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2

その後も、お互いに何も言葉を発さずただ黙々と食事をし、空いた皿を見つめる菜摘に「洗い物は私やっとくよ」と言うと、彼女は「ごめんね」と小さな声でこぼした。そして、そのまま自分の部屋へと帰っていった。

アサは油のついた皿やタッパーを洗いながら、一人で考え込んでいた。なにか酷いことを言ってしまっただろうか。自分のせいで、菜摘をさらに深く傷つけてしまっただろうか。あの時、「なにか嫌なこと言っちゃったかな」と聞いても、菜摘なら「そんなことないよ」と首を振っただろう。

食器についた泡が流れて消えていくのを、アサは黙って見つめていた。




「確かにその言い方だと、期待してるのが良くないっていう風に聞こえなくもないな」

「そっかぁ。そんなつもり無かったのにな」


翌日、優真にご飯でも食べようと誘われ、二人で町のレストランでお昼ご飯を食べていた。ただ、いつもよりどこか上の空な返事をするアサの異変はすぐに優真に気づかれ、アサは昨日の出来事を彼に話したのだ。

アサが菜摘に言った言葉を聞き、優真は複雑そうな顔をして頷いた。


「アサさんは、本当はその子になんて言いたかったんですか?」

「うーん。人は同じように見えても違うから、それを受け入れるといいんじゃないかなって。期待しちゃダメなんてこと、言いたいわけじゃなかったのに」

「同じように見えても違う……こんな感じ?」


優真はそう言って、自分のパスタの皿に入っていたシメジを指さした。二本のシメジは、一見同じ見た目をしているようでいて、よく見たら大きさも形も違う。


「きのこ…………そう、それだ」

「え? ほんとに?」


優真は冗談のつもりで言ったようだったが、アサはシメジを見て感化されたように、大きな目で優真を見つめ返した。


「私たちはきのこなんだよ」




優真と別れた後、アサは帰りにスーパーに行き、野菜やきのこを買って帰った。白菜、えのき、椎茸、豆腐に豚肉。ネギやニラなんかも入れちゃおう。そして会計を済ませ、まっすぐアパートに向かった。

アサは一つ呼吸を置いて、買い物袋を持ったまま、菜摘の部屋の前に立つ。扉の横のインターホンを押し、もう一度軽く息を吸った。


「なっちゃん、いる? 今日さ、ご飯の日じゃないけど、一緒に鍋食べない?」


しばらくして、中から足音が聞こえた。それは扉の前で止まり、また数秒置いて、小さな声が聞こえた。


「……何鍋?」

「キムチ鍋」


ゆっくりと扉が開く。


「……食べる」

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