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心得その1 友人と一緒に勉強すべし。

 あきらめた。その言葉を何度呟いたことだろう。机の上には投げ出されるようにして赤本が置かれている。そしてその傍らには英語の単語集や文法集が乱雑に積み重ねられていた。それだけ見れば、傍から見ればさも、勉強好きが座っているのだと思われるかもしれなかったが、実際はその逆だった。

 一度だってしっかり勉強をしたことは、情けないことだがなかった。テストは一夜漬けがほとんどだったし、運にすべて任せて高校受験をしてしまうほど、適当に生きてきた。そして、そんなに適当に生きていても、全ては時と運が解決してくれ、そんなに問題にはならないほど運が味方して、ここまで特に大きな壁にぶつかることもなく、暮らすことが出来てしまっていた。

 そんな霧ヶ谷逸樹が、学校の図書館の少し硬い椅子の背もたれに体を預けて勉強するのを放棄するのにさほど時間はかからなかった。彼は向かい側で勉強道具を広げ、無我夢中に勉強をしている同じクラスの林野煌に声をかける。

「なぁ林野、そろそろ……帰らね」

 それを聞いた煌は顔を上げずに呆れた声で逸樹に言う。

「霧ヶ谷……、それ本気で言ってる? つい1時間前に来たばっかりだよ、僕ら」

 やれやれ、と呟き短くため息をつく煌をよそに、逸樹の視線は少し離れた席に座っている少女に向けられた。ショートカットの、しかし活動的ではなさそうな顔立ちの横顔を見て、同じクラスの如月さつきだと気づく。今、この図書館には逸樹と煌と、このさつきしかいない。先ほどまでは、何人か書棚の前で立ち読みしていた生徒もいたが、今は跡形もなくいなくなっており、エアコンの音だけが響き、不気味なくらい静かだ。

「お前も頑張るな、如月」

 自分の席から少し大きめの声でさつきに声をかける。すると、さつきが顔を上げ少し驚いた表情で逸樹を振り返る。そして意外そうな声で彼に言った。

「あれ霧ヶ谷くん、珍しいね。勉強」

 その言葉に彼は苦笑いをしつつ、

「いや、ちょっと寄りたいところがあったから林野についてきてくれって頼んだら交換条件でここで少しの間自習に付き合えって言われちゃってな」

 逸樹は困ったものだ、という風に髪をわしゃわしゃとかく。そう、彼が煌について図書館を訪れ、いやいや勉強に付き合っていたのはこの、「交換条件」のためである。そして彼はぽん、と何かを思いついたかのように手を打った。

「よかったらお前も来ない? 今噂になってる受験生行方不明事件で、被害者の受験生が入っていったっていう怪しい建物見に行くんだけど」



 

 どうも、工藤流優空です。最後までお読み頂き、ありがとうございました。

 久々の長編小説連載ということで、少しどきどきしております。描写や表現なんかが前より劣化している気がします、すみません。

 この小説は緑マリモさんと共同で考え、2人の作者それぞれが考えた世界観、キャラクターを使い、その視点で物語を綴っていく形式となっております。しかし、彼女は今、とても忙しいので更新している時間がないと思われます。ので、彼女が更新次第、こちらでお知らせ、またはリンクを貼りますのでその時はそちらもよろしくお願いします。

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