に頼んでる」

 量の問題ではないと話すユウヒに納得した表情を浮かべる周囲の人間達、しかしそれでも数撃てば当たると言った傾向の強い忍者たちは、元気よく腕まくりし始める。二名は単純に隊長から怒られそうということで、この場から逃げ出したいだけの様であるが、残念ながら協力者を見つけたユウヒには、彼らの手を今借りる必要がないようだ。


「ほう、神いや女神様?」

 そんなユウヒの協力者発言に、ヒゾウは目を輝かせ自らの願望を口にしはじめた、いろいろと酷い目に合っていても女神と言う存在の魅力には抗えない様である。


「精霊」


「そっちかぁ」

「俺ら見えないしなぁ」


 しかし今回協力を仰いだのは精霊であり、オオバシラと言う名前しか聞いていなかったヒゾウとジライダは詰まらなさそうに口を窄めた。


「・・・見えんこともないらしいけどな」


「ほうほう・・・」

 一応、オオバシラは力の強い大精霊である為、姿を見せようと思えば見せられるのだが、彼らの我欲に満ちた視界に姿を現すことは先ずないであろうと、女神限定で確認を取って来るヒゾウに呆れた表情を浮かべたユウヒは、呟くように話す。そんなユウヒの呟きを聞き逃さなかった三人はその目を希望で瞬かせる。


「その協力者が居て、どのくらいで滅びとやらを回避できる?」


「どのくらいかは、とりあえず試作して、魔力を補充しつつほかに作ってみたい・・・必要な物を作ってからですね」

 まだ見ぬ精霊の姿を妄想しているらしい忍者達を呆れた様に見詰める隊長は、ユウヒに目を向けると半信半疑と言った口調で滅びの回避について問う。滅びは回避できると話すユウヒを信じるならば、彼の活動を支援するだけでいいが、そうでなければ最悪すぐに撤退を開始しなければいけないのだ。


 しかし、難しい表情を浮かべる隊長の問いかけに答えるユウヒの表情はいつもと変わらず、見方によっては飄々とした態度である。


「いま不穏な言葉を聞いたような」

「絶対趣味に走るやつでござる」


「そんなことないよー?」


「棒読み乙ww」

 そんなユウヒが思わず自らの願望を口走りそうになる姿に、忍者達は目敏く気が付き、ひそひそと良く聞こえる声で話し合いながらユウヒにジト目を向け、彼らの視線から顔を背けたユウヒの行動は実にわざとらしく、明らかに遊んでいる事が隊長や周囲の自衛官にも伝わった。


「あー・・・それでどうなんだ? 滅びってのが今一つ解らないと言うか想像できないが、色々と間に合うのか?」


「そんなすぐでも無いので十分間に合うと思います。ただ、まだ何も手を付けていないので正確な時間は何とも」


「そうか・・・」

 ユウヒと忍者達のまったく深刻さを感じないやり取りに、難しく考えることが馬鹿々々しくなって来た隊長は、頭を乱雑に掻くとそれまでより幾分砕けた口調で再度ユウヒに問う。そんな問いかけに、ユウヒは笑みを浮かべると大丈夫だと答え、隊長からのジト目を楽し気に受け止める。


「問題ないでござるよ。ユウヒ殿がくれぃg・・・本気モードになったらすごいでござるからして」


 隊長の言葉がだいぶ砕けた調子になってきたことで、話しやすさから笑みを浮かべるユウヒ。そんな彼を不満げな目で見詰める隊長に、ゴエンモは今のユウヒなら大丈夫だと、不用意な言葉を濁しながら話し、その言葉に隊長は曲がっていた背中をゆっくりと戻す。


「いまなんて?」


「なんのことでござるー?」

 瞳孔の開いた目で見詰められたゴエンモが全力で顔を背ける姿を見ながら、隊長は背筋を伸ばすと何かを思い出すような表情を浮かべ小さく溜息を洩らした。


「・・・はぁ、とりあえずすぐに取り掛かりますね。今ある素材で試作しますから、テントの用意は?」


「ああ、すでに出来ているよ。案内はヒゾ・・・」

 流石に全力で逃げるゴエンモにはユウヒも敵わないらしく、逃げ延びたゴエンモにため息を洩らしたユウヒは、先ほどまでのどこかキナ臭げな表情が消えた隊長に目を向けると試作を始めると話し、作業用のテントの状況について問いかける。


 ようやく話が元のレールに戻ってきたことに対して苦笑いを浮かべた隊長は、頷いて見せるとテント張りの道具運びを手伝っていたヒゾウに目を向けるも、何故か言葉を詰まらせた。


「・・・うん、頼めるか?」


「ふふ、了解しました」

 彼はそのままヒゾウを見詰めた後、隣に一歩近づいてきた女性自衛官に視線を向けると、短い言葉でユウヒの案内を彼女に頼み、全てを察していた女性は可笑しそうに笑いながら了承する。


「・・・・・・ひどくね?」


「「全然?」」


 ヒゾウの迷子スキルは極めて高く、普段活動している異世界の簡易基地内でも迷うレベルであった。その為、同じ見た目と形のテントが並ぶ基地の中、違うテントにユウヒを案内されても困ると、隊長は信頼のおける直属の部下である女性にユウヒの案内を頼んだのである。


 一連の視線と言動ですべてを察したヒゾウは、徐に顔を動かし、背後のジライダとゴエンモに目を向けると自らの思いを口にしたのだが、返って来たのは彼が求める様な慰めの言葉ではなく、心底不思議そうな表情で首を傾げる二人の辛辣な言葉であった。


「では、こちらです」


「はい、先ずは薬を飲んで、試作で、小型を・・・あとは」

 にこやかな笑みを浮かべ、手で進行方向を指し示した女性に、ユウヒは頷き付いて行く。しかしその顔には、すでにそれまでのどこか覇気を感じられない表情は無く、ぶつぶつと呟くユウヒの細められた目の奥には、ドロドロギラギラとした欲望を渦巻いている。


「・・・ユウヒがトランスモードに入ったぞ」

「解せぬのぅ」

「これで安心と思う反面、やりすぎないか心配でござるなぁ」


 その姿を直視した三人の忍者は、異世界ワールズダストで見たユウヒの姿を思い出し、頼もしさと同時に不安を抱くのであった。約一名ほど傷心から復帰できていない様だが、彼らの気持ちは同じである。


「やりすぎ? やる気があるのは良い事じゃないか、はっはっは!」


「「「・・・・・・」」」


 そんな彼らの呟きに隊長は小首を傾げると、これまでで一番やる気に満ちた表情を浮かべているように見えたユウヒを笑みで見送り、捲られたテントの入り口がふわりと閉まると機嫌よく笑い声を上げた。常にどこか疲れた表情を浮かべているユウヒの、やる気に満ちた表情を見て機嫌をよくしたらしい隊長に目を向けた忍者達は、何も知らない彼に同情の籠った視線を送り、これから起きる狂気の合成タイムが何事もなく終わることを願う。


 尚、以前ユウヒが忍者の依頼で魔力を垂れ流しながら合成を行った夜は、周辺のネズミが一斉に逃げ出すなどの事件が起きていたのだが、それは彼の知らぬ話である。



 いかがでしたでしょうか?


 調査の為に選ばれた異世界も、予想以上に危険な世界だったようです。そんな世界でも精霊は変わらず、またユウヒのスタンスも変わらないらしく、いつものペースで彼は世界を救う。次回もそんなユウヒの冒険をお楽しみに。


 それではこの辺で、またここでお会いしましょう。さようならー

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